Warrant
7分間で全ての議論を完璧にサポートすることはほぼ不可能です。でも、相手の疑問が自分の想像してい るものであるのと、そうでないのとではぜんぜん違います。Speechを書く上でより必要なサポートを選 択していく作業は欠かせないものです。いろいろな人の意見を聞いて、前章のClaim&Data、本章の
Warrantを効果的に利用して、質の高いスピーチを是非書いて下さい☆
ややこしいですが、実際のSpeech作成に応用できるようになると効果は絶大です。以下に各項に分けて解説 していきます。
(2) 理由付け方法とその注意点
① Motivational Warrant
人間の価値観,感情に基づく理由付け方法。このWarrantに対しては,「俺はそう思わん」の一言で切られや すいです。だから人を説得するためのWarrantというよりは,自分の価値観を用いて意見を表明するための
Warrantってことになるね。伝わるかどうかは、それが一般的,普遍的に受け入れられるかどうかがポイント。
だから意見を通したいときは,表現方法などを工夫して他の人の同情を誘うようにしよう。
以下、図1に例を紹介します。
② Authoritative Warrant
Data の信頼性に基づく理由付け方法。オーソリのある人の意見をそのまま自分の議論のClaimとして使うと きは,このWarrantによる理由付けになるね。この場合重要なのは,その権威(Authority)がどれほど大き いのかということだけでなく,その権威ある人が何を根拠にそう述べているのかということもチェックした 方が良いです。以下、図2に例を紹介します。
③ Substantive Warrant
Dataを論理的,客観的に解釈してClaimを導き出す方法。論理性,客観性重視するため,最も説得力がありま す。だけど,数学のLogicと違って,必要条件・十分条件が何で,どれだけ必要かというラインがはっきりし ていないため,論理の「穴」があることが結構あります。自分で確認するだけではなく他人にも見てもらって 重大な「穴」がないように気をつけましょう。
以下、さらに細かく分けて解説していきます
1) Generalization,Deduction(一般化,帰納法)
グループ内の一例を取り出して,それが他のすべての要素に当てはまるとする理由付け方法。インタビュー とか、Actual Voiceなどがこれに当てはまります。Generalizationでは,Data(一例)がグループの典型で あるか,Claimと関連を持っているかが重要となります。Dataがほんの一例にすぎず,全部がそうとは言えな い,ということで切られてしまうことが多いWarrantです。厳しい目でみれば,ほとんどすべての場合がそう なのですが,常識的にみてClaimが正しいと思える場合は,切る必要は無いでしょう。要するに,この Warrantも,他の人が納得しなければ成り立たないWarrantなのです。
以下の例では、微分積分は他の多くの数学の分野において応用されるいわば数学の基礎にあたる部分であり、
ほとんどの人が勉強していることから、数学の典型的な単元とみなせるわけです。
それでは、図3に例を紹介します。
2) Specialization,Induction(特殊化,演繹法)
Generalizationの逆で,一つのグループに当てはまる性格は,そのグループに属するすべての要素にも当ては
まるとする理由付け方法。Generalizationよりも説得力があり,説明しやすいでしょう。Claimの事象が Dataのグループに属しているかどうかは確認する必要があります。
以下、図4にその例を紹介します。
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3) Analogy(類推)
似た事象を比較し,それらの共通点を理由付けにする方法。ポイントは,どれだけ共通点があるか、というと ころにあります。一部だけ共通していても他の部分がまったく別物だったら使い物になりませんね。つまり,
Analogyのときは共通点と相違点をはっきりさせるべきです。
以下、図5に例を紹介します。
4) Sign(兆候,符号)
A,Bの2つの事象が緊密な関係にあるとき,「Aが存在すれば,当然Bも存在する」または「Aが存在しない ならば,当然Bも存在しない」という理由付け方法。この場合はWarrant自体が,相当客観的であるとはいえ,
一種の価値観であるため,他の人がどれだけ納得してくれるかが問題です。以下、図6を紹介します。
5) Causal Relationship(因果関係)
因果関係による理由付け方法,2種類あります。ポイントは,因果関係が科学的に立証されているのか,他の原 因はないのか,時間的に先に起こっただけのことを原因と捉えているのではないかということなどです。つま り,どの程度の影響があるのか見積もらないといけません。
ⅰ) Cause to Effect
原因から結果を推測します。以下、図7に例を紹介します
ⅱ) Effect to Cause
結果から原因を推測します。以下、図8に例を紹介します。
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(3) WarrantのWarrant?!
