第 2 章 Harish-Chandra 系列 41
2.2 Mackey 公式
補題 2.7 µ, ν²n, w∈ Dµν, P1=Pµ, P2=wPνw−1とし,Levi部分を L1=Lµ, L2=wLνw−1,ベキ単根基をU1=Uµ, U2=wUνw−1とおく.
(1) µ0 がµの細分ならば,Pµ0∩L1はL1の標準放物型部分群である.
(2) µ0 がµの細分ならば,Pµ0(q)∩Lµ(q)はLµ(q)の標準放物型部分群で ある.
(3) L1∩P2はL1∩L2をLevi部分にもつL1の標準放物型部分群である.
(4) Lµ(q)∩wPν(q)w−1はLµ(q)∩wLν(q)w−1をLevi部分にもつLµ(q) の標準放物型部分群である.
(5) P1∩P2はP1∩U2を正規部分群とするP1∩L2との半直積である.
(6) P1(q)∩P2(q)はP1(q)∩U2(q)を正規部分群とするP1(q)∩L2(q)との 半直積である.
証明 (1) Iµ0 ⊆IµなのでIµ0 の定めるL1の標準放物型部分群は Q:= (Bn∩L1)Sµ0(Bn∩L1)
である.よってQ=Pµ0∩L1を示せばよいが,
Q⊆(BnSµ0Bn)∩Lµ=Pµ0∩Lµ
だから,Q⊇Pµ0∩Lµを示せばよい.LµのBruhat分解より Lµ= (Bn∩Lµ)Sµ(Bn∩Lµ)
だから,Pµ0∩Lµの元をb1, b2∈Bn∩Lµ, u∈Sµを用いてb1ub2と書くと,
b1ub2∈Pµ0 =BnSµ0Bn だからu∈Sµ0 を得る.故に Pµ0∩Lµ ⊆(Bn∩Lµ)Sµ0(Bn∩Lµ) =Q.
(2)Pµ0(q)∩Lµ(q)はPµ0 ∩L1のFrobenius固定点だから,(1)より明らか.
(3)Iµ0 =Iµ∩wIνw−1によりµ0 ²nを定めるとµ0はµの細分である.
I1={w(1),· · ·, w(ν1)}, I2={w(ν1+ 1),· · ·, w(ν1+ν2)},· · · I(1)={1,· · ·, µ1}, I(2)={µ1+ 1,· · ·, µ1+µ2},· · ·
とし,Ia(α)=Ia∩I(α)とおく.順列w(1)w(2)· · ·w(n)の中で1,· · · , µ1が この順に左から右に並んでいることに注意すると,
I1(1)={1,· · ·,|I1(1)|}, I2(1)={|I1(1)|+ 1,· · ·,|I1(1)|+|I2(1)|},· · · である.他のI(α)=I1(α)tI2(α)t · · · についても同様のことが成り立つ.
si∈Iµ0 となる必要十分条件は
{i, i+ 1} ⊆G
a,α
Ia(α)
であるから,
µ0= (|I1(1)|,|I2(1)|,· · · ,|I1(2)|,|I2(2)|,· · ·,· · ·) であり,Pµ0, Lµ0, P1, L1, P2, L2は次のように書ける.
Pµ0= (
g= (gij)∈G|
Ãi∈I(α), j∈I(β)(α > β)又は i∈Ia(α), j∈Ib(α)(a > b)
!
ならばgij = 0 )
Lµ0= (
g= (gij)∈G|
Ãi∈I(α), j∈I(β)(α6=β)又は i∈Ia(α), j∈Ib(α)(a6=b)
!
ならばgij = 0 )
P1=n
g= (gij)∈G|³
i∈I(α), j∈I(β)(α > β)
´
ならばgij = 0o L1=
n
g= (gij)∈G|
³
i∈I(α), j∈I(β)(α6=β)
´
ならばgij = 0 o
P2= n
g= (gij)∈G|
³
i∈Ia, j∈Ib(a > b)
´
ならばgij = 0 o
L2=n
g= (gij)∈G|³
i∈Ia, j∈Ib(a6=b)
´
ならばgij = 0o よって,Lµ0 =L1∩L2かつL1∩P2=Pµ0∩L1である.
(1)ではPµ0 ∩L1 = (Bn∩L1)Sµ0(Bn∩L1) を示したから,L1∩P2は Lµ0(=L1∩L2)をLevi部分に持つL1の標準放物型部分群である.
