基準財政収入額は、基礎収入額と補正収入額、そして収入自主努力の加減で構成されて いる。韓国地方交付税法の第8条によると、基準財政収入額は地方自治団体の実際の収入 実績ではなく、標準水準の一般財源収入額で算定する。基準財政収入額では、算定された 収入額の全てではなく、算定結果の
80%だけが反映される。これは、地方財政の歳入の余
力を確保し、地方自治団体の自主徴税の努力を促進するためである。基準財政収入額
=
基礎収入額+補正収入額±
収入自主努力基礎収入額の算定対象は、地方税と経常税外収入額である。表4.3からわかるように、
地方税の税収見込みは、税目別過去の徴収額資料を用いて時系列分析で推定するが、税目 別・地域別特性を考慮し、線形回帰モデルと非線形回帰モデル(2次関数、指数関数、
S-Curve)
などが選択適用される。税目別に具体的にみると、主要基幹税目である取得税、登録税、
タバコ消費税、住民税は年度別税収入を回帰分析し、年平均税収入増加額の推定値を適用 し、該当年度の税収入額を推定する。財産税は、税収入を時間に対する二次関数と仮定し て回帰分析した結果を根拠に該当年度の税収入を推定する。その他の普通税と目的税は、
前々年度徴収実績に基づいて該当年度の税収入を推定する。
ここでわかるように、基準財政収入額のなかでもっとも中心的な存在である基礎収入額 は、基本的に各地方自治団体別の実際の地方税収入資料を活用し、年平均増加率を適用し、
計算するのである。
また、補正収入額は、基準財政収入額などを補完するため、目的税収入と経常税外収入 などを対象にしている。地方交付税法施行規則第5の2によると、補正収入額は、①目的 税収入額の
80%に当たる金額、②地方税決算額の精算分の 80%に該当する金額、③市・郡
の場合、広域市長、道知事から配分された一般財政補填金と市道税徴収交付金及びその金 額の前々年度精算分、④税外収入のうち、使用料・手数料・財産賃貸および利子収入の80%
に該当する金額、⑤税外収入のうち、使用料・手数料・財産賃貸および利子収入の決算額
精算分の
80%に該当する金額、⑥不動産交付税収入額および前々年度決算額精算分の 80%
に該当する金額である。
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表4.3 地方税および経常税外収入などの収入額算定方式
区 分 算 定 方 式
地方税
(普通税)
(目的税)
取得税 線形回帰モデル( Yt = 𝑎 + 𝑏𝑡 ) 登録税 線形回帰モデル( Yt = 𝑎 + 𝑏𝑡 )
免許税 前々年度徴収実績 × 年平均増加率
レジャー税 前年度9月までの徴収実績累計額 ÷ 9 × 12
財産税 非線形型モデル(2次関数 : Yt = 𝑎 + 𝑏𝑡 + 𝑐𝑡2) ) タバコ消費税 線形回帰モデル( Yt = 𝑎 + 𝑏𝑡 )
住民税 線形回帰モデル( Yt = 𝑎 + 𝑏𝑡 ) その他普通税(自動車・屠畜・
走行税)
前々年度徴収実績(税目別合計額) × 年平均増加率
*走行税のうち、運輸業補助金分は除外 目的税(都市計画税、共同施設
税、地域開発税、事業所税)
前々年度徴収実績(税目別合計額) × 年平均増加率
*走行税のうち、運輸業補助金分は除外
経常税外収入
(使用料、手数料、財産賃貸収入、利子収入)
𝑌t =∑3𝑡=1(𝑎𝑡 + 𝑏𝑡 + 𝑐𝑡 + 𝑑𝑡) 3
a:使用料収入額、b: 手数料収入額
c: 財産賃貸収入額 d:利子収入額
一般財政補填金・市道税徴収交付金 該当年度の市道税推計額などを基礎に算定 不動産交付税 自治団体別交付(予定)金額
注:1. Y:地方税収 、t:該当年度(1,2,…,t)。
2. 税目別・自治団体別に税収事情の特殊性などを考慮し、推計手法を補正適用も可能。
資料:韓国地方交付税法施行令別表
3。
このように、地方交付税法では、標準税率の
80%に該当する税率を適応し計算した税額
を基準に基準財政収入額を算定するようにしている。アン・ジョンソク(2008)は、標準 的な租税体系を適用して、税収確保能力の地域間格差を推定し、その結果に根拠して平衡 化補助金を配分することを提案する。しかし、実際の算定方式によると、該当自治団体の 時系列資料により推計した税収入の80%を基礎収入額とし、その後、地方税収入の精算を
持った実際値と推計値の差額の80%を補正需要として基準財政収入額に入れることとなる。
つまり、3 年間の期間で統合してみると、実際地方税及び経常税外収入の
80%を基準財政
収入額とすることと同一の結果になる。基準財政収入額は、実際発生した自主財源ではな98
