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片側極限・片側連続性

ドキュメント内 4 II I (ページ 46-53)

−∞ ≤a < b≤ ∞,f : (a, b)Rk とする。x→c∈(a, b) における f(x) の極限を考え る際、xc の左側から近づく場合(左極限)と、右側から近づく場合(右極限)それ ぞれを個別に見る考え方を述べる。後に扱う左微分、右微分もこの考え方に基づく。

定義 4.3.1 (片側極限・片側連続性)−∞ ≤a < b ≤ ∞,f : (a, b)Rk とする。

a < c≤bに対し極限

limx→c x<c

f(x)

が存在するとき、極限をc での左極限(left limit)と呼び、f(c)と記す。特に c=bの 場合、f(c) と lim

xc x6=c

f(x) は同一概念である。

a≤c < bに対し極限

limxc x>c

f(x)

が存在するとき、極限を c での右極限(right limit)と呼び、f(c+)と記す。特に c=a の場合、f(c+) と lim

xc x6=c

f(x) は同一概念である。

a < c≤b かつ f(c−) =f(c) ならば fc で 左連続(left continuous)と言う。特に c=bの場合、c における連続性と左連続性は同一概念である。

•a≤c < bかつ f(c+) =f(c) ならばfcで右連続(right continuous)と言う。特に c=aの場合、c における連続性と右連続性は同一概念である。

A⊂(a, b) について f が 全ての点c∈A で左(右)連続なら fA で 左(右)連 続という。定義域 (a, b) 全体で左(右)連続な関数は単に左(右)連続 とも言う。

4.3.2 (単調関数は片側極限を持つ) 記号は 定義4.3.1の通りで、特にk= 1 とする。

(a) a < c≤b のとき、f(c) =



 sup

a<x<c

f(x), f が単調増加なら,

a<x<cinf f(x), f が単調減少なら.

(b) a≤c < bのとき、f(c+) =



c<x<binf f(x), f が単調増加なら, sup

c<x<b

f(x), f が単調減少なら.

証明: 問2.3.2に帰着する。 2

4.3.3 c∈Rとする。このとき、1(c,) は全ての点で左連続だが、点cでは右連続で ない。また、1[c,) は全ての点で右連続だが、点c では左連続でない。

4.3.1 gn(x) 0 (n N,x [0,1)) は x について非減少かつ、全ての x に対し f(x) =P

n=0gn(x) が収束するとする。f(1) =P

n=0gn(1) (両辺が でもよい)を 示せ。

命題 4.3.4 (極限と片側極限の関係)記号は 定義4.3.1の通りとする。c∈(a, b),`∈Rk に対し、

xlimc x6=c

f(x) =` ⇐⇒





f(c+) =f(c) =`, (a < c < b なら) f(c+) =`, (c=aなら) f(c) =`, (c=bなら) また、上記の同値性は k= 1, `=±∞の場合でも成立する。

証明: =: 定義から明らか。

=: c=a, b の場合は 定義 4.3.1で注意した。そこで c, xn(a, b),xn6=c, xn →c と 仮定して、limnf(xn) =`を言えばよい。K1, K2 N

K1={n∈N; xn< c}, K2 ={n∈N; xn> c}

と定める。また、Ki = {ki(0) < ki(1) < ...}とする。仮定より K1 が無限集合なら limnf(xk1(n)) =f(c−) =`, K2 が無限集合ならlimnf(xk2(n)) =f(c+) =`. よって部 分列による収束判定I(問 2.1.4)より、limnf(xn) =`. 24.3.5 (連続と片側連続の関係) 記号は 定義4.3.1の通りとする。c∈(a, b) に対し、

fcで連続 ⇐⇒





f(c+) =f(c) =f(c), (a < c < b なら) f(c+) =f(c), (c=aなら) f(c−) =f(c), (c=b なら)