ちなみに
1 //Uµ0∩Lµ //Pµ0∩Lµ //Lµ0 //1 L1∩P2 L1∩L2
よりL1∩P2のベキ単根基はUµ0∩Lµ=L1∩U2である.
(4) Frobenius固定点をとれば(3)より明らか.
(5) U1∩P2はP1∩P2の正規部分群であり,またL1∩U1= 1であるから,
P1∩P2= (L1∩P2)(U1∩P2)
を示せばよい.p∈P1をp=lu(l∈L1, u∈U1)と書くとlはpのブロック 対角成分に等しいことに注意すれば,p∈P1∩P2ならばl∈L1∩P2であり,
このことからu∈U1∩P2もしたがう.
(6) Frobenius固定点をとれば(5)より明らか. ˜
補題2.7(4)により RLLµ
µ∩wLνw−1⊆Lµ∩wPνw−1:F(Lµ(q)∩wLν(q)w−1)- mod→FLµ(q)- mod が定義される.
またw−1∈ Dνµに注意すれば,w−1Pµ(q)w∩Lν(q)はw−1Lµ(q)w∩Lν(q) をLevi部分に持つLν(q)の標準放物型部分群であるから
∗RLwLνw−1
µ∩wLνw−1⊆Pµ∩wLνw−1 :F(wLν(q)w−1)- mod→F(Lµ(q)∩wLν(q)w−1)- mod が定義される.
定義 2.7 µ, ν ²nとする.FLν(q)-加群M に対して,g ∈ wLν(q)w−1 の作用をg·m:= (w−1gw)mにより定めFwLν(q)w−1-加群とみなしたもの をwM またはw⊗M と書く.
Gを有限群とし,H, K をGの部分群とするとき,関手 ResGK◦IndGH : FH- mod→FK- mod
を関手IndKL ◦ResHL (L⊆K∩H)を用いて書き換える式をMackey公式と呼 んだ.次の定理はHarish-Chandra誘導のMackey公式と呼ばれる.
定理 2.1 µ, ν²n,G=L(n)とする.
RLLµ
µ∩wLνw−1 :=RLLµ
µ∩wLνw−1⊆Lµ∩wPνw−1
∗RwLL νw−1
µ∩wLνw−1 :=∗RwLL νw−1
µ∩wLνw−1⊆Pµ∩wLνw−1
とすると,FLν(q)-加群M に対し次の同型が存在する.
∗RLGµ◦RGLν(M)' M
w∈Dµν
RLLµ
µ∩wLνw−1◦∗RwLL νw−1
µ∩wLνw−1(wM)
またこの同型は変数M に関して自然である.
証明 まずResGLP n(q)
µ(q) ◦IndGLP n(q)
ν(q) (InflPLνν(M))を考える.命題1.7より GLn(q) = `
w∈Dµν
Pµ(q)wPν(q) であるから,M(w) =FPµ(q)wPν(q) ⊗
FPν(q)InflPLνν(M)とおくと ResGLP n(q)
µ(q) ◦IndGLP n(q)
ν(q) (InflPLνν(M))' M
w∈Dµν
M(w)
となり,示すべきは自然なFLµ(q)-加群同型 eµM(w)'RLLµ
µ∩wLνw−1⊆Lµ∩wPνw−1◦∗RwLL νw−1
µ∩wLνw−1⊆Pµ∩wLνw−1(wM) の存在である.ただし,
eµ= 1
|Uµ(q)|
P
u∈Uµ(q)
u
であった.まずw⊗m7→w⊗m(m∈M)により ReswPP ν(q)w−1
µ(q)∩wPν(q)w−1(wInflPLνν(M))→wPν(q) ⊗
FPν(q)InflPLνν(M)⊆M(w) を定義すると簡単な計算でFPµ(q)∩wPν(q)w−1-加群準同型とわかるから FPµ(q)-加群準同型
IndPPµ(q)
µ(q)∩wPν(q)w−1◦ReswPP ν(q)w−1
µ(q)∩wPν(q)w−1(wInflPLνν(M))→M(w) を誘導する.Pµ(q)wPν(q)/Pν(q)にはPµ(q)が推移的に作用するのでこの準 同型は全射であり,wPν(q)/Pν(q)の固定化群がPµ(q)∩wPν(q)w−1 である ことからM(w)の次元は
|Pµ(q)|
|Pµ(q)∩wPν(q)w−1|dimM に等しい.故にこの準同型は同型であり
eµM(w)'eµIndPPµ(q)