く、歳入確保能力の地域間格差に焦点を当てるのが望ましい。その方法は標準租税体系を 適用すべきである。現在の算定方式のもとでは、地方自治団体の自主収入確保努力の意地 を阻害するおそれがある。
最後に、収入自主努力分は、需要自主努力と同じように歳入における地方自治団体の自 救努力と責任遂行の程度を基準財政収入額算定に反映するものである。現在の収入自主努 力関連の項目は、地方税徴収率向上、住民税個人均等割引上げ、弾力税率適用、経常税外 収入拡充、地方税滞納額縮小、地方税税源の発掘の
6
種である。第2節.分権交付税の概要
1.地方交付税制度の中で特定財源の性格をもつ時限付きの制度
廬武鉉政権期の韓国の政府間財政移転制度の根幹は、国庫補助金制度と地方交付税制度 に分けられる。国庫補助金制度は国庫補助金と国家均衡発展特別会計の
2
つの制度で構成 されている。一方、地方交付税制度は、表4.4からわかるように、普通交付税・特別交付 税・不動産交付税・分権交付税の4つにより構成されている。第
3
章で述べたように、分権交付税は、地方分権促進のための地方財政改革の一環とし て、既存の国庫補助事業であった149
個事業の地方移譲を合理的に推進する目的で国家が 地方に財源を補填するため2005
年導入された制度ある。また、財源のうち7
割が福祉分野 であることから、地方福祉財源の1つとして役割を果たしているといえる。分権交付税は、具体的な使途を指定してはないが、その需要の算定は既存の国庫補助事 業を対象に国庫補助金を支援する代わりに、その該当する事業の需要に対応して配分する のが特徴である。これは、地方交付税制度の枠組みにある以上、同制度の需要算定と配分 の方式を取ってはいるが、実際の地方での運営は地方費を負担するという、既存の国庫補 助金制度の方式を維持しているのが特徴である。これは、既存の国庫補助事業をそのまま 地方交付税に移転した結果、表われた過渡的な性格であると思われる。
さきに述べた通り、地方交付税の財源は当該年度の内国税総額の
19.24%であるが、その
うち分権交付税は内国税の0.94%であり(2006
年度から改正された基準)、2006年度の総 額は1
兆65
億ウォンである。分権交付税制度施行以来、その規模は持続的に増加しており、廬武鉉政権の最後である
2008
年度の交付額は1
兆2,595
億ウォンとなった。これは、制度 がはじまった2005
年の総額8454
億ウォンに比べて57.0%の増加である。つまり、
「税源 移譲による地方分権の推進」ではなく、特定財源の部分的な一般財源化による既存の財政99
移転制度内の改革であった。ただし、表4.4に示しているように、全体政府間財政移転制 度のなかで分権交付税は
2007
年基準で2.6%であり、地方自治団体における財源の規模面
では比重が少ない。表4.4 韓国の政府間財政移転制度の種類と規模[2007 年度] (単位:億ウォン、%)
金 額 構成比率
合 計 379,559 100.0%
地方交付税
普通交付税 168,622 44.4%
特別交付税 7,397 1.9%
分権交付税 10,024 2.6%
不動産交付税 10,200 2.7%
小計 196,243 51.7%
国庫補助金
国庫補助金(一般) 124,249 32.7%
国家均衡発展特別会計 59,067 15.6%
小計 183,316 48.3%
注:当初予算基準。
資料:韓国企画予算処『2007年度 地方自治団体予算概要』p.41,p55。
2.分権交付税の仕組みと算定方式
分権交付税は経常的需要と非経常的需要に区分して、算定・配分される。表4.5と図4.
2に示しているように、経常的需要は、地方自治団体別の財政需要額と地方移譲事業関連 統計および財政力を基準として算定される。非経常的需要は、一般需要と特定需要に区分 され、一般需要は人口数・財政力などを、特定需要は国の中長期計画を、それぞれ考慮し 算定・配分する。経常的需要と非経常需要の一般需要は公式により配分される。この際は、
個々の事業の需要を算定し金額的に纏めて配分されるが、具体的な資金の使途を指定はし ていないため、包括的補助金(Block Grant)の性格をもつ93。ただ、こういう配分公式に
93包括的補助金は、アメリカの
ACIR
(Advisory Commission on Intergovernmental Relations)の定義によると、機能的に広範囲に設定した補助事業を対象に、法定公式により資金が配分され る補助金制度である。包括的補助金の長所としては、地方自治団体側の予算執行単位における大 きな裁量権、国の責任の縮小、補助事業の行政・財政管理の効率化、利益集団政治の事前抑制、