別物だが)、(f◦g)r, (f◦g)θ1, (f◦g)θ2 もそれぞれ fr,fθ1,fθ2 と略す習慣がある。その 習慣に従って (1)を書き直すと、A上で
(fr, fθ1, fθ2) = (fx, fy, fz)
c1 −rs1 0 s1c2 rc1c2 −rs1s2 s1s2 rc1s2 rs1c2
.
2 注:空間極座標を g(r, θ1, θ2) =
rsinθ1cosθ2 rsinθ1sinθ2 rcosθ1
と定義することも多い(例 11.1.10
の定義
x y z
に対し
y z x
)が、実際に色々計算してみると(例えば 例 11.4.3)、例
11.1.10の定義の方が自然で見通しがよいことが分かる。いずれにしても、座標を入れ替
えただけの違いなので、一方で得られた結果を他方に翻訳することは容易である。
問 11.1.7 (?) 例11.1.10 のg は[0,∞)×[0, π]×[0,2π) からR3 へは全射、 Aから B へは全単射であることを示せ。
問 11.1.8 (?)d≥2, (r, θ1, ..., θd−1)∈[0,∞)×[0, π]d−2×[0,2π)に対しd次元極座標を
gd(r, θ1, ..., θd−1) =
x1 ... xd
, 但し
x1=rcosθ1,
xj =rsinθ1sinθ2· · ·sinθj−1cosθj (2≤j≤d−1) xd=rsinθ1sinθ2· · ·sinθd−2sinθd−1
.
で定める。以下を示せ:(i) gd(r, θ1, ..., θd−1) =
³ rcosθ1
gd−1(rsinθ1,θ2,...,θd−1)
´ .
(ii) gd は[0,∞)×[0, π]d−2×[0,2π) からRd へ全射、A = (0,∞)×(0, π)d−2×[0,2π) からB ={x∈R3 ; (xd−1, xd)6= (0,0)}へ全単射。(iii) d≥3 に対し
gd0(r, θ1, ..., θd−1) = Ã
1 0
0 g0d−1(rsinθ1, θ2, ..., θd−1)
! Ã
g02(θ1) 0 0 (δij)di,j=3
! . (iv) detg0(r, θ1, ..., θd−1) =rd−1sind−2θ1sind−3θ2· · ·sin2θd−3sinθd−2.
問 11.1.9 f ∈C1(R2 →R)とする。次のg にたいし(f◦g)0 を計算せよ:(i)g(x, y) =
³xcosy xsiny
´
, (ii) g(x, y) =
³x+y xy
´ .
•k= 1,2, ..とする。k−1階の偏導関数gが定義されるとき、これにたいし更なる偏微 分 ∂jg(x) をを考えることができる。これにより、帰納的に k 階の偏微分係数、k 階の 偏導関数が定義される(k 階の偏微分係数は、偏微分を施す座標の順序を考慮して、全 部で dk 個ある)。
•f :D→Rであり、k階までの全ての偏導関数が存在して連続であるもの全体をCk(D) で表す。
例 11.2.2 ∂j∂if(a),∂i∂jf(a)が共に存在しても等しくないことがある。実際、f :R2 →R をf(z) =x3y1/|z|2 (z= (x, y)6= (0,0)), f(0) = 0と定める。例 11.1.5の計算から、任 意のt6= 0に対し∂1f(0, t) = 0,∂2f(t,0) =t. よって、∂2∂1f(0,0) = 0,∂1∂2f(0,0) = 1.
例11.2.2の一方で、次の命題が成立する:
命題 11.2.3 記号は定義 11.2.1通りとする。∂j∂if, ∂i∂jf が共に D 上定義されかつ a∈Dで連続なら∂j∂if(a) =∂i∂jf(a).
