堀之内らによる抄録に熱処理フィブリノゲン 製剤によると思われる非
A
非B
型肝炎の1例(抄録)。これは輸血なしのため乾燥加熱製剤 投与による感染が疑われた。
2)日本内科学会誌第
78
巻5
号p 726、1989
井上らによる加熱処理フィブリノゲン製剤(フ ィブリノゲンHT
(ミドリ)による非A
非B
型肝 炎の5例(抄録)。産科で5
名に投与された加 熱製剤によって全員(5名)が非A
非B
型肝炎 を発症した。内2
名に輸血が併用されていた(抄録)。
3)肝臓
44
巻、A430、2003年長谷川らは、1986〜1987年にかけて製造され たフィブリノゲン製剤から
C
型肝炎ウイルスの 核酸を検出したところ検討したすべての製剤 から C型肝炎ウイルス核酸が検出された。又、その当時にフィブリノゲン製剤を投与された
13
例の全例からもC
型肝炎ウイルス遺伝子が 検出され、一部の症例においては genotype 1a が検出され、塩基配列が製剤から検出されたも のとクラスターを形成していた(抄録)。 4)三沢病院雑誌 第1巻P2-6、1991
年清野らによる「フィブリノゲン注による出産 後の
C
型肝炎の集団感染」に関する論文。複数 の産科施設でフィブリノゲン が投与され、そ の後にC型肝炎を発症した9例について報告し ている。内5例は輸血も併用されていた。3.フィブリノゲンの製法による C
型肝炎の不活化の解析
1)
Beta-Propiolactone for the Inactivation of Non-A/Non-B Type 1 Hepatitis Virus Capable of Inducing Cytoplasmic Tubular Ultrastructures in Chimpanzees Vox Sang.
46:86-91.1984
Yoshizawa
らはチンパンジーを使用して感染 価が分かっている血漿を最終濃度 0.05%のβ-プロピオラクトン/UV で4℃、20 分間処理し、チンパンジーに接種したところ,少なくとも
2log
以上の不活化が確認できた。2)Inactivation of the Hutchinson strain
of Non-A,Non-B Hepatitis Virus by Combined use of Beta Propiolactone/Ultraviolet Irradiation.J.Med.Virol.16:119-8125.1985 Prince
らは非A
非B
肝炎ウイルスの感染価が 明らかなヒト血漿をプロピオラクトン/UV処理 し、チンパンジーに接種し、どの程度の不活化 効果があるか検討した。30,000
感染価を不活化 できることを明らかにした。又、同様な処理法 ではB
型肝炎ウイルスを7Log
不活化できた。3)Virus safety of Beta-Propiolactone
Treated Plasma Preparations (Clinical Experiences). Develop.biol.Standard.67.
311-317.1987
Heinrich
らは、第9因子の濃縮製剤をプロピオラクトン/UV 処理し、臨床で投与したところ
B
型肝炎、非A
非B
肝炎、HIV感染は認められな かったと報告している。非A
非B
肝炎は4.5Log
以上の不活化された。4)Validation of Virus Inactivation and
Removal for the Manufacturing Procedure of Two Immunoglobulins and a 5% Serum Protein Solution Treated with Beta-Propiolactone.
Biologicals.21. 259-268.1993
Dichtelmuller
らは、実際の血漿分画製剤の各 分画について実施されている工程におけるウ イルスの不活化・除去効率について複数のウイ ルスを用いて評価した。その中でC
型肝炎ウイ ルスのモデルウイルスである牛下痢症ウイル ス(以下BVDV)を 0.1%のプロピオラクトンで 22
度8時間処理すると4.5Log
以上の不活化効 果があることを報告している。5)ヒト・フィブリノゲンに対するプロピオラ クトン・紫外線併用処理に関する研究:金沢大 学十全医学雑誌、74(2)251-255.1966
須山らはフィブリノゲンの感染対策として プロピオラクトン/UV処理法の条件を詳細に検 討した。当時は、病原体の不活化評価は細菌を 用いていた。有効な温度、反応濃度、反応時間 を検討し、24度、400mg/L〜600mg/L、
5
時間と 決定した。又、pHは6.6〜7.0
を保つことが必 要であることも明らかにした。6)Transmission of non-A,non-B Hepatitis
By Heat-Treated Factor VIII Concentrate.
