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4.4 SRMS のメソドロジー適用
4.4.2 D-Case と SysML の連携
本研究では,SysMLのモデリング環境と,D-Caseのモデリング環境におい て,いずれの環境においてもD-Caseの編集を可能とするためのツールを開発 した.開発・設計の背景や意図を表現する手段としてD-Caseを活用,SysML で記述したモデルのモデル要素とのトレーサビリティを確立する.これにより,
ボトムアップ開発によって属人化した開発・設計の背景や意図を明示的に表現 し,さらに個別の要件や開発・設計の技術成果物であるモデルと関連付けるこ とで相互のトレーサビリティが確立できる.これによって,これまでにボトム アップ開発を適用してきた製品においても,既存の製品の設計に基づいた設計 意図や根拠の論証を可能とする.このことは能組込みソフトウェアの国際安全 規格であるIEC60730や,自動車における機能安全の国際規格であるISO26262 への準拠を容易にし,更にトップダウン開発への移行における容易性を高める.
D-Caseの本来の用途は,システムの高い信頼性を実現することを目的として,
テストの結果や検証の結果を証跡として,それらを根拠にシステムの安全性を 議論おこない,システム認証者や利用者などに保証する,あるいは確信させる ためのドキュメントである.D-Caseはその表記を構成しているゴール,ストラ テジー,エビデンス,コンテキスト,モニタリングの各ノードによって,開発・
設計の背景や意図を明示的に表現することに有用である.そこで,本研究では SysMLのモデリング環境であるIBM Rational Rhapsodyと,D-Caseのモデリ ング環境であるD-Case Editorを相互に接続するツールを開発した.このツー ルによってD-Caseはいずれのモデリング環境においても作成と編集が可能と し,更に両ツール間で相互にインポート・エクスポートを可能にした(図4.29).
ここで用いるSysMLのモデルは前節でリバースモデリングによって作成した クルーズコントロールを対象としたモデルである.
D-CaseはSysMLのモデリング環境において作成と編集が可能にしただけ
ではなく,D-Caseの構成要素とSysMLのモデル要素との関連付けを可能にし た.これにより SysMLの要求図のモデル要素と,D-Caseのコンテキストの 間にツール上でトレーサビリティを確立する(図4.30).
これによって要求図のモデル要素が作成された背景や理由を,関連付けされ た情報を用いてD-Caseから取得することが可能になる.D-Caseの構成要素に
4.4. SRMSのメソドロジー適用 第 4. 基本方式の適用
D-Case Editor IBM Rational Rhapsody
D-Case
D-Case
図4.29 D-Caseの相互運用
関連付けできるモデルは要求図に限定されず,SysML/UMLのモデルであれば その対象を選ばない.D-Caseの構成要素とSysMLのパラメトリック図との関 連付けを図4.31に示す.この例では,D-Caseのコンテキストとパラメトリッ ク図のモデル要素において,同一内容の制限項目を持ち,それぞれが相互に関 連付けされている.
開発・設計の背景や意図が,関連付けされたD-Caseの構成要素に含まない場 合がある. このような場合,D-Caseの階層をさかのぼってコンテキスト情報か らそれらを得ることが可能である.
図4.32に示すように,要求図やパラメトリック図と関連付けられた D-Case の構成要素には開発・設計の背景や意図が明示されていない.しかし,1階層 さかのぼったストラテジーのコンテキストに開発・設計の背景や意図が明示さ れる.この例では,パラメトリック図に記述されているクルーズコントロール の速度制限と要求図で求められている加速度の制限のいずれもが,自動車を運 転するドライバーが自動車の加速性能に不満を感じて過度に設定速度を高くす ることを防止するため,すなわち安全性を担保することを意図している機能で あることが理解できる.しかしSysMLのモデルだけでは,ドライバーの関与が 背景にあることを知る手段は無い.よってD-CaseとSysMLの連携を実現する ことで,目的とした開発・設計の背景や意図を明確にすることが可能である.
ただし,D-Caseの構成要素において背景や意図を読み取ることを可能とする
4.4. SRMSのメソドロジー適用 第 4. 基本方式の適用
D-Case
要求図
相互に関連付け
図4.30 D-Caseと要求図の関連付け
ためには,自然言語や数式,数値による明確かつ有用な情報を記載することが 必須である.これまでD-Caseは他のモデリングツールと連携することができ なかったことから,モデル駆動開発への適用が限定的であった.しかし,本研 究で作成したツールによってD-Caseの利用範囲の拡大が期待される.
4.4. SRMSのメソドロジー適用 第 4. 基本方式の適用
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D-Case パラメトリック図
相互に関連付け
図4.31 D-Caseとパラメトリック図の関連付け
4.4. SRMSのメソドロジー適用 第 4. 基本方式の適用
要求図 との関連付け
パラメトリック図 との関連付け
トレーサビリティ
トレーサビリティ
図4.32 設計意図の明確化
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