証明: xi, xj 以外の変数は固定して、xi, xj 二変数のみ考えればよい。従ってd= 2の 場合を示せば十分である。そこで、
∆(h) =f(a1+h, a2+h)−f(a1+h, a2)−f(a1, a2+h) +f(a1, a2), h >0 とし、∂2∂1f(a),∂1∂2f(a) が共にlimh→0∆(h)/h2 に等しいことを示す。
まず、∂2∂1f(a) を考える。ϕ1(t) =f(t, a2+h)−f(t, a2)とすると、
(1) ∆(h) =ϕ1(a1+h)−ϕ1(a1).
ϕ01(t) =∂1f(t, a2+h)−∂1f(t, a2). 従って、(1)とϕ1 に対する平均値定理より (2) ∆(h)/h=ϕ01(a1+h1) =∂1f(a1+h1, a2+h)−∂1f(a1+h1, a2)
を満たす h1 ∈ (0, h) が存在する。さらに、g2(t) = ∂1f(a1 +h1, t) とするとg02(t) =
∂2∂1f(a1+h1, t) かつ
(3) (2)の右辺=g2(a2+h)−g2(a2).
従って、(3)と g2 に対する平均値定理から、
(4) ((2)の右辺)/h=g20(a2+h2) =∂2∂1f(a1+h1, a2+h2)
を満たすh2 ∈(0, h) が存在する。∂2∂1f は aで連続だから (2),(4)より
∆(h)/h2=∂2∂1f(a1+h1, a2+h2)h−→→0∂2∂1f(a1, a2).
また、座標を入れ替えて同じ議論をすれば71∆(h)/h2 h−→→0 ∂1∂2f(a1, a2). を得る。故に
∂2∂1f(a1, a2) =∂1∂2f(a1, a2). 2
71∆(h) =ϕ2(a2+h)−ϕ2(a2),但しϕ2(t) =f(a1+h, t)−f(a1, t). 次にϕ2 に平均値定理を用いる。
問 11.2.1 u, v, f ∈ C1(R2) に対し A(f) = ufx −vfy, B(f) = vfx +ufy とする。
f ∈C2(R2)ならA2(f) =A(Af),B2(f) =B(Bf) も定義できる。このとき、次を示せ:
A2(f) +B2(f) = (u2+v2)(fxx+fyy) + µ
∂x
µu2+v2 2
¶
+uvy−uyv
¶ fx
+ µ
∂y
µu2+v2 2
¶
+uxv−uvx
¶ fy. 問 11.2.2 f ∈ C2(R2 → C) に対し、について次の (a),(b) は同値であることを示せ:
(a):全ての (x, y) ∈R2 で ∂x∂yf(x, y) = 0. (b): fj ∈C2(R→C) (j = 1,2)が存在し、
全ての (x, y)∈R2 でf(x, y) =f1(x) +f2(y).
問 11.2.3 u∈C2(R2→C) 及び c >0 について次の(a),(b) は同値であることを示せ:
(a)波動方程式:¡
∂t2−c2∂x2¢
u(x, t) = 0を満たす。(b)関数 f±∈C2(R→C) が存在し てu(x, t) =f+(x+ct) +f−(x−ct) と書ける。
(a)⇐ (b)のヒント:y=x−ct,z=x+ctと変数変換し、u を(y, z) の関数と見ると、
波動方程式から ∂y∂zu≡0が分かり、問 11.2.2の結果が使える。
問 11.2.4 (?) f ∈C2(R→C),g∈C1(R→C) とするとき次を示せ;関数;
(1) u(x, t) = 12
³
f(x+ct) +f(x−ct) +c−1Rx+ct
x−ctg(y)dy
´
は、C2(R2 →C) に属し¡
∂t2−c2∂x2¢
u(x, t) = 0,u(x,0) =f(x), ∂u∂t(x,0) =g(x) を満た す。またこれらの条件を全てみたす u∈C2(R2 →C) は(1) で与えられるものに限る。
問 11.2.5 x ∈Rd,t >0 ht(x) =ct−d/2exp
³−|x2t|2´
とする(c >0 は定数:問 5.4.7参 照)。ht(x)にたいし熱方程式: (∂t−12∆)ht(x) = 0を示せ。但し∆ = (∂1)2+...+ (∂d)2. この ∆をラプラシアン という。
問 11.2.6 f ∈C1(Rd) に対し Af(x) =Pd
j=1xj∂jf(x) とおく。f ∈C3(Rd)に対し
∆Af−A∆f = 2∆f (従って、∆f = 0なら∆Af = 0)を示せ。
問 11.2.7 x∈Rd\{0} とする。以下を示せ:
(i) f ∈D1((0,∞))に対し∂jf(|x|) =f0(|x|)xj|x|−1.
