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第4章 高次脳機能障害者に対する高次脳機能障害ケアプログラ ムの一般病院における実証研究

第2節 一般病院に必要な高次脳機能障害ケアプログラムの試作

2-1 目的

一般病棟における高次脳機能障害者のケアプログラムを作成し、ケアのモデル化を試み ることである。

2-2 方法

一般病棟における高次脳機能障害者のケアプログラムを作成の手順として、ケアプログ ラムの構造を明確にして手順を示し作成する。高次脳機能障害のケアのモデルは考察で検 討し、モデルを図で示す。

2-2-1 高次脳機能障害ケアプログラムの構造

一般病院で用いる高次脳機能障害ケアプログラムを作成するにあたり、第 3 章および第 4 章第 1 節で調査した結果をもとに検討し、高次脳機能障害ケアプログラムを構成する柱を アセスメントツール、対象の課題解決のための課題別介入、実施基準、評価の 4 つとした。

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2-2-2 一般病院の高次脳機能障害ケアプログラムで開発するアセスメントツールにつ いて

高次脳機能障害のケアプログラムの検討する材料として、第 4 章第 1 節の調査結果では、

「生活上の問題を抽出する前に、①生命の維持、回復が何よりも優先されるために、身体の 状態を判断するためのアセスメントツールが必要である。次に、②高次脳機能障害の有無お よび複合している高次脳機能障害を生活上からみえる問題から簡潔に抽出できるアセスメ ントツールが必要であり、また③複合している高次脳機能障害が視覚的に分かる必要があ る。最後に、④介入の順序性を示すツールが必要である」と結論づけた。したがって、一般 病院用の高次脳機能障害ケアプログラムでは、以下のように命名して作成する。

①高次脳機能障害者の身体のアセスメント表

②高次脳機能障害より起こる生活上の課題抽出アセスメント表

③高次脳機能障害の有無と障害重複確認チャート

④共有介入と課題別介入の段階的な進め方

2-2-3 身体機能の問題を抽出するアセスメントツールの作成手順

第 4 章第 1 節の結果で、①生命の維持、回復が何よりも優先されるために、身体の状態を 判断するためのアセスメントツールが必要であるとあり、本プログラムの対象となりうる かは身体的、精神的に調整されていなければならない。なぜなら、高次脳機能障害は脳障害 後に起こった障害であり、急性期を脱して身体的、精神的に安定していることが重要な点で ある。そのために、高次脳機能障害者の身体のアセスメント表として命名し、脳障害で活動 開始の基準のある脳卒中のリハビリテーション開始の基準を参考に呼吸、循環、覚醒、嚥下 と消化機能、麻痺、尿失禁、痙攣の 7 つの項目でアセスメントできるように、自覚症状、他 覚症状、検査データを系統立て作成を試みた。

2-2-4 生活の状況より高次脳機能障害の有無を抽出できるアセスメントツールの作成 手順

第 4 章第 1 節の結果で、②高次脳機能障害の有無および複合している高次脳機能障害を 生活上からみえる問題から簡潔に抽出できるアセスメントツールが必要であるとあり、看 護師が使うアセスメントツールとしては、生活の視点で捉えられるものでなくてはならな い。そのため、高次脳機能障害より起こる生活上の課題抽出アセスメント表として、命名 し、各高次脳機能障害を判断するためのアセスメント項目には、生活の支障についてでき るだけ多く例を列記する。そのため、病棟で良くみられる高次脳機能障害者の日常の支障 内容は第 3 章で分析したコードをもとに作成を試みた。次に「簡潔に抽出」とあるため、

アセスメント項目のそれぞれの内容が「ある」、「なし」の 2 つの判断とした。

2-2-5 複合している高次脳機能障害を判断するアセスメントツールの作成手順 第 4 章第 1 節の結果で、③複合している高次脳機能障害が視覚的に分かる必要があると あり、看護師が介入にあたり、高次脳機能障害の有無と複合しているのかを判断できること が極めて重要である。複合している問題に対しては、2-2-4 で作成するツールにより障害の

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有無を確認したのち、各高次脳機能障害の程度をどの程度介入しているかの介入の頻度も 重要である。そのため、高次脳機能障害の有無と障害重複確認チャートとして命名し、介入 の頻度により高次脳機能障害の介入の必要度を数量化し、視覚的に確認できるように、レー ダーチャート式のアセスメント方法を取り入れることにした。高次脳機能障害の介入の必 要度を数量化するために、介入する頻度を「0」がなし、「1」が時々あり、「2」が常にあ りの3段階で区別して作成した。

2-2-6 患者の課題別介入の作成の手順

高次脳機能障害の患者には日常生活において、高次脳機能障害によってそれぞれの課題 があり、これに対応する課題別介入が必要である。

課題別プログラムを作成する材料としては、第 3 章で高次脳機能障害支援拠点病院の看 護構成要素を調査した結果で得られた 8 つの看護構成要素を構成した 4763 コードの中にあ る文言を使用することにした。

また、第 4 章第 1 節の結果で一般病院で不足していた高次脳機能障害の看護は遂行機能 障害と病識欠落、巣症状としての失語、失行、失認であったことから、これらの高次脳機能 障害に対して対応する介入を作成することにした。

