2015 年
日本国籍からの出願が最大で 45. 8%を占めており、活発な取り組みが伺える。推移からは、
日本国籍が
2004
年から継続した出願をしてきたことと、近年、米国籍、韓国籍からの出願 が急増しており、追い上げが激しい分野であることがわかる。一方、表7- 1
に示したように、出願人別出願件数ランキングでは、
9
社がランクインしており、8
社が既に上市している。長年の研究開発における優位性を今後も保つことが期待される。
前述のように、幅広く利用されることが期待される
HMD・眼鏡型ウェアラブルコンピュー
タであるが、装着による負担感の抑制のための小型軽量化、ユーザビリティ、操作性の向上 は競争における重要なポイントである。この
3
点について図3- 14
~図3- 16
に示した。いずれにおいても日本国籍からの出願比 率が最大であり、先行的に取り組まれている分野であることが分かるが他国籍からの追い上 げも目立つ分野であり、より一層の注力が必要であるとともに、他国籍の出願動向にも特に 注意が必要な分野である。小型軽量化技術では、日本国籍の出願件数が65.0%
を占め、推移 からも本調査範囲で出願件数は上昇傾向であることがら、日本国籍による取り組みが活発化 していることが伺える。ユーザビリティは近年の米国籍からの追い上げが著しく、出願件数 は同水準まで迫っている。操作性の向上では、韓国籍が2013
年に出願件数を急上昇させ、全体と比較してその比率を高めている。
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表
7- 1 HMD
・眼鏡型の出願人別特許出願件数上位ランキング(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2004年-2013年)
順 位
出願人名称
出願 件数
1 ソニー 5 7 2 済
2 セイコーエプソン 4 3 0 済 3 グーグル( 米国) 323 4 マ イクロソフト( 米国) 3 0 4
5 キャノ ン 2 6 1 済
6 ブラザー工業 2 2 4 済
7 ニコン 2 0 6 済
8 オリンパス 1 7 6 済
9 コニカミノ ルタ 1 7 0 済 9 LG電子( 韓国) 1 7 0 済 11サムス ン( 韓国) 1 4 0 済
12パナソニック 101
13MAGIC LEAP IN C.( 米国) 9 2 1 4クアルコム( 米国) 7 8 15B AE Syste ms PLC( 英国) 53 済 1 6韓国電子通信研究院( 韓国) 52 1 7KO PIN CO RPO RATIO N ( 米国) 4 9 済 1 8Carl Ze iss AG( ド イツ) 4 5 済 1 9
LO CKH EED MARTIN CO RPO RATIO N ( 米国)
4 2
20東芝 3 7 済
日米欧中韓台への出願
上市状況
2.腕時計型ウェアラブルコンピュータ
図
3- 21
にしめした腕時計型ウェアラブルコンピュータの出願動向からは、米国籍が圧倒的で日本国籍は出願件数で
4
番手と遅れをとっている。また、2013年には中国籍、韓国籍か らの多数の出願が見られ、特に韓国籍からの2013
年の出願は米国籍を僅差で抜いており、今後の競争激化が予想される。一方で、腕時計型ウェアラブルコンピュータは
Apple Watch
の発売で非常に注目され、サムスン、ソニーなども早くから参入している分野であり、市場 としても、今後拡大が見込まれる分野であるため、日本国籍は取組を強めるべきである。腕時計型ウェアラブルコンピュータでは、
OS
搭載、3G
回線対応、GPS
対応といった機能面 の発展と、アプリケーションというソフト面の発展により、スマートフォンの機能の一部を 代替しうる存在となりつつある。また、初期のスマートフォンがそうであったように電池持 ちの悪さは普及のネックとなると考えられ、この電池に関連する技術を含む電源装置に関す る技術はますますその重要性を高めている。図3- 23
に示した電源装置の出願動向では、米 国籍の比率が最大であり52.6%を占める。日本国籍は 8.4%で中国、韓国籍についで、4
番手 である。出願件数規模は小さい分野であり今後の取り組み次第では優位性を確保できると期 待されるため、日本国籍は取り組みを強化すべきである。一方、腕時計は従来からそのファッション性やブランド性が重視される。高級時計ブラン ドやファッションブランドからの参入も見られる。制限された筐体サイズの中でデザインの 幅を確保するという観点から、小型軽量化技術に着目した。図
3- 24
に示した小型軽量化で は、米国籍の出願件数比率が38.5%
で最大である。2013
年には日本国籍からの出願件数が急 増しており、2
番手につけている。出願件数の規模が未だ小さい分野であり今後の取り組み- 121 -
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次第で挽回が可能と考えられるため、日本国籍は引き続き取り組みを強化すべきである。ま た、腕時計ブランドやファッションブランド等とウェアラブルコンピュータメーカーの異業 種間で連携し、製品のブランド性や、ファッション性を確保していく取り組みも強化すべき である。
3.リストバンド型ウェアラブルコンピュータ
リストバンド型ウェアラブルコンピュータは、ヘルスケア用途としてすでに一定の市場を 持つウェアラブルコンピュータである。図
3- 17
に示した出願動向からは、米国籍が圧倒的 で日本国籍は遅れをとっている。また、2013年には日本国籍、中国籍、韓国籍は出願件数を急増させており、各国籍からの参入が見られる。現行の日本市場では大きな流行は見られな いものの、健康保険組合等の事業者が被保険者の健康増進を図るために用いるというような 環境もできつつあるため、日本国籍は取り組みを強化すべきである。
