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第4章 高次脳機能障害者に対する高次脳機能障害ケアプログラ ムの一般病院における実証研究

第6節 高次脳機能障害ケアプログラムの評価

6-1 目的

高次脳機能障害ケアプログラムの評価についてケアプログラムを実践した看護師を対象 に質問紙により調査を実施し、ケアプログラムの構造である高次脳機能障害者の 4 つのア セスメントツールと各高次脳機能障害をもつ人への基本的な関り方、課題別介入の計 6 つ の項目について質的評価と実践結果よりプロセス評価を通じ、本ケアプログラムの課題を 抽出する。

6-2 方法 6-2-1 対象

対象は対象患者 3 名にケアプログラムを実施した看護師 17 名とした。なお看護師はプ ログラム実施に伴う事前研修会「高次脳機能障害の理解」、「高次脳機能障害ケアプログラ ムオリエンテーション」が終了した施設で研修に参加した看護師とした。17 名の看護師の 看護経験年数は 7.8 年(±6.8 年)、高次脳機能障害者の看護歴 5.1 年(±5.9 年)であっ た。

6-2-2 評価調査表

評価調査表は高次脳機能障害ケアプログラムの評価と、高次脳機能障害ケアプログラム の実施状況に関する評価で構成した。

高次脳機能障害ケアプログラムの評価は、「高次脳機能障害者の身体アセスメント表」、「高 次脳機能障害より起こる生活上の問題抽出アセスメント表」、「高次脳機能障害の有無と障 害重複確認チャート」、「日常生活の課題・課題目標・課題介入チャート」の 4 つのアセスメ ントツールと「各高次脳機能障害をもつ人への基本的な関り方」、「課題別介入」の 2 つの項 目を加えた計 6 つの項目について評価してもらった。

評価の方法は、①有用である、②無用である、③理にかなっている、④理にかなっていな い、⑤革新的である、⑥普通である、⑦頼りになる、⑧頼りにならない、⑨混乱した、⑩混 乱はなかった、の 10 の評価とした。回答は該当するに「はい」、該当しないに「いいえ」に 丸をつけてもらった。

実施状況の評価は「高次脳機能障害者の身体アセスメント表」、「高次脳機能障害より起こ る生活上の問題抽出アセスメント表」、「高次脳機能障害の有無と障害重複確認チャート」、

「日常生活の課題・課題目標・課題介入チャート」の 4 つのアセスメントツールと「各高次 脳機能障害をもつ人への基本的な関り方」、「課題別介入」の 2 項目の計 6 つのアセスメン トツール・項目別に実施状況を、5 段階で評価してもらった。その他としてプログラムに参 加して感じたことを自由に回答してもらった。

評価調査表はケアプログラム実施後、1 週間以内に記入し、留め置きにて回収した。

6-2-3 分析

自由回答は内容を読み取り質的に解釈した。

100 6-2-4 倫理的配慮

実施した看護師には、調査の説明を口頭および文書で行った。実施後の質問紙調査につ いて質問紙が入った封筒に不利益を被らないこと、途中撤回の可能、匿名化について記載 した文書を同封した。研究への承諾は質問紙の回答を得たことで承諾とみなした。

6-3 結果

6-3-1 看護師によるケアプログラムの評価 1.「高次脳機能障害者の身体アセスメント表」

看護師の回答では、回答の多い順から、有用である 17 名、理にかなっている 17 名、混 乱はなかった 15 名、革新的である 14 名、頼りになる 13 名、頼りにならない 2 名、普通 2 名、混乱した 2 名であった。不要である、理にかなってないはゼロであった。

図 4-8 高次脳機能障害者の身体アセスメント表の評価(n=17)

2.「高次脳機能障害より起こる生活上の問題抽出アセスメント表」

看護師の回答では、回答の多い順から、有用である 17 名、頼りになる 17 名、理にかな っている 17 名、革新的である 16 名、混乱はなかった 15 名、混乱した 2 名であった。不 要である、理にかなっていない、頼りにならないはゼロであった。

101

図 4-9 高次脳機能障害より起こる生活上の問題抽出アセスメント表の評価(n=17)

3.「高次脳機能障害の有無と障害重複確認チャート」

看護師の回答では、回答の多い順から、有用である 17 名、理にかなっている 17 名、革 新的である 17、頼りになる 17 名、混乱はなかった 15 名、混乱した 2 名であった。不要で ある、理にかなっていない、頼りにならない、普通はゼロであった。

図 4-10 高次脳機能障害の有無と障害重複確認チャートの評価(n=17)

4.「日常生活の課題・課題目標・課題介入チャート」

看護師の回答では、回答の多い順から、有用である 17 名、頼りになる 17 名、革新的で ある 14 名、理にかなっている 14 名、混乱はなかった 9 名、混乱した 8 名、あった。理に かなっていない 3 名、不要である、普通、頼りにならないはゼロであった。