Chapter 5-1でWarrantもClaimになり得るというような話を書きました。この具体例としてWarrantを
Claimとして「Logicの三角形」を考えてみましょう。
図9のようにWarrantをClaimにするとまたそれをサポートするDataとWarrantが出てきて「Logicの三角 形」を作ることができます。これだと「永遠にWarrantの下にまたWarrantがある形で続いていくんじゃない か?」と思う人もいるでしょう。実際にはどこまで伸ばせば良いのかというと、図9のWarrantで最後に「武 士の定義」とあるように定義や真理、常識などがWarrantに来ればそこで終わりになるようです。定義、真理 は変わるものではないですが、常識というものは人によって変わります。まあいろいろな人に見てもらってそ
のLogicに疑問点が出てこなかったら、聴衆の常識を元にSpeechを書けていると考えることが出来るでしょ
う。
(4) まとめ
Warrantは「Motivational Warrant」、「Authoritative Warrant」、「Substantive Warrant」に分類さ れる。
Motivational Warrantとは「価値観や感情に基づく理由付け」のこと。
Authoritative Warrantとは「Dataの信頼性に基づく理由付け」のこと。
Substantive Warrantとは「論理的,客観的な解釈に基づく理由付け」のことSubstantive Warrantには
「Generalization(一般化、帰納法)」、「Specialization(特殊化、帰納法)」、「Analogy(類推)」、
「Sign(兆候、符号)」、「Causal Relationship(因果関係)」という理由付け方法がある。
Warrantは最終的には定義や真理、常識などになるべき。
★2、実際に Speech のどこで使うものなんだろうか?
(1) Topic選定でどう使う?
Topicの選定段階でどうLogicを使うんでしょう?Topicを選ぶ上ではSignificance、「それが聴衆にとって重 要どうか」という要素が大切になります。だけどもそのTopicが重要である理由付けというのは非常に難しい んです。
『~国の難民を援助しよう(Claim)。彼らは飢餓で生死の狭間をさまよっている(Data)からである。(人 の命は万人とって重要なはずだ(Warrant)。)だから、黙って見過すことは出来ない』
というTopicの例があるとします。一見していいように思えるけれども、ここでは重要な点を見過ごしてし
まってます。それは、聴衆にとって等しく重要なひとつの要素として「より空間的、時間的に身近な問題」が あるということです。確かに、人の生死は重要な問題ですがそれが日本のことでなく自分に関係ないことだと 一部の人は興味をなくしてしまうでしょう。よく「身近な問題を選びましょう!」というようなことをTopic 選定のときに言われるのはそんなわけがあるのです。
しかし、身近なことのみをTopicにすれば良いのかというと必ずしもそうではありません。では、どうすれば 良いのかというと、そのTopicが聴衆にとって身近なことであるという理由付けが出来れば良いのです。さら に詳しく言えば、そのTopicのWarrantに「聴衆にとって時間的にもしくは空間的に身近である」ことを持っ てくればいいんです。Brain Stormingの時はその点にも留意してTopicを検討すると選べるTopicの幅も広が るし、いいんじゃないでしょうか。
(2) Speech作成段階でどう使う?
Speech作成段階では「Logic Chart」を作成して下さい。これは、PHCS Formatに沿ってSpeechの論理的 な流れを書いていくもので「Flow Chat」とは別のものです。「Logic Chart」にはRhetoricや言い回しと いった修飾要素を省き、議論の要点のみを書いていきます。その一つ一つに対して、Data、Warrantを検討し、
きちんとサポートされているか、論理に穴はないかを確かめていきましょう。
最近はPHCS Format に対する否定的な見方も出てきたりしていますが、こと論理的な流れを検討する段階で
はまだまだPHCS Formatは非常に有効な手段といえます。問題なのは、そのFormatのままSpeechを書い てしまうことなんです。Speechは論理だけではないので、実際に書く時にはRhetoricやDeliveryのバラン スに配慮した構成を考えるべきでしょう。しかし、それを行うのは「Flow Chart」の段階で、まず論理的な流 れを検討する「Logic Chart」ではFormatを用いた構成を強く推薦します。そもそもの下手に最初からPHCS を考えないでSpeechを書こうとすると当然そのSpeechの論理に穴が出てくることになります。「Logic Chart」と「Flow Chart」の役割を十分に把握することがここでは非常に重要です。
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