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第5章 わが国に必要な高次脳機能障害者の生活再構築に対する ケアプログラム開発

第3節 高次脳機能障害者の生活再構築に対するケアプログラム開発に関する 今後の課題

7 課題別プログラム

第1段階 【環境と身体の調整】

介入のポイント

対象は、意識はあるが、覚度が悪い状態にいます。精神の活性化や生活リズムをつくってあげる 必要があります。関わる際に注意しておきたいことは、ぼんやりしているために、転倒や転落など の事故が起きやすい状態であることです。

項目 介入方法

P1 精神活動の

活性化 (刺激・反応)

1.日課を作る:1 日の休憩時間と活動時間を配分する 2.活動時間の内容を検討する

1)必ず、本人の好きなことを 1 つ以上入れる(音楽・ビデオ他)

2)体を動かすと言うよりも目的のあった行動を入れる 3)家族が参加できるものを入れる

3.疲労を見ながら、徐々に内容と活動時間の量を増やしていく 4.理解できる書式で日課を提示する(写真・絵など工夫する)

5.対象への接し方(家族も同様)

1)日課を差し、これから何をするのか説明する 2)一緒に行うので心配は要らないことを説明する 3)活動がうまく出来たときのサインを決めて、合図する。

4)日課が修了したら、必ずねぎらう

6.記憶の課題がある場合には、メモリーノート、カレンダー、日課表などを用い、上記の内容 が終了するように意識づける。その為にも、行った出来事の記入の際に立ち会う。

例:散歩 30 分 車いすの人は病棟 5 周するなど午前 1 時間、午後 1 時間など活動時間のスケ ジュールを組む

例:自室の片づけ 30 分、新聞のスクラップ 30 分 例:書き写し 30 分(料理、漢字、英単語など)

例:訓練の復習(車いす駆動施設内3周、立位訓練 15 分、更衣練習など)

例:毎朝新聞を読んでもらい、メインニュース(コラムなど)を教えてもらう 例:筋肉トレーニング 30 分

例:好きなクラッシックピアノ曲 CD をかけでベッドに横になる時間を作る

P2 生活リズムを

つくる

1.活動時間と休息する時間を区別する。

2.P2 で 1 時間以内の作業ができるようになれば、休憩時間、活動時間を分ける。

大事なことは、だらだらと作業をしない。

3.日中の活動時間を徐々に増やしていく。

4.夜眠れるために、最初は睡眠導入剤を医師と相談して処方してもらう。

ただし、内服する時間は 20 時と決めるなど、変更をなるべくしない。

5.夜眠れない状態の時には、休める環境をつくる。

6.眠れない時にはクッキーやお茶などの軽食をとる

7.本人が嫌がらず、行動を起こせようになったら、活動メニューを本人に説明して自身で決定 できるように促す。

8.本人とともに日課の組み立てを一日の終了後に行う。

9.1 日の日課内容は、徐々に身体を使う内容、と頭を使う内容に分ける

P1 精神活動の活性化 P2 生活リズムをつくる

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例:午前中は身体を使う内容 午後は考えることの内容

午前:体操・ジョギング・車いす駆動・散歩 午後:献立・調理・コラムを読む 10.対象への接し方(家族も同様)

1)日課を差し、これから何をするのか説明する 2)一緒に行うので心配は要らないことを説明する 3)活動がうまく出来たときのサインを決めて、合図する。

4)日課が修了したら、必ずねぎらう

11. 記憶の課題がある場合には、メモリーノート、カレンダー、日課表などを用い、上記の内 容が終了するように意識づける。その為に、行った出来事の記入の際に立ち会う。

日課例:6時起床 7時更衣・食事薬 8時洗面 9時日課予定確認 11時書き取りドリル 12時昼食・内服、13時休憩と音楽鑑賞 15時筋トレ30分 16時入浴 17時明日の予 定確認 18時夕食・薬 19時自由時間 21時消灯

