Maximum Compressive Stress Model (MCSM)
SRMは圧縮歪が増すほど圧縮応力が小さくなるという点において実際の現象と異なった性質を持って いた.MCSMはこの点が改善されたモデルである.このモデルは,ある圧縮応力を超えるとそれ以上は 圧縮剛性を持たないというモデル化がなされている.座屈圧縮歪 criが与えられたとき,主応力が次式 を満たしているなら膜面はしわ状態にあると定義する.
0 1 2 0 1 cr0
E E (11.4) しわが発生した後,主応力は次の値を取るものとする.
0 0
1 1 0
cr cr
E
E (11.5) ただし,
0, 1:最大主歪,最小主歪
1 E cr0の時,主応力は 0 1 E cr0となる.
Fig. 11-1はSRM,MCSM,Mod-SRMの違いを示した概念図である.
Fig. 11-1 各モデルの違い (左)SRM, MCSM (右)Mod-SRM
実験概要
膜面にしわ・たるみを発生させ,その形状を計測する実験について概要を述べる.Fig. 11-2は実験装 置外観である.膜面は片方の長辺がフラットテーブルに,もう片方の長辺が三分力計にそれぞれ治具で 固定され,三分力計はX-Yステージに固定されている.X-Yステージが動くことで膜面にしわを発生さ せる.しわは電動スライドレールに取り付けられたCCDレーザー変位計で計測され,膜面の断面形状が 得られるようになっている.Fig. 11-3に示すように,計測は5mm間隔で固定治具間の膜断面を計測して いく.三分力計はX, Y, Z軸方向の荷重を計測することができる.実験に使用した膜面モデルはFig. 11-4 に示すような 300mm×100mmの長方形膜で,その固定辺に剪断変位を与える.実験装置に使用した機器
は[11-1]に,計測手順は[11-2]に示す通りである.
Ma x im u m Co m p re s sive
S tre s s Mo d e l cr
S tiffn e s s R e d u c tio n Mo d e l
cr ( )
f Before buckling ( ) 2
1
f E
After buckling
3 2
( )
f a b cd Buckling point
Fig. 11-2 実験装置外観
Fig. 11-3 計測の様子
Fig. 11-4 膜面のモデル
[11-1] 実験装置の機器
1. CCDレーザー変位計: KEYENCE, LK-G85
2. 電動スライドレール(X軸): Oriental motor, EZS4E-060A
Measure by 5mm
sh ear d irection
3. 電動スライドレール(Y軸): Oriental motor, EZS3E-030A
4. X-Yステージ: COMS, PM40B-25XY
5. 三分力計: KYOWA, LMS-B-SA1
6. 治具
7. フラットテーブル: HERZ, HA-107L
[11-2] 計測手順
計測手順をFig. 11-5に示す.膜面に付着した埃などで計測できない点が現れた場合,ハンディクリ ーナーなどで埃を除去して計測可能な状態にし,再度計測しなおす.計測は 0.0[m], 0.5[mm], 1.0[mm],
1.5[mm]の剪断変位にて行った.
膜を治具に取り付ける
1枚の膜面の全ての変形形状を 取り終えるまで繰り返す
1枚の膜面を計測し終えるまで繰り返す
剪断変位 du を与える レーザー変位計を初期位
置にセットする
レーザー変位計を Y 軸の 計測開始位置にセットする
レーザー変位計を X 軸の 計測開始位置にセットする
レーザー変位計の 出力データを記録する
計測終了
断面形状を計測し終えるまで繰り返す
荷重を計測する
シェル要素と実験の比較
剪断変位が1.5[mm]の時の膜面の中央断面の形状にて,実験結果とシェル要素での比較を行った.シェル
要素はDiscrete Kirchhoff 要素(DK要素)とMixed Interpolation of Tensorial Components要素(MITC要素)
それぞれで解析を行った.その理由は,汎用構造解析ソフト"ABAQUS"ではDK要素が用いられ,一方当 該研究分野でよく用いられる,宮崎らによって開発された構造解析コード"NEDA"ではMITCシェル要素 が用いられていたためである.計測実験結果をFig. 11-6に,MITCシェル要素の解析結果をFig. 11-7に,
DKシェル要素の解析結果をFig. 11-8に示す.Fig. 11-6における赤線が中央断面である.中央断面波形を 比較した図をFig. 11-9に示す.Fig. 11-9を見ると,短辺に近くなるほどしわの高さは高くなり,中央付 近で最も低くなるという傾向はいずれのシェル要素も実験とよく一致している.そこで,しわの数,し わの平均高さ,しわ波長について比較を行った.Table 11-1を見ると,DK要素の方が全ての項目でMITC 要素よりも実験値に近い値を示していることが分かった.従って,膜要素との比較に用いるシェル要素 はDK要素が適していると結論付けた.
Fig. 11-6 計測実験結果
Fig. 11-7 NEDAによるMITCシェル要素の解析結果
Fig. 11-8 ABAQUSによるDKシェル要素の解析結果
Fig. 11-9 実験と解析の中央断面波形の比較
Table 11-1 しわの特性値の比較
シェル要素と膜要素の比較
Mod-SRM によって従来のモデルからどのような改善が得られたのかを検証するために,DK シェル
要素とSRM,MCSM,および Mod-SRMにて剪断変位 1.5[mm]の時の形状を静解析によって求め,その
時の主応力分布を計算し比較した.Fig. 11-10を見ると,赤丸で囲んだたるみ領域の主応力分布について,
Mod-SRMは従来の膜要素モデルよりもシェル要素の結果に近い結果を得ることができた.
Analytical solution
[6]: 2 (1 )
3(1 ) A Ht
Analytical solution
DK shell Experiment MITC shell
[33]
Experiment MITC (NEDA) DK (ABAQUS)
Number of wrinkles [-] 17 14 18
Average height of wrinkles [mm] 0.33 0.53 0.37 Average wavelength of wrinkles [mm] 7.98 9.95 8.36
Fig. 11-10 主応力分布図(青:圧縮応力 赤:引張応力)