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5-12 5.3 取り扱いの注意

ドキュメント内 旭化成エレクトロニクス株式会社 (ページ 80-86)

当社の半導体デバイスは高い品質と信頼性を持っていますが、お客様における取り扱い、実装あるい は使用条件などによってはデバイスの破壊につながる要因 (静電破壊、機械的破壊、吸湿など) が数多く 存在します。以下の諸点に注意してデバイスを取り扱うよう、お願いします。

なお、半導体デバイスの取り扱いに関しては、JEITA EDR-4701C「半導体デバイスの取扱いガイド」

にも指針が記載されていますので、参考にしてください。

5.3.1 静電気および静電破壊

ESD (Electro Static Discharge:静電気放電) 破壊は、通常動作時に発生するEOS (Electrical Overstress) 破壊とは異なり、実装前であっても発生する可能性があります。そのため、半導体デバイスの梱包や保 管、運搬中であっても注意が必要です。

(1) 静電気の発生原因

二つの絶縁体が接触したとき、その間で電子のやり取りが行われます。その時、電子を受け取ったほ うはマイナスに、与えたほうはプラスに帯電して、静電気を帯びることになります。また、帯電した物 体が導電体に近づくと、静電誘導が起こり導電体の表面にプラスとマイナスの電荷が現れます。これも 静電気を帯びた状態です。

静電気の発生メカニズムについては、図5-3-1をご参照ください。

図5-3-1 静電気の発生

(a) 絶縁体同士の場合

(b) 導電体に帯電物が接近した場合

接触すると電荷が移動 離れても帯電したまま

導電体に帯電物が接近 導電体が静電誘導により帯電

第 5 章 当社製品ご使用上の注意

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(2) 静電破壊の原因

半導体デバイスの静電破壊は、静電気の放電電流がデバイス内に流れることにより発生します。放電 は、電位の異なる導体が互いに接触したときに発生します。

静電破壊にはいくつかのモデル (形態) がありますが、ここでは、CDM (Charged Device Model:デバ イス帯電モデル) による静電破壊の一例を説明します。図5-3-2をご参照ください。

図5-3-2 CDMによる静電破壊の例

IN OUT

Vdd

GND

IN OUT

Vdd

GND

導電体に接触、放電

すべての端子がフロート状態でデバイスが帯電

いずれかの端子が導電体に接触して放電が発生 (例:出力側が導電体に接触)

こちら側の電荷は配線から接触した 導電体に向かい容易に放電される こちら側の電荷は配線に集まっても

ゲートに阻まれて放電に時間がかかる

IN側とOUT側に電位差が生じる

それがゲート耐圧を超えるとゲート酸化膜破壊が発生

時間→

VIN

VOUT

放電を遅くすることで電位差を小さくできる

= 静電破壊を防止できる

第 5 章 当社製品ご使用上の注意

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(3) 静電気対策

静電気対策の基本は、

・ 静電気を発生させないこと

・ 発生した電荷をゆっくりと逃がすことにあります。

そのためには、作業環境、保管環境、作業者、設備 (治工具を含む) そして運搬方法について注意する 必要があります。静電気対策の例については、表5-3-1をご参照ください。

表5-3-1 静電気対策 (例)

対象 内容

作業環境 湿度 加湿器を使用して、45~70%RHを保つ

除電 適切な除電装置を使用して、100V以下に抑える 床 導電床 (導電シート) を敷設する

座席 導電性のカバーを被せる

絶縁物、誘電体 帯電した絶縁体や誘電体により静電誘導の恐れ があるのでデバイスには近接させない

保管環境 実装後の基板 コネクタを短絡バーなどで短絡させる 容器、ラック 導電性のものを使用する

収納ケース 当社指定のものを使用する

保管棚 導電シートなどを貼り、金属部を露出させない 作業者 リストストラップ 人体側に1MΩ程度の抵抗を入れる

(感電防止と放電速度の抑制) 靴、作業着 導電靴や帯電防止服を着用する 設備、治工具 設備 接地を行う

搬送部 デバイス端子に接触する可能性のある部分は 導電性材料を貼る

はんだごて こて先を1MΩ程度の抵抗で接地する 運搬方法 コンテナ 導電性コンテナを使用する

台車 表面に導電性シートを敷く、導電性ゴムなどで 台車全体を接地する

5.3.2 梱包方法について

(1) 収納ケース (トレイ、リール、チューブ)

当社が使用している収納ケースは、運搬状態、周辺環境にかかわらず初期品質を保持できるように配 慮した材料や構造を採用しています。従って、デバイスをご使用になるまで当社指定の収納ケースか ら取り出さないようにしてください。

第 5 章 当社製品ご使用上の注意

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止むを得ず取り出す場合には、必ず当社指定の収納ケースに戻すようにしてください。推奨していな い収納ケースを用いると、端子 (リード、ランド、バンプおよびボール) の破損、汚損などによる実装 不良が懸念されます。そのような場合には、当社営業担当にお問い合わせください。

デバイスを収納ケースから取り出すときは、静電気とリード曲がりにご注意ください。

(2) 包装 (結束バンド、梱包袋、化粧箱、段ボールなど)

