4-3-1 対象者の基本属性と調査結果
(表4-1, 4-2)表4-1に要介護者と家族介護者の基本属性を示した。要介護者の31名(63.3%)が脳卒中 後遺症患者であった。家族介護者の続柄では、妻が介護を担っている家族が20組(40.8%)
で最も多く、次いで夫が介護を担っている家族が 13 組(26.5%)であり、合わせて 33 組
(67.3%)の対象者において配偶者が主たる介護者であった。
表4-2には調査結果の値を示した。簡易体力の指標としたMFS(14点満点)は中央値が 12 点(得点範囲:8-14 点)であり、多くの家族介護者が高得点を示したため、共分散構 造分析のモデルにおいては、MFS得点の4分位により4つのカテゴリ変数へと変換して投 入した。
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表4-1 要介護者と家族介護者の基本属性 要介護者
対象者 [名] 49
男性/女性 (男女比: 男性の割合 %) 26/23 (53.1)
年齢 [歳]:平均(標準偏差) 77.5 (11.5)
年齢範囲(最小―最大) [歳] 53 ― 104
主たる診断名 [名 (%)]
脳血管疾患 31 (63.3)
骨・関節系疾患 5 (10.2)
神経筋疾患 4 (8.2)
呼吸器疾患 1 (2.0)
循環器(心)疾患 1 (2.0)
その他 7 (14.3)
認知機能低下の疑い [名 (%)] 18 (36.7)
家族介護者
対象者数 [名] 49
男性/女性 (男女比: 男性の割合 %) 15/34 (30.6)
年齢 [歳]:平均(標準偏差) 66.4 (10.9)
年齢範囲(最小―最大) [歳] 42 ― 85
要介護者との続柄 [名 (%)]
妻 20 (40.8)
夫 13 (26.5)
娘 11 (22.4)
息子 3 (6.1)
嫁 2 (4.1)
表4‐2 要介護者および家族介護者の調査、測定結果
平均値(標準偏差) 中央値(IQR)
要介護者
Barthel Index [点] 45.6 (27.4) 45.0 (20.0 - 67.5)
Bedside Mobility Index [点] 30.2 (10.6) 33.0 (26.5 - 38.5)
家族介護者
J-ZBI_8 [点] 9.0 (6.3) 8.0 (3.0 - 13.5)
PGC scale [点] 8.8 (4.4) 8.0 (5.0 - 13.0)
Motor Fitness Scale [点] 10.5 (3.8) 12.0 (8.5 - 14.0)
Care self-efficacy [点] 3.4 (0.9) 3.0 (3.0 - 4.0)
介護相談者(有/無)[名(有の割合:%)]
介護協力者(有/無)[名(有の割合:%)]
IQR: Interquartile range(四分位範囲)
41/8 (83.7)
31/18 (63.3)
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4-3-2 各変数の相関関係
(表4-3)各測定結果における変数間の相関行列を表4-3に示した。介護負担の指標としたJ-ZBI_8 は、要介護者のADL能力および動作能力を示すBIやBMSのほか、介護者の主観的幸福感
(PGCモラール・スケール)、介護セルフ・エフィカシーと有意な相関関係を認めた。
表4‐3 各変数間の相関関係: Spearman's rank correlation coefficient
変数 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
1. 要介護者の性別 -
2. 要介護者の年齢 .16 -
3. 介護者の性別 -.44** .31* -
4. 介護者の年齢 -.13 .15 .10 -
5. J-ZBI_8 -.13 .17 .17 .01 -
6. Barthel Index .26 .00 -.34* .17 -.39** - 7. Bedside Mobility Scale .22 .01 -.28 .19 -.41** .93** -
8. PGC scale .26 .24 -.20 -.26 -.50** .23 .17 -
9. Motor Fitness Scale .12 -.14 -.21 -.61** -.06 -.26 -.22 .37** - 10. 介護セルフ・エフィカシー .21 -.24 -.27 -.27 -.42** .01 .01 .32* .50** -
