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2-9 2.2 信頼性試験と認定

ドキュメント内 旭化成エレクトロニクス株式会社 (ページ 39-44)

2.2.1 信頼性認定の計画

当社では検証目的に応じて、JEITA、JEDEC、AEC-Q100などの業界規格を参考にした試験を実施し ています。

また、新たに2011年4月に制定されたJEITA EDR-4708 (半導体集積回路信頼性認定ガイドライン) を 参考に信頼性予測精度の向上と故障モード毎の不良検出力を向上させる目的で故障モードに応じた試験 方式 (方式2:後述) を追加し、重点を置くよう進めています。

尚、その他の試験規格にも柔軟に対応しています。

【認定フロー】

① 開発計画段階での認定要件検討

・用途と信頼性レベル、お客様要求項目の確認

・既存品との差異 (新規性) を確認し認定内容を決定

・試験方式選択

方式1 当社標準試験条件での試験 :製品レベルでの試験

方式2 故障モードでの試験 :TEGレベル及び製品レベルでの試験

② 開発着手段階での認定要件検討

方式1 当社標準試験条件での試験 :試験条件/個数を規格から選定

方式2 故障モードでの試験 :故障モードからワイブル分析し、試験条件/個数を算出

③ 認定段階

・計画および開発着手段階で決定した必要要件事項を満足していることを確認し認定実施

2.2.2 当社標準試験方式

当社では表2-2-1のような試験項目にて目的に応じた試験を実施しています。

表2-2-1 当社標準試験方式

分類 試験項目 試験目的 主な検出可能な故障現象 参考規格

寿

高温動作試験 長時間の電気的ストレスおよび 熱的ストレスに対する耐性の評価

電界による酸化膜の経時的破壊、

金属膜配線のマイグレーション

JEITA ED-4701/100 試験方法101 AEC-Q100 B1 初期故障率評価試験

(ELFR)(*1)

初期欠陥に対する短時間の電気的ストレス および熱的ストレスでの耐性の評価

酸化膜の破壊、

異物によるショート、オープン AEC-Q100 B2 低温動作試験 長時間の電気的ストレスおよび

熱的ストレスに対する耐性の評価 ホットキャリア劣化

高温保存試験 長時間高温で保存した場合の耐性の評価 高温腐食

JEITA ED-4701/200 試験方法201 AEC-Q100 A6

第 2 章 信頼性保証

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分類 試験項目 試験目的 主な検出可能な故障現象 参考規格

高温高湿 バイアス試験

高温高湿度雰囲気で使用した場合の 耐性の評価

金属膜配線の電界腐食、

金属配線間イオンマイグレーシ ョン、

水分によるリーク電流

JEITA ED-4701/100 試験方法102 AEC-Q100 A2

高温高湿保存試験 高温高湿度雰囲気で保存した場合の 耐性の評価

金属配線間イオンマイグレーシ ョン、

水分によるリーク電流

JEITA ED-4701/100 試験方法103 AEC-Q100 A3 温度サイクル試験

(気相)

高温および低温に対する耐性と 温度変化に対する耐性の評価

ワイヤ断線、パッケージクラッ ク、

チップクラック

JEITA ED-4701/100 試験方法105 AEC-Q100 A5 熱衝撃試験 (液相) 温度の急激な変化に対する耐性の評価

ワイヤ断線、パッケージクラッ ク、

チップクラック

JEITA ED-4701/300-1 試験方法307A 加湿+実装ストレス

シリーズ試験

基板実装ストレスを想定した 温度変化に対する耐性の評価

パッケージクラック、

パッケージ内部剥離

JEITA ED-4701/100 試験方法104 JEDEC J-STD-020D

書換・データ保持試験

最大書き込み/消去回数および 保持時間の評価

条件は製品ごとに個別規定

不揮発性メモリのデータ書換特 性劣化、

データ保持劣化

AEC-Q100 B3

はんだ付け性試験 はんだ接合における端子の

はんだ付け性の評価 端子へのはんだ未着 JEITA ED-4701/303 試験方法303A

はんだ耐熱性試験(*2) はんだ付けの間の熱に対する耐性を評価 パッケージクラック、

パッケージ内部剥離

JEITA ED-4701/300-3 試験方法301B AEC-Q100 A1 JEDEC J-STD-020D 静電気

(ESD) 耐量試験

人体 モデル (HBM)

取り扱い中にデバイスが受ける

人体モデルの静電気放電に対する耐性の評価

酸化膜破壊、拡散接合破壊、受感 部破壊

JEITA ED-4701/300 試験方法304 AEC-Q100 E2

ラッチアップ耐量試験 CMOSなど寄生サイリスタ構造を持つ

デバイスに対するラッチアップの耐性を評価 過電流による配線溶断、接合破壊 JEITA ED-4701/300-2 試験方法306A AEC-Q100 E4 端子引張り試験 はんだ実装後の接合強度評価 端子部破壊

JEITA ED-4701/300-3 試験方法301B 実装信頼性 基板実装後の機械的ストレスおよび

熱応力ストレスに対する耐性の評価 はんだ接合部破壊、端子部破壊 JEITA ED-4702B JEITA ET-7407A

プレッシャクッカ試験 高温高湿度雰囲気で使用および 保存した場合の耐性の加速評価

金属配線の電界腐食、

金属配線間イオンマイグレーシ ョン、

水分によるリーク電流

AEC-Q100 A3

低温保存試験 長時間の低温で保存した場合の耐性の評価

一般的な半導体デバイスでは 低温放置で顕在化する故障モー ドは

ありません

JEITA ED-4701/200 試験方法202

静電気 (ESD) 耐量試験

デバイス 帯電 モデル (CDM)