収納ケースの梱包は、当社指定の梱包材料をご使用ください。当社指定のもの以外のご使用は推奨い たしませんので、その必要がある場合は当社営業担当にお問い合わせください。

特に、防湿梱包品の場合はデバイスをご使用になるまで開封せずに保管してください。

当社では、運搬状況にかかわらず製品の信頼性を維持できるよう、梱包材料や梱包方法を選定してい ます。

また、段ボール箱などには外装表示をしていますので、取り扱いの際には従ってください。外装表示 については図5-3-3をご参照ください。

図5-3-3 外装表示

a) 取扱注意 b) 静電気注意

c) 箱の方向 d) 壊れ物注意 e) 手かぎ禁止 f) 水ぬれ注意

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5.3.3 保管方法について

(1) 保管場所の環境

a) 半導体デバイスを保管する場所の温度および湿度は、以下の環境を推奨いたします。

・LSI製品の場合 温度:5~30℃

湿度:70%RH以下

・センサー製品の場合

温度:5~35℃

湿度:40~85%RH

加湿器により加湿する必要がある場合は純水や煮沸水を使用してください。水道水を使用すると含 まれている塩素によりデバイスの端子が錆びることがあります。

b) 腐食性ガスが発生する場所や、ほこりの多いところは避けてください。

c) 急激な温度変化のある場所ではデバイスが結露する可能性があります。従って、このような環境を 避けて、できるだけ温度変化の少ない場所に保管してください。また、直射日光や強い光が当たる 環境も避けてください。

(2) 保管状態

a) 収納ケースや化粧箱、段ボールなどを積み重ねるときは、収納しているデバイスに荷重がかからな いよう注意してください。重量物を乗せることは避けてください。

b) 半導体デバイスの外部端子は未加工の状態で保管してください。リード曲げ加工を行った状態で保 管すると、屈曲部に錆が発生してはんだ付け不良の原因となる場合があります。

c) 半導体デバイスの近傍には、有機ゴム素材を用いた物品を置かないようにしてください。有機ゴム 素材から放出される硫黄が端子を腐食させる恐れがあります (特に銀は硫黄と反応しやすいことが 知られています) 。結束具や、滑り止め、マットなどに用いられている素材には特にご注意くださ

い。

(3) 長期保管

半導体デバイスを長期保管した場合、開封した場合はもちろん、未開封の場合でも端子のはんだ付け 性が悪くなったり、錆が発生したり、あるいは電気的特性が不良になる恐れがあります。長期保管し た当社製品をご使用になる前には、十分ご確認ください。

5.3.4 運搬方法について

パッケージは薄型化、小型化が進んでいて、運搬中の衝撃などでリード曲がりやリード浮きが発生す る可能性があります。そこで、運搬に際しては次のような注意をお願いいたします。

a) 運搬中は外装表示に従い、正しい向きに置いてください。逆にする、あるいは立てかけると不自 然な力が加わり、破損する恐れがあります。

b) 梱包状態であっても、投げたり落としたりするとデバイスが破損する恐れがあります。

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c) 水に濡らさないようにする必要があります。降雨、降雪時には運搬中に濡らさないようご注意くだ さい。

d) 機械的振動や衝撃を、極力少なくしてください。

5.3.5 評価時の注意

お客様での電気的な特性評価や実装検査を行う際、半導体デバイスの評価をするときは、静電気、ノ イズ、サージ電圧などについて十分注意してください。運搬、保管時には端子間を同電位にしておくこ とにより破壊を避けることができます。一方、デバイスの測定時や組み込み時には全端子が開放され、

周囲に各端子が独立して接触する可能性が高くなります。このため静電気、または電気設備からの漏電 のある場合にはデバイス破壊の可能性があります。計測機器 (カーブトレーサ、シンクロスコープ、パル ス発生器、直流安定化電源など) の端子、およびシャーシに交流電源などからの漏電がないよう十分管理 してください。

評価時は特に、

① テスターからのサージ電圧が印加されないようにする

② テスターにはクランプ回路を入れる

③ 電流源の駆動時における接触不良起因の異常電圧印加が起こらないようにする

などの配慮をしてください。また、テスト時に、端子の誤接続、逆差し、端子間ショートなどが起きな いようにしてください。基板の動作チェックを行う場合は動作チェック前に、はんだブリッジ、異物ブ リッジなどがないことを十分確認の上、電源をONにしてください。なおデバイスの種類によって注意 点も異なりますので、不明な点は当社営業担当者にご相談ください。

5.3.6 製品廃棄時の注意

半導体デバイス、およびその梱包材料には、さまざまな素材が用いられていますので、廃棄の際には 十分ご注意ください。

(1) 半導体デバイスの処分方法

半導体デバイスにはさまざまな物質が含まれていますので、産業廃棄物として適切な処理を行っ

てください。

(2) 梱包材料の処分方法

半導体デバイスの梱包には、トレイやチューブ、テーピングをはじめ、段ボールやビニール、結束

具などがあります。これらに用いられる材料は紙やプラスチックなどで、該当する法令、条例など に従って、分別のうえ焼却処分、埋設処理あるいは再資源化を行ってください。

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