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分析

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 53-57)

第 6 章 実験4 再生音量の影響の詳細検討

6.2 分析

まず再生レベル、楽曲の2因子について、統計ソフト(SPSS)の一般線型モデルの反復測定 手法により分散分析を行い、被験者内効果について表-13 実験4の分散分析結果の結果を得た。

再生レベル因子、楽曲因子は、危険率1%でそれぞれ主効果の有意性が認められ、交互作用は 無いと判定された。

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楽曲因子の主効果と楽曲別の再生レベル因子の主効果を図-27、図-28に示す(エラーバーは

95%信頼区間)。なお、楽曲毎の残響の最適ミキシングレベルの平均値を、表-12に併記した。

表-13 実験4の分散分析結果

因子 F値 有意確率 p

再生レベル因子 F(4,60) = 82.254 p < 0.01 楽曲因子 F(4,60) = 48.016 p < 0.01 再生レベル×楽曲 F(16,240) = 1.692 p > 0.05

図-27 楽曲因子の主効果

図-28 再生レベル別の 楽曲因子の主効果

-12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2

02_Cello_Weber 09_DonGiov 10_Debussy 15_Schost5 16_PizzPolka

Preferable Reverberation Mixing Levels (dB)

-12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2

02_Cello_Weber 09_DonGiov 10_Debussy 15_Schost5 16_PizzPolka

Preferable Reverberation Mixing Levels (dB)

-12dB relative to Ref. -6dB relative to Ref.

Reference Level +6dB relative to Ref.

+12dB relative to Ref.

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図-27より、楽曲によって残響の最適ミキシングレベルが異なること、図-28より、各楽曲 の残響の最適ミキシングレベルは、再生レベルと負の相関を持つことが示され、第5章と同様の 結果を得ることが判った。これは、訓練された録音エンジニアであっても、残響の最適ミキシン グレベルの決定に再生レベルが影響することを意味している。全楽曲における残響の最適ミキシ ングレベルの平均値と再生レベルの関係を図-29に、楽曲毎の残響の最適ミキシングレベルと再 生レベルとの関係を図-30に示す。なお、図-29のエラーバーは95%信頼区間である。

図-29 残響の最適ミキシングレベル(全楽曲平均)についての再生レベル因子の主効果

図-30 楽曲別の残響の最適ミキシングレベルと再生レベルの散布図

y = -0.11 x - 5.83 r = 0.98

-9 -8 -7 -6 -5 -4 -3

-18 -12 -6 0 6 12 18

Preferable Reverberation Mixing Levels (dB)

Relative Reproduction Level (dB)

y = -0.12 x - 1.48 r = 0.94

y = -0.09x - 4.97 r = 0.98 y = -0.07x - 5.41

r = 0.94

y = -0.116 x - 8.69 r = 0.94 y = -0.123 x - 8.61

r = 0.97

-12 -10 -8 -6 -4 -2 0

-18 -12 -6 0 6 12 18

Preferable Reverberation Mixing Levels (dB)

Relative Relative Reproduction Level (dB)

15_Schost5 10_Debussy 09_DonGiov 02_Cello_Weber 16_PizzPolka

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図-31 再生レベルと残響の最適ミキシングレベルの回帰直線の勾配 および各音源の平均ラウドネスレベル

楽曲全平均では、再生レベル10dB の増加に対し、残響の最適ミキシングレベルが約1dB減 少する勾配となる負の相関を持ち、楽曲毎には、その勾配の大きさが異なることが判る。また、

それら相関係数はいずれも0.94以上と線形に近い相関がある。

実験3では、楽曲全平均では、再生レベル4dB の増加に対し、残響の最適ミキシングレベル が1dB程度減少したが、本実験とは楽曲の組み合わせが異なるので比較できない。そこで、共通 して用いられた楽曲について個別に比較検討を行った。

図-31に両実験に共通して用いられた5つの楽曲について、再生レベルと残響の最適ミキシン グレベルとの回帰直線の勾配を棒グラフで示した(Engineer’s SlopeとStudent’s Slopeと表記)。

また、実験4において、音源の信号レベルを平均ラウドネス値(ITU準拠ラウドネスメータに よる測定値)が一定となるように調整したが、実験3は未処理である。再生レベルの差を確認す るため、両実験における各音源の大元の音源の平均ラウドネス値を計算し折れ線グラフで示した ところ、実験4(Engineer’s Loud.と表記)では、若干誤差が認められるが、平均ラウドネス値の 一定化によって同値となり、実験3(Student’s Loud.)では、CD録音の相対レベル関係を継承し たため曲毎に平均ラウドネス値が大きく異なった。これら値の差が、再生レベルの差に相当し、

10_Debussyでは実験4よりも実験3の方が25dBも再生レベルが低かったと考えられる。また、

回帰直線の勾配は、実験4では-0.07~-0.12の範囲に分布するのに対し、実験3では-0.1~

-0.35の範囲に分布し、分布幅が広くなっている。

-60 -50 -40 -30 -20

-0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0.0

Loudness LKFS

Slope of Regression Line

Engineers Slope Students Slope Engineers Loud Students Loud

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なお、このグラフからは、実験3のデータについてラウドネス値と勾配の大きさに大きな相関 があるように見えるが、実際には5章2節の分散分析による検討で勾配に関する楽曲の主効果の 有意性はないことが判っている。念のため、実験3の全曲について、各楽曲の勾配とラウドネス の相関を検定したところ、有意性は認められなかった(r = 0.484, p = 0.058 > 0.05)。

次に、実験3と実験4より、共通に用いられた楽曲において、実験参加者毎に再生レベルと残 響の最適ミキシングレベルの回帰直線の勾配を求め、その勾配の大きさについて学生グループと 録音エンジニアグループに分けて分散分析を行った。その結果、被験者間効果は、危険率1%で 有意性が見い出され(F[1,35] = 10.665, p = 0.002 < 0.01)、楽曲要因の主効果の有意性は危険 率5%で棄却された(F[4,140] = 2.011, p = 0.096 > 0.05)。

これらを考え合わせると、再生レベルの変化が、再生レベルと残響の最適ミキシングレベルの 回帰直線の勾配に影響する原因は、実験参加者の要因にあると考えられる。また、被験者間効果 の有意性が見いだされたことにより、学生グループと録音エンジニアグループに何らかの差異が あると考えられるが、筆者の録音エンジニアとしての経験から考えると、録音エンジニアも、再 生レベルによって残響の最適ミキシングレベルが確かに影響されるが、彼らは、日頃、異なる再 生レベル環境でも残響のミキシングバランスを保てるように訓練するため、学生グループよりも 再生レベルから受ける影響が小さかったものと推測される。

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