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極値の判定

ドキュメント内 4 II I (ページ 167-172)

E = {(x, y, z)[0,)3; x2 a2 +y2

b2 +z2 c2 = 1}, D = {(s, t)[0,)2; s+t≤1}

とすると、(x, y, z)∈E に(s, t) = (xa22,yb22)∈Dを対応させる写像は全単射かつ、

xyz=abcp

st(1−s−t).

よって

f(s, t) =st(1−s−t), (s, t)∈D

を最大にすればよい。Dはコンパクト、f は連続だからf は最大値を持つが、Dの境界 では st(1−s−t) = 0 だから、最大点はD 内にある。また、最大点は極大点、f は可微 分だから最大点は臨界点(命題 11.3.2)。一方、

fs=t(1−2s−t), ft=s(1−2t−s).

よって、D 内の臨界点(fs=ft= 0の解)は(1/3,1/3)のみである。従ってf(1/3,1/3) = 1/27 がf の最大値。以上から、求める最大値は abc

3

3. 2

11.3.2 a1, ..., ad>0 は定数、x1, ..., xd 0, xa212 1

+...+ xa2d2 d

= 1とし積 x1· · ·xd の最 大値を求めよ。

次に多変数関数の臨界点が、極値点であるための十分条件を2階の微分を用いて与える。

そのためにまず次の定義をおく:

定義 11.3.5 (ヘッシアン)D⊂Rd, f C2(D R), x ∈D とする。次の行列 H(x)fxにおけるヘッシアン(Hessian)と言う:

H(x) =



11f(x) . . . 1df(x) ... . . . ...

d1f(x) . . . ddf(x)

,

また、ヘッシアンH(x) の小行列式を次のように記す:

k(x) = det



11f(x) . . . 1kf(x) ... . . . ...

k1f(x) . . . kkf(x)

, k= 1, ..., d.

多変数関数の臨界点近傍の挙動を調べる上で、ヘッシアンが重要な理由は次のように説 明できる。D⊂Rd, f ∈C2(D R), a∈D, f0(a) = 0とする。このとき、テイラーの 定理(定理 11.2.4)より、

f(a+h) =f(a) +f0(a)h

| {z }

=0

+12h·H(a)h+R2.

|h|が小さいとき、誤差 R2h·H(a)h に比べてはるかに小さい。従って、|h|が小さ いとき、

f(a+h)ほぼ= f(a) +12h·H(a)h (11.5) と考えてよい。つまり、

f は臨界点 aの近傍で、係数行列12H(a) の2次関数で近似される。

多変数関数の臨界点が、極値点であるための十分条件をヘッシアンを用いて与える。

命題 11.3.6 (極値の判定)記号は 定義11.3.5の通り、a∈D,f0(a) = 0として、以下の 条件を考える:

(a1) 全ての k= 1, ..., dに対し ∆k(a)>0.

(a2) 全ての k= 1, ..., dに対し ∆k(a)0.

(b1) 全てのk= 1, ..., d に対し(1)kk(a)>0.

(b2) 全てのk= 1, ..., d に対し(−1)kk(a)0.

このとき、

(i) (a1)なら af の狭義極小点である、即ち、ある ε >0に対し x∈B(a, ε)\{a}f(x)> f(a).

(ii) (b1) なら af の狭義極大点である、即ち、ある ε > 0 に対しx B(a, ε)\{a} なら f(x)< f(a).

(iii) (a2),(b2)共に不成立なら、af の極値点でない。

厳密な証明は11.3節末尾に与えることとし、ここでは証明の概略だけを述べよう。(11.5)

を認めてf を(11.5)の右辺におきかえて考えると、行列H(a)が正定値、負定値である

かに応じaは極小、極大。線形代数によれば、そのための条件が (a1), (b1)で与えられ る(補題 11.3.9参照)。また、(a2),(b2)共に不成立なら、H(a)は不定符合、従ってaは 極値でない。

1k が偶数かつ∆k(a)<0なら(a2),(b2)共に不成立。

2: 命題 11.3.6の(a2) から af の極小点とは言えない。例えば、f(x) = x3 (x R),a= 0 に対しf0(0) = f00(0) = 0 なので条件 (a2)は満たされるが、a= 0 は f の極値点でない。同様に 命題 11.3.6の条件 (b2)から af の極大点とは言えない。

11.3.7 (x, y)R2 の関数f(x, y) =xyex2+y

2

2 の極値点を調べる。

f ∈C(R2) なので極値点は臨界点(命題 11.3.2)。そこでまず臨界点を求める。

fx=y(1−x2)ex2+y

2

2 , fy =x(1−y2)ex2+y

2 2 . 従って、臨界点は(0,0), ±(1,1), ±(1,−1).また、

Ã

fxx fxy fyx fyy

!

=ex2+y

2 2

Ã

xy(x23) (1−x2)(1−y2) (1−x2)(1−y2) xy(y23)

!

よって、

1=3xyex2+y

2

2 ,2 ={x2y2(x23)(y23)(1−x2)2(1−y2)2}ex2y2.

