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3. SBT 設定手法

3.3 種類の異なる目標のメリットとデメリット

総量目標と原単位目標を比較する

どちらの目標にも長所と短所がある。原単位目標は必ずしも排出総量の削減につながらな い。生産量が増えると、たとえ単位基準当たりの効率がよくなったとしても、排出総量の増 加をもたらすことがあるからである。(図3-1で説明)。

図3-2. 原単位削減目標は、生産レベルが上がった時に排出総量の増加につながる。

総量目標にも、欠点がある。同業者間でのGHGインベントリの比較ができず、報告された 削減量は、排出量の改善というよりも、生産量の減少に起因することがあるため、必ずしも 効率の改善を示さないことである。

企業は、総量と原単位、双方で目標を示すことが推奨される。20

(総量及び原単位)目標の組み合わせの例

・ スコープ1,2,3:コカ・コーラ社は、2007年を基準年として、2020年までに中核 となる事業運営からGHG排出総量を50%削減すると宣言した。また、2007年の 基準年から2020年までに飲料部門からGHG排出量を33%削減すると約束した。

・ スコープ1,2,3:欧州不動産運営会社Covivioは、2017年の基準年から2030年ま でにスコープ1及び2のGHG排出量を1平方メートル当たり35%削減すること を約束した。2010年の基準年から2030年までに、スコープ1,2,3のGHG排出量 を1平方メートル当たり34%削減することも宣言している。

物理的原単位目標と経済的原単位目標の比較

物理的原単位目標と経済的原単位目標にも、独自の強みと限界がある。物理的原単位指標

(トン製品当たりのtGHGあるいは発電したMWh当たりのtGHG等)は、統一された製 品を作るセクター(鉄やセメントセクターなど)での使用に最も適していて、多様な製品を 製造する企業にはあまり適さないだろう。

経済的原単位目標は、時間と共に製品価格の変動があまりないセクターに適しているだろ う。そのようなセクターでの排出量の増加は、企業の業績の伸びに結びつくことが多い。つ まり、製品がたくさん売れれば、製品を生産するために排出量は増加する。

しかし、セクターによっては、業績の伸びが、排出増加と結びついておらず、需要と供給、

価格変動といった他の市場原理に影響される。そのような場合、経済的指標は排出実績の把 握に有効でない。企業は、総量削減を用いるか、排出総量の削減に則った原単位目標を策定 するべきである。

価格変動のあるセクターの例:

・製薬会社の特定の薬の価格は、需要や特許、規制要因に基づいて変動することがある。

・高級ブランド企業の付加価値(あるいは粗利益)は、マーケティングや高価な商品を購入 する消費者意欲に関連づけられ、価格に変動性をもたらす。

・多くの商品の価格(鉄や農産物など)は、商品取引所での売買で決定される。

表3-1に、この三種類の目標の主なメリットとデメリットをまとめる。

表3-1. 排出総量目標、物理的原単位目標、経済的原単位目標の主なメリットとデメリット

排出総量目標 物理的原単位目標 経済的原単位目標 大気に放出される GHG

を具体量減らすよう設計

目標のコミュニケーショ ンのために力強い野心を 示す

GHG排出量全体から具体 量を削減させる誓約を伴 うため、環境面で確実であ り、ステークホルダーから も、信頼が厚い。世界の排 出削減取組に対する貢献 度を予測でき、透明性が高 い

事業の浮沈と関係なく、

GHG排出量の実績及び効 率の改善を反映する

排出削減戦略や社内の進 捗把握と合致できる

企業同士で GHG 排出量 実績の比較可能性が増す こともある(使用されてい るインベントリ統合のア プローチが同じで、製品構 成が非常に類似している ことが前提)

多様な製品やサービスを 提供する企業に最適 成長の早い企業向き

メリット

企業同士での GHG 原単 位や効率の比較が難しい

報告削減量は、パフォーマ ンスの改善より生産/産出 量の減少に起因すること がある

業 績 が 伸 び 、 成 長 率 が GHG排出量と関連してい れば、目標の達成が厳しく なることもある

原単位が減少しても排出 総量は増えることがある ため、ステークホルダーか らあまり信頼できないと 見られるリスクがある(例 えば、GHG原単位の減少 以上に生産量が増えるた め)

多様な事業を展開する企 業は、一つの物理的原単位 を共通事業指標として定 義することが難しいこと もある

経済指標の変動性や「理想 的な」状況に基づいた手法 のため、環境面で確実でな い

ある年に財務損失があれ ば、目標進捗の把握は難し くなる

物理的生産プロセスに結 びついた排出量と相関し ないこともある(特に価格 変動が多いセクターには)

デメリット