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て、目標がどのように達成されるかを明示する。役員幹部が SBT の設定を推進してい なければ、この作業で上層部から承認を得やすくなる。

影響力のある部門に社内の推進者(サステナビリティチームではないが、SBTの設定及 び、取組を進める考えに賛同してくれる人)を見つける。

・ ある事業部門に、影響力をあまり持たない分野で達成するべき目標を任せることは推奨 されない。モチベーションを削ぐことになる。

・ 複数の国で事業を展開している場合、削減の機会を特定するために、その国での事業に 携わることができる国レベルの推進者を設けることを検討する。

・ 可能であれば、リスク軽減を盛り込み、財務利益を提示する説得力のあるビジネスケー スを作成する。

SBTによって企業が、どれほど節約できるかを示す。

短期及び長期回収期間でバランスのとれたプロジェクトポートフォリオを作成する。

SBT がどのように中核となる事業戦略に寄与するか、目標がどのようにリスクの軽減 に役立つかを示す。

施設のエネルギー効率対策といった小さなプロジェクトが目標全体にもたらす寄与度 を軽視しない。合計すると大きなものとなりえる。

・ 事業部門にとって、目標達成がしやすく価値のあるものにする。

事業部門の分析を支援し、当該部門が実際に実行できるような現実的な案を提示する。

事業部門が実施した排出削減プロジェクトで蓄えた資金を、当該部門が保持できるよう にする。

緊迫感と集団的な当事者意識をはぐくむために、短期的な中間目標を設定する。

・ 必要なテクニカルスキルが社内にない場合、社外の支援を得る。

必要であれば、SBTの背景となる科学を理解し、SBTを設定するガイダンスを提供で きるNGOやコンサル会社と連携する。

利用可能な選択肢をより理解するため、政府、サプライヤー、顧客、その他ステークホ ルダーと協働する。

スコープ3排出に関して、バリューチェーンパートナーに、排出削減のための目標や一 般的なベストプラクティスについて時間を割いて説明する(トップサプライヤー・コミ ットメントが設定されていた場合、削減量の算定や報告のベストプラクティスを説明)。

企業例:ランド・セキュリティーズ

陣に訴えていきました。すでに他社が参画していること、また科学が目標にどのように影 響していて、世界の状況とどんなつながりがあるかを示せたことで、役員からの承認はず いぶん得やすくなりました。私たちは、人に力を与え、野心的な目標をより受け入れられ やすくする力強いメッセージを持っています。」(ランド・セキュリティーズ エネルギー 部門長、トム・ビルネ氏)

企業例:ファイザー

「多様な地域の大きなネットワークにおいて、我々のグローバル・エンジニアリンググル ープは、社員がエネルギー効率や再生可能エネルギーの価値を理解し、GHG排出量削減 の要請を負担と見るのではなく、機会を模索する権限を得たように感じるよう努めて取 組んできました。気候変動が地球に与える潜在的な影響を他部門の職員が理解し、だから こそ行動する必要があるとはっきり認識するために、コミュニケーションは重要な要素 でした。経営執行部が承認した短期目標(2020年)と共に、長期ビジョン(2050年)を 持つことで、我々のチームは賛同を得やすくなりました。」37(ファイザー 上級顧問弁護 士兼環境サステナビリティアドバイザー、サリー・フィスク氏)

目標を定義し、承認を得ることは、必ずしもスムーズなプロセスとは限らず、目標が社内で 承認されるまでは、何度もフィードバックを受け、上層部や事業部門との一進一退の作業が 発生することもある。支援を確保するための信頼を得るには、以下の点が重要である。

訴えかける対象者を知る

サステナビリティ関連の業務をしていない職員は、通常、気候科学の背景知識を持ち合わせ ていないが、気候変動やサステナビリティの概念は知っていることもある。SBT のビジネ スケースを作成するために正しい出発点を見つけることは、このような人を参画させるた めに必須となるだろう。IPCCの調査結果や企業が科学と整合した排出削減を行う必要性を きちんと説明する必要がある場合もあれば、すぐに目標の議論自体を始められる組織もあ るだろう。

データを基にビジネスケースを作成するが、対人スキルの重要性を過小評価しない サステナビリティの専門家を対象とした昨今の調査で、サステナビリティの指導者として 成功するための最重要要因は対人スキルであることがわかった。SBT を達成するには、社 内の複数部門と協力する必要があるので、人間関係を築き、取組を支援するネットワークの 構築が重要となる。

37 ファイザー社のSBTについて、詳しくはhttp://sciencebasedtargets.org/case-studies/case-study-pfizer/

