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LYSO 結晶の比較

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 43-46)

ンシを0に設定した。この場合、波形の読み出し準備が完了していないにもかかわらず、デー タを読み出す事となる。例として、EROSに正弦波を入力した場合に得られた波形を図4.11 に示す。最初の約 25 nsまでの区間において、意味の無いデータが記録されている。そのた め、本研究において50 ns未満のデータは使用しなかった。現在は、レイテンシの最適値が得 られており、この問題は解決している。

4.2 LYSO 結晶の比較

ECALに用いるLYSO結晶について、Saint-Gobain社製結晶とOXIDE社製結晶が候補に 挙がっている。両者の性能を比較するため、Saint-Gobain社製65本および、OXIDE社製16 本について測定した。

4.2.1 測定セットアップ

セットアップを図4.12に示す。反射材で覆っていないLYSO結晶の両端を、1.5 mm厚の Eljen Technology社製のシリコンクッキーEJ-560 [41]で光検出器と光学的に接続し、60Co 線源から放出されるガンマ線を測定した。光検出器には、浜松ホトニクス社製のメタルパッ ケージ光電子増倍管 (PMT: Photomultiplier Tube) R7600-06 *1を2 台使用した。片方の

PMTには+800 V、もう片方には+740 Vの電圧を印加して使用した。

図4.12: LYSO結晶の性能比較に用いたセットアップ。

測定は、25‰となるよう設定した恒温槽内で行った。LYSO 結晶の中央に60Co線源を置 き、1173 keVと1333 keVガンマ線を測定した。PSIにおいて開発されたDRS4 Evaluation

Board [49]を用いて信号波形を記録した。本測定では波形から求めた電荷量を光量の指標と

した。ここで電荷量は、波形の電圧値の時間積分値をインピーダンス50 Ωで除したものと して定義した。Saint-Gobain社製のLYSO結晶の測定において得られた波形と電荷量の分布 を、それぞれ図4.13と図4.14に示す。

*1MEG実験の液体キセノンカロリメータのために特注されたPMTである。極性が正である点や、アッセンブ リを排している点などの違いがある。

Time [ns]

0 200 400 600 800 1000

Amplitude [mV]

250

200

150

100

50 0

図4.13: PMTで読み出した LYSO結晶の 信号の例。

Charge [pC]

0 100 200 300 400 500 600 700

Counts / 2 pC [A.U.]

0 100 200 300 400 500 600

図4.14: LYSO 結晶の比較における電荷量

の分布。260 pCと300 pCにおいて光電効 果によるガンマ線のピーク(光電ピーク)が 確認できる。

4.2.2 測定結果

まず、信号の形状として、半値全幅(FWHM: Full Width at Half Maximum)を比較した。

2つのPMTそれぞれについて、光量で規格化した平均波形のFWHMを取得した。これらの 平均を、そのLYSO結晶のFWHMとした。LYSO結晶のFWHMの分布を図4.15に示す。

Saint-Gobain社製結晶は46.4 ns、OXIDE社製結晶は44.5 ns である。OXIDE社製結晶の FWHMが0.4%だけ狭く、わずかに早い応答を示した。

次に、信号の光量を比較した。この比較には、波形から求めた電荷量の分布における

1333 keVの光電ピークに対して、ガウス関数でフィッティングを行った場合の中央値を用い

た。1173 keVの光電ピークは、LYSO結晶の自発光の影響を排するために使用しなかった。

2つの PMTそれぞれについて電荷量を取得し、これらの平均値をそのLYSO結晶の光量と した。LYSO結晶の光量の分布を図4.16に示す。Saint-Gobain社製結晶は277 pC、OXIDE 社製結晶は250 pCである。Saint-Gobain社製結晶の光量が10%だけ大きく、発光量の性能 で優れている。

最後に、エネルギー分解能を比較した。分解能は、σ/Q1333 keVとして定義した。ここでσ は、電荷量の分布における1333 keV の光電ピークに対してガウス関数でフィッティングを 行った場合の標準偏差、Q1333 keV は1333 keVの光電ピークの電荷量である。2つのPMT それぞれについて分解能を取得し、これらの平均値をそのLYSO結晶の分解能とした。LYSO 結晶の分解能の分布を図4.17に示す。Saint-Gobain社製結晶は4.36%、OXIDE社製結晶は

4.37%である。非常に僅差であり、明確に違いがあるとは言えない。

4.2 LYSO結晶の比較 45

Saint-Gobain Entries 65 Mean 46.4 RMS 0.6352

FWHM [ns]

42 44 46 48 50

Fraction / 0.5 ns [A.U.]

0.0 0.1 0.2 0.3

Saint-Gobain Entries 65 Mean 46.4 RMS 0.6352

OXIDE Entries 16 Mean 44.46 RMS 1.138

OXIDE Entries 16 Mean 44.46 RMS 1.138

Saint-Gobain Entries 65 Mean 46.4 RMS 0.6352

図4.15: LYSO結晶の信号波形のFWHMの比較。

OXIDE Entries 16 Mean 250.4 RMS 15.88

Charge [pC]

200 250 300 350

Fraction / 10 pC [A.U.]

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4

OXIDE Entries 16 Mean 250.4 RMS 15.88

Saint-Gobain Entries 65 Mean 277.2 RMS 13.33

Saint-Gobain Entries 65 Mean 277.2 RMS 13.33

OXIDE Entries 16 Mean 250.4 RMS 15.88

図4.16: LYSO結晶の信号の光量の比較。

OXIDE Entries 16 Mean 4.37 RMS 0.2828

Energy Resolution [%]

4.0 4.5 5.0 5.5

Fraction / 0.1% [A.U.]

0.0 0.1 0.2 0.3

OXIDE Entries 16 Mean 4.37 RMS 0.2828

Saint-Gobain Entries 65 Mean 4.364 RMS 0.1532

Saint-Gobain Entries 65 Mean 4.364 RMS 0.1532

OXIDE Entries 16 Mean 4.37 RMS 0.2828

図4.17: LYSO結晶の信号のエネルギー分解能の比較。

4.2.3 結論

本測定において、ECALで最も重視するエネルギー分解能について、Saint-Gobain社製結

晶とOXIDE社製結晶に明確な違いは無かった。測定に使用した60Coからのガンマ線のエネ

ルギー1333 keVは、COMET実験の測定対象となる運動量105 MeVの電子と比較して非常 に小さい。したがって、ECALに適した結晶を選定するためには、さらに運動量105 MeVの 電子ビームによる性能評価をふまえてから行う必要があると結論づけた。

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 43-46)

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