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 生徒:××に教科書を持ってこさせた。2年のときにはやっていな     い○

 教師:なぜ3年になって頼んだ。

 生徒:しんどいから。

 教師:おかしい、2年の方がしんどい。うそをついた方が得と思っ     ているのか。

 生徒:2年でもやった。

(5)文部省「いじめの問題の解決のために当面取るべき方策等につい  て(通知)」 (重信中第313号、平成7年3月17日)、及び「いじ

 め対策緊急会議報告一いじめの問題の解決のために当面取るべき方  策等について」より。

(6)S高校は、1年次は昼間分教場となっている県立職業訓練校に通  学し、2年次以降就職して夜間本校に通うというシステムを採って  いる。そのため追認会議は、本校、分教場合同で行われる。

(7)教科の認定権は、基本的には教科担任にある。そのため、教科担  任から不認定として会議に提出されれば、 (最終的には追認会議を  経て校長が決定するにせよ)事実上留級は決定したようなものであ  る。

第2節 生徒会活動を生き生きさせる取り組み

 橘教諭は、昭和53年度生徒会係となり、生徒会活動を生き生きさせる 取り組みを行った。この取り組みのねらいはどこにあり、そのために具 体的に何をやり、そして、その結果どうなったのであろうか。橘教諭の

「活動メモ」、及びサークル活動において報告されたレポート(1)な どを主な資料に、これらの点をみていぎだい。

(1)取り組みの意義

 中山教師らは、昭和53年差1978)2月より、学校正常化を目指すため、

rS高校をよくする会」と名付けた校長を含む私的な話し合いを計7回 持った(メンバーは校長、中山教師、橘教諭、桧垣教諭の4名、場所は

中山教師の自宅を皮切りに回り持ち)。当時のS高校は、これまでの取 り組みにより、部落問題を背景とした外部介入や生徒の暴力といった問 題については、ほぼ克服できた状態にあった。しかし、学校の中のある 部分では、授業が成り立たない状況が依然として存在した。例えば、教 師が生徒の方を見もせずに、生徒が立ち上がったり教室の外に出て行っ てもおかまいなしに黙々と板書しているといった状況が、である。そこ で、「よくする会」のなかでは、同校をよくするため、今どこを押せば よいかという点について、次のようなことが話し合われた。

 今のS高校の最大の課題は授業の正常化である。そのためには急がば 廻れで、次のような図式が考えられるのではないか。すなわち、「まず 教師、生徒の先進的な部分が接触し、生徒の自覚を促す→教師の次の部 分に影響を与える→生徒の次の部分に影響を与える→教師のまた次の部 分に影響を与える→……→全体として教師が進む」という図式である。

その図式を実現させるためにはどうすればよいか、中山教師には ああ、

生徒会だ! との突然のひらめきがあったという。つまり教師、生徒の 先進的な部分が接触し、生徒の自覚を促すためには、まず生徒会執行部 を活性化させる必要がある、とのひらめきがである。

 いかに現在の生徒会活動が停滞しているとはいえ、生徒会執行部に入 ろうというほどの生徒なら、それなりに自覚的意欲的な生徒とみなしう るであろう。生徒会係はそことの公的な接点である。したがって、まず 教師の先進的な部分(今話し合っている「よくする会」のメンバー)が、

校務分掌上の生徒会係になる必要がある(2)。なお、校務分掌の1つ としての生徒会係の位置づけは、次のように考える。すなわち、生徒会 係が正しい方向で動けば、それが他の分掌にも波及していき、ひいては 全体の分掌が活性化する契機になる、というものである。

 しかし、先に挙げた図式は諸刃の剣で、危険性も含んでいる。という のは、部落研を起こしたとき、生徒が急激に「目覚め」過ぎ、暴走し、

教師の指導を拒否するようになったばかりか、教師攻撃の急先鋒になっ たケースと基本構造は同じだからである。このときの苦い経験を生かし、

取り組みに当たっては次の点を留意すべきである。まず、教師の、次に 自覚的な部分の方が、生徒会執行部より常に先に変化するようにする。

その働きかけには時間がかかるから、生徒会を変えるのも2年ぐらいか けてゆっくりとやる。次に、「危険:性」を避けるために個人プレーをや

らない。全職員の賛同を得られる分だけ、無理をせずにやる。特に、最 高責任者である校長との意志統一を常に図る。場合によっては、県教委 の指導も仰ぎながらやる(3)。

 以上のような基本的な考えのもとに、具体的にはメンバーの中から橘 教諭が生徒会係を目指すことになった。学校の最大の課題である授業の

正常化のために、まず生徒会を変える(授業の正常化=生徒会の活性化)

