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(4.23)

(4.20)式に(4.23)式を代入してx=lとx=-lの側壁に作用するトータルの力は次式で表され る。

(4.24)

(4.24)式で

Pm

0

u

0と表すことでm=2ρlhより等価質量m0は次式で表すことができる。

(4.25)

スロッシング周期に対して起振振動数が十分高い場合には有効振動質量比は全液体質量 mに対するm0の比で表すことができ、水平運動に対する有効振動質量比ηHは次式で表さ れる。

(4.26)

なお、全船振動解析の対象としている船体の振動数はタンクのスロッシングの固有振動 数より十分高いため次式で示されるm1に関する詳細はここでは省略する。

(4.27)

4.2.3 熊井の簡易式

熊井は楕円断面のタンクを仮定してタンク内液体の有効振動質量に関する検討を行って いる。

図4.5に熊井の簡易式の座標系を示す。

h l h x u

u

3

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図4.5 座標系 [26]

タンクの回転運動による有効振動質量比ηTを次式にて定義する。

(4.28)

ここに、

I0:タンク内液体の慣性モーメント

I:タンク内液体を剛体と仮定するときの慣性モーメント

図4.5の回転中心Rを原点0とする場合(x0 = y0 = 0)、タンクの回転運動に対する有効振 動質量比ηTは次式で表される。

(4.29)

ここに、λ:h/b

4.2.4 2D BEM理論

簡易式の検証のために2D BEMによる解析を行った。使用したBEMの理論を以下に示 す。

適用したBEMの境界積分方程式を以下に示す。

I   I

T

0

 

2

2

2 2

1 1

 

 

T

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(4.30)

ここに、

Γ:液体の境界 p:圧力の動的成分 n:境界の外向き法線方向

p*は2次元ラプラス方程式に対する基本解であり次式で表される。

(4.31)

ここに、rは境界上のソース点と境界、または内部の観測点の距離を示す。

また、ciは滑らかな境界では 1/2、滑らかでない境界ではθ/2πでありθは境界の角の内 角を示す。

(4.30)式を線形要素を使用して離散化しマトリクス方程式を次式で表わす。

(4.32)

ここに、

q: pn p1,q2:既知量 p2,q1:未知量 ここでqは次式で表される。

(4.33)

ここに、

ω:角振動数 ρ:液体の密度

w:タンク壁の法線方向の変位 a:タンク壁の法線方向の加速度

 

 

  p d

n d p

n p p p

c

i i *

*

 

 

 

p 1 r

2 ln

*

1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2 1 22 21

12 11 2

1 22 21

12 11

q q G G

G G p

p H H

H H

a

w

q   

2

  

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タンク壁の運動を想定して法線方向の加速度分布を仮定すると(4.32)式により圧力pを求 めることができる。

水平運動、上下運動の場合は特定の壁に一様の加速度を仮定し(4.32)式により圧力pを求 める。圧力pを積分し力Fを求めFを加速度aで割ることにより有効振動質量m0を求め た。

回転運動の場合は角加速度

を想定し、その際のタンク壁の位置でのタンク壁に法線方 向の加速度分布を仮定する。(4.32)式でタンク壁での圧力pを求め回転の円周方向の成分を 積分することによりモーメントMを求める。モーメントMを角加速度

で割ることによ り慣性モーメントIを求めた。圧力の既知量p1は自由表面で0の値とした。

4.2.5 2D BEMと簡易式との比較と考察

表4. 1に示すモデルに対して水平運動を対象にSenda簡易式、Housner簡易式とBEM の比較を行った。なお、座標系、寸法は図4.2に基づく。

表4. 1 計算モデル

l(m) h (m) ρ(kg/m3)

0.50 1.00 1000

水平運動に対するBEMのメッシュ分割数に対する収束性を検証するために一辺を4分割、

8分割、16分割の3ケースの解析を行った。

等価振動質量比ηHの比較を表4. 2に示す。

表4. 2 有効振動質量

Senda Housner BEM

4 elements 8 elements 16 elements

ηH 0.730 0.808 0.704 0.722 0.727

表4. 2の結果より8要素と16要素の結果はほぼ一致しており水平運動に対しては一辺を 16 分割すれば計算結果はほぼ収束すると考え以降の計算では一辺 16 分割の条件で計算を 行った。

タンクの加速度振幅を 1.0×10-3m/s2 とした場合の側壁(x=-l)での圧力分布を図 4.6、

x=-0.4mでの液体のx方向の加速度分布を図4.7に示す。

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図4.6 側壁での圧力振幅

図4.7 x=-0.4m での水平方向の加速度振幅

Sendaの簡易式は圧力分布、加速度分布ともにBEMと良い一致を示している。Housner

の簡易式はBEMとの乖離が有意である。Housner簡易式ではx方向の加速度uが(4.23)式 に示すとおりy座標に対して一定となっている。しかし、図4.7に示すとおりBEMで計算 されたx 方向の加速度は y座標に対して一定ではない。このような差異から図 4.6に示す

Housner簡易式とBEMの圧力の差異が生じ有効振動質量比が異なると考えられる。

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4.2.6 各振動モードにおける有効振動質量の特性

タンク内液体自由表面影響を考慮するうえでタンクの振動モードは水平運動、上下運動、

回転運動が考えられる。それぞれの振動モードに対する有効振動質量を評価した。

(1)水平振動モード

BEM、Sendaの簡易式、Housnerの簡易式で計算した水平振動モードに対する有効振 動質量比を図4.8に示す。なお、BEMのメッシュ分割は表4. 2に示す結果に基づき16 分割とした。

