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現した.守備者のいない所に打とうという意識が生 じたことと,ライン際へ打つことは,守備者全員が 並ぶのに時間がかかり得点をあげやすいことに気 づいたものと推察された.また,「自分でトスして打 っ」ことが,ねらいをつけて打つことを容易にさせた ものと推察された.

 3時間目では,r打つ」技能の比較的高い男子 児童が,積極的にライン際をねらって打つようにな った.このことは,守備側の守備隊形をライン際ま で広げること,上手な児童がライン際も意識して守 れるようなポジションにつくような作戦を生み出し

た。

 さらに,折り返すコーンを3個に増やし,判断を 伴う走塁が必要となる「ならベース2」に入った4時 間目からは,高得点のコーンを回ってくるためにフ ァールラインぎりぎりをねらう児童が増えてきた。こ のことは「ファール」を頻出させる結果となった,

 また,守備隊形が広がったために一人ひとりの 間隔があき,その隙間を突く強いゴロを打とうとす る児童が出現し,外野へ抜けていく打球が見られ るようになった.このことは,上手な児童が一人か 二人,後ろ目で守る作戦を生起させた.この守備 の作戦は,キャッチする児童を多様化させる効果 を生み出すとともに,「捕って素早く並ぶ」技能を向 上させ,最後のゲームでは,得点を与えないプレイ を多く引き出した,誰が捕りどのように並ぶのかを 素早く判断する能力を高めることに繋がったものと

考えられる.

 図IV−3は,VTRに撮影した最初のゲームと最 後のゲームにおいて,打球がどの方向に飛んだか を比較したものである.

 ラインから内側15。以内のフェアゾーンに飛んだ 打球は,三塁側が21.0%から33.3%,一塁側が2.6

%から4.2%へと増加した,また,中央やや右よりの 打球が大きく減少し,左方向への打球が増加し た.ライン際への打球増えたこと,全員が右手打ち であり, 引っ張る打ち方 で強い打球が打てるよう になったことが,この結果からも認められた,

 次に,rならベース2」において,判断を伴う走塁 ができているかどうかを見るために,それぞれの得

21.0%

 ↓

33.3%    42.1%

      ↓      45.8%

5  30。

30。

15。

36.8%

 ↓ 16.7%

2.6%

 ↓ 4.2%

図IV−3 最初のゲームと最後のゲームにおける打球方

向の変容(上段:初,下段:後)

50 40 30

20 10

0

   各得点へ挑戦した割合と成功率

(沿

        .一..一

冒.冒冒冒..冒■成功率

向上した.これらのことから,打球や守備の様子を 見て,無理をせず,確実に取れる得点を判断して 走塁するようになったものと考えられた.

 最後のゲーム(6時間目)では,2回目のゲームと 比べて,3点ねらいが39.2%から36.5%に減少し,

2点ねらいが16.2%に増えた。このことから,打球 や守備の様子を見て,確実に取れる得点を判断し て走るという傾向が,より顕著になったものと考えら

れた.

 また,1点と2点の成功率が,それぞれ,28.6%,

33.3%と,3回のゲームの中で最も低い値を示し た,このことは,「捕る」「並ぶ」という守備力が向上 したことを示すものと考えられた,しかし,3点の成 功率は37.0%と,2回目のゲームとほぽ同値であ り,的確な走塁の判断ができるようになったものと 推察された.

2)認識的側面の変容

 このゲームにおいて学習させたいと考えていた ルールは,「アウト」「セーフ」「ファール」の概念で

ある.

 図W−5は,この3つの項目に対して,どれだけ 理解できているのかを単元終了後に調査し,前年 度の1年生と比較して示したものである.

 「アウト」「セーフ」については,それぞれ,73.0

%,83.8%が理解できており,わずかではあるが,

前年度の1年生よりも理解できている児童の多いこ とが認められた.得点が取れた時の「セーフ」,取 れなかった時の「アウト」という言葉かけを徹底する ことで,さらに理解できる児童を増やせるものと考 えられる.また,「ファール」については,91,9%の 児童が理解できており,前年度の1年生より顕著に 高いことが認められた.このことは,ライン際へ打つ 作戦が多くなり「ファール」が頻出したことで,指導 者が適宜「ファール」の事象がどんなものであるか を説明してきたことの効果であると考えられる.

