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図5-3 介入前後のJ-ZBI_8およびPGCモラール・スケール変化量 -2.5

-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5

対照群 介入群

-2.5 -2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5

対照群 介入群

介入前後のPGCモラール・スケール 介入前後のJ-ZBI_8の変化量 変化量

(点) (点)

n.s

*:p < 0.05 n.s:not significant

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図5-4 家族介護者に対する介入効果のメタアナリシス結果

Effect size 介入前―介入直後

介入前―

フォローアップ 介護負担感 うつ症状

意気向上 主観的健康観

能力/知識 要介護者の症状

介護負担感 うつ症状 主観的健康観 能力/知識 要介護者の症状

Sorensen S, et al.: How effective are interventions with caregivers? An updated meta-analysis. Gerontologist, 42(3): 356-372(2002).

本研究では、在宅で訪問によるリハビリテーションを実施していた要介護者の家族介護 者を対象として、要介護度により層化して無作為に 2 群に割り付けて訪問でのリハビリテ ーションサービスに付加した家族への個別教育介入の効果を検証した。介入内容は、家族 介護者の学習希望に合わせて選択できるようにし、介護技術の助言や社会資源の情報提供、

介護者向けの健康管理方法や体操メニュー、住環境情報など多岐にわたる複数の内容によ り構成した資料を用いた。3か月間の介入の結果、介護者の主観的幸福感の指標としたPGC モラール・スケールについて、群間と時間による交互作用を認め、その変化量をみても対 照群では介護者の主観的幸福感が低下傾向であったのに対して、介入群では向上傾向を認 めた。

介護者の心理状態に対する介入効果として、Mackenzieら81)はデイセンターを利用してい る高齢者を介護する家族介護者を対象に「介護のストレスを書き綴って表現する」、「歴史 的な出来事を書き綴っていく」、「介護に対しての時間の使い方や前日の出来事を時間に沿 って書き綴っていく」というそれぞれ20分間の介入を1週間4回の計2週間行ったところ、

介護に対しての時間の使い方や前日の出来事を時間に沿って書き綴っていく介入を行った 群では、介護者の精神的および身体的健康観に改善が認めた。また、Carretero ら 82)による 要介護高齢者を介護する家族に対する訪問介護サービスの効果を検証した報告では、訪問 介護サービス利用者においてサービスへの満足度は高く、生活の質(Quality of Life:QOL)

の向上を認めたとしている。その他、うつ症状や不安感、ストレスなどの精神状態や介護

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者のQOLに対しての介入の効果は良好な結果が報告されており83),84)、免疫機能の指標とさ れる血中ナチュラルキラー細胞活性も有意に増強したとする報告もある 85)。これらの報告 は、本研究同様に介護者の心理的な側面に対して、介護者への支援の必要性を支持するも のと考える。また、本研究では介護セルフ・エフィカシーに関して、介護者の機嫌の悪い ときについて、対照群で低下がみられたのに対して、介入群では維持されており、介護に 関する情報提供や知識の収集によって、介護生活の自信の程度に良好な影響を与える可能 性も期待できる。

一方、Mackenzieら81) やCarreteroら82)の報告でも本研究と同様に介護負担感には有意な

改善は認めなかった。介護負担感は包括的な概念であるため、さまざまな要因で規定され、

必ずしも心理状態の改善が直接的に介護負担感に対して良好に働くとも限らない。また、

本研究で行った個別教育介入においては、今まで介護者が行ってきた介護方法や認識して いた知識を修正することが新たな負担感となることも否定できない。さらに、本研究の対 象者ではPTやOTによる訪問サービスを実施している者のみであるため、訪問サービスそ のものが介入の要素を多く含んでおり、それに付加した家族に対する個別の教育介入が介 護負担感に作用する効果を判断するには至らなかった可能性も推察された。介護負担感に 対する介入効果としては、脳卒中患者とその家族を対象に褥瘡予防や栄養指導、介助技術 指導などの介入により、介護者の介護負担感が軽減することがランダム化比較対照試験に より明らかにされている 62),63)。また、認知症患者を介護する家族を対象にした個別カウン セリングや支援グループへの参加などの介入による良好な効果が報告されている 86),87)。こ のように疾患に特化した知識提供や介護技術の指導、カウンセリングがより効果的となり 得ることが推察される。さらに、脳卒中患者とその家族を対象に介護負担感軽減に効果を 認めた報告 62),63)では、介入時期は脳卒中発症後の入院期間中であり、介護負担感軽減のた めには家族への介入時期も重要な要因であると推察される。

