107 表4.8 非経常的需要の算定公式
現在の内国税の 19. 24%である普通交付税の法定交付税率の更なる拡大への試みが必要であ る。
95 ソ・ジョンソッブ・ジョ・ギヒョン (2007) p.23。
96 イ・ヒョンウ (
2009a
)p.22
。110
普通交付税配分に際して、社会保障費が基準財政需要額のなかで占める割合は、廬武鉉
政権前の
2001
年度の9.34%
(全体基準財政需要額25
兆5964
億ウォンのうち社会福祉費2
兆
3,907
億ウォン)から2008
年度の21.7%(基準財政需要額 53
兆9,498
億ウォンのうち社会福祉費
11
兆6,936
億ウォン)に急増する推移である。表4.9ではさらに、廬武鉉政 権期である2003
年から2008
年の5
年間に範囲を絞って基準財政需要額算定における社会 保障費の測定項目は、廬武鉉政権が始まった2003
年と政権が終わる 2008 年度を基準にそ れぞれ比較した。表4.9 普通交付税の基準財政需要額における社会保障費 (単位:億ウォン)
2003年 2008年
全体地方 自治団体
広域市
・道
市 郡
全体地方 自治団体
広域市
・道
市 郡
基準財政 需要額全体
339,252 149,048 108,464 81,740 539,498 252,712 178,781 108,004 (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%) (100.0%)
社会保障費
36,743 21,989 9,655 5,100 116,936 66,375 33,641 16,920 (10.8%) (14.8%) (8.9%) (6.2%) (21.7%) (26.3%) (18.8%) (15.7%)
①一般社会福祉費
19,582 12,028 5,287 2,267 18,172 11,063 4,717 2,392
(5.8%) (8.1%) (4.9%) (2.8%) (3.4%) (4.4%) (2.6%) (2.2%)
②老人福祉費
10,190 5,695 2,626 1,869 27,603 12,494 8,977 6,132
(3.0%) (3.8%) (2.4%) (2.3%) (5.1%) (4.9%) (5.0%) (5.7%)
③児童福祉費
- - - - 34,351 18,379 11,812 4,160
(0.0%) (0.0%) (0.0%) (0.0%) (6.4%) (7.3%) (6.6%) (3.9%)
④障害者福祉費
- - - - 10,977 6,332 3,231 1,415
(0.0%) (0.0%) (0.0%) (0.0%) (2.0%) (2.5%) (1.8%) (1.3%)
⑤基礎生活保障費
6,971 4,266 1,742 964 25,833 18,107 4,905 2,821
(2.1%) (2.9%) (1.6%) (1.2%) (4.8%) (7.2%) (2.7%) (2.6%) 資料:韓国行政安全部『普通交付税算定内訳』各年度版。
この期間での社会保障費の割合は、10.8%から
21.7%まで 2
倍以上になっている。これ は、基準財政需要額のうちでは、一般行政費(2003年度32.5%から 2008
年度36.8%)に
ついで2
番目に大きい比重である。社会保障費の細項目として、一般社会福祉費、老人福111
祉費、基礎生活保障費のほか、2006年に児童福祉費と障害者福祉費が新設されて現在に至 っている。少子高齢化の増大により、老人福祉費と児童福祉費の比重が年々増大している 半面、一般社会福祉費は相対的に低下している。2008年度の細項目の内訳をみると、基準 財政需要額における老人福祉費と児童福祉費の比重がそれぞれ
5.1%、6.4%であり、2
つ を合わせると、少子高齢化関連の財政需要算定が社会保障費項目の5
割を超えることにな り、これらが普通交付税内の社会保障費増加をけん引していることがわかる。さらに地方 自治団体のレベルでみると、広域自治団体である広域市・道は基本財政需要における社会 保障費の比重が26.3%であり、基礎自治団体である市・郡がそれぞれ 18.8%、15.7%で相
対的に低く算定されている特徴がある。老人福祉費の場合、相対的に高齢層が多い農村部 が主流である郡が一番高い数値であり、逆に児童福祉費は広域市で高い数値である特徴を 示している。また、基準財政需要額算定において社会福祉測定項目が大きく算定されている理由のも う1つとして、分権交付税と国庫補助事業の地方費負担を緩和させるという目的も大きい。
分権交付税の対象となる地方に移譲された社会福祉事業の予算規模は
2001
年から2005
年まで平均
20.5%の増加率の推移であるが、これに対する分権交付税の交付額は、慢性的な
財源不足に陥り、地方費の負担が多い状況であり、
2006
年基準の平均地方費負担率は58.6%
に達している。普通交付税の基準財政需要額算定において、社会福祉測定項目の比重が増 大されたのは、そもそも社会福祉事業の地方移譲に伴う地方費負担の緩和が主な目的であ ることを意味する。つまり、本来普通交付税制度のメリットである一般財源として地域の ニーズに合う福祉事業を推進する意味が完全に機能していない。言い換えれば、普通交付 税財源自体は、内国税の一定割合に連動しているため、社会福祉需要の増加に能動的に対 応できる財源保障としては限界をもつ。むしろ、特定財源である国庫補助事業に対する普 通交付税による裏負担が相対的に増加しているのである。
イ・サンヨン=イ・ホ
(2006)は、福祉事業関連の国庫補助金制度の一般財源化の方案と
