第 3 章 腫瘍集積性 RBD の音響化学的特性の評価
3.1 緒言
本章では、第2章で得た腫瘍集積性Rose bengal誘導体(以降RBD)、RBD3(C=14)の音 響化学的特性を評価する(図3.1)。出発物質であるRBの優れたキャビテーション誘導能と音 響化学活性をRBD3(C=14)が維持しているかどうかを検証する。
前者は RBD3 溶液に進行波条件で超音波を照射し、サンプルから発生した音響信号を解 析した。人体深部でキャビテーションを発生させることを念頭に、進行波条件の超音波照射系 で評価した。
後者は超音波照射での細胞障害性における、RBD3 の添加効果を評価した。腫瘍細胞は 浮遊のマウス肉腫 Sarcoma 180 細胞を用い、超音波照射系はキャビテーションが再現性良く 発生する定在波条件とした。
図3.1 RBおよびRBD3の化学構造式
RBD3は親水基であるCarboxyl基が親油基であるAlkyl鎖から分岐した置換基を有する誘導体。
3.1.1 キャビテーション誘導能の評価における超音波照射系
RBD3のキャビテーション誘導能の評価における超音波照射系を図3.2に示す。
1.2.3 項で述べた通りキャビテーションは定在波条件の方が効率良く生じる。しかし、本実験
はキャビテーション誘導能を評価することが目的であるため、通常では定在波が利用できない 生体への適用を念頭に、容易にはキャビテーションが生成しない進行波条件での評価系とし た。脱気水を満たした水槽内に、X-Y-Z ステージを用いて超音波トランスデューサとサンプル を配置した。図 3.2 は水槽上方向からの照射系構成成分の配置を示す。反応容器は超音波 透過性が高い厚さ0.03 mmのポリエチレンバッグとし、サンプルを透過した超音波が反射して 戻らないよう、サンプル後方側水槽壁は45度に傾斜させた。超音波の照射方法は、進行波条 件でも比較的キャビテーションが生成しやすい第2高調波重畳法30), 31)とし、基本波1 MHz、
第2高調波2 MHzの組み合わせとした。
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キャビテーションの生成は照射した周波数の分数倍の周波数成分である分調波の測定によ って評価した。図3.2中に示す通り、水中ハイドロフォンを用い、サンプルからの音響信号を検 出した。分調波は特にキャビテーションに特化して発生することが知られており 37)、今回は基
本波の1/2の周波数0.5 MHzの信号強度を指標とした。実験方法の詳細は3.2.1項に記載し
た。
図3.2 キャビテーション誘導能評価における超音波照射系
キャビテーション誘導能の評価は通常では定在波が利用できない生体への適用を念頭に、容易にはキ ャビテーションが生成しない進行波条件とした。図は水槽上方向からの構成成分の配置を示す。
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3.1.2 音響化学活性(細胞障害性)の評価における超音波照射系
RBD3 の音響化学活性の評価における超音波の照射系を図3.3に示す。Yumitaらが超音 波による細胞障害性の評価を実施している定在波条件での超音波照射系を用いた43), 60), 61)。 音響化学活性は超音波照射で生成したキャビテーションに誘導されると考えている。キャビテ ーションは閾値のある現象であるため、実験の再現性を得るために、確実にキャビテーション が生じる定在波条件を採用した。平底ガラス容器にサンプルを入れ、容器底側から超音波を 照射した。照射した超音波はサンプル溶液表面で反射するため定在波が生じ易い。超音波の 照射は水槽内で行い、トランスデューサと平底ガラス容器の底部分は、室温で脱気水中に沈 めた。図3.3は水槽横方向からの照射系構成成分の配置を示す。
図3.3 音響化学活性評価における超音波照射系
音響化学活性評価は実験の再現性を得るために、確実にキャビテーションが生じる定在波条件とした。
図は水槽横方向からの構成成分の配置を示す。
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