EIP Raw Materialsが、2020年を目標年として、次の目標を持つ戦略的実行計画を策定。
(1)資源の革新的な生産のため、探査、採鉱、鉱物処理、リサイクルについて、最大10の試験的な取り組みを行う。
(2)重要で希少な資源について、少なくとも3つの利用先を代替する。
(3)欧州内から競争力を持って一次資源を供給するための条件を洗い出し、社会受容性向上に向けた調整を行う。
(4)効率的な物質使用、および効果的な廃棄物の発生抑制、リユース、リサイクル、資源性を考慮した製品設計の条件を洗い出す。
(5)1次資源、2次資源について、情報、フロー、動的モデリングシステムを用いて、資源に関する欧州の知識の基礎を整備する。
(6)資源管理についての研究、教育、訓練センターとのネットワークを構築する。
EU
の資源確保戦略に関する主な動きEU の戦略的な資源確保戦略(個別政策)
EU
の概要 EU
の加盟国 EU
の法の構造・EU
の体制 EU
の成長戦略 EU
の戦略的な資源確保戦略
概要 Raw Materials Initiative(RMI)
- EUにおける対象5鉱種の輸入依存度、主要輸入国、代替、リサイクルの評価結果
EIP on Raw Materialsの戦略的実行計画の評価結果
備蓄- EUの西側の加盟国での備蓄プログラムの経緯
- EUでの備蓄の要否に関する検討結果
- EUでの対象4鉱種の調達コスト・ランニングコストに関する過去の検討結果
小括EU の戦略的な資源確保戦略(個別政策)
EUの概要
(資料)EU MAG「EU加盟国地図」(左図)、各種公表資料に基づきイー・アンド・イー ソ リューションズにて作成(右図)
加盟国 加盟国 人口(人)
(英名) (和名) (2019年1月1日付)
1 Austria オーストリア 1995 8,858,775 14 2 Belgium ベルギー 1958 11,455,519 8 3 Bulgaria ブルガリア 2007 7,000,039 15 4 Croatia クロアチア 2013 4,076,246 20
5 Cyprus キプロス 2004 875,899 25
6 Czech チェコ 2004 10,649,800 10
7 Denmark デンマーク 1973 5,806,081 16 8 Estonia エストニア 2004 1,324,820 24 9 Finland フィンランド 1995 5,517,919 17 10 France フランス 1958 67,012,883 2 11 Germany ドイツ 1958 83,019,213 1 12 Greece ギリシャ 1981 10,724,599 9 13 Hungary ハンガリー 2004 9,772,756 13 14 Ireland アイルランド 1973 4,904,240 19 15 Italy イタリア 1958 60,359,546 3 16 Latvia ラトビア 2004 1,919,968 23 17 Lithuania リトアニア 2004 2,794,184 21 18 Luxembourg ルクセンブルク 1958 613,894 26
19 Malta マルタ 2004 493,559 27
20 Netherlands オランダ 1958 17,282,163 7 21 Poland ポーランド 2004 37,972,812 5
No. 加盟年 人口順位
EU
の加盟国EU の戦略的な資源確保戦略(個別政策)
EUの概要
法の構造
EU
の体制
上位階層の法 EU
条約(Treaty on European Union
)- EUの目的・役割を規定する
EU機能条約(Treaty on the Functioning of the European Union)
- EU条約とともに、 EUの目的・役割を規定する
EU条約およびEU機能条約の付属書
下位階層の法
規則(Regulation)-
すべての加盟国を拘束し、採択されるとそのまま国内法体系の一 部となる。
指令(Directive)-
指令の中で命じられた目的についてのみ、加盟国を拘束し、それ を達成するための手段と方法は加盟国に任される。
決定(Decision
)-
特定の加盟国、企業等に対象を限定し、限定された対象に対して 直接的に効力を有する。
勧告(Recommendation)・意見(Opinion)-
理事会、欧州議会または欧州委員会が行う見解表明で、法的拘 束力を持たない。 EU
の政治指針、法・予算の策定、実行および監視は、EU
条約第13
条 で定められる7つの組織が、その実施の中心を担う。日本語表記 英語表記 役割
欧州理事会
European Council EUの政治指針の決定
理事会
Council
欧州議会と協調した法・予算の制 定、欧州理事会の指針に従った外 交・安全保障政策の策定
欧州議会
European
Parliament
理事会と協調した法・予算の制定欧州委員会
European Commission
欧州議会・理事会に対する法案・予 算案の提案、加盟国でのEUの法・
予算の執行状況の監視
EU司法裁判所 Court of Justice of the European Union
EU法体系の解釈等を行い、加盟
国がEUの法を等しく国内に適用し ていることを確保する。欧州中央銀行
European Central
Bank EUの通貨であるユーロの管理
欧州会計監査院
Court of Auditors
欧州委員会による予算の執行状況 の 監 査 な ど 、EUの 基 金 を 扱 う 組 織・個人に対して会計監査を行う。
(資料)各種公表資料に基づきイー・アンド・イー ソリューションズにて作成
EU の戦略的な資源確保戦略(個別政策)
EUの概要
リスボン戦略
(2000~2010年)
欧州2020戦略
(2010~2020年)
新欧州委員長主導の新成長戦略?
