3. 過疎地域等における CO 2 排出量削減効果のあるドローン物流モデルの検証
3.1 過疎地域等における CO 2 排出量削減効果のあるドローン物流モデルの検討
3.1.5 福岡県福岡市
68 げられる。
⚫ 和気町での課題解決は、今後日本各地で直面する少子高齢化等の社会課題に先鞭を 付き、省人化されたユニバーサルサービスの運営体制を構築できる。
⚫ 和気町内を縦断する吉井川の上空をメインのドローン飛行ルートとして計画するこ とで、安全性を確保するとともに、全国的にも河川沿いの過疎地域が多く、他の過疎 地域に展開可能な配送モデルを構築できる。
⚫ 小規模自治体で資源が限定されることを念頭に、大型ドローンの活用に「選択と集中」
をし、確実に推進する。
(3) ドローン物流モデルの検討
地域の物流の課題とドローンの必要性・意義を踏まえ、和気町ドローン物流検証実験協議 会が検討しているドローン物流モデルの概要を表 3-9に示す。
表 3-9 ドローン物流モデル概要(和気町ドローン物流検証実験協議会)
事業戦略
過疎地域の住民に対し、タイムリーかつリーズナブルな荷物配送 の提供、災害時に対する安心感の提供
既存物流に対する運用コストの低減、荷物配送以外の事業との兼 用による初期コストの低減
初期には自治体の支援を受けながら事業を確立、中長期的には既 存物流事業と競合が想定。
事業内容
食料品や日用品のオンデマンド宅配、災害時の緊急物資配送等
河川上空を飛行経路として使用、1日1~2便程度の配送
使用機材はハイブリッド方式のドローン、離着陸地点の10m四方 のヘリポート設置
自治体、小売業者との協業により事象実施 リスクと対策 採算性や事故による事業中止が想定
社会的価値 対住民サービスレベルの向上、地域雇用拡大、新たな産業振興、
企業誘致等
出所)和気町ドローン物流検証実験協議会の提供情報をもとにMRI整理
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表 3-10 福岡市ドローン物流協議会の構成と役割
構成員 主な役割
ANA ホールディングス 株式会社(代表事業者)
運航管理、ドローンオペレーション
検証実験の準備及び遂行
協議会の運営及び報告書の作成 エアロセンス株式会社 ドローン機材開発、提供、準備 福岡市 検証対象となる地域との調整
対象地域における物流課題調査
1)開催状況
福岡市ドローン物流協議会の開催状況は以下の通りである。
⚫ 第1回協議会
➢ 開催日時:2018年10月15日
➢ 開催場所:ANAホールディングス本社
➢ 主な議題:
当該地域の物流課題とドローンの必要性・意義
検証実験のスケジュール
検証実験の概要と方法
⚫ 第2回協議会
➢ 開催日時:2018年11月12日
➢ 開催場所:ANAホールディングス本社
➢ 主な議題:
検証概要及び方法
準備状況確認、残課題の確認
中止条件等に関する議論
⚫ 実証実験
➢ 実施日時:2018年11月20~21日9
➢ 実施場所:福岡県福岡市 唐泊港~玄界島ヘリポート間(海上飛行)
⚫ 第3回協議会
➢ 開催日時:2019年1月24日
➢ 開催場所:ANAホールディングス本社
➢ 主な議題:
検証実験の振り返り
課題と今後の展望
9 22日も実証実験が予定されていたが、悪天候のため中止となった。
70 (2) 地域の物流の課題とドローンの必要性・意義
1)地域の物流の課題
今回の検証実験の対象地域である玄界島は、博多港の北西に位置している人口 462 名程 度の離島である。同島は、2005 年に発生した福岡県西方沖地震の際に住宅の半数が全壊す るなどの被害を受けたこともあり、急速な人口減少と少子高齢化が進んでいる。
島への生活品・宅配物等の物資の輸送は、市営渡船(図 3-7)で行われている。そのため、
荒天時等では島内にある漁協購買部にて販売される生活必需品が売り切れてしまうことも 多く、島民が必要な時に必要なものを購入できるとは限らない状況となっている。また、島 内での配送手段もないため、宅配物は一旦漁協が預かり、該当する家庭に電話連絡し、各家 庭が荷物を受け取りに来る必要がある。これは、車を持たない家庭や高齢者世帯において、
大きな負担となっている。
一方、郵便物に関しては、市営渡船とは別に個人漁船(図 3-8)にて本土から玄界島まで 輸送されている。漁船の運航及び集配は個人が一人で担っている状況であり、継続性と人手 不足が課題として認識されている。
図 3-7 市営渡船「きんいん」の外観 図 3-8 個人渡船「若狭丸」の外観
出所)福岡市ドローン物流協議会
2)ドローンの必要性・意義
福岡市ドローン物流協議会では、上記のような地域の物流の課題に対し、ドローンの必要 性・意義を次のように考えている。まず、ドローンを導入することにより、本土~離島間に おいて、少量の荷物を道路や交通規制等の制限なく、配送者等の専門人員の確保なしで配送 することが可能となる。また、ドローンであれば電気駆動による配送が可能となるため、CO2
排出量が既存の方式(漁船)に比べて少なくなり、よりクリーンな配送の実現が期待される。
さらに、ドローンによる本土から離島へのオンデマンド配送や、個人宅への時間指定配送等 が実現すれば、現状島民が抱える課題が解決し、利便性のさらなる向上に資するものとなる。
71 (3) ドローン物流モデルの検討
地域の物流の課題とドローンの必要性・意義を踏まえ、福岡市ドローン物流協議会が検討 しているドローン物流モデルの概要を表 3-11に示す。
表 3-11 ドローン物流モデル概要(福岡市ドローン物流協議会)
事業戦略
運送事業者及び個人に対し、離島-本土間のドローンによる物 資輸送サービスを提供
複数の運送事業者の貨物を混載し、ドローンの運航効率を高め ることで既存の離島間輸送サービスに対する強みを発揮
事業内容
市営渡船・個人漁船の代替として、1日2往復程度のドローン輸 送サービスを提供
将来的には、10kg程度まで積載可能なドローンの使用、離島・
本土の離着陸地点にドローンポート設置を想定
ドローン物流の仕組みを構築したうえで、実運用は地場の個人 漁船運航事業者等の運用、自治体や漁業組合によるドローンポ ート管理等の実施を想定
リスクと対策
採算性やドローンの落下等を主なリスクとして想定
落下リスクに関しては、運航ルートが海上であり、地上に比べ人 への安全リスクは低いものと想定
海上に落下した場合の物資保証等については要検討 社会的価値 地域雇用拡大、既存物流従事者の多機能化等
出所)福岡市ドローン物流協議会の提供情報をもとにMRI整理
3.2 各実証地域におけるドローン物流モデルの検証