証明: 極限と片側極限の関係(命題 4.3.4) で`=f(c) の場合である。 2

5 微分 I

曲線に接線をひく問題は、古くから考えられていた。例えばアルキメデスは、紀元前 3 世紀に螺旋 (現代風に書くとf(t) =t(cost,sint),t≥0)の接線を求めている。17世紀 になると、デカルトやフェルマー達により、接線・法線を一般にどう定義するか?が盛 んに議論された24。特にフェルマーはy=f(x) の接線の傾きを(y の変動)/(x の変動) においてxの変動が0 に近づくときの値と捉え、その考えを極値(点)を求める問題に も応用した。フェルマーの考え方は、現代の微分法に近く、後にニュートンにも影響を 与えた25。ライプニッツは(y の微小変動)/(x の微小変動) 書き表す為にdy/dx という 記号を用いた26。 また、ニュートンは、同じものをy· と記した。これらの記号は現在で も微分係数や導関数の記号として受け継がれている。

5.1 一変数関数の微分

定義 5.1.1 (一変数関数の微分) I Rを区間、f :I Rk とする(f :I Cの場合も k= 2として含む)。

x I で次の極限 f0(x) が存在すれば、その極限を x での微()係数(differential coefficient)と呼ぶ:

f0(x) = lim

yx y6=x,yI

Dx,y(f), 但し Dx,y(f) = f(y)−f(x)

y−x . (5.1)

この際、k= 1ならf0(x) =±∞も許すことにする。f0(x)を次のように記すこともある:

(f(x))0, d

dxf(x), df dx(x).

極限f0(x)Rk (ここでは、k= 1,f0(x) =±∞ の場合は除く!)が存在すればfx で可微分(differentiable)と言う。

f が全ての x I で可微分なら、関数 x 7→ f0(x) が定義され、これを f の 導関数

(derivative) と呼ぶ。微(分)係数、あるいは導関数を求めることを、微分するという。

定義 5.1.1のf0(x) は、幾何的には、グラフ上の点(x, f(x))における接線の勾配を表わ す。また、xを「時刻」を表す変数と解釈すると、f0(x) は動点f(x)の時刻x における 速度ベクトルを表わす。

5.1.2 (単項式・対数関数の微分) (i)p∈N,x∈Rなら(xp)0=pxp1. (ii)x∈(0,∞) なら (logx)0 = 1/x.

証明: (i): y6=x,y→x とするとxp−yp x−y

1.1.2

=

p1

X

k=0

xkyp1k→pxp1. (ii):x, y(0,),y6=xなら logx−logy の評価 (命題3.3.1) より

1 x∧ 1

y logx−logy x−y 1

x 1 y.

上式で y−→x とすると、(右辺)−→ 1x, (左辺)−→ x1. 2

24Ren´e Descartes (1596–1650), Pierre de Fermat (1601–1665)

25Issac Newton (1642–1727)

26Gottfried Leibniz(1646–1716)

5.1.3 (可微分でない関数の例)

(a) グラフに角がある場合: f(x) =|x|x = 0で微分不可能。実際、y >0,y <0 に 応じて D0,y(f) = 1,1. よって極限f0(0)は存在しない。

(b) 微分が発散する場合: f(x) =xp, 0< p < 1 はx = 0 で微分不可能。実際、y >0 としてD0,y(f) = yyp =yp1 −→ ∞, (y−→0).

命題 5.1.4 (可微分点は連続点) I Rは区間、f :I Rk x ∈I で可微分なら、fx で連続である。

証明: I\{x} 3y→xDx,y(f) は収束するのでf(y)−f(x) =Dx,y(f)(y−x)→0. 2 命題 5.1.5 I Rは区間、f, g:I Rk x∈I で可微分とする。

(a) (和の微分) f +gx∈I で可微分でかつ(f +g)0(x) =f0(x) +g0(x).

(b) (積の微分)f, g :I Cなら f gx∈I で可微分かつ (f g)0(x) =f0(x)g(x) +f(x)g0(x).

(c) (商の微分)f, g:I C,g(x)6= 0 なら f /gx で可微分かつ (f /g)0(x) = f0(x)g(x)−f(x)g0(x)

g(x)2 .

証明: (a),(b):y→x とするとき、

Dx,y(f +g) = Dx,y(f) +Dx,y(g)−→f0(x) +g0(x),

Dx,y(f g) 簡単な計算= g(y)Dx,y(f) +f(x)Dx,y(g)−→f0(x)g(x) +f(x)g0(x).

(c):g(x)6= 0かつgx で連続(命題5.1.4)なので、y→x とする際、g(y)6= 0を仮 定してよい。すると、

Dx,y(1/g)簡単な計算= −Dx,y(g)

g(x)g(y) −→ −g0(x) g(x)2.