(
2020
~)EU
の成長戦略 EU
では、グローバル社会で競争力を持つ経済・社会の実現を目標とし、目標達成期間を2010
年に設定し、2000
年にリスボン戦略を採択。
その後、2007
年以降の世界金融危機により構造的な脆弱性が顕在化、また、グローバル化、天然資源の獲得競争、および高齢化などの 長期的課題に危機感を持ち、これらの課題を克服すべく、以下の政策分野をターゲットにして、成長戦略「欧州2020
戦略」を2010
年に策定。
雇用
研究開発
気候変動・エネルギーの持続可能性
教育
貧困・社会的排除 2020
年は欧州2020
戦略の目標達成年。また、2019
年12
月1日からはドイツのウルズラ・フォン・デア・ライエン氏率いる新欧州委員会がス タート。今後EU
では、欧州2020
戦略の目標達成状況の評価、欧州2020
戦略を後継する新しい成長戦略が打ち出されるものと想定される。EU の戦略的な資源確保戦略(個別政策)
EU
では、資源確保戦略の枠組みであるRaw Materials Initiative
(RMI
)の下、バリューチェーンの上流~下流のステークホルダーのプ ラットフォームであるThe European innovation partnership on raw materials
(EIP on Raw Materials
)が、資源確保戦略の実行を 担っている。EUの戦略的な資源確保戦略
(資料)各種公表資料に基づきイー・アンド・イー ソリューションズにて作成
EU
の資源確保戦略に関する主な動き時期 概要
2008年 RMIが始動。
2011年 RMIの下、Critical Raw Materials(CRM)リストの公開。
2012
年RMI
促進の目的で、EIP on Raw Materials
を設置2013
年EIP on Raw Materials
が、2020
年を目標年とする戦略的実行計画を策定。2013年
欧州委員会内にて資源の国家備蓄(民間の備蓄資金を国家がファイナンスする場合も含む)を検討した結果、どのEU加盟国も政策オプションとして備蓄を支持せず、欧州委員会としては備蓄のモニタリングを継続すると結論。
2014年
第2回目のCRMリストの公開。2015年
成長の促進、および炭素中立・資源効率性・競争力を持つ経済の実現のため、欧州委員会は循環経済行動パッケージを採択。2016年 EIP on Raw Materialsが、戦略実行計画の第1回評価結果を公開。
2017年
第3回目のCRMリストの公開。EU の戦略的な資源確保戦略(個別政策)
EUの戦略的な資源確保戦略
Raw Materials Initiative(RMI)
2008
年当時、日本や米国等の先進国は資源の安定供給確保を政策課題として位置付けている一方で、EU
では特定の加盟国しかこれら を政策課題として位置付けておらず、EU
レベルで資源の安定供給確保について統合された政策はなかった。
こういった背景を受けて、欧州委員会は「The raw materials initiative - meeting our critical needs for growth and jobs in Europe
」の副題の政策文書を2008
年に採択し、以下の3つの柱からなるRMI
を2008
年に開始。
他の競争相手と同じ条件下で国際市場の資源へのアクセスを確保する。
欧州内からの資源供給の促進のため、適正な枠組みの条件を洗い出す。
一次資源使用量削減のため資源効率性を高め、リサイクルを促進する。
特に、当該政策文書では、RMI
の優先課題として、CRM
の定義を位置付けている。 CRMは経済的重要度と供給リスク度に着目し選定
欧州委員会は少なくとも3年に1回はCRMのリストを見直すことをコミット 2011年:第1回名のCRMのリスト(14種類の資源)を公表
2014年:第2回目のCRMのリスト(20種類の資源)を公表
2017年:第3回目のCRMのリスト(27種類の資源)を公表
(第3回目の
CRM
リストには、本業務対象5鉱種(蛍石としてのF
、P
、Ga
、W
、PGMs
としてのPd
