図3−21−33語の個人ごとに
見た変化人であるのは,前回富2で「釘」の記録がなく3語揃わない人を除いたためで
ある。
さて,これら9つの枠のうち,太枠で示したa・e・iは27年経っても非常に 安定していてほとんど変化のなかったものである。ここでもaが圧倒的に多い
ということもあり,全体の中ではこの「変化なし」は77人(約80%)と多数を 占めている。
この太枠に隣接するb・fおよびd・hは,多少変化のあったものである。全 体の中では16人(約16%)と少数派である。ただし,dは前回富2のrg&η」
12人のうちの8人であり,またhも前回富2の「ηのみ」14人のうちの4人で
あることを考えると,少なからず変化しているとも言える。もし前回富2で
[η]がもっと多かったとしたら,全体としても変化はもっと大きかった可能 性がある。
cとgは変化が非常に顕著であったものである。しかしその人数は,gは4
人(4%),cは0人と,非常に少数である。ただしこれについても, gは前 回富2の「ηのみ」14人のうちの4人であることを考えると,やはり少なから ず変化しているとも言える。さてここでもう一度この図全体を見渡して,太枠a・e・iの向う側と手前側 とを比べてみると,手前側に片寄りのあるのがわかる。すなわち,もし変化す るならば,[g]→[η]という方向よりも[η]→[g]という方向,すな わち鼻音を失う方向に変化する傾向のあることがわかる。
次に富良野(継続)と札幌の比較について。結果は先の図3−18−1・19−
1・20−1・21−1および図3−23〜26のようであった。
まず図3−18−1・19−1・20−1・21−1により全般的傾向を見てみると,
いずれの項目においても[g]がt η]を大きく上まわっていることがわかる。
また地域差も比較的はっきりと認められ,[η]は富良野よりも札幌に多いこ とがわかる。平均すると,[η]は富良野で15%程度であるのに対し札幌では 30%程度と,約2倍の差がある。同じ道内でなぜこうした地域差が生じている のかについては,現在のところはっきりした理由はわからない。本人の最長居 住地(5〜15歳の間)について言えば,富良野・札幌ともに道内が圧倒的に多
く(図3−22−1参照),道外の鼻音/非鼻音の地域差が反映しているとは考 えられない。父親・母親の最長居住地(5〜15歳の間)になると道外の比率は 道内の比率と同程度になる。しかしこれについても,非鼻音が主流である九州
・ 四国・新潟などの比率は富良野・札幌ともに小さく,しかも両市の間に大き な差も見られないので(九州・四国・新潟はむしろ札幌に幾分多い;図3−22
1怠タト
ひ 國東北
隈田新潟
吻関東 翻中部 晒四国 〆北陸近
鴎中国九州 図3−22−1
幌
道内
本人の最長居住地(5〜15歳)
ロぼ
吻道南
隠圏道央 睡翻道北東 蟹翻上川〆富良野
匿量富良野近郊 匿璽札幌
道タト %
睡翻東北 睡目新潟
吻関東 翻中部 〆北陸 國四国
圏中国九州図3−−22−−2
[コ内地他
%
遭タト
幌
道丙
父親の最長居住地(5〜15歳)
国
札幌
道内
道南 道央 道北東 上川 富良野 麗召富良野近郊 匿翌札幌 麗翻北海道
0%
図3−22−3 母親の最長居住地(5〜15歳)
一 2・−3参照),これについても道外の地域差が反映しているとは考えられ
ない。
さて,先に見た図3−18− 2〜21−2で若いコーホートほど[η]の比率が 少なかったことからも予想されるように,ここでも[η]の比率に年齢差のあ ることが予想される。さいわいガ行鼻音については,年齢差の分析に耐える程 度に鼻音/非鼻音の対立が残っているので,インフォマントを10年刻みの6つ の年齢層に分け,[η]の比率がそれぞれどうなっているかを見てみた。結果 は図3−23〜26のようであった。
予想どおり,いずれの項目においても,富良野・札幌ともに若年層ほど[η]
の比率は低くなっているのがわかる。特に10代では,両市とも[η]はほとん ど0%となっている。富良野ではさらに20代でも0%直前である。先に見たパ ネル調査での結果,すなわちガ行鼻音は27年経っても個人レベルではほとんど 変化しない,もし変化する場合でもガ行鼻音を失う方向に変化する傾向が強い という結果から考えると,このグラフをいわば左から右へという流れで見て,
年をとるにつれて鼻音を獲得していくのだ と解釈すべきではなく,これは やはりグラフをいわば右から左へという流れで見て, 鼻音は衰退してきてい るのだ と解釈すべきである。ガ行鼻音は個人レベル(およびコーホートのレ