3. 過疎地域等における CO 2 排出量削減効果のあるドローン物流モデルの検証
3.1 過疎地域等における CO 2 排出量削減効果のあるドローン物流モデルの検討
3.1.2 埼玉県秩父市
(1) 協議会の概要と開催状況
1)協議会の概要
埼玉県秩父市では、秩父市ドローン配送協議会が開催された。同協議会は、山間地域にお ける物流インフラの維持や山間地域における物流インフラの環境配慮等の課題を検証する ための検証実験を実施していくにあたって構成された。表 3-3 に、秩父市ドローン配送協 議会の構成員と主な役割を示す。
表 3-3 秩父市ドローン配送協議会の構成と役割
構成員 主な役割
楽天株式会社
(代表事業者)
ドローン配送ソリューションの提供
山間地域における物流が抱える課題に対するドローン利 活用について検討
東京電力ベンチャーズ 株式会社
ドローンハイウェイの安全飛行インフラを用いた飛行支 援(気象観測装置による飛行ルートの安全性確認等)
株式会社ゼンリン ドローンハイウェイの安全飛行インフラを用いた飛行支 援(3次元地図による飛行ルートの提供等)
秩父市 周辺住民等の関係者の合意形成、協力体制の構築に係る支 援等
57 2)協議会の開催状況
秩父市ドローン配送協議会の開催状況は以下の通りである。
⚫ 第1回協議会
✓ 開催日時:2018年10月5日
✓ 開催場所:楽天株式会社
✓ 主な議題:
• 飛行ルートの決定
• 飛行ルートに関する分析
• 役割分担確認
• スケジュール 等
⚫ 第2回協議会
✓ 開催日時:2018年12月7日
✓ 開催場所:株式会社ゼンリン
✓ 主な議題:
• 各種進捗共有
• 配送シナリオについて
• 広報について
⚫ 検証実験
✓ 実施日時:2019年1月15日~2019年1月25日
✓ 実施場所:埼玉県秩父市浦山ダム西側駐車場~大久保橋の袂
(2) 地域の物流の課題とドローンの必要性・意義
1)地域の物流の課題
秩父市における主な物流の課題は①山間地域における物流インフラの維持と、②山間地 域における物流インフラの環境配慮の2点である。
課題①については、少子高齢化と人口減少が要因にある。図 3-1 に示す人口の将来予測 をみると、平成27年65,741人だった総人口は、平成37年には56,861人に減少する一方、
老年人口は増加を続け、その割合を示す高齢化率は平成27 年の29.8%に対し、平成 37年
には35.0%にまで上昇すると予測されている。また、図 3-2の通り、平成30年4月現在、
秩父市には高齢化率が50%を超える限界集落が8箇所あり、このような地区では、自身で の車の運転が困難となることで外出を控える結果、買い物に行けない等の問題が発生して いる。このような状況下、現在は山間地域を中心にトラックを用いた移動販売を行う民間 事業者等が存在するものの、需要の減少や人手不足等により今後もサービスを維持できる かは不透明であり、新たな物流インフラの検討が不可欠である。
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図 3-1 秩父市の人口の推移と将来予測
出所)秩父市ドローン配送協議会
※年少人口:0~14歳、生産年齢人口:15~64歳、老年人口:65歳以上
図 3-2 秩父市内における限界集落
出所)秩父市ドローン配送協議会 課題②は、図 3-3の通り、山間地域ゆえの地理的な特性によるものであり、限界集落まで の高低差が大きく(市内中心部から最大で約800m)、輸送距離も長くなることからエネルギ
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ー効率の悪化や無駄なCO2排出が生じていると考えられる。また、秩父市は、「環境立市ち ちぶ」を掲げ、温室効果ガス排出量の削減による低炭素社会の実現を目指していることから、
環境面に配慮した新たな物流インフラの検討が必要である。
図 3-3 秩父市の主な限界集落における代表地点の標高
出所)秩父市ドローン配送協議会
2)ドローンの必要性・意義
上述のような課題の有効な解決手段の1つとして、無人航空機(ドローン等)を活用した 物流インフラの構築が想定される。ドローン物流のメリットとして、以下が想定される。
⚫ 配送時間の短縮
⚫ 無人化による効率化
⚫ 高低差による非効率の解消
上記のようなメリットの一方、実用化に向けては、「目視外補助者無し飛行(いわゆるレ ベル 3)」のための安全性確保や積載重量の向上、配送頻度の向上等の解決すべき問題も多 くある。これら諸問題について検証を行うため、実験を実施した。
60 (3) ドローン物流モデルの検討
地域の物流の課題とドローンの必要性・意義を踏まえ、秩父市ドローン配送協議会が検 討しているドローン物流モデルの概要を表 3-4 に示す。また、ドローン物流のイメージに ついては図 3-4の通りである。
表 3-4 ドローン物流モデル概要(秩父市ドローン配送協議会)
事業戦略
キャンプ場等のレクリエーション施設に来る消費者に対し、オ ンデマンド配送を実施
ドローンハイウェイの活用が強みの1つ
事業内容
ドローンハイウェイを利用した、キャンプ場へのバーベキュー 食材・用品等のドローン配送サービス
シーズン期間である7月-11月の間、週20回程度の配送を想定
使用機材はドローン、3Dモニタリングアプリ、ドローンダッシ ュボード、ドローンハイウェイ、ドローンポート等が想定 リスク 採算性を想定
社会的価値 地域雇用拡大や災害時インフラとしての活用を想定
出所)秩父市ドローン配送協議会の提供情報をもとにMRI整理
図 3-4 秩父市におけるドローン物流イメージ
出所)秩父市ドローン配送協議会
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