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廬武鉉政権期における地方交付税の社会福祉財源保障の考察

ドキュメント内 韓国における財政分権改革の研究 (ページ 88-94)

はじめに

2003

年に地方分権を掲げて登場した廬武鉉政権は、少子高齢化による地方自治団体の社 会福祉関連財政支出の増加による財源の確保を強いられた。これは、自主財源の慢性的な 脆弱さを根本的に変えられず、当面の社会福祉需要増加に対応するため、やむを得ず移転 財源制度中心の財源確保に移るようになった。

社会福祉に関連する韓国の政府間財政移転制度は、2005年に廬武鉉政権により、既存の 地方交付税、地方譲与金、国庫補助金体系を地方交付税と国庫補助金の

2

本柱の体制に改 編したものである。地方分権を掲げてきた廬武鉉政権のもとで、地方の財源の総額は増加 したが、それは税源移転ではなく、移転財源改革及び地方交付税の法定交付税率引上げに よるものであった。特に、地方交付税制度内の分権交付税の新設は、その両面の性格を同 時にもつ。

地方費負担が発生する国庫補助金と分権交付税制度を中心の直接的な財政支援に対し、

普通交付税は間接的な支援の役割を果たしている。普通交付税は、前者の国庫補助事業の 増加に応じて財政力の弱い地方自治団体の地方費負担が増加し、地方自治団体間の財政不 均衡が深化するなかで、もともと財政力の平衡化というメリットをもつ社会福祉財源とし て評価できる。こういうなか、廬武鉉政権時代に行われた普通交付税制度の交付税率の引 上げは、地方財政において、財源拡大の主な要因として挙げられる以上に、社会福祉財源 の確保の面でも重要な意味をもつ。

しかし、普通交付税の福祉関連項目の需要算定は十分とはいえない状況である。地方の 社会福祉費財源の拡充が強化されているが、基準財政需要額の算定過程で福祉需要は、基 準財政需要額の

14%まで増加しているが、これでは、近年急増傾向の福祉需要に能動的に

対応できるには十分とは言えない。また、財政需要の算定式においても、配分方式が複雑 であり、透明性が阻害される問題もあり、実際の地方自治団体の福祉需要額と普通交付税 の社会福祉費関連の算定額との乖離問題も存在する。

一方、分権交付税は、廬武鉉政権による地方分権改革プランの1つとして行われた国庫 補助金整備事業のなかで、既存の国の国庫補助事業

149

個を地方に移譲し、その際に必要 な財源を国家が補填する制度である。つまり、既存の国家補助事業が地方に完全移譲され る前段階に国家が一種の包括補助金として

2005

年から

2009

年の

5

年間運営した後、普通

89

交付税に統合される予定であったが、期限が延長されて、2014年末まで存続することとな っている。

分権交付税の主な役割とされる社会福祉サービス財源保障の性格については、重点的に 検討すべきである。廬武鉉政権期は、高齢化社会に入ってセーフティーネットの拡充圧力 が高くなるなかで、地方財政においても社会福祉財源の確保が重要課題になった。これに 伴って、分権交付税の役割も注目されるようになった。すなわち、財政調整制度である地 方交付税の中に社会福祉サービス関連事業の財源を設けたものとして重要な意味をもつと されているのである。

本章では、地方交付税制度内の普通交付税と分権交付税の問題を地方の社会保障における 財源保障の面で検証する。まず、普通交付税の場合、2005年度の地方財政制度改革が反映 されて以降の制度分析を行い、実際の普通交付税制度の基準収入額と基準財政需要額の算 定方式のうち、社会福祉費関連の項目の内容を中心に考察してみる。また、それらを踏ま えつつ、分権交付税制度の特徴を、主に地方の福祉財源の運営の側面から分析する。この 際、制度運営の問題に焦点を当てるとともに、分権交付税の代案を含め、これからの地方 財政における福祉財源の確保という点からも検討を加える。

第1節 普通交付税算定過程でみる社会福祉項目の分析

普通交付税は、全ての地方自治団体が一定な行政水準を維持するための標準的基本行政 遂行経費を産出し、その地方自治団体の一般財源収入で充当できない分を国の一部からな る財源で補填するものである。図4.1からわかるように、普通交付税の財源配分は毎年基 準財政収入額が基準財政需要額に対して不足している地方自治団体に一定の調整率をかけ、

