第 3 章 腫瘍集積性 RBD の音響化学的特性の評価
3.3 結果
3.3.2 音響化学活性
(1)細胞障害性
超音波照射による細胞障害性のRBD3による増強効果を検討した結果を示す。
まず、細胞障害性への超音波の照射時間依存性を図3.6に示す。縦軸は超音波照射前を 1 とした細胞生存率、横軸は超音波の照射時間を示す。照射時間は0秒、15秒、30秒、60秒 の4条件とした。細胞懸濁液にRBD3(C=14)を添加した場合の測定結果を■で示す。確認の ために化合物を添加しない場合(●)、出発物質であるRBを添加した場合(▲)の結果も示す。
また、腫瘍細胞は遊離のマウス肉腫細胞Sarcoma 180を使用し、細胞懸濁液中のRBDお よびRBの濃度は100 Mとした。また、超音波の照射条件は周波数 1.92 MHz、強度 8.3 W/cm2とした。
RBD3 添加(■)、超音波単独(●)、RB(▲)添加何れも、超音波の照射時間と共に細胞生 存率は低下した。RBD3 を添加すると、細胞障害速度は添加しない場合の約 40 倍となり、細 胞の生存率は60秒間の超音波照射で約1%まで減少した。なお、RBD3は100 M存在して も超音波を照射しなければ、細胞障害はほとんど観察されなかった。また、RBD3 存在下での 細胞生存率は、同じ濃度のRBを用いた場合よりも1桁低かった。
次に、細胞障害性への超音波強度依存性を図 3.7に示す。縦軸は超音波照射前を 1 とし た細胞生存率、横軸は超音波の照射強度を示す。強度は0 W/cm2、1.9 W/cm2、4.5 W/cm2、
8.3 W/cm2の 4 条件とした。遊離のマウス肉腫細胞 Sarcoma 180 細胞懸濁液中の RBD3
(C=14)の濃度は0 M(●)、50 M(▲)、100 M(■)の3条件とした。
今回の超音波照射条件である周波数1.92 MHz、照射時間30秒では、RBD3の有無、濃 度に関わらず、超音波強度1.9 W/cm2が細胞障害の閾値であった。
続いて、細胞障害性への、RBD3(C=14)の濃度依存性を図 3.8 に示す。縦軸は超音波照 射前を1とした細胞生存率、横軸はRBD3の濃度を示す。遊離のマウス肉腫細胞Sarcoma 180細胞懸濁液中のRBD3(C=14)の濃度は0 M、10 M、50 M、100 Mの4条件を検 討した。
今回の超音波照射条件である周波数1.92 MHz、8.3 W/cm2、照射時間30秒では、細胞生 存率はRBD3濃度の向上に伴い指数関数的に減少した。
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図3.6 RBD3(C=14)存在下での超音波照射による細胞障害性への超音波照射時間の影響
各プロットは超音波照射前を1とした細胞生存率を示す。平均値±標準偏差。n=3。
■:RBD3添加、●:超音波単独、▲:RB添加。腫瘍細胞は遊離のマウス肉腫細胞Sarcoma 180。
RBとRBDの濃度は100 M。超音波の照射条件は周波数1.92 MHz、強度8.3 W/cm2、照射時間 0秒、15秒、30秒、60秒。
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図3.7 RBD3(C=14)存在下での超音波照射による細胞障害性への超音波強度の影響
各プロットは超音波照射前を1とした細胞生存率を示す。平均値±標準偏差。n=3。
RBD3 ●:0 M、▲:50 M、■:100 M。腫瘍細胞は遊離のマウス肉腫細胞Sarcoma 180。超音波照 射条件は周波数1.92 MHz、照射時間30秒、強度0 W/cm2、1.9 W/cm2、4.5 W/cm2、8.3 W/cm2。
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図3.8 RBD3(C=14)存在下での超音波照射による細胞障害性へのRBD3濃度の影響
各プロットは超音波照射前を1とした細胞生存率を示す。平均値±標準偏差。n=3。
RBD3の濃度は0 M、10 M、50 M、100 M。腫瘍細胞は遊離のマウス肉腫細胞Sarcoma 180。
超音波照射条件は周波数1.92 MHz、強度8.3 W/cm2、照射時間30秒。
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(2)活性酸素消去剤添加の影響
超音波と RBD3 による細胞障害性への活性酸素消去剤添加の影響を検証した。活性酸素 消去剤は10 mMのHis、100 g/ mlのSOD、100 mMのMan、10 mMのTrp、および55 mM のNACを検討した。RBD3(C=14)100 M(■)と0 M(●)の2種類の遊離のマウス肉腫細
胞 Sarcoma 180 細胞懸濁液に、活性酸素消去剤を添加して周波数 1.92 MHz、強度 8.3
W/cm2の超音波を30秒照射した。各条件での細胞生存率を図3.9に示す。
RBD3 が存在しない場合(●)の細胞生存率は、何れの活性酸素消去剤を添加しても、変 化は無かった。一方、RBD3 が存在する場合(■)は、活性酸素消去剤を添加しないと超音波 照射による細胞障害性は増強され、細胞生存率は一桁下がった。Man および SOD を添加し てもこの増強作用に影響は無く、同等の細胞生存率を示した。しかし、His、Trp、および NAC を添加した場合は、細胞障害効果は増強されず、RBD3が存在しない場合と同等の細胞生存 率となった。
図3.9 RBD3(C=14)存在下での超音波照射による細胞障害性への活性酸素消去剤添加の影響
各プロットは超音波照射前を1とした細胞生存率を示す。平均値±標準偏差。n=3。
RBD3 ●:0 M、■:100 M。活 性 酸 素 消 去 剤 None: 無 添 加 、His:Histidine 10 mM、Trp: Tryptophan 10 mM、Man:Mannitol 100 mM、SOD:Superoxide dismutase 100 mg/ml、NAC: N-Acetyl-l-cysteine 55 mM。腫瘍細胞は遊離のマウス肉腫細胞Sarcoma 180。超音波の照射条件 は周波数1.92 MHz、強度8.3 W/cm2、照射時間30秒。
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(3)腫瘍細胞の形態学的観察
Trypan blue染色後の遊離のマウス肉腫細胞Sarcoma 180細胞の形態を偏光顕微鏡で観察
した(図3.10)。実験条件は細胞障害性の評価を実施した図3.6と同じとし、全量3 mlの細胞
懸濁液中のRBDおよびRBの濃度は100 M、超音波の照射条件は周波数1.92 MHz、
強度8.3 W/cm2とした。超音波の照射時間は各条件での細胞形態の典型例を得るために
最長の60秒とした。参考に無処置の細胞の写真(a)も示す。
RBD3(C=14)が存在する場合(d)、腫瘍細胞の膜破壊や細胞溶解および細胞の凝集が観 察された。これと比較すると、超音波単独照射(b)は主として細胞の膜破壊が観察された。RB の場合(c)は超音波単独と同等の細胞破壊が観察され、細胞溶解および細胞の凝集は、
RBD3を添加した場合と、超音波単独の場合の中間程度であった。
図3.10 超音波照射による腫瘍細胞の形態変化
各写真は以下の条件によって得られた細胞をTrypan blueで染色後に偏光顕微鏡で観察した典型 例を示す。a:無処置、b:超音波単独、c:超音波とRB、d:超音波とRBD3(C=14)。全体量3 mlの 細胞懸濁液中のRBおよびRBDの濃度は100 M。腫瘍細胞は遊離のマウス肉腫細胞Sarcoma 180。超音波の照射条件は周波数1.92 MHz、強度8.3 W/cm2、照射時間 60秒。
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