本研究の限界として、第一に介入頻度および内容の統制がなされていない点があげられ る。家族介護者の希望する内容を優先して介入項目に決定したために、介入内容は対象者 ごとに異なっている。また、訪問による個別介入であるため、介護者の都合などにより、

介入頻度も統制がなされていない。これらの介入頻度や内容の相違は本研究の結果に影響 を与える重要な要因となり得る。個別介入においては、より効果的な支援のために介入内 容が介護者の希望により変化し得ることは推測できるが、尐なくとも介入頻度や強度を統 制した研究デザインでの効果を検証すべきと考える。第二に介護者の健康度や職業、収入、

住居環境などの介護者の心理状態へ影響を及ぼす可能性がある交絡要因が十分に考慮され ていない。また、主観的幸福感の指標としたPGCモラール・スケールは、「老いに対する態 度」が下位項目に含まれるように高齢者への適応が元来の目的であり、本研究では最尐年

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齢52歳の家族介護者も含まれ、その評価指標の適応には配慮が必要である。石原ら88)は50 歳から74歳までの1785名を調査した結果、PGCモラール・スケールに年齢階級別による 有意差は認めず、50 歳代を含めても総得点の安定性は確認されている。なお、本研究の対 象者においてもPGCモラール・スケールは年齢階級別による特異的な傾向は示しておらず、

本研究の対象者への適応可能性は高いと考える。また、本研究では分析対象者数が尐なく、

脱落者が多かった。Kalraら62)の介護負担感に対する効果報告と熊本ら49)の要介護高齢者の 家族介護者に対する大規模調査(J-ZBI_8 平均得点:11.5±7.7 点)をもとに、有意水準を

5%、検出力を80%にてサンプルサイズを計算すると、介護負担感の効果を判定するために

は各群 150 名程度の対象者が必要となる。そのため、介護負担感に対する本研究で実施し た介入効果の是非を検討するためには、対象者数を確保したうえでさらに検証を行ってい く必要がある。また、今回対象とした要介護者は要介護状態になってから 3 年以上経過し た者がほとんどであった。このような在宅での介護生活が長期化している家族に対して、

短期間で実施した簡便な介入では、多くの調査項目において有意な効果を引き出すことが できなかったものと考えられた。アルツハイマー型認知症の家族に対して、個別カウンセ リングや支援グループへの参加、電話でのカウンセリングによる介入を行い、10 年間以上 にわたり追跡調査した研究によると、介入をしない家族に比べて、介入した家族では介護 負担感やうつ症状が有意に改善されたと報告がなされた 63)。この結果は、在宅生活の長期 化した要介護者や家族介護者においては、長期にわたる観察や支援が必要であることを示 唆するものと考えられた。

本研究では、今まで継続してきた訪問によるリハビリテーションサービスに 1 回 5分間 程度の家族に対する学習、教育の機会を提供する介入を実施し、家族介護者の心理状態の 向上が可能か検討した。結論として、1回5分間程度であっても家族のために時間を割き、

介護に関する学習や情報を提供する個別介入を行うことで家族の主観的幸福感が維持され、

家族に対する情報提供の必要性が示唆された。今後は在宅での介護生活の短い対象者や自 宅復帰前の時期での家族への支援効果、介護生活が長期化している対象者に対する効果的 な支援方法を探り、介護負担感の増大を抑制して、より良い在宅での介護生活が延伸でき るような支援体制の構築が求められると考える。

5-5 まとめ

第 5 章では、在宅にて訪問によるリハビリテーションを利用する要介護者の家族を対象 に個別的な教育介入を行い、その効果を検証した。その結果、介護者の主観的幸福感の指 標としたPGCモラール・スケールが、対照群では低下したのに対して、介護に関する社会

ドキュメント内 介護負担感に関与する要因の相互関係性と (ページ 58-63)

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