るため,膜中に取り込まれる酸素量を減少させていると考えられる.次に,膜の結晶性 について考察する.基板に対するプラズマとターゲットの電位は極性が反対になる.す なわち,RFプラズマがない場合はイオンがターゲット-基板間の電位で加速されて入射 するが,RFプラズマを用いた場合はプラズマ-基板間の電位分だけイオンが減速して入 射するため,ボンバードメントが緩和されるのではないかと考えられる.また,膜を構
成する Zn,Ga もイオン化されていると考えられるので,プラズマの電位による加速に
より適度な運動エネルギーを持って基板に入射し,基板上のマイグレーションが増加す ることで,酸素によるボンバードメント効果を抑制し,結晶性が向上するものと考えら れる.
これらをまとめると,図 3.19に示すような反応がチャンバー内で起こっているものと 考えられる.図(a)に示すように,RF プラズマを用いない場合,ターゲットのエロージ ョン部分からの酸素がエロージョン上の膜の酸素空孔を減少させ,キャリア密度を減少 させる.また,酸素のボンバードメント効果により結晶性を悪化させるため移動度を減 少させる.よって,キャリア密度,移動度ともに小さくなり比抵抗を増加させている.
一方,図(b)に示すようにRFプラズマを用いた場合,プラズマによりチャンバー内の粒 子のイオン化が促進され,基板上での水素と酸素の反応性が向上する.水素と酸素の反 応により,過剰な酸素が減少することで,酸素空孔の減少によるキャリア密度の低下を 抑制し,ドーパントが絶縁性の酸化物にならず結晶中に取り込まれることでキャリア密 度の増加が得られると考えられる.また,適度なエネルギーを持ったZn,Ga が基板に 入射することでマイグレーションが向上し,酸素ボンバードメントによる結晶性の低下 を抑制するものと考えられる.移動度,およびキャリア密度が共に増加することは,ZnO 透明導電膜において依然として粒界散乱が支配的な領域であることを意味しており,さ らなる結晶性の向上による電気特性の改善が期待できる.
図 3.17:プラズマ発光分光測定結果
200 400 600 800 1000
0W 100W 200W 300W H
+(656.4nm)
Zn
+(636.3nm)
In te n s it y ( a rb . u n it s )
Wavelength (nm)
O
−(777nm)
(a) (b)
(c)
図 3.18:成膜中における(a)Zn+, (b)H+, (c)O-の発光強度とRF電力の関係
0 100 200 300
Intensity (arb. unit)
RF Power (W)
0 100 200 300
Intensity (arb. unit)
RF Power (W)
0 100 200 300
Intensity (arb. unit)
RF Power (W)
(a)
(b)
図 3.19:RFプラズマアシストの効果:(a)RFプラズマを用いない場合,(b) RFプラズ
マを用いた場合
Target
酸素量:大
Erosion
酸素空孔:少 結晶粒径:小
酸素のボン バードメント
H
2膜表面での 酸素と水素の反応
…酸素空孔増加 RFプラズマ-基板間の 電位差による加速 酸素の入射エネルギー の減少
ターゲット-基板間 の電位差による加速 Zn,Gaのマイグ
レーションの向上
…結晶性向上