となり f 1 の場合が判る。これと(b)からf /g=f1g に対する結果を得る。 25.1.1 I R は区間、f, g : I Rk x I で可微分とする。次を示せ。f ·gx∈I で可微分で、(f ·g)0(x) =f0(x)·g(x) +f(x)·g0(x),但し ·は内積を表す。

5.1.2 I Rは区間、fi :I C(i= 1, .., n)がx∈I で可微分とする。以下を示せ:

(i) 積f =f1· · ·fnx∈I で可微分かつx においてf0=Pn

i=1f1· · ·fi1fi0fi+1· · ·fn. (ii)p:CnCを多項式、f =p(f1, ..., fn) とするとき、fx∈I で可微分、また f0 は多項式q:C2n−→Cを用いf0 =q(f1, ..., fn, f10, ..., fn0) と表すことが出来る。

次に偏微分の概念を導入する:

定義 5.1.6 (偏微分)D⊂Rd,f :D→Rとする。点x∈Dの座標のうちx1, .., xi1, xi+1, .., xd

を固定しi座標のみ動かして得られる実一変数関数

t7→f(x1, .., xi1, t, xi+1, .., xd)

が、t∈(xi−ε, xi+ε) に対し定義されると仮定する(ε >0)。この関数を微分すること を fxi について偏微分すると言う。この関数がt=xi で可微分なら fx におい てxi について 偏微分可能といい、微分係数を偏微分係数という。偏微分係数は

if(x), ∂xif(x),

∂xi

f(x), ∂f

∂xi

(x)

等の記号で表す。全てのx∈Dif(x)が存在するとき、関数if :x7→∂if(x) をxi についての偏導関数と言う。

5.1.7 (巾級数は可微分) r (0,∞], an C (n N), また、全ての z∈ Ddef.= {z C; |z|< r} に対し、級数:

f(z) = X n=0

anzn は絶対収束するとする。このとき、z∈Dに対し (1) f0(z)def.= lim

wz w6=z

f(w)−f(z)

w−z =

X n=1

nanzn1 (級数は絶対収束).

上の極限を複素微分という。また、z=x+iy (x, yR) と書くとき、z∈Dの範囲で、

f(z) はx, y についてそれぞれ可微分で、

(2) xf(z) = (1/i)∂yf(z) =f0(z).最初の等式をコーシー・リーマンの等式という。

証明:z∈D とし、|z|< s < r となる sをとる。w→z のとき、|w|< s としてよい。

このとき、問 2.4.4より

() |wn−zn−nzn1(z−w)| ≤ 12n(n−1)(z−w)2sn2. 従って、w6=z なら

¯¯¯¯

¯

f(w)−f(z) w−z X

n=1

nanzn1

¯¯¯¯

¯=

¯¯¯¯

¯ X n=1

an

µwn−zn

w−z −nzn1

¶¯¯¯¯¯

(∗)≤ |w−z|X

n=1

n(n−1)|an|sn2

| {z }

4.2.6より有限

.

以上より、(1)を得る。(1)でz=x+iyyを固定し xだけを変数と考えると ∂f∂x(z) = f0(z)を得る。また、xを固定し y だけを変数と考えると 1i∂f∂y(z) =f0(z) を得る。 25.1.8 (指数・双曲・三角関数の微分)x∈Rとする。(i)c∈Cなら(ecx)0 =cecx. (ii) a∈(0,∞) なら(ax)0 =axloga. (iii) (chx)0 = shx, (shx)0 = chx, (cosx)0 = sinx, (sinx)0 = cosx.

証明: (i):巾級数表示ecx=P

n=0cnxn

n! に 例 5.1.7の結果を用い、

(ecx)0= X n=1

cnxn1 (n1)! =c

X n=0

cnxn

| {z }n!

=ecx

.

(ii): (i)で c= logaとする。

(iii): ch , sh , cos, sin を exp で書き表す定義式(命題 3.2.1, 命題 3.2.2)と (i), 命題

5.1.5による。 2

注: 例5.1.8では、簡単のために実変数関数として微分したが、複素変数関数として複

素微分(例5.1.7)しても同じ式が成り立つ。

5.1.3 a∈(0,),xR なら(ax)0 =axloga(例5.1.8). これを、命題 3.4.1で述べ たax−ay の評価から導け。

5.1.4 (?)複素正方行列Xの指数関数exp(X)(問3.1.7)に対し以下を示せ:(i)t∈R に対し dtd exp(tX) =Xexp(tX). (ii)X=Y ⇐⇒ ∀t∈Rに対し exp(tX) = exp(tY).

