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ドキュメント内 韓国における財政分権改革の研究 (ページ 124-136)

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表5.1 地方歳出予算における社会福祉サービスおよび公共扶助関連項目

分野 部門 部門に該当する業務 政策事業の例

080 社会福祉

081 基礎生活保

・住民最低生計および基礎生活保障の業務 国民基礎生活

保障、低所得 層生活安定支 援等。

・基礎生活給与、教育給与、医療給与

・自活支援、基礎保障支援

cf.地方公共勤労事業は除外(086 労働に分類)

082 衰弱階層支

・障害者・児童など衰弱階層の保護および福祉増進の業務

衰弱階層児童 保護、障害者 福祉増進、ホ ームリス保護 および支援

・社会福祉総合支援政策

・障害者・児童社会福祉(施設物設置含む)

・福祉会館運営

・社会福祉基盤助成、社会福祉支援政策

・社会福祉事業評価

・地域社会福祉

・ホームリス保護施設、義死傷者および災害救護

cf.邑面洞(基礎団体)で運営する福祉会館は除外(016 一般行政該当)

084 保育・家族 および女性

・女性政策の企画・総合、家庭暴力・性暴力防止および被害者保護、売春 行為防止、両性平等および女性能力開発、児童・保育関連業務

保育・家族支 援、女性福祉 増進

・女性福祉(施設設置含み)

・家庭暴力・性暴力相談所

・女性団体支援等

・男女差別禁止、女性人力養成等の女性権益増進

・保育インフラ構築、保育施設運営、保育料支援

・家族倫理教育、家族計画、家庭儀礼等の家族文化

・母子・父子福祉等

085 老人・青少年

・老齢に伴う諸危険(所得喪失、社会生活参与低下等)に対処するための 諸業務

老人福祉の増 進、青少年保 護および育成

・青少年育成・保護・活動支援のための業務

・老人生活安定、老人医療保障、老人就業支援

・老人等社会福祉(施設設置含み)

・青少年育成、青少年活動支援、青少年保護

・青少年施設融資、その他の青少年関連支援

086 労働

・勤労条件の基準、労使関係の調整、産業安全保健、勤労者の福利厚生、

雇用政策および雇用保険、職業能力開発訓練、その他の労働に関する業務 の他 12 種

087 報勲 ・国家有功者およびその遺族に対する報勲、除隊軍人の支援および軍人保 険等の法令が定める報勲に関する業務の他 7 種

088 住宅 ・賃貸住宅建設、需要者融資支援の他 3 種 住居環境改善

089 社会福祉

一般 ・基礎生活保障(081)から住宅(088)に属しない事項 資料:韓国行政安全部『地方自治団体予算概要』2007年度版。

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また、保健福祉部の国庫補助金は一般会計事業であり、他の部処の補助金は特別会計事 業であるのが特徴となっている。そのため、社会福祉関連の国庫補助金が拡大すると国の 一般会計予算構造が硬直化する要因になる恐れがある118。それに加えて、社会福祉関連補 助金が増加すると、国庫補助事業の地方費負担比率が急増して、地方の自主事業の比重が 低下してしまう。また、高齢者関連の福祉費は、日本では財政力の高い地方団体ほど、財 源に余裕があるため、地方単独事業を増大させる傾向がある119。それに対して、韓国の場 合、老人福祉費に対する国庫補助事業の比重が圧倒的に多いため、地域ごとの単独事業よ りも、国が主導する義務的な事業を中心に高齢者福祉事業が増加したのである。

また、第3章で述べたように、国庫補助金制度は基本的に申請により事業が推進される ため、地域開発事業の場合、地方自治団体間の競争が激しい。それに対して、社会保障関 連事業の場合、申請は相対的に消極的である。それは、大半の事業は国の主導で推進され ているからである。ここには、憲法と社会保障法が「社会保障関連事業を国と地方自治団 体の共同責任」と規定しており、社会保障事務が「機関委任事務」であるか「自治事務」

であるかの責任の配分がはっきりしていない、という問題がある。

2.国庫補助金による地方費負担と差等補助率

韓国の社会保障関連の国庫補助金は、上で述べたように、地方費負担を前提とする総額 上限つき定率補助金である。地方自治団体が自律的に選択できる余地が多い経済開発分野 補助金の場合、空港、鉄道、港湾などの大規模の事業への投資は、地方費負担なし、つま

100%国費で賄われることがある。それに対して、社会福祉費は義務的支出経費であるに

もかかわらず、地方費負担率が

0~70%と相対的に高く定められている。これは、零細な地

方自治団体において地方財政の福祉負担問題が深刻化する原因となる。

また、社会福祉需要に対する財源保障が不足しているうえ、予算事業が乱発され、それ が地方財政の圧迫要因となっている。政府が補助率の低い福祉事業を多数設置し、投資的 補助事業の設置費、経常的補助事業の運営費には義務的に地方負担を要求するという悪循 環が繰り返されている。表5.2からわかるように、社会福祉関連国庫補助金の予算の増加 率をみると、2005年度から

