第 2 章 音響化学治療用化合物 腫瘍集積性 RBD の開発
2.3 結果
2.3.1 RBD の合成
(1)RBDの合成
RBD1とRBD2の合成において、出発物質であるRBは80°Cの加熱で全てAlkyl bromide との反応で消費された。反応溶液中にRBが残存していないことは、反応液の薄層クロマトグラ フィーで確認した。一方、RB から RBD3 への変換率は反応時間を延長しても向上しなかっ た。
我々は1H NMRでRBからRBD3への反応を追跡した。反応温度35°Cでは7.3 ppmに検 出されるRBに由来するピークが消失する前に2.5 ppm周辺に副生成物に由来するピークが 検出された。一方反応温度を30°C以下にすると、反応時間は数時間から数日へと大きく延長 されるがRBは完全にRBD3に変換された。1H NMRでRBに由来するピークは完全に消え、
副生成物に由来するピークも出現しなかった。本結果より RBD3 の合成条件は RBD1 や RBD2の合成条件を改変し、低温・長時間で実施した。
収率はRBD1:95%、RBD2:49%、RBD3:17%‐31%であった。
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(2)RBDの同定
合成したRBDの構造はIR、 NMRおよびHRMSで同定した。同定の過程を図2.4および
図2.5に示した。
RBD中のEster結合の帰属
RBD中のEster結合の存在はIRおよび13C NMR スペクトルより確認した。IRスペクトルで は図2.4内の表上段に示した通り、RBには存在しない1720-1760 cm-1のEstercarbonyl基中 のC=O伸縮の典型的な吸収が検出された。13C NMRスペクトルでは図2.4内の表下段に示し た通り、Carbonyl炭素に帰属するピークがRBのCarboxylic acidでの164.8 ppmからRBD ではEstercarbonylに帰属される162.5-163.2 ppmに高磁場シフトした。
図2.4 RBDの構造解析-1 RBD中のEster結合の帰属 RBD中のEster結合の存在はIRおよび13C NMR スペクトルより確認した。
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RBD中のAlkyl鎖の帰属
RBD中のAlkyl鎖はNMRで確認した。出発物質であるRBでは芳香環のCHのピークが
1H NMRスペクトルで7.36 ppmの低磁場に検出されただけであったが(図 2.5;表3段目)、
RBDでは典型的なAlkyl鎖のCH2のピークが、1H NMRスペクトルでは0.8-1.5 ppmの領域 に、13C NMRスペクトルでは22-31 ppmに検出された。
RBD1およびRBD2の 1H NMRスペクトルではEster carbonyl基の隣のCH2の典型的なピ ークも3.9 ppmに検出された(図2.5;表2段目)。一方で、RBD3の1H NMRスペクトルでは Ester carbonyl基の隣のCHのダブルダブレットピークが4.7 ppm付近に検出され、枝分かれ
のAlkyl鎖が導入されていることが確認できた(図2.5;表2段目)。また、Alkyl鎖末端がCH3
であるRBD1とRBD3の1H NMRスペクトルではその典型的なピークが0.85 ppmに検出され
たが、RBD2 ではそのピークは検出されず、Alkyl鎖末端にCarboxyl基が結合していることが 示唆された(図2.5;表1段目)。更には、RBD2とRBD3の1H NMR スペクトルではCarboxyl 基の水素に帰属されるピークが13 ppm(図2.5;表最下段)、Hydroxyl基に帰属されるピーク が8.3 ppm付近に検出された。
HRMSは各RBDの推定化学構造からなる分子量を示した。RBD1とRBD3ではNaイオン 付加型ピーク (M+23)+が検出された。
図2.5 RBDの構造解析-2 RBD中のAlkyl鎖の帰属 RBD中のAlkyl鎖はNMRで確認した。
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