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本章での重要なポイント

・ SBT は、全社的なスコープ 1,2 排出量の少なくとも 95%を網羅することが望まし い。

・ バイオマスの燃焼によるCO2、CH4及びN2Oの直接排出量は、目標のバウンダリ に含むことが望ましい。

・ SBTの設定及び進捗を把握するため、一つの特定のスコープ2算定アプローチ(「ロ ケーション基準」あるいは「マーケット基準」)を使用するべきである。

・ 科学と整合していれば、代替方法として再生可能エネルギー調達目標を設定するこ とができる。再エネ調達目標を設定した企業は、別の目標を立て、スコープ 1 排出 量に対応する必要があるだろう。

・ スコープ1,2排出源からの削減は、最低でも2℃を十分に下回る脱炭素経路と一致す ることが望ましい。スコープ1,2の目標には1.5℃目標への取組が推奨される。

・ SBTを設定する際、セクター独自の要件や推奨事項に直面するかもしれない。

5.1 一般的検討事項

目標バウンダリの設定

SBT は、あるスコープの合計が他と比べ、重要でないように見えたとしても、全社的なス コープ1及び2の排出量を網羅するべきである。これは、SBTが変化するエネルギー源の リスクと機会をとらえることを確実にするためである。通常、インベントリと目標から排除 するのは、スコープ1及び2を合わせた排出量の5%未満とするべきである。

多くの企業にとって、バイオマスに関連する排出量は大きい。バイオマス燃焼と生分解から のCO2の直接排出量、ならびにバイオエネルギー原料に関連するGHG吸収量は、GHGイ ンベントリの範囲外で報告されるが、SBT を設定する際、及び目標に対する進捗を報告す る際はいずれも、目標バウンダリに含めるべきである28。バイオ燃料とバイオマス燃焼に関 連するCH4とN2Oの排出量は、関連するスコープの下で報告されるべきである。

28 企業はまた非バイオエネルギー関連の生物起源排出量をインベントリと共に報告しなければならない。

同様に、土地利用変化からのCO2排出量は、対象範囲外で報告されるが、可能であれば関 連性がある限りこれらの排出量を目標バウンダリに含むことが推奨される。土地利用変化、

並びにバイオエネルギー関連の排出量や吸収量を計算する手法は多様なため、企業は使用 した手法を開示し、合意された手法が利用可能となった時、排出量を再計算することが望ま しい。

概して、特定の事業活動と排出源を除外したか、除外した場合、その理由を開示することが 望ましい(第8章を参照)。

スコープ2排出量の算定

スコープ2目標の設定や進捗の把握には、固有の検討事項が伴う。

SBTの達成のために再生可能エネルギーを使用する

GHGプロトコルスコープ2ガイダンス(WRI&WBCSD, 2015)は、再生可能エネルギーとそ の他の形態のエネルギーの購入によるスコープ2排出量を計算するため、2つのアプローチ を定義している。

・ 「ロケーション基準」のアプローチは、エネルギー消費が発生する送電網の平均排出原 単位を反映するよう設計されており、主にグリッド平均の排出係数を使用する。

・ 対照的に、「マーケット基準」アプローチは、企業が目的を持って選んだ、差別化され た電力メニューの排出影響を反映させる意図がある(例えば、サプライヤー特有の排出 割合や電力購入契約)。

SBT 設定では、基準年の排出量を報告し、進捗を把握するため、一つのアプローチの結果 を選ぶべきである。また、マーケット基準アプローチを選んだ場合、スコープ2品質基準29 に準拠するようすべての契約文書を評価することが望ましい。

スコープ 2 排出量に割合削減の目標を設定する代替案として、再生可能エネルギーの調達 に関する目標を設定できる。再エネ資源からの電力調達を2025年までに80%、2030年ま

でに100%とすることに則っていれば、調達目標は認められる。すでにこの閾値で、または

購入した熱や蒸気の算定

購入した熱や蒸気からの排出量は、インベントリのスコープ 2 に該当する。しかし、SDA を用いたSBT設定では、熱や蒸気に関連した排出を直接排出(すなわち、スコープ1)の 一部であるかのように、モデル化することが望ましい。これは、スコープ2排出に関する既 存のSBT手法が、購入した熱や蒸気を考慮に入れないためである。

野心的目標の設定

最低でも、SBTはスコープ1,2の排出源からの削減が、2℃を十分に下回るシナリオと整合 するべきである。企業は 1.5℃の経路を目指し、さらなる取組を目指すことが推奨される。

第3章で述べたように、スコープ1,2排出の原単位目標は2℃を十分に下回る経路に則り排 出総量削減となるか、SBT イニシアチブによって認定されたセクター別の手法に則るべき である30。同様に、総量削減は最低でも、2℃を十分に下回る目標か、1.5℃目標の妥当性、

整合性、責任、客観性の原則に則るシナリオと整合するか、部門別脱炭素化アプローチの中 で、適切なセクターの削減経路と一致しなければならない(SBTi 2019, “Foundations”)。

セクター別の検討事項

企業のスコープ1および2のSBTの野心は、SDA、または総量削減アプローチのいずれか に則るべきである(第3章)。例外は発電事業者で、SBTはSDAに則り設定すべきとなっ ている。これはSDAが電力セクターに求められている大規模、かつ迅速な脱炭素化を考慮 に入れているためである31。しかしながら、SDA における発電経路が、スコープ1排出量 しか対象にしていなくても、発電事業者は更にスコープ2排出量を考慮して、スコープ1及 び2を合わせた排出量の5%以上がインベントリから除外されないようにする必要がある。

30 認定された手法とセクターの経路の一覧は、本ページを参照。

31 SBTi 目標妥当性基準では、発電事業者にSDAの「発電」経路を用いて目標を設定するよう求めている。