11. 介護相談者の有無 -.03 .11 .19 -.23 -.02 -.23 -.21 .10 .26 .17 -
12. 介護協力者の有無 .38** .07 -.14 -.32* -.03 -.05 -.09 -.01 .20 .14 .35* -
* p < .05. ** p < .01
4-3-3 共分散構造分析による仮説モデルの検証
(図4-1)共分散構造分析による仮説モデルの分析結果を図4-1に示した。仮説モデルでは、先行研 究および第3章の結果をふまえ、要介護者の身体機能状態(BI、BMS)、介護者の主観的幸 福感(PGC モラール・スケール)、体力(MFS)、介護セルフ・エフィカシー、年齢、介護 協力者の有無、要介護者との続柄(配偶者であるか否か)、介護負担感(J-ZBI_8)を投入し た。なお、介護に関する相談者の有無については、80%以上の多くの介護者で相談できる人 がいると回答したため、仮説モデルには用いなかった。要介護者との続柄について、Tanji ら 72)による主たる家族介護者が配偶者である場合は、より介護負担感がうつ状態に導きや すいという報告をもとに、本研究での仮説モデルにおいては、介護者が配偶者家族である か否かをひとつの要因として採用した。図4-1においては、各変数間における標準化係数を 示した。仮説モデルによる共分散構造分析の結果、要介護者の身体機能状態は、介護負担 感に有意な関連を認め、介護負担感は介護セルフ・エフィカシー、主観的幸福感に有意な 影響を与えていた。しかしながら、モデル全体の適合度指標の結果は、GFI が 0.803、CFI
が0.717、RMSEAが0.186であり、統計学的な許容水準を満たさなかった。なお、モデル適
合度に関しては、GFIおよびCFIが0.90以上、RMSEAが0.05以下を良好なモデルとして
40 の適合判断とした73)。
Bedside Mobility Scale Barthel Index
要介護者の身体機能
J-ZBI_8 (介護負担感)
介護セルフ・エフィカシー PGC scale
(主観的幸福感)
介護者年齢
e1 e2
e6
e5
GFI = .803, CFI = .717, RMSEA = .186
.90 .93
-.43**
-.12 -.57**
-.37** -.50**
* p < .05, ** p < .01 Motor Fitness Scale a)
(介護者体力)
χ2= 69.010, d.f. = 26, p = .000.
続柄(配偶者)
e7
介護協力者 .05
-.12
.48**
e3 e4
図4‐1 仮説モデル (モデル 1)
a) Motor Fitness Scale: 4分位により、4段階のレベルに分類
4-3-3 共分散構造分析による修正モデルの検証
(図4-2)仮説モデルの結果をもとにモデルの修正を行い、修正モデルの適合度および各変数間の 標準化係数を算出した(図 4-2)。仮説モデルでは、介護協力者の有無および続柄と介護負 担感が有意な関連を認めなかったため、これらの変数が影響を与えると予測される変数を 主観的幸福感へと変更した。さらに、仮説モデルで有意な関連を認めなかった体力レベル の介護負担感へ対する影響を介護セルフ・エフィカシーおよび主観的幸福感へと変更した。
その結果、モデル適合度指標は、それぞれGFIが0.903、CFIが0.998、RMSEAが0.017と なり、統計学的な許容水準を満たすモデルとなった。
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Bedside Mobility Scale Barthel Index
要介護者の身体機能
J-ZBI_8 (介護負担感)
介護セルフ・エフィカ シー
PGC scale
(主観的幸福感)
介護者年齢
e1 e2
GFI = .903, CFI = .998, RMSEA = .017
.87 .96
-.39*
.53**
-.57**
-.36** -.48**
* p < .05, ** p < .01 Motor Fitness Scalea)
(介護者体力)
χ2= 25.330, d.f. = 25, p = .444.
続柄(配偶者)
e7
介護協力者 .24**
-.44**
.48**
図4‐2 修正モデル (Model 2) e3
.29**
a) Motor Fitness Scale: 4分位により、4段階のレベルに分類
e5 e4
e6