という発想自体がすでに独創的、創造的なものであろう。かくしてこの 深慮遠謀はスタートしたのである。

(2)指導する上での基本的な考え方

 生徒会顧問になるに当たっては、現顧問が生徒指導部会及び職員会議 で、「自分は4年も生徒会係をやっているが全然よくならない。誰かや る気のある人があれば変わってほしい」との発言があり、「よくする会」

の話し合いの内容と不思議な一致をみた。が、橘教諭は先走っている印 象を与えず、自然に(生徒会顧問に)なるようにするために細心の注意 を払いつつ行動し(4)、ついに昭和53年度当初の職員会議で、正式に 生徒会顧問となったのである。

 生徒会執行部の生徒を指導する上で基本的に考えたことは、次の通り

である。

①生徒会活動の停滞の責任はどこにあるのかという問題については、そ  れは教師の指導が充分でない、的確でないからであると考える。

②活動に当たっては、教:師、特に顧問がまず動く、頑張る。顧問の教師  の指導性に停滞の原因の1つはある、ということを実証してみせる。

③基本的な点、重要な問題では、個人プレーをやらない。:職員全体には  かって、賛成の得られた分だけ進める。

④生徒は必ず意欲を持っている。適切な助言さえあれば、事態は動くと  確信する。現実に今のメンバーがダメなら新しいメンバーを用意する  のか(来年まで待つのか)という点については、今のメンバーのなか  に発展の契機を見出すという考え方でやる(この考え方は、現実の外  にではなく、内に発展の契機を見出すという考え方である)。

⑤活動は楽しいものにする。生徒会をやって得をしたと生徒が思えるも  のにしていく。

⑥気が付いたらうまくいっていたというように、無理のない、理にかな  つた、リズムに合った取り組みにしていく。

⑦生徒会活動は生徒の自主活動である。そのため教師の頭であるべき姿  を考えて当てはめない。活動がうまくいくこと自体が目的ではない。

 そのなかで生徒の自主性を育てることが目的である。

⑧教師の指導性と生徒の自主性という二律背反のなかでの両者の関係に  ついて、基本的にどう考えるか。生徒の真の自主性は、教師がヒント  を与えたり、やる気を出すよう指導してはじめて導き出せる。それが  「指導」である。したがって、「指導」なくして生徒の真の自主性は  ない。しかし、その際、ある程度の許容範囲を認め、うまく行ってい  るときには見守ってやるというような柔軟性も必要である。が、1た  び間違いを起こしそうになったときには、教師の指導性を発揮して軌  道修正させる。しかし、1番良いのは、生徒との接触を密にして、間  違わない人間をつくることである。

⑨困難は克服する方向で考える。完全なことをやれないから中止する、

 とは考えない。そのたあ多少変則でもやる。変則は、より完全なこと  に近づけるための過程のなかに位置づける。

 以上の考えのもとに、橋教諭は生徒会係としての仕事に着手したので

あった。

 それでは、次に具体的な取り組みについてみていこう。

(3)生徒総会7年ぶりに成立

初めて見る生徒会室は、荒れ果てた汚れた部屋であった(場所も最上

階の4階で、1番不便な所にあった)。橘教諭は1人で丁寧に掃除し、

4月21日、執行部の初会合を持った。お茶と菓子を用意し、自己紹介の 後、「会合はおもしろく、短くやろう」と抱負を語る。校長が中山教師

との打ち合わせの上、ちょっと顔を出しに来る(5)。

 27日、中山教師と橘教諭は、次のような打ち合わせをしている。

○執行部4人の生徒について、全員を一度に変えようとするのではなく、

 まず1人を育てるという考え方をすること。担任には経過を逐一報告  し、了解を取りながらやること。

○会議のたびに議題メモを渡すこと。欠席者には会って、一声かけてそ  のメモを渡すこと。

○生活体験発表大会が最大の行事である。あらゆる機会にこのことを一  言でも出すこと。

○メモを細かく取ること、等々。

 さて、当面の最大の課題は、6年間成立していない生徒総会を成立さ せることであった(これまでは、あらかじめ知らせたら生徒が学校に来 ないというので、当日抜き打ちでやっていたが、それでも定足数に満た なかった)。総会の日取りについては、橘教諭は「日にちがないので6 月にしょうと思う」と中山教師に言ったが、 「そういう後へ引く姿勢で

はいけない」と注意される。結局、5月17日に決める。

 まず、執行部の体制固めが先決である。橘教諭は、 (2)の基本的な 考え方に基づいて、具体的に次のことを実行した。

①会議の時間を短時間(10分)にする。約束の時間に必ず終わる(途中  でも止める)。

②会議は菓子も出しておもしろくする。

③執行部全員が同じファイルを持つ。座席も決め、責任感と自信を持た

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