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インタビューから見えてきた学校統廃合への反対理由

第 4 章 小規模民族学校による文化継承の役割

第 2 節 統廃合されなかった要因の分析

2. インタビューから見えてきた学校統廃合への反対理由

学校統廃合が実施されて以来、それは牧民の生活に影響をもたらし、特に経済負担が著 しく増加した。牧民と学校関係者は以下ように述べている。

寄宿制学校に行った後、いじめられるとか、お金が奪われるといったことが多いで すよ。牧民は全てが裕福な生活をしているわけではないし、しかも、子どもが幼いか ら、彼らの世話をするため、お母さんが一緒に旗に行って、家を借りて暮らします。

お母さんが旗に行った後、家事や家畜の世話をするにお父さん一人では間に合わな いから人を雇用します。そうすると、子どもと奥さんもあちらにお金を使う上に、こ こで人を雇用しているから給料も払わなきゃいけないです。それで生活費、往復の交 通費、雇用費などの細かいお金をたくさん使って、貧乏になった人が多く見られます よ。(F牧民の話)

F牧民は学校統廃合した後、子どもが寄宿生活を始め、新しい学習環境になり、そこの 生活に慣れず、いじめられたりして、せっかく親からもらったお金を奪われてしまう例が 少なくない、それが牧民にとってはさらに経済負担になるという。そして、お母さんが旗 に行って、借り家で子どもの面倒を見る場合、家賃を払わなければならず、同時にソムの 実家の家事に間に合わないお父さんが人を雇用する。F牧民は子どもの通学交通費、家賃、

生活費、人を雇用費などの方面から分析し、牧民の受けている経済負担が大きいため、貧 しくなった牧民が多くなっているという。

学校統廃合のため、牧民の生活負担が大きくなっていることを学校関係者は以下のよ うに話している。

M副校長はA学校に勤務して15年目である。学校統廃合でZソムの牧民の家庭経済 負担についてこのように話している。

子どもの面倒を見るため母が旗に行ったら、父が一人で、家事、食事、家畜の世話 や搾乳などの仕事を全部一人でやります。もし父が旗に行ったら、家庭内の力仕事を やる人がいなくなってします。

M 副校長は子どもが幼いので、子どもの面倒を見るために、母と父の一人が絶対旗に いかなければならないという。母と父のどちらが旗に行っても、実家の家事をやるのは大 変だという。それが、生活に負担をかけていることを強調している。

L校長は教育の仕事に携わって30年になり、仕事を始めてから四箇所のソムの学校に 勤めたことがあるため、牧民の生活について詳しいという。

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牧民を例としていうと、草原で遊牧生活をしているため、牧畜地域は労働力が欲し いです。牧畜地域は農業地域とは違います。牧民は一年中ほとんど家畜、例えば牛、

羊から離れることは難しい。子どもが学校に寄宿生活をして、子どもの学校に使う経 費が多くなるにつれて、保護者、牧民の経済面の負担が重くなっていきます。それで、

一部の牧民が貧しくなったことが多くなりました。これが学校統廃合のため発生し た直接の原因ではありませんが、間接的な原因の一つだと思います。なぜかというと、

ある保護者は子どもと一緒に都市に行きます。夫が残って家事をやり、奥さんが都市 にアパートを借りて生活します。一ヶ月千元の家賃、食事代などを加えたら、一年間 で子どもに使うお金は少なくないです。一年の家賃は一万二千元で、家の一人の労働 力が子どもと一緒に行ったら、家事をやる労働力が足りなくなります。そのため、ほ かの人を雇用します。これもお金がかかります。お母さんが子どもと借家で、お父さ んは人を雇用して、家事をやらせます。家庭が二つに分かれて生活するのはより多く 費用がかかります。

L校長も、牧民の生活面から、遊牧生活している牧民は体力を消費する仕事が多いため、

労働力が足りない問題を常に抱えており、その上、子どもの面倒を見るため、一人が旗に いってしまったら、さらに人手不足になり、仕方がなく、人を雇用する。これが牧民の負 担になっているという。また、家庭が二つに分かれるとさらにお金がかかってしまうとい う。