Lancet 326.8445.1-4.1985
Colombo
らは13
例の血友病 A患者に乾燥加 熱処理された濃縮第8因子製剤を投与し、12 ヶ月以上経過を追ったところ11
症例に非A
非B
肝炎が発生した。チンパンジーでは感染は認 められずヒトの結果と一致していなかった。7)Effect of Dry-Heating of Coagulation
Factor Concentrates at 80°C for 72 Hours on Transmission of Non-A,Non-B Hepatitis.Lancet 332.8615.814-816.1988
英国の血友病センターの研究グループは、
32
症例の血友病患者に80
度72
時間処理した 濃縮凝固因子製剤を投与してところ、非A
非B
肝炎の感染リスクが非加熱製剤に比べて0
〜9%に減少した。
8)Serological Evidence that dry heating
Of clotting factor concentrates prevents Transmission of non-A,non-B hepatitis.
J.Med.Virol. 30.(1). 50-52.1990
Skidmore
らは、45
症例の凝固障害を有する 小児に80
度72
時間の乾燥加熱製剤を投与し て非A
非B
肝炎の発生状況を解析したところ 感染を防止できた。9 )
Current Safety of Clotting Factor Concentrates. Arch. Pathol. Lab. Med.114 .3.335-340.1990
Epstein
らは、血友病患者の各種の方法で処理された凝固因子による
HIV、 B
型肝炎ウイル ス、非A
非B
肝炎の感染状況を解析し、乾燥 加熱では68
度72
時間では感染は阻止できな かったが、80度の加熱では非A
非B
肝炎の感 染は防止が可能であったと記載している。D.考察
フィブリノゲン製剤は製造方法が大きく分 けて4つあり
1985
年8月までβは―プロピオ ラクトン/紫外線処理(第1期)、1985
年8
月か ら1987
年2
月までは紫外線照射と抗HBs
免疫グロブリンの添加による製造(第2期)、
1987
年3
月から1994
年6
月までは60
度96
時間の乾 燥加熱処理(第3期)、1994年9
月以降は乾燥 加熱と界面活性剤によるウイルス不活化処理 が導入されている(第4期)。第4期は界面活性 剤によるウイルス不活化が導入されておりB
型 やC
型肝炎ウイルスの感染は理論的に極めて起 こり難いので第1期から3期までの感染リス クに差があるのか解析した。フィブリノゲン投 与による肝炎関連の副作用情報は製造元が418
例を保有していた。文献的には4つの報告がさ れているが、論文は1報のみで3つは抄録であ った。それらのフィブリノゲン製剤の製造方法 を見ると第1期からは無く、第2期と乾燥加熱 が実施されていた第3期に製造されており、60
度96
時間の乾燥加熱処理ではC
型肝炎ウイル スが完全には不活化されていない可能性が示 された。それを反映するように製造本数あたり の肝炎関連の副作用報告の頻度(輸血有りや不 明を除く)は、第1期では1
例/24.5万本、第 2期1
例/5.6千本、第3期1
例/2.4千本と第 2期と第3期が高かった。その当時のフィブリ ノゲンの使用方法、医療機関や患者さんからの 副作用報告の収集方法、さらに血液製剤に対す る医療側の関心の高さの違いなどもあること から報告頻度とフィブリノゲン製剤へのC
型肝 炎ウイルスの混入頻度は慎重に解析する必要 がある。そこで各製造方法によってC
型肝炎ウ イルスがどれくらい不活化され得るのか文献 的に考察した。C型肝炎ウイルスは現在に至る まで懸命な研究にも関わらず培養できるウイ ルス株は1種のみである。そのため、フィブリ ノゲンを用いてのC
型肝炎ウイルスの不活化に関する報告はない。そこでフィブリノゲンでは ないが、血漿や濃縮凝固因子製剤のチンパンジ ーを用いた