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第2段階 基本的 ADL 獲得

介入ポイント

介入するときには多くの説明をするよりも動作の簡単な説明、 単語レベルで誘導します。これ は、多くの言葉の情報を処理することができないからです。身体面に課題のある人の介入は、今ま でできていたことができない状況を受け止める段階にもありますので誘導する言葉は丁寧に、練習 後はねぎらい、次回につなげる言葉も必要です。一連の動作が終了するまで付き添い、患者を一人 にしないようにしましょう。

項目 介入内容

P3

①洗面動作

②食事動作

①洗面

1.誘導する方法

例:洗面用具を目の前に出して「歯磨きしましょう」と声を掛ける 例:歯磨きを真似て見せてから誘導する

例:スケジュール表の『歯磨き』の写真を示して誘導する 例:スケジュール表の『歯磨き』文字を示して誘導する 例:動作の開始ができない場合には、歯ブラシを手に持たせる 2.動作の遂行を促す方法

例:動作が止まってしまう時には、歯ブラシを持っている手を軽く指で突く様なタッチで合図する 例:動作が止まってしまう時には、促しの短い言葉「止まっています」と言葉をかける

3.磨きなおしが必要な時

磨きができていないとき、特に麻痺側の頬を軽く指でタッチするように合図して磨き残しを合 図する

4.動作が終了したときの介入方法

例:必ず、言葉をかける、合図をする。『できましたね』『OK サイン』褒める、拍手する、 日 程表『歯磨き』欄を見せてチェックする

【利き手交換が必要な人】

1.片手でできる一連動作方法を見てもらう

2.把持しにくい場合は歯ブラシに補助具や装具をつける 3.電動歯ブラシを用いる

②食事動作 1.誘導する方法

例:配膳をし、料理を目の前に出して「食事しましょう」と声を掛ける 例:スプーンを持って食べる真似を見せてから誘導する

例:スケジュール表の『食事』の写真を示して食堂に誘導する 例:スケジュール表の『食事』文字を示して食堂に誘導する 例:動作の開始ができない場合には、スプーンや箸を手に持たせる 2.動作の遂行を促す方法