して普通交付税の社会福祉財源保障機能の拡大及び国税の地方移譲の考慮を主張した。こ のなかで、普通交付税への一般財源化についてみると、既存の社会福祉関連の国庫補助金 事業を、普通交付税制度の基準財政需要額の算定過程に、地域単位の国庫補助事業のなか、一般財源化の対象になると思われる補助事業関連の財政需要を十分に反映できるように測 定方法を改善する方法が示されている。この方案の長所としては、税源基盤が弱い大多数 の地方自治団体の財政不足額の補てんを通じて、安定的な財政運営の基盤を広げることが できる点、地方自治団体の間の財政不均衡の緩和を通じる地域均衡発展に繋がり、特に財 源不足で投資費調達が困難な団体に対する財源の拡充に寄与し、地方教育財政支援に伴う
112
地方自治団体の負担を緩和し、国家事務の地方移譲および特別地方行政機関の地方移管な どに弾力的に対応が可能な点などがあげられる。ただし、この方案の短所としては、地方 税収基盤の衰弱化、地域特性を反映した財政運営の困難さ、自主財源の拡充努力への働き が落ちること、財政責任制の意識が希薄になるなどの問題点を挙げることができる。なお、
イ・サンヨン=イ・ホは、地方移譲の対象になる社会福祉事業について、基準財政需要額の 測定項目を一般的な「高齢者数」「障害者人口」、「児童数」などの人口数だけではなく、「福 祉施設従事者数」、「福祉施設数・規模」などの福祉対象者および福祉施設中心に細分化し、
実際の地方の福祉財政需要が十分に反映されるように構成すべきだと主張している97。
(2) 普通交付税における社会福祉関連項目の算定方式の問題
普通交付税の一般社会福祉費の測定単位と単位費用の算定方式の場合、一見、人口規模 により基礎需要額が決定されるようにみえるが、標準行政需要額算定式によると、社会福 祉施設の面積も重要な役割をする。この標準行政需要額算式に含まれた測定要素は、相当 数が地方自治団体の任意な政策により数値が影響される資料であり、中立性の観点からす れば、この点は是正が必要である。
アン・ジョンソク(2008)によると、個別項目の基礎需要額は、該当項目の測定単位数値 に単位費用をかけ、これに各地域の特殊な条件を反映するため、補正係数をかけ、測定す るが、算定方式が複雑に表現され、制度の透明性が保障されず、また、特定変数の変化が 基準財政需要額にどのような変化をもたらすかが不明だという問題がある。さらに、測定 項目ではない変数が標準行政需要額の算定方式に含まれる問題も指摘される98。また、社会 福祉分野の歳出予算分類と基準財政需要額の測定項目と一致していないため、測定の問題 および分類の任意性の問題があると述べ、また、各測定項目間の相関関係がかなり高いこ とから、基礎生活保障費以外の項目は一般社会福祉費に統合するのが望ましいと主張され る。さらに、既存算定要素のなかで、地方行政の影響が強い要素、具体的には、保健費項 目の保健施設面積及び無料予防接種人員数、老人福祉費の老人福祉施設面積および敬老堂 数、乳幼児・青少年福祉費の児童福祉施設面積、青少年福祉施設面積、障害者福祉費の障 害者福祉施設面積、社会福祉費の社会福祉施設面積などを、標準行政要素の算定要素から 排除するとも主張される。ただし、こういう施設の設立の際は、人口密度により需要が異 なる点を勘案し、人口以外に行政区域面積を説明変数に含む方案も揚げられている99。
97 イ・サンヨン=イ・ホ(2006)pp.123-128。
98 アン・ジョンソク(2008)pp.104-105。
99 同前、pp.116-119。
113
ハ・ヌンシック=シン・ドゥソップ(2009)によると、普通交付税の場合、実際の地方 の社会福祉の需要額と、基準財政需要額との一致問題が提起されている。基準財政需要に 福祉需要要素を強化する方式は、実際需要との乖離を発生させる恐れがあるため、望まし い代案ではないと指摘される。また、基準財政需要額の算定は実際事業費(需要額)の代 理変数を使用するため、正確性が欠けている側面がある。基準財政需要額の測定単位とし て老齢人口数、児童人口数、登録障害者数、国民基礎生活受給権者数などが用いられてい るが、これらの測定単位は関連する実際需要の代理変数ではあるが、実際に必要な事業費 規模を正確に推定するには限界があると評価されている100。
社会福祉部門の調整交付金を配分する際に、財政需要の測定変数と算式、補正係数を改 編することは望ましい。特に、広域自治団体である特別市及び広域市別に測定されている 財政需要は、地方自治団体別に異なるため、同種地方自治団体間の比較が難しく、財政力 の測定変数として活用しにくい。また、基礎自治団体である自治区も現在の財政構造では 福祉需要の増加に対応しきれないことから自治区にも普通交付税を直接配分することが望 ましい。
また、普通交付税の社会福祉関連測定項目の比重も拡大しているので、算定公式に使わ れる社会福祉需要変数も、現実と未来需要を積極的に反映させる方式で調整が必要である。
普通交付税における社会保障費の比重拡大が、そのまま、地方自治団体の関連支出に繋が るかどうかは未知数であるが、少なくとも社会福祉サービスの対象者が多い地方自治団体 の財政圧迫を緩和する側面は期待できる。
2.福祉財政としての分権交付税の問題
廬武鉉政権により地方分権と福祉需要対応のために地方福祉財源政策として導入された 分権交付税は、その制度的趣旨にもかかわらず、導入当時から財源の零細性、地方費負担 加重、算定配分など様々な面で問題を含んでいた。主に、現場の地方自治団体側からの反 発の声を中心に批判が上がっている分権交付税の問題を、財源運用、算定・配分方式の側 面で考察してみる。
(1) 財源運営上の問題
①構造的財源不足による地方費負担問題
100 ハ・ヌンシック=シン・ドゥソップ