(ii)f ∈D2((0,∞))に対し∂i∂jf(|x|) =f00(|x|)xixj|x|−1+f0(|x|)¡
δij|x|−1−xixj|x|−3¢ ,
∆f(|x|) =f00(|x|) + (d−1)f0(|x|)|x|−1,
問 11.2.8 (?) 以下を示せ:(i)グリーン核72 g0(x) (x∈Rd\{0})に対し∆g0= 0, 但し
g0(x) =
−|x|, d= 1
−c2log|x|, d= 2 cd|x|2−d d≥3,
c2, c3, ... は定数
g0 は原点におかれた質点(点電荷)によって生じるおける位置エネルギー(静電位)を 表し、(∂jg0)dj=1 は重力場(静電場)を表す。∆g0= 0 は重力場(静電場)が保存力場で あることを表す。(ii)ポアソン核py(x)に対し(∆ +∂y2)py(x) = 0,但し
py(x) =cd y
(|x|2+y2)(d+1)/2, x∈Rd, y >0 cdは定数
72George Green (1793—1841)
Rd+1 の下半空間Rd×(−∞,0)に静電場は生じない(例えば金属、電解質溶液などの電 気を逃がしやすい物質で満たされている)とする。このとき 0∈ Rd+1 に電荷をおくと Rd×(0,∞) にのみ静電場が生じ、(x, y)∈Rd×(0,∞)での電位はpy(x) で与えられる。
次に多変数関数に対するテイラーの定理を述べる。特にn= 2 の場合は、多変数関数 の極値の判定にも用いられる。
定理 11.2.4 (テイラーの定理) D ⊂ Rd は開集合、f ∈ Cn(D), a, b ∈ D, h = b−a, {a+th:t∈[0,1]} ⊂D とする。このとき、
f(b)−f(a) =
n−1
X
k=1
1 k!
Xd i1,..,ik=1
∂i1· · ·∂ikf(a)hi1· · ·hik+Rn
但し、
Rn= 1 (n−1)!
Z 1
0
(1−t)n−1 Xd i1,..,in=1
∂i1· · ·∂inf(a+th)hi1· · ·hin. 更に、次のようなθ∈(0,1)が存在する:
Rn= 1 n!
Xd i1,..,in=1
∂i1· · ·∂inf(a+θh)hi1· · ·hin.
証明:一変数関数ϕ(t) =f(a+th) (t∈[0,1])を考えて、一変数関数に対するテイラー の定理(定理 8.4.1)に帰着させる。1≤k≤n に対し
(1) ϕ(k)(t) = Xd i1,..,ik=1
∂i1· · ·∂ikf(a+th)hi1· · ·hik. 実際、k= 1 の場合は連鎖律(命題 11.1.7) より、
ϕ(1)(t) = Xd
i=1
∂if(a+th)hi. 以下、t について繰り返し微分すれば、帰納的に(1) を得る。
次に(1)を用いて定理を示す。ϕ∈Cn([0,1])だから一変数関数に対するテイラーの定 理(定理8.4.1)より
ϕ(1)−ϕ(0) =
n−1
X
k=1
1
k!ϕ(k)(0) +Rn, 但し, Rn= 1 (n−1)!
Z 1
0
(1−t)n−1ϕ(n)(t)dt.
更に次のような θ∈(0,1)が存在する:
Rn= 1
n!ϕ(n)(θ).
これらに(1) を代入すれば示すべき式を得る。 2