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図W−66 「判断を伴う送球』の理解のゲーム学習におけ る変容の加齢的変化
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2年 3年 4年 5年 6年 前6年
図W−64 アウトになるプレイの理解のゲーム学習にお ける変容の加齢的変化
て十分学ばせることができることが認められた.
また,すべての項目において,学習後,前年度 の同じ学年の理解度を大きく上回っていることが認
められた.
図IV−65は,「判断を伴う走塁の理解」の変容 の加齢的変化を,図IV−66は,r判断を伴う送球 の理解」の変容の加齢的変化を示したものである。
走塁や送球の仕方などの判断を伴うルール理 解についても,アウトになるプレイの理解と同様の 傾向が認められたが,学習の積み重ねがない今回 の実践では,判断を混乱させてしまうことも認めら
れた,
以上のことから,低学年からの学習の積み重ね によって,ソフトボールのルールを理解し適切な判 断ができるようになるものと考えられ,6年生では,
ルールを理解して学習に臨める可能性が示唆され た.すなわち,作戦立案など,さらに工夫してソフト ボールを楽しめるものと考えられた.
IV.まとめ
作成した1年生から6年生のベースボール型ゲ ームのカリキュラム試案の妥当性について,横断 的授業実践を通して検証した.
すなわち,6〜7時間の学習過程を組んだ授業 実践において,各学年に配当したゲームが,楽し みながら教育内容を身につけさせるものかを,単 元前後の技能面・認識面・情意面における変容か ら検討し,各ゲームの有効性について検証した.
L1年生に配当したrならベース」は,ライン際に打 つ作戦を生起させ,rファール」の理解を促進させ ることが認められた.また,「捕る」「並ぶ」の役割を 瞬時に判断して並べるようになることが認められ
た,
折り返し地点を3箇所に増やしたゲーム2は,「走 る」と「並ぶ」の速さ比べを判断を伴って行うことの 楽しさを生み出し,バッターランナーとしての判断 を伴う走塁の能力を高めることに機能した.
2.2年生の「ストップ・ハンドベース」は,ランナーよ り先の塁にボールを送るというフォースアウトの概 念を学習するのに有効なことが認められた.
また,「三振」の理解,バッターランナーとしての 学習が促進された.
3.3年生のrフォースアウト・ハンドベース」は,アウ トになるプレイについて抽出した7つのルールのう ち,ダブルプレイを除く,すべてのルールについて 理解できる児童を増やし,ルール学習に有効なゲ ームであることが認められた,
また,常に満塁で攻撃をさせたことは,走塁や守 備の判断がチームで一元化され,塁上にランナー がいるときのプレイの仕方を学習する最初の段階 として,適当であることが認められた.
4.4年生のrラケット・ベースボール」は,道具を使 って打つ楽しさを,すべての児童に味わわせること ができるゲームであった.
また,イニング満塁スタート制にしたことと,あまり 飛ばない・転がらないスポンジボールを用いたこと は,塁上にランナーがいる状況を生み出し,走者 や守備の学習機会を頻出させた.しかし,単元の 前半では,ランナーの状況がゲームの進行状況に
よって多様に変化するため,ベースボール型ゲー ムの学習の積み上げがない場合には,走塁や守 備の判断を混乱させ得ることが認められた.
5.5年生の「ダブルプレイ・ソフトボール」「シフトプ レイ・ソフトボール」は,連携プレイの楽しさを味わ わせることができるゲームであった.
しかし,走塁や守備の判断を高め,作戦を深め ていくためには,さらに学習時間を延長する必要 のあることが認められた.
6.6年生の味方がピッチャーをする「スリーピッチ・
ソフトボール」は,連携プレイなど集団技能を高 め,バッティング技能の未熟な児童も,動くボール を打つ楽しさを味わえていることが認められた.
また,5年生までに走塁や送球の判断を高めて おけば,このゲームをより楽しませることができるも のと推察された。
7.「精一杯の運動」に対する好意的反応の比率 は,いずれの学年においても80%以上の高値で推 移した.すなわち,本研究で選定・開発したゲーム は,ベースボール型ゲームの欠点として指摘され ている運動量を確保できたゲームであることが認め
られた.
8.「捕る」技能の未熟さは,ベースボール型ゲーム において,最も学習集団のトラブルの要因になるこ とが再確認された.
特に,2・3・4年生において,捕球技能の個人差 が顕在化し,ゲームを停滞させ学習集団としての 意識の高まりを阻害させることが再確認された.
9。本研究で選定・開発したゲームは,ベースボー ル型ゲームを好意的に感じる児童を増やす傾向が 認められた,
しかし,低・中学年では,技能の個人差が顕在 化し,チームの雰囲気が悪くなってしまったことに よって,また,高学年においては,ボールヘの恐怖 心を払拭できなかったことによって,単元後も「嫌 い」と答える児童が2〜3名残存した(4年生を除
き).
10.「バウンドキャッチボール」を,準備運動も兼ね て単元を通して授業の前半に取り入れたことは,
r投げる」r捕る」技能の向上に有効に作用している
ことが,高低位での捕球動作,ワンバウンドで緩や かに投げられた胸の辺りにくるボールの捕球の成 績から認められた.
また,捕球動作の終末局面が投球動作の開始 局面にスムーズに融合される動作が身にっくこと が認められ,単元後,いずれの学年でも向上した,
その傾向は,特に高学年の男子で多く認められ た. ,
1L3回の試技中ヒット性の当たりが1回は打てる児 童の割合は,6年生の男子をのぞき,いずれの学 年,男女とも増加する傾向が認められた.これに は,2年生以上では,味方が投げた動くボールを打 たせたことが,有効に作用したことを示しているも のと推察された.
