4. ドローン物流モデルの検証結果の取りまとめ
4.2 CO 2 排出量削減効果の取りまとめと課題整理
本項では、3.2において整理した各地域における各地域におけるCO2排出量削減効果を整 理し、比較検討することにより、CO2排出量削減効果のあるドローン物流の条件について分 析を行った。
4.2.1 CO2排出量削減効果及び費用対効果の取りまとめ
(1) CO2排出量削減効果
各実証地域におけるドローン物流・既存物流網それぞれの CO2排出量及びドローン物流 を導入した場合のCO2排出量削減効果を表 4-6に示す。福岡県南相馬市、埼玉県秩父市、
長野県白馬村においては、今回想定した既存物流網と比較した場合、検証実験を行ったドロ ーン物流を導入することでCO2排出量削減効果が発生する結果となった。
一方で、岡山県和気町及び福岡県福岡市では、今回の検証実験を前提にすると、ドローン 物流を導入することで CO2排出量は増加した。岡山県和気町、福岡県福岡市での検証実験 においては、ドローンに加えて操縦者・補助者も別の手段にて移動を行っており、その分の CO2排出量を除いた場合には、今回のシナリオにおいては、岡山県和気町及び福岡県福岡市 でもCO2排出量削減効果は発生するとの算定結果となった。
表 4-6 各実証地域におけるCO2排出量の算定結果及びCO2排出量削減効果
※1:福島県南相馬市・長野県白馬村・福岡県福岡市は始点から終点までの片道、
埼玉県秩父市・岡山県和気町は始点終点間の往復を「1回」とカウント
※2:CO2排出量の算定には使用していない
※3:()内は、基地ー山麓間の移動を含めた場合
※4:()内は操縦者・補助者の移動に伴うCO2排出量を除いた場合
※5:ドローン物流と既存物流で、運行回数のシナリオが整合している場合のみ算出
※6:数値は小数点第1位を四捨五入して表示
項目 単位 福島県
南相馬市
埼玉県 秩父市
長野県 白馬村
岡山県 和気町
福岡県 福岡市 ドローン
物流 1回あたり積載重量 [g] 1,190 500 8,000 5,000(行き)
0(帰り) 1,000
1回あたり飛行距離※1 ※6 [km] 9 6 1 20 5
1回あたりCO2排出量※1 ※6 [gCO2/回] 188 140 299 12,046 11,105 うち、ドローン分 [gCO2/回] 188 140 299 5,043 48 うち、操縦者・補助者分 [gCO2/回] - - - 7,003 11,057
飛行回数 [回] 247 (参考)400 2,000 (参考)19 1,400
年間CO2排出量※6 [kgCO2/年] 46 (参考)56 599 229( 96 )※4 15,548 ( 68 )※4 既存物流網
輸送手段(算定手法) 軽貨物車
(燃費法)
軽貨物車
(燃費法)
ヘリコプター
(燃費法)
軽貨物車
(燃費法)
漁船
(燃料法)
1回あたり積載重量
(ドローン代替分) [g] 1,190 (500)※2 200,000 ( 5,000 )※2 ( 1,000 )
1回あたり輸送距離 ※6 [km] 10 16 (1)※2 21 6
1回あたりCO2排出量
(ドローン代替分)※1 ※6 [gCO2/回] 526 4,078 21,117
(46,456)※3 5,172 11,057
運行回数 [回] 247 (参考)400 80 (参考)19 1,400
年間CO2排出量※6 [kgCO2/年] 130 (参考)1,631 1,689
( 3,717 )※3 (参考)98 15,480 CO2排出量
削減効果
1回あたりCO2排出量削減効果
※5 ※6 [gCO2/回] 339 3,938 - -6,874 ( 129 )※4
-48 (11,009)※4 年間CO2排出量削減効果※6 [kgCO2/年] 84 (参考)1,575 1,090
( 3,118 )※3
(参考) -130( 2 )※4
-68 ( 15,412)※4
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今回の検証実験においては、各協議会で機体種類が異なっていること、また同一協議会に おける検証実験でも、積載重量・飛行距離等の諸条件を変更したデータが十分に存在しない こと等から、本検証実験の結果からドローン物流を導入することで CO2排出量削減効果が 発生する条件を定量的に算出するのは難しい。
ただし、各協議会での検証実験の各飛行における CO2排出量算定結果の傾向をみると、
積載重量の変化と比較して CO2排出量の変化は小さくなっている。これは既存物流網にお いても同様であり、積載率が小さくなるほど、輸送重量あたりの CO2排出量は増大すると いえる。一方でドローン物流は、既存物流網と比較して最大積載重量が小さい。例えば軽貨 物車における最大積載重量が350 kgであるのに対して、今回の検証実験で使用したドロー ンの使用機体では、神旗GF1-01及びAeroRange2の10 kgが最大となっている(表 3-15、 表 3-19)。想定する1回当たり輸送重量が大きくなるほど、既存物流網の方が1回の輸送で 多くの荷物を運ぶことができるため、ドローン物流では輸送回数が増加することとなる。
また、ドローン物流と既存物流網それぞれにおける1 回当たりCO2排出量を比較する。
