なるため,PET等の位相差の大きなフィルムを用いることはできない.また,延伸を行 っているため熱により分子の配向が崩れ,熱収縮率が大きくなる.ここで,ガラス転移 温度に着目すると,PETは他の樹脂と比較し低いことがわかる.ガラス転移温度は反応 過程によっても変化するが,構造,高分子鎖間の凝集エネルギー,自由体積に強い相関 を持つためである(24).現時点での価格では,PETはここに挙げた他の樹脂と比較し優位 である.このように,プラスチックフィルムは様々な材料・厚みがあり,用途に対し適 したフィルムを選択することが重要となる.
プラスチックフィルムは,ロール状に巻かれたものから順次送り出しながら使用され ることを前提としている.加工中においても,搬送ロールに接触しながら搬送されてい く.このため,フィルムの表面が平滑であるとフィルムと搬送ロールとの間,またロー ル状に巻き取った状態でのフィルム同士において,摩擦が大きくなるため傷等が発生し,
フィルムの外観を損ねる原因となる.この問題を解決するため,フィラーと呼ばれる微 粒子によって表面に突起を形成し,搬送ロールやフィルム同士の接触に対する摩擦を軽 減させている.
表 2.3:代表的なプラスチックフィルムの成膜方法および特性(厚み:100 µm)
PET PEN PC PES COP
成膜方法 溶融押出し 溶融押出し 溶融キャスト 溶融押出し 溶融キャスト
比重 (g/cm3) 1.40 1.36 1.2 1.37 1.2
全光線透過率
(%) 90 87 92 89 92
Haze (%) 0.5 0.6 0.2 0.3 <0.1
屈折率 1.66 1.75 1.59 1.65 1.53
位相差 (nm) 大 大 10 12 3 ガラス転移点温
度 (°C) 80 150 155 223 160 線膨張係数
(ppm/K) 33 20 75 54 60
熱収縮率 (%) MD:1.0 TD:0.5
MD:0.5
TD:0.1 0.05 0.01
ヤング率 (GPa) 5.4 6.0 2.2 1.2 -
飽和吸水率 (%) 0.5 0.4 0.2 - 0.01 水蒸気透過率
(g/m2/day) 9 2 50 105 0.3
PET: Polyethylene Terephthalate, PEN: Polyethylene Naphthalate, PC: Poly Carbonate, PES:
Poly Ethyl Sulphone, COP: Cyclo Olefin Polymer
ここで,ガラス,およびPET に,プラスチックフィルムの表面は が存在している.したがって,
突起が膜の成長を阻害する場合がある
みに突起を持たせたもの,突起の小さくし数を増やしたもの,コーティング等を行うこ とで突起をなくすなどの処理が行われている.
図 2.10:(a)ガラスおよび
PET表面のレーザー干渉顕微鏡像を図 2.10 に,プラスチックフィルムの表面は,平滑なガラスと比較し,表面に200nm
が存在している.したがって,プラスチックフィルム上に膜を作製する場合には,こ 突起が膜の成長を阻害する場合がある.突起が問題となる場合は,フィルムの片側にの みに突起を持たせたもの,突起の小さくし数を増やしたもの,コーティング等を行うこ
突起をなくすなどの処理が行われている.
(a)
(b)
ガラスおよび(b)PET表面のレーザー干渉顕微鏡像
10 示す.このよう
200nm程度の突起
プラスチックフィルム上に膜を作製する場合には,この は,フィルムの片側にの みに突起を持たせたもの,突起の小さくし数を増やしたもの,コーティング等を行うこ
のレーザー干渉顕微鏡像