3)情意的側面の変容

①到達度調査

 図IV−6は,運動の楽しさの項目を加えたrよい 授業への到達度調査」において,rはい」と回答し た好意的反応比率の単元経過に伴う変化を示した

100

80

60

40

20

0

(%)

アウト

..辱一煎窪度!与.、興1杢年度1年

セーフ フ7一ル 図W−5 ルールが理解できている児童の割合と前年度 の1年生との比較

100

 (瓢)

80

60

40

20

0

時鋤藤榊働悟

技やカの伸び 仲間との協力

新しい琵見

2 3 4 5

  (時間)

6

図N−6 到達度調査の好意的反応比率の単元経過に

伴う変化(1年生)

ものである,

 「運動の楽しさ」「精一杯の運動」の項目は,単 元を通して80%以上の高値で推移した,べ一スボ ール型ゲームでは,運動量の少なさが指摘される ことが多いが,本ゲームは,打者は全力で走るこ と,守備者全員が全力でプレイするように仕組んだ ことで運動量を確保し,高い好意的反応比率を示

したものと考えられる.

 r技やカのイ申び」では,2時間目は全員が好意的 反応を示し,r打てた」r捕れた」という個人技能の 伸びを実感できていた.回答理由から,ドリルゲー ムである「バウンドキャッチボール」においての伸び の自覚や,得点が取れなくてもフェアゾーンに打 球を飛ばせたというレベルでの伸びの自覚である ことが認められた.3時間目と4時間目では,r得点 が取れなかった」ことを理由とし「いいえ」と答える 児童が増えた.ゲーム2に移った4時間目の好意的 反応比率は,判断を誤った走塁がめだったことで,

最も低値である51.4%を示した.しかし,5時間目と 6時間目では,r強く打って3点を取った」r並ぶの が早くなった」と回答し好意的反応比率が向上し た.的確に判断して走る児童が増えたことや,r捕 って並ぶ」ことが素早くでき,相手に得点を与えな い場面の多かったことが関係しているものと考えら

れた.

 「仲間との協力」では,60%から80%の間で推移 した.「並ぶのが早かった」「いっぱい応援した」が 好意的反応の主な回答理由であり,「いいえ」と答 えた児童の多くは,「並ぶのが遅くて試合に負け た」ことを理由にしていることが認められた.素早く 並ぶためにチームワークが重要であることを認識し ていたものと推察された.

 「新しい発見」では,ゲーム1の2時間目と3時間 目では,「守り方がわかった」「打ち方がわかった」

という好意的反応も見られたが,rやり方は覚えた から」という理由でrいいえ」と回答する児童が多 く,3時間目には好意的反応比率は16.2%まで低 下した.ゲーム2に入った4時間目からは,「見て走 る」r無理をしない」といった走塁の失敗による気づ きを回答する児童が出現し増加に転じた。しかし,

他の項目に比べ,単元を通して低い値で推移して いることが認められた,攻撃や作戦の工夫を十分 に意識化させ得なかったことが,この項目において の好意的反応を低くしたものと推察された.

②好嫌度調査

 図IV−7は,単元前・後におけるベースボール 型ゲームについての好嫌度の変容を見たものであ

100%

80%

60%

40%

20%

0%

図W−7

■好き國どちらでもないロ嫌い

ベースボール型ゲームに対する好嫌度の変容       (1年生)

る.

 「好き」と答えた児童の割合は,70.3%から81.1

%へと増加した.理由としてr上手になった」ことを 挙げている児童の多いことが認められた.r打つ」

機会を保障したこと,ドリルゲームを取り入れ触球 機会を増やしたことなどにより,技能の伸びを実感 させたことが,本ゲームを好きにさせることに繋がっ たものと考えられる.しかし,単元後においても,

r勝ったり負けたりするから」r上手にできない」を理 由とし,「どちらでもない」が16.2%,「嫌い」が2.7%

残存した.攻撃や作戦の工夫を意識化させるな ど,勝つことの工夫を楽しむための手だての必要 性が示唆されるとともに,技能を伸ばすことが,好 意的反応を高めるための重要な一面であることが 再確認された.

