12
110
1人(2.6%)
5人(11.6%)
IV
5人(12.8%)
9人(20.9%)
III
1人(2.6%)
6人(14.0%)
II
1人(2.6%)
5人(11.6%)
IB
31人(79.5%)
18人(41.9%)
IA
病期別
1人(2.6%)
7人(16.2%)
小細胞がんなど
11人(28.2%)
15人(34.9%)
扁平上皮がん
27人(69.2%)
21人(48.9%)
腺がん 組織型別
34人(87.2%)
36人(83.7%)
肺野型肺がん
5人(12.8%)
7人(16.3%)
肺門型肺がん 部位別
39人(361)
43人(163)
発見肺がん数(対10万人比)
1,068人(9.9%)
1,331人(5.1%)
要精検者数
10,807人 26,338人
のべ受診者数
(1993.9-1999.8)
(1975.9-1993.8)
導入後 導入前
ALCAで発見された肺がんの内訳
・CTだけでみつかった肺がんのうち約8割が、I A期(I期の中でもがんが3cm以下のもの)の 非常に早い時期のがんである。
・発見されたがんの大きさの平均値は約16mm と非常に小さいが、これはCTの空間分解能 がX線と比べて非常に高いことによる。これに より、早期がんの小さな腫瘍を発見できるよ うになってきた。
・がんの中でも肺がんは、これまで「難治がん」
の代表のように言われてきたが、このようにI 期であれば手術によって治すことが十分可能 で、肺胞の表面にだけがん細胞があるような ごく早期であれば、100%治癒できることがわ かっている。
・CTのデータ処理速度の向上、スキャン時間
の短縮化でCT撮影時間は短くなってきてい る。検査に要する時間が減り、患者の負担が 軽減化され、集団検診への適用も容易になっ た。このようなCTを用いた検診によって、早 期がんの発見率は大幅に上昇している。早 期の小さいがんであれば、胸部を大きく切り 開くことなく、入院も短期間ですみ、手術後も 比較的早く普通の生活に戻ることができる 。 肺がんはいまや、CT検査技術の発展により 早期発見が可能となり、「難治がん」ではなく なりつつあると言える。
(出所)東京から肺がんをなくす会(ALCA)
4.技術の経済・社会・国民生活へのインパクト
(3)CT導入によるインパクト
CT導入による早期がんの発見
13
国立がんセンター中央病院の治療成績
肺がんの早期発見と生存率の関係
・1962年以降、5年生存率は着実な改善を示している。
・とくに病期が早い段階のもの(病期Ⅰ)ほど、その後の生存率が高く、がん検診等による早期発見が生存率に 寄与していることがわかる。(1990年代:国立がんセンター中央病院統計)
(参考)がんの早期発見と生存率の上昇
14
111
(参考)経済・社会・国民生活へのインパクト(インパクトアンケート調査結果より)
大および中との回答の合計が全てのインパクトで80%を超えており、国民生活へのインパクトでは90%を 超えている。
現時点でのインパクトの大きさ
39%
44%
53%
43%
36%
38%
15%
15%
8%
3%
5%
1%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
経済的インパクト
社会的インパクト
国民生活へのインパクト
大 中 小 なし (N=87)
(N=86)
(N=87)
15
4.技術の経済・社会・国民生活へのインパクト
(4)当該技術の利用とインパクト実現プロセス
国民生活へのインパクト 経済的インパクト
医療機器の市場拡大
検査の信頼性の向上
検査時間の短縮
がん早期発見による治療効果向上 コンピュータ技術
画像処理技術
検査の迅速化、自動化による コストダウン
医療情報の管理の効率化
(患者の検査データの一括管理)
社会的インパクト
デジタル化 技術的インプット
開発の背景
発見が困難ながんの増加 とくに肺がんが急増 がん死亡率の上昇
早期発見による医療費投入の適正化
コンピュータの処理能力 の増大
リアルタイム 表示 詳細で立体的
な画像認識 検査の効率化
空間分解能の向上 ヘリカルCT
X線診断 CTスキャン
処理速度の向上
マルチスラ イスCT 集団検診の普及
