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E 値の検討

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第 5 章 実験3 一般実験参加者による楽曲と再生レベルを変えたときの E 値と

5.3 E 値の検討

第5章 実験3 一般実験参加者によるE値と残響の最適ミキシングレベルの関係

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本実験では、再生レベルを変えたときの残響の最適ミキシングレベルを求めたところ、再生レ ベルの増加に伴い残響の最適ミキシングレベルが減少するという負の相関を持つことが判った。

このとき、各再生レベルにおいて残響が最適にミキシングされているときの残響感は、最適な残 響感として一定であると考えられる。従って、本結果は、残響感が一定となるような再生レベル と残響の最適ミキシングレベルには負の相関があり、一定の残響感とするためには、再生レベル が大きいほど残響のレベルを減ずる必要がある、と言い換えることができる。

D. Leeによれば、残響を含んだ刺激音源において、残響感が一定となるような呈示音圧と残響

時間の関係を調べた結果、負の相関を持つ、すなわち一定の残響感とするためには、呈示レベル が大きいほど、より短い残響時間とすることが必要であることが示されている [26] が、本結果 と合わせて、残響感が一定であるという条件を満たすとき、呈示音圧と、残響時間、残響のレベ ルそれぞれが、負の相関関係にあることが判った。より詳細な検討のため、第6章で再生レベル を5段階に設定した実験について考察する。

第5章 実験3 一般実験参加者によるE値と残響の最適ミキシングレベルの関係

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図-25 E値と残響の最適ミキシングレベルの関係

表-10より、オーケストラ楽曲では危険率1%、全楽曲とアンサンブル楽曲では危険率5%で、

E値と残響の最適ミキシングレベルに大きな相関があることが示され、単旋律ソロ楽器群は見た 目の相関係数はやや大きかったが、有意ではなかった。

また、図-25 中のオーケストラ楽曲とそれ以外のアンサンブル楽曲の回帰直線から、それら が異なるグループに分けられ、かつ、その勾配が同程度であることが判る。この傾向は、同種楽 曲においてE値と残響の最適ミキシングレベルの相関は強いが、異種楽曲間では相関が弱い、と いう前章での検討とも合致した。

ただし、アンサンブル楽曲は、独奏や2重奏といった編成の異なる曲を含んでおり、詳しく検 討するにはさらに細分化する必要があり、第8章で検討することとした。

01_Va_Paganini

02_Cello_Weber 03_TrpVolun

04_TrpVolun_NA

05_TrpPolka 06_BrassQ

07_Humberger

08_Lascia

09_DonGiov 10_Debussy

11_Traviata

12_WaterMusic

13_Figaro 14_Mahler1 15_Schost5

16_PizzPolka r = 0.62

r = 0.74

r = 0.89

r = 0.78

-14 -12 -10 -8 -6 -4 -2

0 0.5 1 1.5 2 2.5

Preferable Reverberation Mixing Level (dB)

E2(20)

Ensemble orchestra Solo

Regression line of Orchestra Pieces

Regression line of Ensemble Pieces

Regression line of All Pieces

Regression lineof Solo Pieces

第5章 実験3 一般実験参加者によるE値と残響の最適ミキシングレベルの関係

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次に、実験2、実験3に共通に用いた音源のデータの平均値を比較することによって、ミキシ ングエンジニアと学生の判断の類似性を検討した。実験2と実験3に、同一曲は10曲存在し、

そのうち7曲がオーケストラ曲であった。まず、それら同一曲に関して、被験者グループを設定 して分散分析を行った結果、被験者間効果の有意性はなかった(F [1, 25] = 1.329, p > 0.05)。な お、実験3のデータはオリジナル音源(基準レベル)の評価データのみ用いている。

表-11 実験2(ミキシングエンジニア)と実験3(学生)に共通の音源の 残響の最適ミキシングレベルの平均と信頼区間

残響の最適ミキシングレベル(dB) 編成 曲名 ミキシングエンジニア

(dB)

学生

平均 95%信頼区間 平均 95%信頼区間

orch 16_PizzPolka -9.05 2.60 -9.19 2.33

solo 04_TrpVolun_NA -7.25 2.51 -8.01 1.94

solo 01_Va_Paganini -5.88 2.17 -7.51 1.85

orch 12_WaterMusic -5.51 2.12 -5.93 1.61

duet 08_Lascia -5.39 2.02 -6.16 1.81

orch&Vo 09_DonGiov -4.53 1.58 -5.89 1.90

orch 13_Figaro -4.44 1.80 -6.19 1.42

orch 14_Mahler1 -3.61 2.35 -3.09 2.16

orch 10_Debussy -2.17 1.93 -4.00 1.73

orch 11_Traviata -0.58 2.42 -4.21 2.11

図-26 実験2(ミキシングエンジニア)と実験3(学生)に共通の音源の

残響の最適ミキシングレベルの平均と95%信頼区間 -14

-12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2

Preferable Reverberation mixing Level (dB)

Students Audio Engineers

16_PizzPolka 04_TrpVolun_NA 01_Va_Paganini 12_WaterMusic 08_Lascia 09_DonGiov 13_Figaro 14_Mahler1 10_Debussy 11_Traviata

16_PizzPolka 04_TrpVolun_NA 01_Va_Paganini 12_WaterMusic 08_Lascia 09_DonGiov 13_Figaro 14_Mahler1 10_Debussy 11_Traviata

第5章 実験3 一般実験参加者によるE値と残響の最適ミキシングレベルの関係

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被験者効果の有意性が無いことにより、ミキシングエンジニアと学生に差が無いことが示唆さ れるが、もう少し詳細に調べるため、ミキシングエンジニアと学生の残響の最適ミキシングレベ ルの個々の平均値を比較した。

先の分散分析より、2つの実験に共通して使用された楽曲に関して、両者の残響の最適ミキシ ングレベルの平均値とその95%信頼区間を、ミキシングエンジニアの残響の最適ミキシングレベ ルの昇順に並べ、表-11および、図-26の散布図に示した。

図より、ミキシングエンジニアと学生の各曲に対する残響の最適ミキシングレベルは、ほぼ同 じ傾向を持つことが判り、ミキシングエンジニアと学生との、残響の最適ミキシングレベル値の 相関を計算すると、r = 0.886、(p = 0.001 < 0.01)と大きな相関が認められる。

これらを考え合わせると、ミキシングエンジニアと学生が判断した残響の最適ミキシングレベ ルは、ほぼ同一の判断の下に決定されていると考えられる。すなわち、楽曲に対する残響の最適 ミキシングレベルは、職業エンジニアとして訓練の結果得られる特別の感受性ではなく、人の持 つ普遍的な感受性の元に判断されるものと考えられる。

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