41
Bedside Mobility Scale Barthel Index
要介護者の身体機能
J-ZBI_8 (介護負担感)
介護セルフ・エフィカ シー
PGC scale
(主観的幸福感)
介護者年齢
e1 e2
GFI = .903, CFI = .998, RMSEA = .017
.87 .96
-.39*
.53**
-.57**
-.36** -.48**
* p < .05, ** p < .01 Motor Fitness Scalea)
(介護者体力)
χ2= 25.330, d.f. = 25, p = .444.
続柄(配偶者)
e7
介護協力者 .24**
-.44**
.48**
図4‐2 修正モデル (Model 2) e3
.29**
a) Motor Fitness Scale: 4分位により、4段階のレベルに分類
e5 e4
e6
42
える変数としては、有意とはならなかった。この仮説モデルの検証結果を受けて、仮説モ デルにおけるそれぞれの標準化係数と相関関係の結果を参考にモデルの修正を試みた。あ る研究では、介護負担に対する社会的支援の重要性について報告しており、この社会的支 援には、家族や友人のほか近隣住民などから提供される公的ではないネットワークも含ま れる24)。このように社会的支援は、情動的や手段的な側面を持ち合わせており、多面的な 要素で構成されている。本研究におけるモデルでは、支援体制に関する要因は、介護協力 者の有無のみであり、これは介護負担感への直接的な影響ではなく、主観的な幸福感へと 影響を与えていた。社会的支援の要素について、十分に反映するための包括的な構造が本 研究の調査に含まれないことは、限界点のひとつであると考える。本研究での修正モデル においては、モデル全体の適合度は統計学的な許容水準を満たし、要介護者の身体機能状 態が家族の介護負担感に直接的に影響しており、さらに介護負担感は介護セルフ・エフィ カシーと主観的幸福感に影響を与えていることが明らかとなった。その他、介護者の体力 レベル、年齢、続柄、介護協力者の有無といった要因が、直接的または間接的に介護負担 感と関連していることが示された。
本研究の限界点として、サンプルサイズの問題、また対象者が在宅でのPTあるいはOT によるリハビリテーションサービスを利用している要介護者ならびにその家族介護者に限 られている点が考えられる。そのため、本研究における構造モデルを一般化するには十分 な注意が必要である。また、先に挙げた社会的支援の側面の質問構造については、社会的 支援は介護者のストレスを軽減させることによって介護者の健康に影響を与えるとされて いる75)。本研究の質問項目では、社会的支援の多面性について把握するには不十分であっ た可能性がある。もうひとつの見込まれる限界点は、対象者がいくつかの疾患を有する者 が多く含まれることが推測されることである。認知症9),13),66)、癌10),11)、脳血管疾患74),75),76)
といった特定の疾患を有する対象者とその家族の介護負担の関係を報告した研究は多く報 告がなされている。しかしながら、多く高齢者においては、有する疾患や障害は複数の要 因が絡み合う。地域在住の要介護者とその家族介護者を対象とした本研究の見解は、それ ゆえに主介護者の負担に関する要因の組み合わされた効果を明らかにするという点で有用 であると考える。
本研究における新規性は、高い介護負担感は要介護者の低い身体機能状態に影響を受け、
さらに介護負担の高い状態と体力レベルの低さは、介護生活を継続していく自信の低下と 主観的幸福感の低下を導く可能性がある点である。さらに、介護者の体力レベルの低さや 介護協力者のいない介護者、配偶者である介護者は、主観的な幸福感の低下に影響する恐
43
れがある。在宅で生活する要介護者を介護する家族を対象とした介護負担の軽減や心理的 な安定を図るための支援においては、このような諸要因の相互関係性を考慮する必要があ ると考える。
4-5 まとめ
第 4 章では、要介護者を在宅で介護する家族の介護負担感に関与する諸要因の相互関係 について検証した。本章で明らかになった点は、要介護者の身体機能状態が介護負担感に 関与し、介護負担感および介護者の体力は介護者の介護生活を継続していく自信の程度と 主観的幸福感に影響を与える要因となっていることである。今後、介護者の介護負担感の 軽減や心理状態の安定に向けた取り組みでは、本研究における介護負担感に関与する諸要 因の相互関係性について考慮し、これらの要因に対して包括的に働きかける必要があると 考えられた。
44