17 0

17 0

16 1

17 0

2

15

0 17

0 17

1 16

0 17

15

2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

有用である

➁不必要である

③理にかなっている

④理にかなっていない

革新的である

⑥普通である

⑦頼りになる

⑧頼りにならない

混乱した

混乱はなかった

はい いいえ

102

図 4-11 日常生活の課題・課題目標・課題介入チャートの評価(n=17)

5.「高次脳機能障害をもつ人への基本的な関り方」

看護師の回答では、回答の多い順から、有用である 17 名、革新的である 17 名、頼りに なる 17 名、理にかなっている 14 名、混乱はなかった 12、混乱した 5 名、理にかなってい ない 3 名、不要である、頼りにならない、普通はゼロであった。

図 4-12 高次脳機能障害をもつ人への基本的な関り方の評価(n=17)

6.「課題別介入」

看護師の回答では、回答の多い順から、有用である 17 名、革新的である 17 名、理にか なっている 15 名、頼りになる 15 名、混乱はなかった 11 名、混乱した 6 名、理にかなっ

0 17

3 14

0 17

0 17

9 8

0% 20% 40% 60% 80% 100%

①有用である

➁不必要である

③理にかなっている

理にかなっていない

革新的である

普通である

⑦頼りになる

⑧頼りにならない

⑨混乱した

混乱はなかった

はい いいえ

103

ていない 2 名であった。不要である、頼りにならない、普通はゼロであった。

図 4-13 課題別介入の評価(n=17)

6-3-2 看護師による実施状況の評価

実施状況について、「よくアセスメントできた」5、「アセスメントできた」4、「普通」3、

「ややアセスメントとできなかった」2、「アセスメントできなかった」1とした 5 段階のリ カート式質問とその他として自由に回答してもらった。

1. 高次脳機能障害者の身体アセスメント表の実施状況

高次脳機能障害者の身体アセスメント表の平均値は 4.2 であった。自由意見としては 17 人中 6 人の回答が得られた。その意見を表 4-22 に示した。

表 4-22 高次脳機能障害者の身体アセスメント表に関する自由意見(n=6)

・「全データがないときは他覚症状のみになるのでそれでよいのかと思う」

・「VF していないので、水飲みテストもしていない困難じゃあいけないと思った」

・「VF していないからどう評価してよいかわからなかった」

・「異常がないと脳波とらないが、検査データがないときはどうするのか」

・「データ全部がないとだめかなと思った」

・「検査データがないときにはどうするのか」

2. 高次脳機能障害より起こる生活上の問題抽出アセスメント表の実施状況

高次脳機能障害より起こる生活上の問題抽出アセスメント表の平均値は 4.7 であった。

自由意見としては 17 人中 12 人が回答した。表 4-23 にそれらの回答を示した。

17 0

15 2

17 0

15 0

6

11

0% 20% 40% 60% 80% 100%

①有用である

➁不必要である

③理にかなっている

理にかなっていない

革新的である

普通である

⑦頼りになる

⑧頼りにならない

⑨混乱した

混乱はなかった

はい いいえ

104

表 4-23 高次脳機能障害より起こる生活上の問題抽出アセスメント表に関する自由意見 (n=12)

・「わかりやすい」

・「これならできる」

・「簡単で良い」

・「簡単で今までのモアっとしていたことが晴れた感じ」

・「よくみていないとだめだ」

・「こんなにたくさん判断するのかと思うと困る」

・「よく観察しておかないと、なしになってしまう」

・「こちらから意図的にかかわらないと判断できないと思った」

・「良く生活の中で誘導してみないと分からないからベースライン三日ではむりかな」

・「3日間のうちに、判断できなかった」

・「こちらからちゃんと見ないといけないことがわかった」

・「生活をよくみていないとありにならないから怖い」

3.高次脳機能障害の有無と障害重複確認チャートの実施状況

高次脳機能障害の有無と障害重複確認チャートの平均値は 4.5 であった。自由意見とし ては 17 人中 6 名が回答した。(表 4-24)

表 4-24 高次脳機能障害の有無と障害重複確認チャートに関する意見(n=6)

・「はっきりわかる」

・「わかる、理解しやすい」

・「慣れれば大丈夫」

・「前のチャートができれば簡単でした」

・「前のができないとだめだと思った」

・「よくわかる」

4. 日常生活の課題・課題目標・課題介入チャートの実施状況

日常生活の課題・課題目標・課題介入チャートの平均値は 4.1 であった。自由意見として は 17 名中 5 名の回答と少なく、目標の言葉に対する違和感についての意見と目標の例題に 対する期待、今までの看護と比較した解答であった。(表 4-25)

表 4-25 日常生活の課題・課題目標・課題介入チャートの自由意見(n=5)

・「目標の言葉がなじめない」

・「ぴったりとした目標になっていないかもしれない」

・「例がないときどうしたらよいか迷った」

・「例がないと分からない」

・「今まで高すぎる目標を立てていたんだと反省した」