命題 5.1.9 (微分可能性の言い替え)I Rは区間、f :I Rk,`∈Rk(k= 1,`=±∞

は含めない),x∈I とする。次の(a),(b)は同値である:(a)fxで可微分かつf0(x) =` (b) 次のようなϕ:I −→Rk が存在する:

全ての y∈I に対しf(y)−f(x) =`(y−x) +ϕ(y). (5.2)

ylimx y6=x,yI

ϕ(y)/|y−x|= 0. (5.3)

証明: (a) = (b): ϕ:I −→R(5.2)が成立するように定義する、即ち:

ϕ(y) =f(y)−f(x)−`(y−x) この ϕに対し条件(a) より (5.3)が成立。よって(b) が示せた。

(a)= (b): 条件 (b)が成り立つなら

ylimx y6=x,yI

Dx,y(f) = lim

yx y6=x,yI

µ

`+ ϕ(y) y−x

=`,

となり、(a) が成立。 2

命題 5.1.10 (連鎖律) J R は区間、x∈J , J −→g I −→f Rk とする。このとき、gx で可微分かつ fg(x) で可微分なら、f ◦gxで可微分かつ

(f◦g)0(x) =f0(g(x))g0(x).

証明: 仮定及び 命題5.1.9よりϕ1 :J −→R,ϕ2:I −→Rk が存在し (1) ∀y∈J,g(y)−g(x) =g0(x)(y−x) +ϕ1(y), lim

yx y6=x,yJ

ϕ1(y)/|y−x|= 0.

(2) ∀z∈I,f(z)−f(g(x)) =f0(g(x))(z−g(x))+ϕ2(z), lim

yx z6=g(x),zI

ϕ2(z)/|z−g(x)|= 0.

実は次が成立する:

(3) lim

yx y6=x,yJ

ϕ2(g(y))/|y−x|= 0.

(3)の証明はひとまず後回しにし、(3)を用い、命題を示す:

f(g(y))−f(g(x)) (2)= f0(g(x))(g(y)−g(x)) +ϕ2(g(y))

(1)= f0(g(x))g0(x)(y−x) +f0(g(x))ϕ1(y) +ϕ2(g(y))

| {z }

ϕ(y)と置く。

更に、(1), (3)から

ylimx y6=x,yJ

ϕ(y)/(y−x) = 0.

以上と命題5.1.9より結論を得る。

以下、(3) を示す。xn∈J\{x},xn →x として (4) lim

n ϕ2(g(xn))/|xn−x|= 0.

を言えばよい。g(xn) =g(x) ならϕ2(g(xn)) =ϕ2(g(x)) = 0. よって、(4)を示す際には g(xn)6=g(x)となるnだけで考えてよい。gxで連続だからlimng(xn) =g(x). よっ てn→ ∞とするとき、

2(g(xn))|

|xn−x| = 2(g(xn))|

|g(xn)−g(x)|

| {z }

(2)より0

|g(xn)−g(x)|

|xn−x|

| {z }

(1)より 有界

−→0.

以上より(4) が示せた。 2

5.1.11 (巾関数の微分) x >0,cCに対し (xc)0 =cxc1. 証明:xc=eclogx =f ◦g(x), 但し f(y) =ecy,g(x) = logx. よって

(xc)0連鎖律= f0(g(x))g0(x)=5.1.8ceclogx1

x =cxc1.

25.1.5 g:I (0,) がx ∈I で可微分なら、loggx で可微分であること、およ び(logg)0(x) =g0(x)/g(x) を示せ。

5.1.6 次の fj : I R (j = 1,2)の導関数を求めよ:(i) I = R, f1(x) = sinmx, f2(x) = sinmxn (m, nN\{0}). (ii) I = (0,), f1(x) =xx,f2(x) =xxx.

5.1.7 I R は区間、f : I Rk x I で可微分、f(x) 6= 0 とする。(|f(x)1 |)0, (f(x)|f(x)1 |)0f(x)f0(x) を用いて表せ。

ドキュメント内 4 II I (ページ 46-53)