より死角が少なく分解能 が高い装置へ
社会的インプット 技術的インプット
肺がんの早期発見
がん死亡率の抑制
肺がんの発見率は、
CT導入前に人口10万 対163だったものが、
CTの導入によって361
と約2倍に上昇 手術後の「生活の質」の向上 スキャン時間 CT:280秒-20秒→
ヘリカルCT:5-7秒→マルチCT:1秒
バイオバンク・診療データベース 構築
16
微小ながんの切除(自己決定を迫られる)
診断の自動化 医療現場での省力化 画像調整ができるため、
取り直しの必要がない スキャン時間の短縮化
医療技術者、医者 への教育効果
112
5.まとめ17 当該技術のインパクトと公的研究開発・支援の寄与(まとめ)
■国のこれまでのがん対策は主に、がん機構の解明・早期診断技術の開発・研究体制の確立の3つ を柱に行われてきた。
■そのなかで早期診断技術として開発されたヘリカルCTは日本企業が特許を保有する技術として蓄 積があり、世界をリードする水準である。
■公的研究開発・支援は、ヘリカルCTの実証研究を中心に寄与したとみられる。肺がんの早期発見、
診断技術としてヘリカルCTが使えるということを実証することで、当該分野でのヘリカルCTの販売 拡大に寄与した。装置の販売拡大は、開発も促進した。
■コンピュータ支援自動診断システムなど、画像検査と関連したシステム・ネットワークの開発にも公 的研究開発・支援は寄与している。
■当該技術は現在、特に肺がんを早期に発見する検査技術として社会(検査の信頼性向上等)およ び国民生活(検査時間の短縮やがん早期発見による治療効果向上等)に幅広いインパクトを有し ている。
今後の研究開発・支援のあり方等についての意見
■戦略的支援が必要である。アメリカがん研究所は、ヘリカルCTによる肺がん検診のランダム化比較 試験の結果、ヘリカルCTの有効性が低いことを公表している。これは欧米でヘリカルCT が普及し始 め、かつ、この分野で日本が先行していることを意識した戦略的研究結果であるという見方もある。
一方、日本では、ランダム化比較試験を行うための研究計画書が作成されたものの、総額24億円の 研究費の確保が困難なため、いまだ死亡率減少効果の正しい評価は行なわれていない。日本からも ヘリカルCTの有効性に関する研究結果を提示するといった行動をとらない限り、技術で勝って戦略 で負ける可能性が高くなる。(国立研究所・研究者)
■バイオバンクの設立、診療データのデータベース化などのインフラの確立と、IT化に対応できる医 療専門家(リサーチナースなど)の育成が必要である。(国立研究所・研究者)
■開発を阻害する規制の撤廃がまず必要である。(企業・役員、国立研究所・研究者)
■人的基盤・ネットワークが弱い。人材・技術の流動性が少ないため、技術が個々の組織内に密閉化 され、実用化研究を阻害している。(国立研究所・研究者)
18
5.まとめ
(参考)指摘された課題・今後の研究開発・支援のあり方等についての意見
現状と課題
■製品市場の拡大が課題である。世界市場が拡大する中、日本製品のシェアは縮小傾向にある。この原 因として、海外企業に比べて、開発コストが人件費を中心に割高であることと販売力が弱いことが挙 げられる。(企業・役員)
■医療現場のIT化(CTの高速化・精密化に伴う画像データ量の増大に対応するシステムの確立)が課題 である。(国立研究所・研究者)
■CT以外の検査技術(MRI・PET・超音波・内視鏡など)の開発・実証試験では公的支援はなく、これら の開発技術では欧米に先行されている。(国立研究所・研究者)
113
(参考)今後の公的研究開発・支援の必要性とあり方
(インパクトアンケート調査結果より)
当該分野における今後の公的研究開発・支援の必要性は大きいと見られる
(必要性大および中を合わせて、回答者の90%以上)
19 寄与度合いが
大〜小の場合:
今後の公的研究開発・支援の必要性
大, 46%
中, 45%
小, 7%
なし, 1%
(N=84)
当該技術
ライフサイエンス分野(実現)平均
43%
40%
14% 3%
今後求められる公的研究開発・支援
30%
33%
28%
21%
14%
13%
27%
20%
12%
14%
