2. CO 2 排出量削減効果のある過疎地域等におけるドローン物流モデルの検討
2.1 ドローン物流の動向調査
2.1.3 CO 2 排出量削減効果に関する先行研究
ドローン物流を導入した場合における CO2排出量削減効果を示した先行研究として、米 国におけるラストワンマイルの配送にドローンの導入を想定した場合のモデル研究の例を 示す。
(1) 事例1:ワシントン大学によるモデル研究(2017)1
Annne(2018)1では、シミュレーションにより、カリフォルニア州ロサンゼルスにおいてド
ローン物流によるCO2排出量やVMT(車両走行距離。Vehicle miles traveled)の評価を行っ ている。
本研究におけるシミュレーションの前提は以下の通りである。
⚫ 動力として、ドローンはバッテリー駆動、トラックはガソリン車を仮定。
⚫ 拠点間輸送ではなく、ラストワンマイルにおける輸送を仮定。
⚫ ドローンは物流拠点から配送先までを往復、トラックはミルクラン輸送(巡回集荷)。
⚫ 道路網や物流拠点(1箇所)には実際のデータを使用。
⚫ 物流拠点を中心に半径1 マイルのサービスゾーンを円形に 330個敷き詰め、各サー ビスゾーンにおいて同数の配送先へ配送を行うと仮定。配送先の数は、シナリオによ り変動。
これらの仮定のもと、各サービスゾーンにおける配送先の数、ドローンにおける1マイル ごとの電力消費量(輸送物の重量と関係すると考えられる)、トラックにおける一回の配送 距離の3種類のパラメータによる感度分析を行い、ドローンによりCO2排出量削減効果が 確認される条件を推計している。
本研究結果では、ドローン物流を導入することによる CO2排出量削減効果が出るか否か は条件によって異なっていた(図 2-28)。配送先と物流拠点からの距離が近い場合や、各サ ービスゾーンにおける配送先の数が少ない場合にはドローンを利用した方が CO2排出量が 小さくなっていた。これは、トラックのミルクラン輸送による効率化の影響を受けにくかっ たためだと考えられる。そのため本研究では、CO2排出量削減の観点では、近距離への輸送 ではドローンを、遠方への輸送ではトラックを利用する等、条件によってドローン輸送とト ラック輸送を混在させるのが望ましいと結論付けている。
1 Annne Goodchild, Jordan Toy (2018)
“Delivery by drone: An evaluation of unmanned aerial vehicle technology in reducing CO2 emissions in the delivery service industry”, Transportation Research Part D: Transport and Environment Volume 61, Part A, June 2018, Pages 58-67
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図 2-28 事例1 シミュレーション結果1
1マイルごとに消費する電力量(10Wh/ml~100Wh/ml)により、異なる表を記載。
(※搭載重量及び飛行速度等により変化)
縦軸はトラック輸送ルートの長さ、
横軸は各サービスゾーンでの配送先数を表す。
赤:ドローンの方がCO2排出量が少ない 青:トラック配送の方がCO2排出量が少ない
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(2) 事例2:ローレンス・リバモア国立研究所によるモデル研究2
Stolaroff JK(2018)2では、エネルギー消費モデルを作成し、米国各州でドローンとトラック
のそれぞれを利用した場合のライフサイクルにおけるCO2排出量を比較している。
本研究におけるシミュレーションの前提は以下の通りである。
⚫ ドローンとして、最大積載重量0.5 kgの小型機と最大積載重量8.1 kgの大型機の2種 類(いずれもバッテリー駆動)を、トラックとしては中型のディーゼルトラック、天 然ガストラック、電気駆動のトラック等、複数の動力源の車種を想定。
⚫ 拠点間輸送ではなく、ラストワンマイルにおける輸送を仮定。また、配送ではなくピ ックアップ(顧客が車を使って小売店舗に商品を取りに来る又は買いに来る)の場合 も合わせて分析。
⚫ ドローンの飛行速度や飛行距離、物流倉庫の数・配置・電力使用量等のパラメータに ついては、個々に検討のうえ、現時点で最も実現可能性が高いと思われる値を設定。
⚫ ドローンの飛行に伴って排出される CO2排出量だけでなく、ドローン物流を導入す ることで数が増加することが想定される物流倉庫におけるCO2排出量も併せて検討。
⚫ 利用する電力の CO2排出係数として、米国合衆国における平均値、再生エネルギー 利用率が高い地域である(排出係数が小さい)カリフォルニア州、最も係数が大きい ミズーリ州の3種類の値を利用し、それぞれの結果を算出。
本研究では結果として、再生エネルギーの利用率が高くかつ小型ドローンを使用する場 合にはドローンの方がトラックより CO2排出量は小さくなるが、そうでない場合にはトラ ックの方がCO2排出量は小さくなった(図 2-29)。ドローンを利用する場合の CO2排出量 の大半は倉庫による電力使用量が占めている。一方で、トラックを利用する場合は大半が移 動に伴う排出であった。
ただ、ドローンを使う場合でもトラックを使う場合でも、消費者が自ら店舗に商品をピッ クアップするよりは CO2排出量が小さくなっている。本研究では、CO2排出量の観点から は、ドローン物流の利用は小型のドローンが取扱える軽量の荷物を中心とすべきであるこ とを述べたうえで、再生可能エネルギーの利用率を向上させることでドローンによる CO2
排出量削減効果は大きくなることが期待されると結論付けている。
2 Stolaroff JK(2018) “Energy use and life cycle greenhouse gas emissions of drones for commercial package delivery.”, Nature Communications 2018 Feb 13; 9(1) : 409
https://www.nature.com/articles/s41467-017-02411-5
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図 2-29 事例2 1荷物を同距離で運ぶ場合のライフサイクル全体の温室効果ガス排出量2
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