リストバンド型ウェアラブルコンピュータは脈拍センサーや加速度センサーを用いて、活 動量を管理することが主な機能であり、次の技術的発展として、多様なセンサーの活用、取 得情報精度の向上という観点で整理した。
図
3- 20に示した生体センサーの出願動向では、心拍センサー、体温センサーの出願が活
発になされており、米国籍からの出願が他の国籍を上回っている。センサーとして今後注目 されている、血圧、血糖値においても同様である。
取得情報精度の向上という観点から、ユーザー状態の正確な把握について図
3- 19
に示し た出願動向を見てみると、米国籍が60.0%
を占めている。一方2013
年には中国、韓国籍から の出願件数が増大している。後述するように、バイタルセンサーはウェアラブルコンピュータの特徴を決めるポイント となるため、日本国籍はウェアラブルコンピュータへのバイタルセンサーの活用についても 積極的に検討を行っていく必要がある。
4.その他の種別
取得情報精度の向上、ユーザビリティの向上、新しい用途の開拓といった側面から日々新 しい種別のデバイスが登場している。その他の種別として、コンタクトレンズ型、貼布型、
着衣型、指輪型のウェアラブルコンピュータを取り上げる。
コンタクトレンズ型ウェアラブルコンピュータはウェアラブルコンピュータとインプラ ントの中間に位置すると捉えられ、次に来るウェアラブルコンピュータとして非常に注目度 も高い。ディスプレイとしての用途や医療において血糖値の計測も考案されている。臨床研 究も実施済みである。図
3- 25
からは、米国籍の出願が最大であり77.4%
を占める。他方、日本国籍からの出願は
9.7
%であり2
番手ではあるが、2007
年に出願が見られ、本調査の範 囲ではコンタクトレンズについて最も古い出願をしており、また、出願規模は31
件と非常 に小さいことから、今後の巻き返しが十分に可能であると思われる。貼布型ウェアラブルコンピュータは、胸部などの身体に直接、貼り付けて利用するもので 既に製品化もなされている。正確な生体情報の取得が可能であり、心電図や体温を計測する
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ことが出来る。これらの情報を常時モニタリングし、病気の再発や経過観察、心疾患の早期 発見などへの活用が期待されている。図
3- 26
に示されているように、米国籍の出願件数が 最大であり57.1%を占める。他方日本国籍からの出願は 3.4%と 5
番手であるが、出願規模は177
件とあまり大きくない。今後の巻き返しが十分に可能であると思われる。着衣型ウェアラブルコンピュータは、導電性素材を利用し、心拍、心電図などの生体情報 を取得することが出来、
NTT
と東レが共同で製品化したものも昨今話題となっている。日常 の健康管理や医療への活用や、激しい動きでも正確な生体情報が取得できるため、スポーツ 用途への活用も考案されている。図3- 27
に示されているように、米国籍の出願件数が最大で
38.2%
を占める。他方日本国籍からの出願は8.4%
で4
番手としている。既に商品化の実績のある分野でもあるので、今後の注力が期待される。
指輪型ウェアラブルコンピュータは、ジェスチャーにより家電や携帯電話をコンロールし たり、文字入力などが行える、新しいインターフェイスとして注目されており、既に一般消 費者向けにも上市している。図
3- 28
に示されているように、米国籍の出願件数が47.3%
で あり日本国籍は12.8%
で欧州国籍と並び2
番手につけている。他方、2013
年には中国籍、韓 国籍からの出願も急増している。出願規模は226
件であり、既に商品化の実績もあるため今 後の巻き返しに期待したい。上記
4
つの種別において、現状は米国籍からの出願が多いが、HMD・眼鏡型、リストバン ド型、腕時計型ウェアラブルコンピュータとは機能面や用途面で異なる特徴を有しているた め、新しい市場の開拓が期待できる。今後の日本国籍の取り組み強化が望まれる。5.生体センサー
リストバンド型ウェアラブルコンピュータなど、ウェアラブルコンピュータの多くはセン サーにより、装着者の生体情報や、活動情報を取得し、これらの情報を集計・解析すること によりヘルスケアのサービスを提供している。健常者の健康増進、高齢者の健康寿命の延長、
予防医療、未病対策など国内外でヘルスケア分野での健康管理ではすでに一定の市場が存在 し、医療や業務分野への利用も期待されている。
図
3- 9に示した用途×種別の出願件数からは、HMD
以外の種別においては、医療介護、ヘルスケア、スポーツ用途の出願に偏りが見られる。このうちの多くはバイタル情報を中心と したセンシング情報の活用が示唆され、特許動向からもウェアラブルコンピュータを構成す る大きな特徴の一つに、センシングがあることがうかがわれる。現状は脈拍を用いたバイタ ルセンサーが一般に広まっているが、注目すべきセンサーとして、心拍、血圧、血糖値、体 温の各センサーに着目した整理を行う。
図
3- 29
に示した出願動向からは心拍センサーに関する出願が特に多く、続いて、血圧センサー、体温センサーという順である。いずれのセンサーにおいても米国籍からの出願が最 大であることがわかる。血糖値センサーは非侵襲な血糖値測定などは注目されている分野で あり、米国籍からの出願が最大である。生体センサーを開発している日本国籍企業は多数存 在するため、これらの技術をウェアラブルコンピュータへ積極的に活用していくことが望ま れる。