配分する。基準財政需要額は各自治団体の財政需要を合理的基準により算定した標準的な 財政所要額であり、基準財政収入額は各自治団体の財源調達力を合理的基準により算定し た標準的な財政収入額である91

91 韓国の地方自治法第

2

条第

1~6

項による定義。

90

図4.1 普通交付税算定の流れ図

基礎需要額の算定

(4 個測定項目、17 個細項目)

基礎収入額の算定

(普通税推計額の 80%)

+ +

補正需要追加 補正収入追加

○教育費特別会計転出金

―特別・広域市タバコ消費税の 45%

―市・道税(普通税)総額の 3.6%~10%)

(ソウル 10%、広域市・京畿道 5%、その他道 3.6%)

○一般財政補填金及び前々年度精算分(市・道)

○市・道税徴収交付金及び前々年度精算分(市)

○都農複合型市・郡統合団体財政需要補強(市)

○地方選挙経費精算分反映

○後進地域など地域均衡需要補強

○社会福祉均衡需要補強

○目的税収入額の 80%

○経常税外収入額の 80%

○前々年度地方税および経常税の収入決算額 精算分の 80%

○一般財政補填金及び前々年度精算分(市郡)

○市・道税徴収交付金及び前々年度精算分

(市郡)

○不動産交付税収入の 80%及び前々年度精算 分の 80%

資料:韓国行政安全部『地方交付税算定解説』。

需要自主努力程度加減 収入自主努力程度加減

基準財政需要額算定 基準財政収入額算定

財 政 不 足 額

普 通 交 付 税 算 定

調整率適用

地 方 自 治 団 体 c

91

普通交付税制度は、金大中政権期から廬武鉉政権期に至るまで

3

度にわたり法定交付税 率の引上げを行い、地方財政において、財源拡大に貢献した。普通交付税の交付税率は

1983

年以降内国税の

13.72%で運営されてきたが、 2000

年に

15%に引き上げられ、2005

年から 既存の地方譲与金制度が廃止により、その財源の一部である道路事業譲与金が地方交付税 の財源になるほか、地方交付税制度内に分権交付税が新設されるなどの影響で

19.13%まで

引き上げられた。2006 年度から普通交付税は法定交付率である内国税総額の

19.24%のう

ち、分権交付税の法定率

0.94%を除いた財源の 96%(4%は特別交付税の財源)が普通交付

税として運営される。また、別途の地方譲与金道路補てん分

8,500

億ウォンも含んで運営 されている。

普通交付税の基準財政収入額の算定方式は近年ほぼ変化がないが、基準財政需要額は毎 年改編されている。この措置の背景では、地方税であるタバコ税の徴収が不十分である一 方で、社会保障制度のうち社会福祉サービス事業を中心にの事業費歳出が急増したことが ある。普通交付税の社会福祉関連の項目は、基礎生活保障費、老人福祉費、乳幼児・青少 年福祉費、障害者福祉費、一般社会福祉費から構成されている。主要測定変数は、国民基 礎生活保障受給者数、老齢人口数、乳幼児・青少年数、登録障害者数、人口数である。た だし、算定された金額は、地方自治団体の実際の社会福祉分野に使われる金額との差異が 存在する可能性がある。これは、一般財源である地方交付税の性格上、総額基準で交付さ れるのに対して、各地方自治団体ごとに自律的な予算の編成および支出が行われるためで ある。また、基準財政需要額の算定において、社会福祉の測定項目と比重が飛躍的に増加 されている。これは、国の既存の社会福祉サービス事業を地方に移譲する際に伴う地方費 負担を緩和させる目的も含まれている。

地方交付税制度自体は、社会福祉需要の増加に対応するための実質的な財源保障装置と して作動するのは限界がある。財源の規模自体が限られ、財源の使途が特定されてないか らである。しかし、地方交付税の社会保障財源としての機能は着実に進んできた。地方財 政支出増加が主に社会福祉の増加に起因するなかで、普通交付税の基準財政需要額算定に おける社会福祉関連の測定項目と比重は近年急増しており、社会福祉財源としての普通交 付税の役割に注目するべきである。

1.基準財政需要額算定の仕組み

基準財政需要額

=

基礎需要額(

80%

)+補正需要額(

20%

±

需要自主努力

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