4)ゲームの妥当性

 本ゲームは,「捕る」「打つ」技能の習得,「アウ ト」「セーフ」「ファール」の理解,バッターランナー としての判断を伴う走塁の教育内容が学習できる ように仕組んだゲームである.

 「ライン際へ打つ」作戦が生起したことで,ねらっ て打てる児童が増えた.このことには,r自分でトス

して打つ」ことがねらって打つことを容易にしたと推 察され,動くボールを打つ始めの段階としてふさわ しいものであると考えられた,また,この作戦は,守 備陣形を広げることに繋がり,打球を「捕る」児童の 多様化,「捕る」「並ぶ」の役割分担の明確化という 効果をもたらし,これらの技能の伸びを自覚させる ことが認められた.この,技能の伸びの自覚は,ベ ースボール型ゲームを好意的に感じる児童を増や すことに繋がった.さらに,「ライン際をねらって打 つ」ことは「ファール」を頻出させ,学習を促進させ ることが認められた.

 すなわち,本ゲームにおいては,「ライン際へ打 つ」作戦を重視することで,配当した教育内容を身 につけさせることができるものと考えられた.

 また,折り返すコーンを3個に増やすことで,単 元経過とともに,的確に判断して走ることのできる 児童を増やし,一人ひとりの能力に応じた走塁の 楽しさを味わわせながら,バッターランナーとして の走塁の判断を身につけさせられることが認めら

れた,

 また,攻撃側,守備側ともに複雑な判断を必要と しないこと,また,守備において,全員が全力でプ レイに関われたことから,「精一杯の運動」r運動の 楽しさ」において,好意的反応比率が高値で推移

した.

 以上のことから,本ゲームは,配当した教育内容 を学習させ得る1年生にふさわしいゲームであると

考えられた.

 今回の実践において,全員に打って走ることを 経験させるために,三振のルールを適用しなかっ た.この配慮は,結果的にファールや空振りを何度 してもよいことになり,ゲームを停滞させ緊張感を 薄めてしまうことに繋がったように考えられる.ま た,上手な打ち方の工夫を引き出せない可能性も あったように思われる.したがって,今後の実践で は,三振のルールを適用するのがよいと考えられ

た.

(2)2年生:rストップ・ハンドベース』

1)ゲーム様相の変容

 図IV−8は,単元経過に伴うゲーム様相の変容

単元の流れ

守備

捕って走り込みが多い 守備得点を補りに行こうと

るが,失敗が多い

(投・補の枝能が未熟)

捕って走り込み 近くへ行ってトス 1ゲーム中2圃巴震震珈

2点・3点べ一スヘの走り み・トスが多くなり,失 を最小に抑える作戦をと チームが増える

攻撃

ピッチャー・バッターとも 技能が未熟で三嬢が多い

フェアゾーンに打球が飛ぶ ことが多くなり,積極的に 次の塁をねらう

ライト方向 をねらう作 戦が多くな

守備のミス を見逃さず,

次の塁をね らって走る

図W−8 2年生の単元経過に伴うゲーム様相の変容    腫三振数

   国送球フォースアウト  (%)  目4点得点 60 一一 一一一一 一一一 一一一一一一 50

40 30 20 10

0 図w−9

 昭走り込みフォースアウト  ロフライアウト

 最初のゲーム       最後のゲーム

全プレイに対する各プレイの出現率(2年生)

墨﹁二堅 %﹁囲︵ 0 0

塁﹃三 一岡 

ム一一 一

 10  ︵0  鮒﹁ ■ 一

80

60

40

20

0

80

60

40

20

最初のゲーム 最後のゲーム 走り込み7オースアウト

0

ロー墨

最初のゲーム  最綾のゲーム  送球フォースアウト

図W−10 フォースアウトの内訳(2年生)

を示したものである。また,図IV−9は,VTRに撮 影した最初と最後のゲームにおいて,どんなプレイ がどのくらいの割合で出現したかを,また,図IV−

10は,フォースアウトがどのベースで行われたの か,その内訳を示したものである.

 守備では,最初のゲームから,キャッチゾーンに いる味方にボールを投げて,2点の守備得点を取

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