12.3年生以上で,塁上のランナーの状況に応じた 守備や走塁の学習を行わせようと「満塁スタート 制」を採用したが,判断を伴うルール理解やプレイ 遂行の学習は,ベースボール型ゲームが大好きで ないと答えた意欲・関心の低い児童には,必ずしも 有効に作用しないことが認められた.
習の適時期に関する研究一小・中学生のオーバ ーハンドスローの練習効果から,スポーツ教育学
研究9(1):23−35。
4)奥村基治・梅野圭史・辻野昭(1988),体育科の 授業に対する態度尺度作成の試み一小学校中学 年児童について一,体育学研究,33−4:pp310−31
9.
5)小林篤(1978),体育の授業研究.大修館書店lp
p170−210.
6)小林篤(1978),体育の授業研究.大修館書店:p
p233−239.
7)福嶋真澄・後藤幸弘(1992),サッカーの技能と態 度得点の変容の関係について,兵庫教育大学教 科教育学会報第5号,pp65−72.
以上のことから,本研究で選定・開発しそれぞれ の学年に配当したゲームは,各学年の教育内容を 習得させ得るもので,各学年段階にふさわしいも のであることが,横断的学習成果から認められた.
したがって,低学年の段階からこれらのゲームに よる学習を縦断的に積み上げれば,ソフトボール に繋がる動きや能力を身につけさせ,高学年で,
ソフトボールの技能的特性や機能的特性に触れた 楽しさを味わえる可能性の高いことが認められた,
文献
1)池田康明・瀬谷圭太・後藤幸弘(2002),ドッジボ ールのゲーム形式の発展的展開によるrうごくから だ」の育成,第53回日本体育学会発表資料.
2)梅野圭史・辻野昭(1979),体育科の授業に対す る態度尺度作成の試み一小学校低学年児童につ
いて一,体育学研究,25−2:pp140−148.
3)奥野暢通・後藤幸弘・辻野昭(1989),投運動学
第V章 要 約
本研究は,6年間を見通したべ一スボール型ゲ ームのカリキュラムを作成することを目的とした.
まず,第H章において,ソフトボール(べ一スボ ール型ゲーム)を楽しむために必要な能力の種類 とレベルを明らかにし,措定した教育内容を各学 年に配当した.次いで,第皿章において,それら の能力を児童の発達段階に応じて,ゲームを通し て身につけさせ得ると考えられるゲーム教材の選 定・開発と,1年生から6年生への配列について検 討した.さらに,第IV章において,試案したカリキュ ラムとゲーム教材の有効性を,授業実践を通して検討
した,
1.ソフトボールに必要な能力の措定と発達段階 に応じた教育内容の配当
ソフトボールを,ボール運動領域の普遍的学習 内容であるルール・技術・戦術・マナーの4つの側 面から検討し,ソフトボールを楽しめるために必要 と考えられる能力(教育内容)を措定した.また,6 年生での最低達成レベル(到達目標)を設定した.
さらに,措定した教育内容について,対象校の児 童の発達過程の実態を把握し,措定した教育内容 を5年生までに身につけさせるように教育内容の学 年配当を試みた.
ソフトボールの教育内容は,r投げるjr捕る」r打 っ」r走塁」rルール理解」r作戦立案」r判断力」の
7つにまとめられた.
また,6年生において,味方がピッチャーをする
「スリーピッチ・ソフトボール」が楽しめるようになれ ばよいと考え,これを楽しむために必要な教育内 容の最低レベル(到達目標)を設定した,すなわ
ち,
①オーバーハンドスローでダイヤモンドの対角線 の距離が投げれる.
②自分の正面に飛んできたボールはつかめる.
③味方が投げた打ちやすいボールは打てる.
④打って走る・次塁へ進むことができる.
⑤アウトになるプレイがわかる,
⑥守備連携が考えられる・走者を進めるバッティン
グが考えられる.
⑦状況に応じたプレイ(投げる・捕る・打つ・走る)
の選択ができる.
である.
さらに,措定した7っの能力の最低レベルを5年 生までに身につけさせるために,各学年に教育内 容を段階的に配当した.
皿.各学年段階に応じたベースボール型ゲーム教 材の選定・開発
各学年に配当した教育内容を,ゲームを通して 学習させるために,1年生から6年生までの,それ ぞれの学年にふさわしい課題ゲーム教材を選定・
開発した.
ゲーム教材を開発するに当たって,
①コートは60。のフェアゾーンを基本とし,少人数
で行う.
②塁はダイヤモンド型に4つ置き,多様なプレイの 出現を保障する.
③打者一巡イニング交代制を採用する.
④味方ピッチャー制を採用する.
⑤イニング満塁スタート制を採用する.
⑥守備得点を設ける.
を基本的な考えとし,配当した教育内容を身につ けさせ得るゲーム教材を選定・開発した,
すなわち,1年生には,「捕る」「打つ」技能の習 得,「アウト」「セーフ」「ファール」のルール理解,
バッターランナーとしての判断を伴う走塁の主要な 教育内容が学習できる「ならベース1・2」を選択・配
当した.
2年生には,「投げる」「捕る」「打つ」技能の習 得,「三振」「フライアウト」のルール理解,バッター ランナーとしてのベースランニングの仕方の主要な 教育内容が学習できる「ストップ・ハンドベース」を 開発・配当した.
3年生には,「フォースアウト」「タッチアウト」のル
ール理解と,これに関わるボール操作能力の習 熟,ランナーとしての判断を伴う走塁の主要な教育