取り扱い中にデバイスが帯電して生じる

静電気放電に対する耐性の評価 酸化膜破壊

JEITA ED-4701/300-4 試験方法305B AEC-Q100 E3

マシン モデル (MM)

取り扱い中にデバイスが受ける マシンモデルの静電気放電に対する 耐性の評価

酸化膜破壊、受感部破壊 JEITA ED-4701/300 試験方法304 参考1

(*1) ELFR:Early Life Failure Rate (初期寿命不良率)

(*2) はんだ耐熱性試験の条件はパッケージの耐熱性実力に応じて吸湿条件等を選定。

第 2 章 信頼性保証

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2.2.3 故障モードによる試験計画

この試験方法は故障分布 (初期、稼動期、磨耗) の故障モードを想定し、それぞれの活性化エネルギー などを基にワイブル分布および統計的手法にて試験項目・条件、時間および個数を算出のうえ実施して います。耐用期間の確認方法については図2-2-1ご参照ください。

図2-2-1 耐用期間の確認方法

故障の分布に応じた試験計画

初期故障、稼動期故障、磨耗故障、それぞれの故障の領域に応じて適切な試験計画を立案します。

【初期故障】

初期故障は、本来当社工程内検査および製品検査工程で除去しつくされるべき故障との考えか ら、工程内の電気的特性検査の結果 (プローブ検査、選別検査) も信頼性試験のデータとして 扱い、バーンインデータ、EFRデータなども利用して累積故障率 (不良率) を推定、確認し ます。

また、プロセスが新規開発の際は、工程内検査で分布外れ品 (アウトライア) のないプロセス に仕上がっていることを確認します。

【稼動期故障】

稼働期故障には、初期故障の残留分が稼働期の初期に、徐々に減少しながらも故障に至るもの が含まれています (外部要因による偶発的な故障を含みます) 。製品の耐用期間を超えると、最 終的には摩耗故障の開始時期に至ります。初期故障の残留分に関しては初期故障と同じ試験計 画を適用することができます。

TEGレベルでの信頼性試験

製品レベルでの信頼性試験

実使用時間→

耐用期間

半導体製造工程 内での スクリーニング

初期故障

領域 稼動期故障領 摩耗故障領域

第 2 章 信頼性保証

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摩耗故障の開始時期のものに関しては摩耗故障としての試験計画を適用し、製品の耐用期間に 対して摩耗故障の開始時期が十分余裕があることを保証する信頼性試験を実施して確認してい ます。

【磨耗故障】

磨耗故障は半導体デバイスを構成する要素の耐用年数を超えた場合に発生する故障であり、各 要素の故障モードごとに作製したTEG (素子レベル) を用い、高加速な試験条件で耐用年数を 確認します。

さらに、実使用条件の上限の低加速な試験条件で、上記の故障モードが製品レベルの故障モー ドと同じか確認します。これは通常の製品の信頼性試験に相当しますが、対象とする故障モー ドに対して感度の高い製品TEGを用いる場合もあります。

2.2.4 信頼性認定

当社では計画および開発着手段階で決定した必要要件事項を満足した場合、以下の認定を実施します。

・プロセス信頼性認定:ウエハ製造工程の信頼性認定

・アセンブリ信頼性認定:パッケージアセンブリ工程の信頼性認定

・個別製品信頼性認定:個別製品の信頼性認定

・ファミリー認定:信頼性認定済みで量産中の実績が十分な先行品と対象品の差異を分析し、対象品 が先行品のファミリー品と見なせる場合に適用可能な信頼性認定

【差異分析のポイント (例) 】

・品質目標、実使用環境、実使用状態

・回路構成、レイアウトパターン、使用回路要素、適用しているデザインルールの厳しさ

・製造工程フロー、工程管理手法及び装置

・チップとパッケージとの相互関係 (電極材料/構造、最上層保護膜、チップサイズ、タブサイズなど)

信頼性認定のために実施される標準的な試験項目については、表2-2-2をご参照ください (LSI製品の 例、抜き取り個数はLTPD(*1)方式、信頼水準90%、合格判定不良個数0個の場合です) 。

(*1) LTPD (Lot Tolerance Percent Difective):ある不良率のロットを信頼水準がβであるとき (1-β) の確率で不合格と

させるようOC曲線を規定したものです。

第 2 章 信頼性保証

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表2-2-2 LSI製品の標準的な信頼性試験項目と抜き取り個数 (○:必須、△:内容に応じて適宜実施)

分類 試験項目 ウエハ製造プロセス アセンブリ 新規 派生/変更 新規 派生/変更

寿命試験

高温動作 ○ 77個 ○ 77個 ―― ――

低温動作 ○ 32個 △ 32個 ―― ――

高温高湿動作 ○ 45個 ○ 45個 ○ 45個 ○ 45個

環境試験

高温保存 ○ 32個 ○ 32個 ○ 32個 △ 32個 低温保存 △ 32個 △ 32個 ○ 32個 △ 32個 高温高湿保存 △ 77個 △ 77個 △ 77個 △ 77個 プレッシャクッカ △ 32個 △ 32個 △ 32個 △ 32個 温度サイクル ○ 77個 ○ 77個 ○ 77個 ○ 77個 熱衝撃 ―― ―― ○ 32個 △ 32個

EFR

リフロー前処理

+高温動作 (高温書換)

○ 767個

×3ロット △ 767個 ―― ――

前処理+個別項目 △ 767個 △ 767個 △ 767個

×3ロット はんだ

耐熱 リフロー処理 ○ 前処理 △ 前処理 ○ 前処理 (SAT実施) 実装

信頼性 温度サイクル ―― ―― ノンリードタイプ パッケージに適用

第 2 章 信頼性保証

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