0%
0%
20%
27%
33%
22%
14%
13%
17%
17%
10%
10%
0%
0%
0%
7%
6%
8%
2%
3%
0%
4%
4%
4%
0%
0%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%
当該技術
ライフサイエンス分野(実現)平均
当該技術
ライフサイエンス分野(実現)平均
当該技術
ライフサイエンス分野(実現)平均
当該技術
ライフサイエンス分野(実現)平均
当該技術
ライフサイエンス分野(実現)平均
当該技術
ライフサイエンス分野(実現)平均
公的研究開発民間への資金研究施設・設備研究交流人材その他
大 中 小
(N:当該技術=83 実現技術数=22)
(参考)これまでの公的研究開発・支援の寄与の内容と今後の必要性
(インパクトアンケート調査結果より)
20
公的研究開発・支援の寄与の内容と今後の必要性
民間への資金
研究施設・設備 研究交流
人材
その他
公的研究開発
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%
寄与の内容
今後の必要性
114
2.2 高演算速度の並列コンピュータ(情報通信)
(1)事例分析に当たって
①対象とした技術の概要
本事例分析では、当該技術を以下のように捉え、調査・分析の対象とした。
・超並列(多数のプロセッサを並列に持つ)コンピュータ(ベクトル型およびスカラー型)
スカラー型は PC クラスターを含む
②調査方法および対象
本事例分析のための調査は、当該技術に関する専門家等へのインタビュー調査を主とし、さらに 文献調査・統計データ分析を実施した。
インタビュー調査の対象を以下に示した。
・学識経験者(東京大学大学院情報理工学系研究科教授、東京大学大学院工学系研究科教授)
2名
・公的研究機関(産業技術総合研究所・生命情報科学研究センター、地球シミュレータセンタ ー) 研究者4名
・企業(コンピュータメーカー、自動車メーカー)3名
(2)技術動向
世界で初めてのスーパーコンピュータとして、1971 年イリノイ大学により ILLIACⅣが開発され、
1976 年に米国のクレイ社により CRY-1 が製品化された。その後、米国では数社が製作した。日本では、
1970 年代後半より大手コンピュータメーカー(いわゆるメインフレームメーカー)により開発がなさ れ、1980 年代初頭より製品化された。これらはベクトル型処理をおこなう単一プロセッサを用いるも のであった。
1990 年代半ばより、プロセッサを多数・並列で用いることで、より高速の計算を実現する「並列 化」が急速に進展した(1000 以上の並列を超並列と呼ぶ)。この中には、ベクトル型プロセッサを並 列で用いるものとともに、汎用のスカラー型のプロセッサを並列で用いるものがある。また近年、汎 用の PC を多数並列に結合した PC クラスターと呼ばれるものが急速に増大している(これも、スカラ ー型並列に属す)。並列化により、計算速度進歩の大幅な加速が見られる(並列化以前は、スーパー コンピュータの計算速度はプロセッサの速度向上を反映して、概ね 10 年で 10 倍程度のトレンドであ ったが、1980 年代後半以降並列化が進み、概ね 10 年で 100 倍以上への加速が見られる)。
世界的には、スカラー型が 1990 年代後半以降主流になりつつある(これは、ベクトル型は特別な プロセッサを開発する必要があるのに対し、スカラー型が汎用のプロセッサを用い、コストが安いた めである)。日本では、ベクトル型がハイエンドのスーパーコンピュータの半数を占めると言われて いる。
日本は 1970 年代末より米国へのキャッチアップを始め、1990 年代前半には日本はベクトル型を中 心に、当該技術分野においてかなりの地位を占めるに至った(世界のスーパーコンピュータ上位 20 の約半数を日本のメーカー製のものが占めていた)。これに対し、米国は 89 年頃から日本に遅れる という意識から、公的調達を含む積極的な研究開発を行った。その成果が 90 年代後半に現われ、ま た米国による日本製スーパーコンピュータダンピング課税問題もあり、日本の地位は低下し、2002