高次脳機能障害者が在宅または社会復帰するうえで、ADL から IADL までを獲得していく ために必要な課題は多くある。そのために、順序良く、効率よく退院に向けて仕上げること が必要である。高次脳機能障害のあるひとは脳損傷であるため、脳卒中のリハビリテーショ ンの順序に従い、介入を行うことにした。

脳卒中のリハビリテーションの順序は第一段階として脳循環と心肺循環、他身体を整え ることが優先で、第二段階では、日常生活動作を獲得である。第三段階は自宅に戻るための 内服管理や自己コントロールを行いながら外泊訓練し、IADL 練習を経て退院になる。

従って、本プログラムも同様に看護の介入を大きく 3 段階に分けて行うことにした。第一 段階の目標を身体の調整とし、対応する要素は【要素 2.身体機能の調整】とし、第 2 段階 の目標は基本的 ADL の再獲得として、【要素 1.ADL の再獲得の援助】を対応させた。しか し、ADL を再獲得するためには、高次脳機能障害そのものに対応する介入が同時に必要であ り、【要素 4.認知・行動問題への援助】を並列に対応させた。第 3 段階の目標は在宅に向け て自己管理・IADL 獲得として【要素 3.自己管理の援助】と【要素 6.IADL の再獲得】を対 応させた。3 段階には、入院から退院までの間で必要な課題を整理して、難易度を考えて介 入を命名して配置し、命名は課題の内容を反映したものであるため、第 3 章第 1 節で抽出 したサブカテゴリから選び命名した。

さらに、これらの 3 段階の目標を達成するためには、入院時から退院までの間、必要時に 対応する介入として、患者のリスクに対応する【要素 5.安全管理】と障害があるために多 くの悩みに対応する【要素 7.不安と悩みのコンサルテーション】の 2 つの看護構成要素が あり、これら 2 つの看護構成要素は入院時から退院時まで必要時介入し、全ての高次脳機能 障害者に介入するために共通介入とした。また、高次脳機能障害によって欠損した機能を患 者に意識化してもらうための対応である自己意識性の介入は、高次脳機能障害者の介入時 の全てに関わることから 3 段階に配置したそれぞれの課題別介入に組み入れた。

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課題別介入の中で使用する言葉や文章は具体的な行動レベルにする必要があった。課題 別介入の文章は 4763 コードを参考にして「△△は、〇〇する」というように具体的な行動 レベルの表現にして作成した。課題別介入には多くの例題を作り、例題を参考にして患者の 状況から介入を選べるようにした。

2-2-7 課題別介入の実施基準の作成手順

第 4 章第 1 節の結果で、④介入の順序性を示すツールが必要であるとあり、課題別プロ グラムで示した 3 段階の介入は、リハビリテーション順序性を則り作成したため、介入の順 序性は、退院に至るまでの目標を達成するための順序である。しかし、3 段階に大きく分け たが、そのなかでも難易度の高い課題もある。その為、課題別介入の際には、難易度を考慮 して順序良く介入する必要がある。また、患者によっては身体のバランスが良くなれば、ADL など課題介入において並行で行う場合もあり得る。これを共有介入と課題別介入の段階的 な進め方と命名し、プログラムで明示し、図式化する。

次に、プログラムの実践の順序性を検討するにあたり、第 3 章で抽出した高次脳機能障害 者の看護で必要な 8 つの看護の構成要素から考えると、患者の安全やリスクに対応する【要 素 5.安全管理】の看護介入が入院当初から退院まで必要である。また、障害があることや、

将来像のみえない不安などに対応する【要素 7. 不安と悩みのコンサルテーション】の看護 介入も患者の安全やリスクと同じように入院当初から退院まで必要で共通介入として位置 づける必要があった。

さらに、高次脳機能障害の介入で特異的な看護の介入では第 3 章で抽出した自己意識性 の介入も同様に入院当初から各課題を獲得していく中でその都度介入していくことになる。

以上から、第 3 章で抽出した専門病院で抽出した高次脳機能障害者の 8 つの看護構成要 素の介入の順序性を先に述べ、3 段階の介入と合わせ、理解が得やすいように図式化する必 要があった。

2-2-8 評価方法の作成手順

高次脳機能障害ケアプログラムは、患者が退院するまでの多くの課題をクリアしていく ことを順序だてている。その為、評価は各課題の評価を一つ一つ行うことになる。評価は介 入後 1 週間とした。評価の内容は、課題介入を行って目標とする成果が 1 週間たっても目 標に近づかない場合は目標査定をして目標を下げるか、中断し、または他の方法を選択する。

成果があった場合で、介入がなければ成果が継続しない場合には、介入を継続する。介入が なくとも成果が継続している場合は、介入を終了するとした。

2-3 結果

2-3-1 身体機能状態の問題を抽出するアセスメントツールの作成

脳卒中のリハビリテーション開始の基準を参考に呼吸 7 項目、循環 20 項目、覚醒 7 項目、

嚥下と消化機能 15 項目、麻痺 3 項目、尿失禁 5 項目、痙攣の 61 項目で評価できるように した。検査データが全ての項目がそろわなくても該当する内容があれば医療処置が必要な 段階として判断できるようにした。名称を高次脳機能障害者の身体のアセスメント表とし