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教師の意識の変化

第 4 章 小規模民族学校による文化継承の役割

第 2 節 統廃合されなかった要因の分析

2. 教師の意識の変化

復興した学校は多くの問題に直面しています。まず、教師が足りないことが深刻 な問題になっています。教員の待遇については正式な教師になった後、給料は旗よ り毎月600元が高い上に、マンションと同じ条件の寄宿舎があります。それでも教 師がこないのです。若い教師にとっては都市のほうが良いです。働いている多くの 教師が、身体がソムの学校にあるが、心が旗の学校へ向かっています。(G 校長の 話)

G校長はXソムの教師の給料は旗より600元高い上に、マンションと同等の待遇であ る寄宿舎があるにも関わらず、教師が来ない、教師が足りないといった問題を抱えている。

教師の意識は旗へ向かい、旗の学校のほうが良いという意識が強いため、Xソムに残りた くないという理由があることがわかった。若手教師の多くが家庭を持っていない。都市化 が進むにつれて、多くの若者が都市の生活に憧れるようになった。教師たちから、牧畜地 域の民族教育のため頑張ろうという気持ちがなくなっていると指摘している。

(三) 保護者の意識の変化

保護者も都市の教育の質・教育条件が良いという意識が強いのです。なぜかとい うと、都市の施設設備などの条件が良いからです。しかし、都市の物価は高いです。

(G校長の話)

G校長の話から、保護者も都市(旗)の教育条件が良いと認知し、都市の学校に通う費 用が高いにも関わらず、子どもを都市に教育を受けさせていることがわかる。

(四) 子どもたちのモンゴル語学習に対する苦手意識

M2教師はA学校でモンゴル語の教師として23年間働いている。子どものモンゴル語 の勉強についてはこのように話している。

今の子どもの保護者は家庭内でも漢語で話すようになったため、モンゴル語を勉強 する時に影響が出るのはいうまでもないです。子どもは勉強が辛いと感じます。

M2教師は現在子どもの家庭内で話す言葉が変わっている、つまり家庭内でモンゴル語 ではなく、漢語を使うようになったため、家庭内の母語環境が破壊され、モンゴル語の勉 強が難しくなっているという。

M1教師は集寧の師範大学のモンゴル語専攻を卒業して、今年の9月に試験合格して入 ってきたばかりの教師なので、経験不足ではあるが自分の方法で子どもにモンゴル語を 教えているという。インタビューの日、M1教師のモンゴル語の授業を参観した。授業後 M1教師は「モンゴル語の勉強は子どもにとっては少し難しいかもしれないです。モンゴ ル語の授業は重要な授業なので、子どもが文章を暗記しなければならないです。」という。

M1教師は若手教師なので、子どもにモンゴル語を教えながら、教える方法を模索してい る。そして、その中から良いと思った自分なりの方法で子どもたちに教えているという。

今は子どもにとってモンゴル語の学習が少し難しい状況にある。しかし、モンゴル語は授 業言語として漢語と英語以外全ての科目を勉強するとき使う言語なので、重要な言語だ という。

第3節 まとめ

Zソムの学校関係者と牧民に対して行ったインタビューから、統廃合されずに存続した A学校は、Zソムの多くの牧民の子どもを育て、多くの人材を育てた学校であることが分 かった。また牧民の子どもがソムの実家から直接学校に通うことができ、それが牧民にと って便利であるため、非常に重要な位置づけの学校である。A学校が統廃合されそうにな ったとき、地域の牧民から学校を守るために学校統廃合に反対する運動が行われ、彼らの 協力のもとで存続された学校である。A学校が維持されたからこそ、Zソムの子どもたち は家庭への愛着のもとで、民族環境に恵まれ、民族文化を身につけながら、学校に通って いる。ソム・ガチャのような牧畜地域で育てられた子どものほうが、より民族アイデンテ ィティを持ち、民族意識が強いという。ソムの実家から学校に通えるという事は子どもの 家庭教育の充実を意味し、母語学習に役に立ち、その結果、民族文化継承が可能になる。

特に民族特色がある学校授業の導入以降、子どもたちの民族文化への接触機会がさらに 多くなり、民族文化を身につけるチャンスが増える。A 学校の教育関係者と牧民は Z ソ ムの学校に対する希望が高い。民族文化継承に対して自負があることがわかる。ただし、