これらより、

1(0,0) = 0, ∆2(0,0)<0. よって (0,0)はf の極値点でない(命題11.3.6後の注参照)。

1(±(1,1))<0, ∆2(±(1,1))>0. よって±(1,1)はf の狭義極大点である。

1(±(1,1))>0, ∆2(±(1,1))>0. よって±(1,1)は f の狭義極小点である。 211.3.3 (x, y)R2 の関数が以下のように与えられるとき、臨界点、極小点、極大点を それぞれ求めよ:(i)x3+y33xy. (ii)x4+y410x2+16xy10y2. (iii) (x2−y2)ex2y2. (iv) (2x2+y2)ex2+y2.

3変数以上の関数に対して、命題 11.3.6を適用して極値点を調べる方法は原理的には2 変数の場合(例11.3.7)と同様だが、実際の計算は面倒になることが多い。ここでは、比 較的簡単に計算できる例を挙げる:

11.3.8 関数 13(x3+y3+z3)−xy−yz−zx, (x, y, z)∈R3 の極値点を調べる。

与えられた関数を f とおく。f ∈C(R3) より、極値点は臨界点(fx =fy =fz = 0 の 解)である。そこでまず臨界点を求める。

fx=x2−y−z, fy =y2−z−x, fz =z2−x−y.

従って臨界点は(0,0,0), (2,2,2). 更に、



fxx fxy fxz

fyx fyy fyz

fzx fzy fzz

=



2x −1 −1

1 2y 1

1 1 2z

.

よって、

1 = 2x, ∆2 = 4xy1,

3 = 2x(4yz1) + (2z1)(1 + 2y) = 8xyz2(x+y+z).

(∆3 は第1行について余因子展開して求めた。)これらより、

2(0,0,0)<0. よって (0,0,0)は f の極値点でない。

k((2,2,2))>0 (k= 1,2,3). よって(2,2,2)はf の狭義極小点である。 211.3.4 関数 x2+y2+z2+x−2z−xy ((x, y, z)R3)の極値点を調べよ。

命題 11.3.6の証明に、次の補題を用いる:

補題 11.3.9 行列 S = (sij)1id

1jd,sij =sji に対しその 主小行列式を

k= det



s11 . . . s1k ... . . . ... sk1 . . . skk

, k= 1, ..., d

と定め、以下の条件を考える:

(a1) 全ての k= 1, ..., dに対し ∆k>0.

(a2) S は正定値、即ち、任意のx∈Rd\{0} に対しx·Sx >0.

(a3) 全ての k= 1, ..., dに対し ∆k0.

(a4) S は半正定値、即ち、任意のx∈Rd に対しx·Sx≥0.

(b1) 全てのk= 1, ..., d に対し(1)kk>0.

(b2) S は負定値、即ち、任意の x∈Rd\{0}に対しx·Sx <0.

(b3) 全てのk= 1, ..., d に対し(1)kk0.

(b4) S は半負定値、即ち、任意の x∈Rdに対しx·Sx≤0.

(c) S は不定符合である、即ち、ある x, y∈Rd\{0} に対しx·Sx <0< y·Sy.

このとき、

(a1) ⇐⇒ (a2) = (a3) ⇐⇒ (a4), (b1) ⇐⇒ (b2) = (b3) ⇐⇒ (b4),

(c) ⇐⇒ (a3),(a4) 共に不成立.

証明: 線形代数の教科書を参照せよ。 2

命題 11.3.6の証明:(i): (a1)と 補題11.3.9より、H(a)は正定値である。a∈D より B(a, ε)⊂Dを満たすε >0 が存在する。全てのk= 1, ..., dに対し∆k ∈C(D→R)か つ∆k(a)>0. よって、必要ならε >0を更に小さくとりかえることでB(a, ε)上で全て の k= 1, ..., dに対し∆k >0 としてよい。今、x∈B(a, ε)\{a} を任意、h =x−a と する。このとき、テイラーの定理(定理11.2.4)とf0(a) = 0より、次のようなθ∈(0,1) が存在する:

(1) f(x)−f(a) = 12h·H(a+θh)h

全ての k= 1, ..., dに対し∆k(a+θh)>0 だから補題11.3.9より H(a+θh) は正定値、

従って (1)右辺は正である。以上よりa は極小点である。

(ii):−f を考えれば(i) に帰着する。

(iii): (a2),(b2)共に不成立ならH(a)は正定値である(補題 11.3.9)。仮定より次のよう なh1, h2 Rd\{0} が存在する:

(2) h1·H(a)h1 <0< h2·H(a)h2.

hjchj (c >0)で置き換えても、同じ不等式が成り立つから、|hj|< ε と仮定してよ い。そこで t∈(0,1)に対しテイラーの定理(定理11.2.4)と f0(a) = 0 より、次のよう なθj (0,1)が存在する:

(3) f(a+thj)−f(a) = t22hj·H(a+θjthj)hj.

jthj| ≤tεと(2) より tが十分小さければ、(3)の右辺は j= 1のとき負、j= 2 のと き正である。従ってaf の極値点でない。 2

ドキュメント内 4 II I (ページ 167-172)