を参照。

同様に重要なことは、データと合わせてビジネスケースを作成する能力である。SBT アプ ローチは比較的新しいものだが、野心的なGHG目標を設定することが企業のメリットとな る多くの裏づけがある(第2章を参照)。GHG 排出削減によって定量化できるメリットに は、経費削減、エネルギー節約、収益の改善がある。SBT の設定に関するその他重要な利 点も、議論されることが望ましい。イノベーションの推進、信頼や評判の向上、リーダーシ ップの発揮等も一例である。

ビジネス用語で目標をコミュニケーションする

気候やサステナビリティの専門用語よりも、リスク、機会、収益、評判といったビジネス用 語を使って目標を構成することで、企業の意思決定者は共鳴するだろう。目標の設定・達成 のために、意思決定者を参画させることは重要だが、ビジネス用語を使って組織の全職員に、

確実に目標を伝えるべきである。

早い段階で企業のあらゆる職員を関わらせる

社内で訴える対象は、設備運用から調達に至るまで会社のほぼ全部門を含む。特に、経営幹 部、「グリーンチーム」の職員、コミュニケーション部門、多くの排出削減活動に直接関わ る部門は、目標を設定するプロセスを知り、関与することが望ましい。また、GHG排出削 減の活動・プロジェクトの担当チームは、目標の中で自分たちに関わる部分が達成できるか、

妥当性を確認する役割を担い、目標の公表後、単に目標を知らされるだけにならないことが 大切である。職員の啓発に投資すると、支持的社風が生まれ、目標設定作業に直接携わらな い職員も感化され、GHG排出削減の新たな画期的解決策の創出につながることもある。

目標を設定し、達成する重要性が、職員に早く効果的に伝達されればされるほど、企業は目 標の取組に内部の賛同を得やすくなる。SBT の背景となる論拠や目標達成に向けた取組に ついての説明を、従業員のオリエンテーションやトレーニング/ハンドブックに盛り込むこ とを検討すべきだ。全社/部門会議で定期的に発表することも、進捗を伝える手段となる。

同様に、企業のニュースレター、ブログ、ソーシャルメディアといった媒体は、成果や改善 面を強調する良い場となる。

7.2 課題や反対に対処する

・私たちの目標が、今後の成長率、市場占有率の変化、事業戦略のその他の側面につながる のなら、何を開示する必要があるのか?企業機密は守られるのか?

セクター別の手法または経済的原単位アプローチを使用する原単位目標は、通常、市場占有 率、予測される生産の伸び、財務成長率、GDPへの貢献度といった指標と関連している。

しかし、必ずしも目標を決定する際に使用した前提条件を開示する必要はなく、SBT を発 表しつつも、慎重に扱うべき情報はすべて機密情報とすることができる。加えて、SBTiに 提出された全ての情報は、目標妥当性確認サービスの契約条件に従い、細心の注意を払って 扱われる。

・一次目標の達成日は、5年後。どのようにして達成したらいいのか?

予想される再生可能エネルギーの購入、製品設計あるいはサプライヤーの変更計画、新たな 技術の採用、取扱商品の計画変更を始め、複数のプロジェクトの排出削減をまとめることで、

短期的目標は妥当性を確認できる。どのプロジェクトが実行可能かを見極めるために、多く の企業が、IRR (内部収益率)、ROI (投資利益率)、回収期間といった代表的な事業指標を使 用する。このような測定結果と、予測されるGHGの抑制量を合わせると、削減目標を達成 可能にするプロジェクトポートフォリオを組み立てられるだろう。このようなプロジェク トのグループは、目標設定パッケージの一部として提示できる。

代わりに、科学と整合した目標を設定後、その目標をプロジェクトを見出したり、改革を促 進する動機付けとすることでよしとする企業もある。これは体系的なアプローチとは言え ないが、緊急性のあるプロセスにより重点を置く企業風土では成功する可能性がある。

・公表した目標を達成しなかった場合、どうなるのか?

SBT の達成計画は慎重に練られたとしても、なかには予想外の状況によって目標(または 中間目標)に届かない企業もある。例えば、想定以上の業績の伸びや、再生可能エネルギー プロジェクトの運用の遅延、といったことがある。こういった場合、それまでに達成した成 果や未達削減量の差を含め、状況を隠すことなく伝えることで、ステークホルダーの信頼を 保てる。今後の推進計画や、未達量にどのように対処するかを説明することも重要である。

加えて、最新の気候科学やベストプラクティスと整合性をとるため、少なくとも 5 年毎に 目標を再評価することが推奨される38

社内外のコミュニケーションや報告に関する課題は、第8章で詳しく取り上げる。

38 SBTi認定基準では、少なくとも5年毎に目標を見直し、必要であれば、再計算し、妥当性確認を受けるものとさ れている。目標の再計算が義務となる年は2025年。