X学校のG校長は教育現場に26年間勤めている。

牧民の負担は増えています。都市に行った後にどんな現象が起こっているかは、

あなたは日本にいるからわからないかもしれません。小学生が都市に住むと、毎月

1,000 元はかかります。それは宿泊費です。毎月の交通費は 300-400 元です。保護

者も旗に行ったら、一ヶ月は 3,000 元になります。子どもが二人いたら、少なくと

も一人 2,500 元になります。牧民はお金がばかり使っています。なぜかというと、

子どもが旗にいますから。旗に家を買ったり、アパートを借りたりして、子どもを 住まわせます。近年は牧民の収入もよくないし、家畜の値段も安いです。牧民は皆、

お金を借りていました。借金ばかりです。旗に子どもを通わせると、様々な費用が かかり、家庭負担になっています。

G 校長は、牧民の子どもを旗の学校に行かせるためにたくさんのお金を使っているこ とを、データを用いて説明した。お金を借りて、子どもを旗の学校に行かせているため借 金が多いという。そのため家庭の経済負担が増えているという。

2) 通学の問題

ソムに学校があったほうがいいですよ、そうでないと子どもはどうしますか。小学 校がなくなったら、子どもはどうやって勉強しますか。全員が旗の学校にいくことに

なったとしても、旗まで遠いではないですか。家族が付き添うことはできません。ど の家庭もが子どもに付き添うことができるわけではありません。やっぱり身近な場 所に学校があったほうがいいです。(S牧民の話)

S牧民はソムに学校があったほうがいいという。学校がないと子どもの通学が不便にな る。しかもソムの牧民は家庭を持ち、家畜を持ち、それらを置いたまま、子どもと一緒に 旗に行けるわけではない。そのため、ソムに学校があったほうが牧民の生活にとっては便 利だという。

E牧民はZソムで生れ育ち、子どもが4人いる。しかも子ども4人は全部A学校を卒 業した。

ソムに学校がないことはありえないですよ。ソムのすべての家庭の子どもが旗の学 校に行けるわけではないです。ソムの牧民は家畜の世話のためにいつも牧場を行き 来していて、その間に祖父母が家に残って子どもの世話をするのに学校が近い方が 便利です。

E牧民はソムに学校がないと生活が大変だという。牧畜地域は、家畜のために秋になっ たら牧場に行って、草刈りすることがある。その時、父母が牧場に行った後、祖父母が家 に残って子どもの世話をする。あまりソムから出たことがないお年寄りにとっては、都市 の生活より慣れたソムのほうが便利であり、父母がいないとき、子どもの面倒をみるのに ソムの学校はより良いという。

3) 民族文化の継承の難しさ

学校がなかったら、文化がなくなったら何を発展させるのですか。人を育てるのは 文化ですよ。ソム、故郷の牧民の文化が発展しないと意味がないではないですか。(F 牧民の話)

F牧民は文化を発展させるところは学校だといい、学校がなくなったら文化が継承され なくなる。さらにソムの牧民の民族文化は学校を通じて継承されているため、ソムの民族 学校がなくなったら、文化の継承は困難になるという。

近くの鎮では民族学校がすでになくなりました。全部漢民族学校です。今漢化が深 刻です。一般的にはあまりモンゴル語で話さない、あまり少数民族語で話さなくなっ てしまいました。モンゴル語で話すのはお年寄りのほうが多いです。子どもと若者は ほとんど漢語で話します。(S牧民の話)

学校統廃合政策が実施されて以来、多くのソムの学校が統廃合された。

Zソムの近くにもう民族学校が無いのは統廃合されてしまったからであり、民族学 校はZソム内にあるA学校しか残ってない。(S牧民の話)

もし A 民族学校までもが無くなってしまったら、子どもは旗まで行くか漢民族学校に 通うしかなく、民族学校に通うことが困難になるという。Aソムの近くに残っているのは 漢民族学校の方が多いという。現在、ソムではお年寄りの方がモンゴル語を話し、子ども

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と若者は漢化の影響であまり民族語を話さなくなっているという。A ソムの近くは民族 学校がなく漢民族学校が多いため、それに影響されている可能性がある。民族意識が強い 人は民族学校が遠くても、子どもをその学校に行かせる人もいる。しかし、子どもを遠く の学校に行かせたくない場合は近くの漢民族学校を選んで、そこに子どもを通わせるこ ともある。近くに民族学校がないと、やむを得ない場合には漢民族学校を選択することが あり、それによって民族文化の継承ができなくなるのはいうまでもない。

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