図4.8 水平運動に対する有効振動質量比

BEM により計算された有効振動質量比ηHは h/l が増加するにつれて増加し、Senda 簡易式、Housner の簡易式も傾向は一致している。Sendaの簡易式はBEMの有効振動 質量比とよく一致している。また、Housner の簡易式は高めの値となっている。以上よ り矩形タンクの水平運動の場合はSendaの簡易式が有効である。

(2)上下振動モード

上下振動モードに対する有効振動質量比を図4.9に示す。参考に熊井論文に記載されて いる有効振動質量比を示す。なお、BEMのメッシュ分割は水平モードと同じく16分割 とした。

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図4.9 上下運動に対する有効振動質量比

BEMによる計算で上下振動モードに対する有効振動質量比は1.0となった。なお、熊 井の論文でも有効振動質量比は1.0と示している。上下振動モードに対しては有効振動質 量は液体の質量の100%を考慮すればよいと考えられる。

(3)回転振動モード

回転振動モードについては必要とされるメッシュサイズが異なると考えられるためメ ッシュ分割数に対する収束性の検討を行った。結果を表4. 3に示す。なお、回転中心は タンクの図心とした。本結果からメッシュ分割数は32分割とした。

表4. 3 有効振動質量 Ratio of

Rotary Inertia

8 elements

16 elements

32 elements

ηT 0.123 0.133 0.136

回転振動モードに対する有効振動質量比を図 4.10 に示す。参考に(4.29)式に示す熊井 の論文の有効振動質量比を示す。BEMの計算において回転中心は熊井の論文と同じく図 4.5の原点0に相当する位置とした。

回転中心が自由表面高さという仮定があるが、BEMと熊井の簡易式では傾向がよく一 致しており、有効振動質量比はh/lが1.0で最小でh/lが増加、または減少するにつれて 増加している。h/lが1.0の場合の乖離は、熊井の簡易式は楕円形状を仮定しているがBEM は矩形としているためと考えられる。

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図4.10回転運動に対する有効振動質量比

4.3 VLCC全船振動解析による検証

従来の全船振動解析のモデルでのタンク内液体の質量のモデル化要領はタンクの境界の 要素の密度調整、または、タンク境界への質点マスの付加が一般的であった。これらのモ デル化要領が解析精度に与える影響を検討した。

4.3.1 全船モデルによる自由表面影響検証

表4. 4に主要寸法他を示すVLCCの全船モデルを対象にフルロードコンディションを想 定した次の2ケースの全船振動解析を行った。

Case-1:密度調整法(Adjust Density Method) Case-2:仮想質量法(Virtual Mass Method)

表4. 4 主要寸法

L×B×D 322.0m×60.0m×28.5m Main Engine 7RT-flex84TD

Shaft Revolution (rpm) 70.1(NOR),74.0(MCR) Propeller Blade 5

Draft at Sea Trial

draft aft : 20.69m draft fore : 20.39m

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カーゴタンクは図4.11に示すとおりセンタータンクと2つのウイングタンクとなってい る。

図4.11 中央断面

Case-1では、カーゴタンク内の液体の質量をカーゴタンクの境界壁の構造要素に密度調 整で考慮している。よって、上下方向および水平方向の振動に対して有効振動質量は液体

質量の100%となり、回転に対しては液体の質量をタンク境界壁に分布しているため大き目

に評価されていることになる。Case-2 はカーゴタンク内の液体をバーチャルマス、即ち BEMに基づいて計算された付加水質量でモデル化しており Case-1より厳密な方法である が、計算時間は大きくなる。使用した全船FEMモデルを図4.12に示す。

図4.12 全船モデル

Case-1およびCase-2の固有振動数の解析結果を表4. 5に示す。船体節振動の振動モー ドにより差異はあるが密度調整でモデル化したほうが概ね 4~5%固有振動数が低めとなっ ている。なお、節数が増加すると計測結果とバーチャルマスの解析結果の乖離が大きくな るが、ホールド二重底の連成によるメッシュサイズの影響が考えられる[24]。

- 54 - 表4. 5 液体のモデル化手法による解析結果の差異

参考にバーチャルマスモデルの2節~5節の振動モードを図4.13に示す。

(V 2-node)

(V 3-node)

(V 4-node)

(V 5-node)

図4.13 船体節振動モード Mode

Natural Frequency (cpm)

Adjust Density/

Virtual Mass Measurement Analysis

Case-1 Case-2

V 2-node 27.48 25.89 27.15 0.954

V 3-node 59.22 57.70 61.02 0.946

V 4-node 89.94 89.63 94.57 0.948

V 5-node 116.16 118.87 123.55 0.962

- 55 - 4.3.2 部分モデルによる回転運動影響の検証

船体上下節振動により各区画のタンクは上下方向と回転の運動をすると考えられる。4.

2.6節の検討により上下方向の運動に関しては実船でもバーチャルマスを使用した解析 でも有効振動質量は100%と仮定できる。一方、回転運動に関してはバーチャルマスを使用 しタンク内液体の自由表面影響を考慮することでタンク境界壁の密度調整で考慮する場合 と比較して有効振動質量は低減すると考えられる。そこで、全船モデルを図4.14、図4.15 のとおり分割した部分モデルにより有効振動質量の差異を検証した。全船モデルを各部分 に分け、各部分の回転慣性をバーチャルマスモデルと密度調整モデルで算出し固有振動数 に与える影響を評価した。対象は振動モードが最もシンプルな2節節振動モードとした。

図4.14 部分モデルの範囲

(AP) (ER) (NO.5 CH)

(NO.2-4 CH) (NO.1 CH) (FP) 図4.15 部分モデル

NO.5CH NO.4CH NO.3CH NO.2CH NO.1CH

AP ER FP

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