が含まれている)EU の戦略的な資源確保戦略(個別政策)
EUの戦略的な資源確保戦略
EU
における対象5鉱種の輸入依存度、主要輸入国、代替、リサイクルの評価結果(注)第3回CRMリストではFおよびPd単体のデータはないため、蛍石とPGMsのデータをFおよびPdとしてそれぞれ表記。
1:2010年~2014年の平均値
2:代替の困難さを0~1の数値で表した指数であり、1が最も代替し難い。経済的重要度(EI)と供給リスク度(SR)から別々に算出。
3:「当該資源(一次資源と二次資源)のEUへの供給量」に対する「廃棄物からの当該資源の回収量」の割合。
(資料)欧州委員会「第3回CRMリスト」(2017年9月)より作成
項目
F P Ga W Pd
輸入依存度
1 70% 100% 34% 44% 99.6%
主要輸入国
1
メキシコ38%
中国17%
南アフリカ
15
% ナミビア12%ケニア9%
カザフスタン77%
中国14%
ベトナム8%
中国
53
% 米国11%ウクライナ9%
韓国8%
ロシア84%
ボリビア5%
ベトナム5%
スイス
34
% 南アフリカ31%米国21%
ロシア8%
代替指数(EI/SR)
2 0.98/0.97 0.91/0.91 0.95/0.96 0.94/0.97 0.93/0.98
リサイクル率
3
1% 0% 0% 42% 14%
EU の戦略的な資源確保戦略(個別政策)
EUの戦略的な資源確保戦略
EIP on Raw Materials
の戦略的実行計画の評価結果(2016
年時点)進捗 今後の計画 今後の見通し
1
6つの試験的取組が実施される可能性がある。 2018~2020年で大規模な二次資源生産試験を含む、新たな試験的取組が予定
されている。 良い
磁石中HREE、電子機器材料の代替で、良好な研究成果が得られた。 CRM代替の18のプロジェクトが進行中であり、目標は達成見込み。 良い
資源(公にとって重要な鉱床)へのアクセス改善を目的としたEU加盟国 の法規制の整理は、現在進行中。
加盟国での国内鉱業政策、許認可手続き、 土地利用政策、および資源セクター
の社会受容性の改善のためには、さらなる取り組みが必要。 課題あり
戦略的行動計画のいくつかの項目は、 循環経済パッ ケージ
2
に含まれ ている。廃棄物枠組指令、埋立指令、容器包装廃棄物指令の改正に向けた合意、および それら改正を加盟国で反映させることが、さらに必要。 良い
資源に関する様々な調査結果が、ウェブベースのプラットフォームであ
るRaw Materials Information System(RMIS)
3
に集約された。 今後、EUの資源に関する知識をRMISにさらに統合していくことが重要。 良い2015年のEIT RawMaterials
4
の開始により、目標達成。 - 非常に良い欧州委員会は、米国や日本等の個別国、地域別ではラテンア メリ カや利益を共有する先進的な資源国とも資源外交を行っている。
加えて、EUの貿易戦略にも資源の視点が組み込まれている。
今後は、資源外交を引き続き継続する。紛争鉱物に関する規則の採択が考えら れる。マレーシア、フィリピン、インドネシア、豪州、ニュージーランド、メルコス ール
(南アメリカ諸国の関税同盟) とのFTA、 TTIP( 大西洋横断貿易投資パートナー シップ協定)を進展させる。
良い 目標7:2国間・多国間の階層で積極的なEUの国際協力戦略を描く。
目標1:資源の革新的な生産のため、探査、採鉱、鉱物処理、リサイクルについて、最大10の試験的な取り組みを行う。
目標2:重要で希少な資源について、少なくとも3つの利用先を代替する。
目標3:欧州内から競争力を持って一次資源を供給するための条件を洗い出し、社会受容性向上に向けた調整を行う。
目標4:効率的な物質使用、および効果的な廃棄物の発生抑制、リユース、リサイクル、資源性を考慮した製品設計の条件を洗い出す。
目標5:1次資源、2次資源について、情報、フロー、動的モデリングシステムを用いて、資源に関する欧州の知識の基礎を整備する。
目標6:資源管理の研究、教育、訓練センターとのネットワークを構築する。