µ(q)∩wPν(q)w−1◦ReswPP ν(q)w−1
µ(q)∩wPν(q)w−1(wInflPLνν(M)) を得る.ここでwInflPLνν(M)にはwUν(q)w−1が単位表現で作用するから,
ReswPP ν(q)w−1
µ(q)∩wPν(q)w−1(wInflPLνν(M)) 'InflPPµ∩wPνw−1
µ∩wLνw−1◦ReswPP ν(q)w−1
µ(q)∩wLν(q)w−1(wInflPLνν(M)) 'InflPPµ∩wPνw−1
µ∩wLνw−1◦ReswLP ν(q)w−1
µ(q)∩wLν(q)w−1(wM) であり,N = InflPPµ∩wPνw−1
µ∩wLνw−1◦ReswLP ν(q)w−1
µ(q)∩wLν(q)w−1(wM)とおくと eµM(w)'eµIndPPµ(q)
µ(q)∩wPν(q)w−1(N)
である.Pµ(q)∩wPν(q)w−1がUµ(q)∩wPν(q)w−1 を正規部分群にもつ Lµ(q)∩wPν(q)w−1との半直積であることに注意して
e0= 1
|Uµ(q)∩wPν(q)w−1|
P
u∈Uµ(q)∩wPν(q)w−1
u とおくと,(FLµ(q),F(Pµ(q)∩wPν(q)w−1))-加群同型
eµFPµ(q)'FLµ(q) ⊗
FLµ(q)∩wPν(q)w−1e0FPµ(q)∩wPν(q)w−1 を得る.実際,右辺の元l⊗e0p(l∈Lµ(q), p∈Pµ(q)∩wPν(q)w−1)に対し 左辺の元eµle0p=eµlpを対応させる写像は全射故,両辺の次元が等しいこと に注意して同型を得る.この同型から
eµM(w)'eµIndPPµ(q)
µ(q)∩wPν(q)w−1(N)'IndLLµ(q)
µ(q)∩wPν(q)w−1(e0N) となることがわかる.そこで以下Lµ(q)∩wPν(q)w−1-加群e0N を考える.
X を 任 意 のFPµ(q)∩wLν(q)w−1-加 群 と す る .Pµ(q)∩wLν(q)w−1が Uµ(q)∩wLν(q)w−1を正規部分群にもつLµ(q)∩wLν(q)w−1との半直積で あることに注意して
e00= 1
|Uµ(q)∩wLν(q)w−1|
P
u∈Uµ(q)∩wLν(q)w−1
u
とおくと,e00X はFLµ(q)∩wLν(q)w−1-加群で e0InflPPµ∩wPνw−1
µ∩wLνw−1(X)'InflLLµ∩wPνw−1
µ∩wLνw−1(e00X) である.実際,補題2.7(6)と同様に考えれば
Uµ(q)∩wPν(q)w−1= (Uµ(q)∩wLν(q)w−1)(Uµ(q)∩wUν(q)w−1) であり,InflPPµ∩wPνw−1
µ∩wLνw−1(X)にはUµ(q)∩wUν(q)w−1が単位表現で作用して いることよりe0InflPPµ∩wPνw−1
µ∩wLνw−1(X)はベクトル空間としてはe00X に等しく,
Lµ(q)∩wPν(q)w−1の作用を見ると,Lµ(q)∩wUν(q)w−1が単位表現で作用 しているのでInflLLµ∩wPνw−1
µ∩wLνw−1(e00X)になる.
とくに,X = ReswLP ν(q)w−1
µ(q)∩wLν(q)w−1(wM)とおけばN = InflPPµ∩wPνw−1
µ∩wLνw−1(X) であるから,
e0N 'InflLLµ∩wPνw−1
µ∩wLνw−1(e00ReswLP ν(q)w−1
µ(q)∩wLν(q)w−1(wM)) を得る.ここで
e00ReswLP ν(q)w−1
µ(q)∩wLν(q)w−1(wM) =∗RwLL νw−1
µ∩wLνw−1⊆Pµ∩wLνw−1(wM) であるから
e0N 'InflLLµ∩wPνw−1
µ∩wLνw−1(∗RwLL νw−1
µ∩wLνw−1⊆Pµ∩wLνw−1(wM)) となり,eµM(w)'IndLLµ(q)
µ(q)∩wPν(q)w−1(e0N)に代入して eµM(w)'RLLµ
µ∩wLνw−1⊆Lµ∩wPνw−1◦∗RwLL νw−1
µ∩wLνw−1⊆Pµ∩wLνw−1(wM) を得る.また以上の議論に現れる同型はすべてM に関して自然である. ˜