例:動作が止まってしまう時には、スプーンや箸を持っている手を軽く指で突く様なタッチで合図 する

例:動作が止まってしまう時には、促しの短い言葉「止まってますよ」と言葉をかける

3.空間・一部の失認がある場合で気が付いていないで食べていない場合は、顔を見えていない方

P3 ADL 食事動作・洗面動作 P4 ADL 排泄動作 P5 ADL 移動・移乗・更衣 P6 ADL 入浴・歩行・階段

19 に向けさせて食事を確認する

4.動作が終了したときの介入方法

例:必ず、言葉をかける、合図をする。『できましたね』『OK サイン』、拍手する、日程表『食事』

欄を見せてチェックする

【利き手交換が必要な人】

1.片手でできる一連動作方法を見てもらう

2.把持しにくい場合はスプーンや箸の補助具や装具をつける

P4 排泄動

1.誘導する方法

例:トイレに行きましょうかと声を掛ける 例:排泄表の誘導時間を示して誘導する 例:『尿』『便』カードを示して誘導する

例:スケジュール表の『トイレ』の写真を示して誘導する

例:スケジュール表の『トイレ』『尿』『便』の文字を示して誘導する

2.動作の開始の誘導

例:動作の開始ができない場合には、声をかけて開始を促す 例:動作の開始ができない場合には、手を誘導して開始の合図をする

例:動作の開始ができない場合には、「ズボン下ろしましょうか」と声を掛ける 例:注意が散漫な時には「集注しましょう」と声を掛ける

3.動作の遂行を促す方法

例:動作が止まってしまう時には、手を軽く次の動作ステップのところで指で突く様なタッチで合 図する

例:動作が止まってしまう時には、促しの短い言葉「止まってますよ」と言葉をかける 例:動作の遂行のために「1.2.3・・・」と号令を掛ける

4.半側の無視がある場合、ズボンが十分に上げ下げできていない 状況には、「ズボンがまだ下がっていません」と伝える

車いすの場合、足の位置、車いすの位置をトイレ床にビニールテープをつける 5.おしりの拭き直しが必要な時

おしりの拭き直しができていないとき、「もう 1 回」と声を掛ける 6.動作が終了したときの介入方法

例:必ず、言葉をかける、合図をする。『できましたね』『OK サイン』

褒める、拍手する、『日程表』『排泄表』欄を見せてチェックする

7.記憶保持が極端に短い場合には、排泄動作の介入に「さっき言いましたよ」は禁忌です。毎回、

動作を口に出して伝える。「ブレーキ」「捕まる」「回転する」「ズボン下げる」「座る」「おしっ こしましょう」一期一会の対応をする

【運動麻痺があるひと】

1.麻痺の種類に合わせ、移乗する向きや一連の動作を見せる 2.必要な介助の内容を伝え、介助する

3.麻痺側に倒れる場合があるために注意をする

20 P5

①移動

②移乗

③更衣

①移動・②移乗 1.誘導する方法

例:「車いすに乗りましょう」と声を掛ける 例:車いす乗る真似を見せてから誘導する

例:スケジュール表の『訓練に行く』『散歩』『車いす』の写真を示して誘導する 例:スケジュール表の『訓練に行く』『散歩』『車いす』の文字を示して誘導する 例:動作の開始ができない場合には、手を添えて誘導する

2.動作の遂行を促す方法例:動作が止まってしまう時には、促しの短い言葉「止まってる」と言 葉をかける

3.移乗・移動のときの安全に対する必要な時

ブレーキがかかっていない場合、またははずしていない場合、フットレストに足を載せていな い場合、またはフットレストを畳んでいない場合、麻痺側の足を忘れている場合には特に麻痺側の 足やブレーキ、フットレストを軽く指で叩いて合図する

4.動作が終了したときの介入方法

例:必ず、言葉をかける、合図をする。『できましたね』『OK サイン』褒める、拍手する

【運動麻痺があるひと】

1.麻痺の種類に合わせ、移乗する向きや一連の動作を見せる 2.必要な介助の内容を伝え、介助する

3.麻痺側に倒れる場合があるために注意をする

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③更衣

1.誘導する方法

例:着替えをしましょうと声を掛ける

例:スケジュール表の『更衣』の写真を示して誘導する 例:スケジュール表の『更衣』の文字を示して誘導する 2.動作の開始の誘導

例:動作の開始ができない場合には、声をかけて開始を促す 例:動作の開始ができない場合には、手を誘導して開始の合図をする 例:動作の開始ができない場合には、「そで口は」と声を掛ける 例:注意が散漫な時には「集注しましょう」と声を掛ける 3.動作の遂行を促す方法

例:動作が止まってしまう時には、手を軽く次の動作ステップのところで指で突く様なタッチで合 図する

例:動作が止まってしまう時には、促しの短い言葉「止まってます」など言葉をかける 例:動作の遂行のために「1.2.3・・・」と号令を掛ける

4.半側の無視がある場合、半側が足や手が入っていないことを伝える

5.ボタンの掛け直しが必要な時は、間違ってしまったボタンの位置を指差し、「もう 1 回」と声 を掛ける

6.動作が終了したときの介入方法

例:必ず、言葉をかける、合図をする。『できましたね』『OK サイン』褒める、拍手する 7.記憶保持は極端に短い場合には、排泄動作の介入に「昨日やりましたよ」は禁忌です。

毎回、動作を口に出して伝える。一期一会の対応をする 8.姿見ができる鏡があれば、鏡の前で良くみて更衣する。

【運動麻痺があるひと】

1.麻痺や拘縮に対して更衣する麻痺側から更衣する順番と一連の動作を見せる 2.必要な介助の内容を伝え、介助する

3.麻痺側に倒れる場合があるために注意をする