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第5章 わが国に必要な高次脳機能障害者の生活再構築に対する ケアプログラム開発

第3節 高次脳機能障害者の生活再構築に対するケアプログラム開発に関する 今後の課題

4 日常生活の課題・課題目標・課題別介入選択チャート

このチャートは日常生活の課題が何か、課題の目標は何か、目標を達成するための課題別介 入は何にするのかを示したものです。多くの高次脳機能障害を持つ患者さんの課題は混とんと して見えにくいですが、日常生活の課題を整理ためにこのチャートを用います。

使い方は、はじめに、日常生活から見える課題を「ある,なし」でアセスメントし、次に目 標の目安が示していますので、目標を選び設定します。示してある表現を参考にして自身で表 現を変えても構いません。最後に、目標を達成するために必要な課題別介入を選択します。

図4 日常生活の課題・課題目標・課題別介入選択チャート

課題目標の例 課題別介入

1.自主的な行動を起こせない ある なし

2.ボーっとしている ある なし

3.促さないと便または尿失禁してしまう ある なし 4.麻痺はないが動こうとしない ある なし

5.促さないと水を飲まない ある なし

6.促さないと食事をとらない ある なし

7.目覚めていても、ベッドで寝ている ある なし 8.促さないとずっと同じ姿勢でいる ある なし 9.何時であるか、何日何月何年であるかわからない ある なし 10.自分がいる場所の見当がつかない ある なし 11.どのような人か見当がつかない ある なし

1.昼夜逆転 ある なし

2.目覚めていても、ベッドで横になっている ある なし 3.麻痺はないが動こうとしない ある なし 4.日中にウトウトしているときがある ある なし 5.失語はないが黙っていることが多い ある なし

1.洗面動作 できる できない 1.洗面動作が獲得する

2.食事動作 できる できない 2.食事動作

3.排泄動作 できる できない 3.排泄動作が獲得する

4.移乗動作 できる できない 4.移乗動作

5.車椅子移動動作 できる できない 5.車椅子移動動作が獲得する

6.更衣 できる できない 6.更衣が獲得する

7.入浴 できる できない 7.入浴が獲得する

8.歩行 できる できない 8.歩行が獲得する

9.階段 できる できない 9.階段が獲得する

1.自室の物のかたづけ できる できない

2.ごみの弁別/ごみだし できる できない

3.自室の掃除 できる できない

4.衣類の整理 できる できない

5.洗濯 できる できない

6.内服 できる できない

7.自己注射 できる できない

1.必要な買い物リストが作れる できる できない 2.売店で買いたいものを探せる できる できない 3.段階に.支払いができる できる できない 4.財布をしまうことができる できる できない 5.自宅までの交通手段が言える できる できない

6.目的場所まで行ける できる できない

7.自宅まで帰ってこれる できる できない

1.挨拶ができない ある なし

2.癇癪 ある なし

3.殴る ある なし

4.物を壊す(物に当たる) ある なし

5.言い争い ある なし

6.つばをはく ある なし

7.暴言 ある なし

8.にらむ ある なし

9.物を投げる ある なし

10.言動が荒々しい ある なし

11.べたべたする ある なし

12.さわる ある なし

13.抱きつく ある なし

Ⅵ.社会性スキルのアセスメント

       第1段階 P1 精神活動活性化

       第1段階 P2 生活リズム作り

   第3段階≪生活管理≫

P11自室の管理 P12自己スケジュール管理 P13内服自己管理  第2段階≪基本的ADL獲得

P4 洗面動作 P5 食事動作 P6 排泄動作 P7 移乗・移動動作 P8 更衣 P9 入浴 P10 歩行・階段

Ⅲ.ADLのアセスメント

Ⅱ.生活リズムのアセスメント

Ⅰ.精神機能のアセスメント 課題のアセスメント

1.買い物リストが作れる

2.売店で買いたいものがない場合の交渉ができる 3.支払いは紙幣のみでない支払いができる 4.財布をしまう場所にしまうことができる 5.自宅までの交通手段をメモに書くことができる 6.他者の見守りで、メモを見て目的地に行ける 7.家族の見守りで、メモを見て自宅まで帰れる

Ⅳ.自己管理のアセスメント

 第3段階≪IADL獲得≫

P14外泊練習 P15買い物練習 P16交通手段練習

 第3段階≪社会スキル獲得≫

P17 対人スキル練習 1.訓練士、医師、看護師にあったときに挨拶ができる

2.2以下の行動回数が誘導で1日に半減する 3.2以下の行動回数が誘導で1日に1回になる 4.2以下の行動回数が誘導でなくなる

5.問題生起記入のマークを看護師と共に決め、記録し、1日を振り返る 6.問題生起記入を看護師と共に記録し、回数が減っているのを自覚する言 葉がある

7.問題生起記回数が減った理由を看護師と話すことができる(自制方法を 見つける)

8.問題を起こしそうになったときの自制方法を実施する試みがある 9.見守りで、関わる集団に自身の問題となる行動があることを説明できる 10.見守りで、関わる集団に自身の問題となる行動に対して拒否と協力につ いて説明できる