2009

年度まで年平均増加率は

27.4%であったが、同期間に地

方費負担額の年平均増加率は

36.3%とそれを上回っており、これが地方財政の主な負担と

なっていることがわかる。また、これは地方財政における社会福祉予算全体の年平均増加

118 イ・ウォンヒ(2011)p. 33を参照せよ。

119 齊藤・中井(1991)pp. 265-273。

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率である

22.6%よりも高い数値であり、それは国からの財政移転の規模が十分ではないこ

とを示している。すなわち、地方財政において、急速に社会福祉予算が増加しているなか で、国の責任転嫁が生じているのである。

表5.2 社会福祉関連国庫補助金と地方社会福祉予算 (単位:兆ウォン)

2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009 年平均増加率 保健福祉部予算(一般会計) 8.9 9.7 11.5 15.9 19.2 21.2%

うち社会福祉関連国庫補助金 5.0 6.0 7.8 11.2 13.0 27.4%

(対保健福祉部予算比重) (55.6%) (62.2%) (67.8%) (70.4%) (67.7%)

地方費負担額 1.8 2.2 2.9 5.1 6.2 36.3%

(対保健福祉部予算比重) (20.0%) (22.1%) (24.7%) (32.0%) (32.0%)

地方歳出予算規模 107.1 115.5 128.0 144.5 156.7 10.0%

うち社会福祉予算規模 12.9 15.3 18.8 23.7 29.2 22.6%

(対地方歳出予算比) (12.0%) (13.3%) (14.7%) (16.4%) (18.6%) 資料:韓国行政安全部『地方自治団体予算概要』各年度版、保健福祉部『統計年報』各年度版。

廬武鉉政権当時の社会保障分野においては、政策部門間ごとの特性を考慮し、異なる基 準補助率が適用されていた。しかし、同一事業については、地方自治団体に原則として同 一の補助率が適用されている。これは、基本的に補助金が申請主義を前提としているため である。ただし、財政力の差を理由として、ソウル特別市とその他の地域との間で差等補 助率が実施されている。表5.3に示した事業では、ソウル特別市の区域はその他の地域よ り国費補助率が

20~30%低い傾向がある。老人社会福祉分野の場合、基礎生活給与と敬老

年金において差等補助率が設けられている。

表5.3 社会福祉関連国庫補助事業における差等補助率の例(2007年度)

事業名 基準補助率(国費:広域団体費:基礎団体費)

基礎生活保障 ソウル特別市 50:25:25 その他の地域の地方自治団体 80:10:10 乳幼児保育 ソウル特別市 20:40:40 その他の地域の地方自治団体 50:25:25 敬老年金 ソウル特別市 50:35:15 その他の地域の地方自治団体 70:15:15 低所得障害者支援 ソウル特別市 50:25:25 その他の地域の地方自治団体 80:10:10 資料:韓国行政安全部『地方自治団体予算概要』2007年度版。

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国庫補助金事業による老人福祉事業としては、表5.4に示したように、

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個の事業が設 置されており、そのうち主な事業としては敬老年金、老人就業支援、老人生活施設機能補 強などが挙げられる。また、公共扶助である基礎生活給与を除く

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個の事業は社会福祉サ ービスとして分類される。

なお、基礎生活給与は高齢者関連項目のなかで最も大きな比重を占めているが、高齢者 のみならず、社会福祉需要者全体を対象としている。さらに、予算書のなかでは、同項目 のうち高齢者向けの予算規模が明らかになっていない。そこで、以下では、高齢者1人当 たりの福祉費を計算する際は、これを含むものと除いたものを別々に算定し、実質的な分 析としては高齢者のみを対象とする純粋な国庫補助事業を取り上げることにする。

敬老年金については、老人福祉法第

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条が、65歳以上の国民のうち生活保護法第3条の 規定による保護対象者などに敬老年金を支給する、と規定している。したがって、他の国 民年金法・公務員年金法・私立学校年教職員年金法・軍人年金法による年金支給対象者は 支援対象から除かれている。敬老年金の支給額は、国民年金法上の特例老齢年金の最低支 給額を基準に決定され、本人及び配偶者が敬老年金を支給される権利がある場合、そのう ち1人は年金額を100分の25減額されるが、両者とも生活保護対象者の場合は100%支 給される。

老人就業支援については、老人福祉法第23条が、高齢者の雇用制度に関連する老人社会 支援として「国家または地方自治団体は老人の社会参与拡大のため(中略)老人に適合す る職種開発と補給、勤労能力がある老人に働く機会を優先付与する(以下略)」と規定して いる。

高齢者医療については、老人福祉法第28 条が「65 歳以上の者および保護するものを関 係公務員または老人福祉相談員が相談を受け、指導するほか、65歳以上の身体・精神上の 顕著な欠陥による恒常保護を必要とする経済的困難者については、老人医療保護施設に入 所させ、ないし入所の委託を行うこと」と規定している。その他、アルツハイマー管理事 業(第29条)、老人リハビリ療養事業(第30条)、老人福祉施設の設置・運営(第31条)

などの規定もある。

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