動力源としてバッテリーを使用したドローン(福岡県南相馬市、長野県白馬村、埼玉県秩父 市、福岡県福岡市)においては、検証実験における積載重量が数kg、飛行距離が数kmとい う条件での飛行1回当たりCO2排出量は数十~数百gCO2/回のオーダーであった。既存物流 網については、積載重量及び輸送距離のオーダーが概ねドローンと同様であり、他目的の貨 物の混載を想定していない埼玉県秩父市及び岡山県和気町を例にとると、輸送 1 回当たり CO2排出量は数千gCO2/回のオーダーであった。なお、これらはいずれも軽貨物車を使用し た算定であるが、漁船(福岡県福岡市)においても輸送1 回当たりのCO2排出量は同程度 のオーダーである。特に車両や漁船等の既存物流網においては、距離あたりの燃費を利用し た CO2排出量の算定方法(燃費法)が確立されていることから、積載重量が同一の場合に はCO2排出量は輸送距離に強く関係することがわかっている。
よって、総輸送重量及び輸送距離を同一と仮定すると、輸送回数にどれだけの差があるか という点が、CO2排出量削減効果に影響を及ぼすことがわかる。ドローン物流で必要となる 輸送回数が既存物流網における輸送回数と比較して一定以下の範囲であれば、ドローン物 流を導入することによる CO2排出量削減効果が出ると考えられる。すなわち、本検証実験 における各地域のように、既存物流網において最大積載重量に対して実際に積載している 貨物の重量が十分に小さい場合には、ドローン物流の導入により CO2排出量削減効果が発 生する領域が存在するといえる。
加えて、輸送区間の始点と終点が同一であっても、ドローン物流における飛行距離が既存 物流を下回る場合には、ドローン物流の導入による CO2排出量削減効果は出やすくなると 考えられる。今回の検証実験では既存物流の輸送距離とドローン物流の輸送距離との間に 大きな差はなかったが、ドローン物流はその特徴として、既存の輸送機関と比較して小型で あり、また道路を利用する必要もないことから、大幅に輸送距離を低減することができるケ ースも存在すると考えられる。一方で、目視外飛行の要件や飛行空域の制限等の規制への対 応(2.1.2 参照)の必要性により、飛行ルートの制約がかかる可能性については留意する必 要がある。
さらに、本算定におけるバッテリーを動力源とするドローンの CO2排出量算定において は、排出係数として系統電力の基礎排出係数を使用している。太陽光発電等の再生可能エネ ルギーのみによりバッテリーの充電を行った場合、排出係数が 0 となるためドローン物流 によるCO2排出量は0となり、ドローン物流により代替される既存物流によるCO2排出量
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は全て削減されることとなる。また、バッテリーの充電では常時の電源接続が不要であるこ とから、発電量が変動する再生可能エネルギーの使用に適していると考えられる。
なお、本来的には、ドローン機体のライフサイクル(資源採掘⇒製造⇒使用⇒廃棄)での CO2排出量を評価することが必要であるが、本事業では使用時のみを比較していることは留 意する必要がある。一方で、ドローン物流はまだ実証段階にあり、大量生産フェーズには入 っていないことから、ライフサイクルでの排出量比較を適切に行うのは難しい。今後技術が 成熟することで使用時においても運転効率が上昇し、CO2排出量削減効果がさらに大きくな ることが予想される。
(2) 年間コスト
各実証地域におけるドローン物流・既存物流網それぞれの年間コストの算定結果及びそ の差分を表 4-7 に示す。今回の実証地域においては、検証実験をベースに算定した全ての 検証実験シナリオにおいてドローン物流のコストが既存物流網のコストを上回る結果とな った。また、将来的なドローン物流のコストとして、以下の仮定をもとに想定コストを算出 し、既存物流のコストと比較を行った。
想定シナリオ算出の際の仮定
⚫ 機体、インフラ費用の低減:
将来的な技術開発の進展や量産効果により、ドローンの機体費用や交換用部品費用、
ドローンポート等の費用が低減すると仮定 上記に伴いドローン保守費も低減すると仮定
⚫ 安全対策費用の低減:
将来的な目視外補助者無し飛行の普及に伴い、補助者の配置に要していたコストが 不要となるとともに、その他立入管理のための立て看板等、安全対策設備のコストが イニシャル、ランニングともに低減すると仮定
⚫ 操縦者費用の低減:
将来的な目視外補助者無し飛行では自律的飛行が主となり経路毎の操縦者が不要に なり、それに伴うコストが不要になると仮定
※この場合も複数の飛行経路を遠隔管理する主体のコストが発生しうるが、今回は コスト参入していない。
コスト比較の結果、イニシャルコストについては埼玉県秩父市のみ、ランニングコストに ついては長野県白馬村、福岡県福岡市において既存物流よりも下回る結果が算定され、福岡 県福岡市の場合は想定シナリオの場合は既存物流よりもコストが下回る結果が算定された。
補助者の配置に伴う費用や安全対策の維持管理に伴う費用が大きな割合を占めていた実 証地域や、経路毎の操縦者配置を想定していた実証地域(具体的には福島県南相馬市、埼玉 県秩父市、岡山県和気町、福岡県福岡市)ではランニングコストにおいて検証実験シナリオ と想定シナリオの間で大きな差が出ている。今後目視外補助者無し飛行の普及により運用 の効率化等が図られ、また経路毎の操縦者が不要となるような運航形態が可能になること でこれらのコストが低減されれば、ドローン物流のコスト増加分は圧縮されることが想定 される。また、ドローン物流と既存物流網を比較すると、埼玉県秩父市以外ではドローン物