Ⅴ.IADLのアセスメント

1.促されて日課をこなすことができる 2.日中の活動量が増える 3.日通の失禁がない 4.昼夜の失禁がない 5.脱水がない

6.代償手段(カレンダー、写真)を使い混乱がない

1.昼夜の逆転がない 2.ベッドにいる時間が短い

1.掃除・衣類の整理・物を配置場所に片付けられる 2.ごみを弁別して捨てられる

3.1日分の内服管理ができる 4.三日分の薬の管理ができる 5.1週間分の薬の管理ができる

6.1回の血糖チェックとインシュリン皮下注射ができる 7.一日の血糖チェックインシュリン皮下注射ができる

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5【各高次脳機能障害を持つ人への基本的な関り方】

項目 介入

1【注意の課題がある ひとの関わり方】

2【記憶の課題がある ひとの関わり方】

3【見当識障害がある 人の関わり方】

【注意の課題があるひとの関わり方】

1.注意の課題で失敗したことは分かっているので、失敗したことの多くを言わない 2.動作の開始前に集中するように促す

3.注意する促しの言葉は短くし、長い言葉にしない。

例:「集中しましょう」「おしゃべりやめましょう」

例:人指し指を口に当て、「し!」と言うように軽く形作る。

4.集中できる環境を作る(一人作業にする、個室にする、テレビつけない等)

【記憶の課題があるひとの関わり方】

1.記憶がない、または不十分なので、受傷後の経過を簡潔に記載した紙を、ベッドから見 える床頭台の横に貼る。

2.代償手段としてメモリーノートの記載練習が必要なのか、いつから開始したか、いきさ つを簡潔に目に留まるところにポスターにして部屋に貼る。

3.代償手段としてメモリーノートやスケジュール表(日課表)を朝の始めに関わり、

行った直後に記録させるように誘導する。

4.記憶がないことで、代償手段が必要なことをフィードバックする。

いつ、だれが点検するか、動機づけ、誘導の方法を統一する

例:今困っていることを口にしてもらう。言葉にすることで記憶の課題があることをフィー ドバックさせ、練習の必要を伝える。一緒に行うために心配が要らないことを必ず伝える。

5.対応での注意点「昨日やりましたよ」は禁忌。

6.対応方法:常に、一期一会対応をする。

例:話しかける時には,「○○です。初めまして。お困りなことがありますか?」

「お手伝いしますね?」「一緒に確認しましょう」

例:必ず笑顔で接する。負のイメージを与えない。

7.手がかり手段としての環境を作る

①時計・カレンダーなどの日時の手がかりになるものを置く

受け持ちや関わるスタッフの顔写真と名前を書いておく 8.メモリーノートの関わり方(誘導方法)

①朝 9 時にカレンダーで日時を確認させる。過ぎた日に×をつける

メモリーノートに当日の予定スケジュールのメモを渡して書き写してもらう

③ノートに記載したスケジュールが正しいか確認する

④予定した内容が終了直後にメモリーノートにある予定内容に線を引き終了と書くように 誘導する

【見当識障害がある人の関わり方】見当識障害がある人への関わり方】

1.リアリティーオリエンテーションを行う。

2.時計・カレンダーなどの日時の手がかりになるものを置く。

3.ベッドから目に入る場所に「〇〇病院、○病棟、○号室に△のために入院などと4.現 在の状況が分かるように簡潔に書いたものを床頭台や壁などに貼る。

5.9 時、17 時、21 時に看護師は今日の年月日、曜日、現在の時間を質問をする。

6.日中に2回、現在いるところは何をするところかを伝える

13 4【遂行機能の課題が

ある人の関わり方】

5【コミュニケーショ ンの課題があるひと の関わり方】

6【失行の課題がある ひとの関わり方】

7【失認の課題がある ひとの関わり方】

【半側空間の無視が ある人の関わり方】

【遂行機能の課題がある人の関わり方】

1.反復練習をする

2.新しいことを行う時には、遂行する時間・ストレス・疲労をまず考えること 3.開始の障害がある場合

アラーム、声を掛ける、ノートやカレンダーに記入して手がかりを用いる。

4.簡単なものから複雑な段階に進行する。

5.掃除は手順に番号を付け、箇条書きにしてノートに書いておくように誘導する 行ったら、チェックを誘導する。すべての番号が終了したら終了と書くことを誘導する。

6.料理は、調理法方法に番号を付け、上記と同様に行い、火を変える時にはタイマーをセ ットして、タイマーが鳴ったら何をするか書いておく。

7.買い物は、買う店、買い物リストのメモを作っておく、買い物が終了したらメモに線を 引き終了と書くことを誘導する

【コミュニケーションの課題があるひとの介入】

1.本人の言語能力、コミュニケーション手段について言語聴覚士から情報を得る 2.話そうとする環境作りをする

3.コミュニケーション手段を決定しておく(ゼスチュアー・絵・写真・単語(漢字・かな、

単語を書いたカードなど)

4.伝わった時には、握手、OK サイン、拍手など、本人が分かるような合図をする。

5.日課(スケジュール)は本人が分かる簡単な書式にする

6.日課に沿ってともに行動し、全ての項目が終了した時点で一緒にチェックする。

7.気分が沈んでいる様子であるときには、気分転換を図る 8.気分が沈んでいる様子であるときには、そばにいる

【失行の課題があるひとの関わり方】

1.はじめは指示をしないで、自然な行為を確認する。

2.できないところを誘導または介助する。

3.着衣の失行では、鏡の前で行える環境があれば着衣動作の練習をする。

【失認の課題があるひとの関わり方】

1.身体の失認がある人には、身体の無視した体の部位にふれ、「ここは何ですか」と尋ね る。

2.相貌が認知できない人には、「名前を呼んでください、話してみて下さい」とか話すこ とで相手を判断してもらう。

3.見て分からなくても、触るなど他の方法を試してみる 4.物や保管場所はラベルを貼る

【半側空間の無視がある人の介入】

1.無視する側に顔を向けてもらう

2.無視している場合、一旦動作を止めて注意をむけてもらう 3.指差し確認をしてみる

4.階段は無視してしまう方を壁にする、または手すりを必ず使うように注意を促す 5.自宅の階段の踊り場に無視のない方に「手すり」などの文字など、注意を喚起する目印

を付けるなどの補償的な手段を設ける