モンゴル語の授業参観及び、モンゴル語の教師へのインタビューから、子どもたちは実際 にモンゴル語の勉強にある程度苦手に感じていることがわかり、それが家庭内での言語 使用が変容していることを示唆していると考えられる。

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B学校は一回統廃合されたことがあるため、8年もの長い間、Xソムに小学校がなかっ た。そしてXソムに学校がなかった8年間に、牧民の認識の中に、学校に入るとしたら、

都市を選ぶという意識が形成されたと考えられる。確かに現地調査によりみても、B学校 の現在の施設設備は整えられていなく、教師不足などが学校の発展の阻害要因になって いる。もし学校側が教育の質を向上できなければ、牧民は自分の子どもをそこに行かせな いであろう、ということが想定できる。

受験競争が激しい中国においては、多くの人々は成績が良いと将来の仕事に繋がるの である、という意識が強い。これは応試教育の影響だと言える。そのため、たとえソムの 学校に通うことが経済負担を軽くしてくれるとしても、牧民は高くても、教育の質が良く、

学校の施設設備が整えられている学校を選ぶことが多い。都市化に伴い、人々は交通が便 利で、買い物がしやすく、綺麗な町への生活、仕事に憧れるようになり、農牧地区に戻っ て来たくないと考える傾向がある。したがって、多くの子どもたちが都市の学校に通うた め、長年にわたり地元と親と離れるようになった後、他文化との接触が多くなるにつれて 民族のアイデンティティ、民族意識がなくなり、親子の間の距離が生じて、親子の間の愛 情が無くなっている原因になっているということも考えられる。

また、現在B学校の給料は所属旗より600元高いにも関わらず、教師が募集来ない状 況であるという。

A・B二つの学校は学校統廃合による影響を受けた経験がある学校であるといえる。牧 民の運動によって、統廃合されずに維持された A 学校と、一回なくなったあと再建され たB学校の運命は全く違うといえるだろう(表4-3-1)(図4-3-1)。A学校は統廃合さ れずに維持されたため、学校の規模が徐々に拡大するにつれて、民族特色の授業などが導 入され、周りのほとんどの住民の子ともが地元、つまりZソムの学校に通っている。そこ の学校関係者によると今年の新規教師は5名である。

しかし、一回統廃合され再建した B 学校は、多くの問題に直面している。学校の発展 は非常に困難である。それは主に四つの理由に整理される。一つ目は、資金不足のため、

学校の施設設備が整っていない。二つ目は、子どもが集まらない。三つ目は、教師募集し ても来ない。四つ目は、周りの住民が学校の教育の質について心配して、子どもを行かせ たがらない。今年は教師を募集したが、一人も来なかった。

この2校の事例から明らかになって来たのは、一旦学校がなくなったら、再建しても文 化が継承されるとは限らない。学校の元の様子に戻すのはかなりの時間や資金と努力が 必要である、ということである。教員の保障、教育の質の保証、牧民と学校の間の信頼関 係を築く、なくなっている民族意識の回復など、かなりの時間と努力がないと実現できる ものではないということが、ここまで見てきた中で、明らかになったと言えるのではない だろうか。

表4-3-1: A・B小規模民族学校の状況の比較 学校

項目

A学校 B学校

維持・存続 2008年統合→2016年復興

教員

小学校教師 幼稚園教師代替 小学校の教員免許持っている 幼稚園の教師が担当している 学校

施設設備

教室、体育館、体育場、図書室、舞 踊室、美術室、実験室

教室

学校の面積が大きい 学校の面積が小さい 学年

一年生、二年生、三年生 五年生、六年生

一年生

四年生がないのは当時生徒が少ない 上に教師不足ため、学校から

クラスを建てなかった

生徒が来ないため、学年が増えに くい

都市へいく 生徒

少ない 多い

ソムの学校に通うのが多い ソムの学校に通うのは少ない 教師補助7 旗より200元高い 旗より600元高い

新しい教師 5名 なし

漢語使用 漢語の授業以外禁止

表注:A・B学校の状況に基づいて筆者作成

図4-3-1:子どもの A・B学校に通っている状況

図注:A・B学校の状況に基づいて筆者作成

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