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風車形状を変化させた場合の風レンズの効果

第 4 章 周辺付加物を用いた VAWT に関する

4.3 風車形状を変化させた場合の風レンズの効果

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4.43 翼厚を変化させた場合の出力の変化 (風レンズ: L = 1.14D m, h = 0.5D m, φ = 15°)

4.3.3.3 翼のコード長を変化させた場合

図4.44に翼のコード長を変化させた場合の出力性能曲線を示す.翼型はNACA0024,翼 枚数は2枚,コード長はc=0.10m,及び0.15mである.風車単体の場合,最大出力に変化は なかったが,コード長を短くした場合,最大出力をとる周速比は,高周速比側に移動した.

この特性は風レンズを適用した場合も同様であり,結果として風レンズを適用した場合,

風車単体に対して2.0倍の出力増加が得られた.図4.42と図4.44は低いソリディティの風 車は高い周速比にて最大出力を発揮することを示している.これは過去の研究成果と一致 する.

4.44 翼のコード長が異なる場合の出力曲線の違い (風レンズ: L = 1.14D m, h = 0.5D m, φ = 15°)

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4.3.3.4 ソリディティが同じで翼枚数が異なる場合

図4.45に,風車単体のソリディティσ(=2Nc/Dwt,Nは風車のブレード枚数)を維持し,N 及びcを変化させた場合の出力曲線を示す.N=2の場合はc=0.15m,N=3の場合はc=0.10mと した.ソリディティはσ≒0.86である.まず風車単体の場合をみると,低周速比側で出力に 大きな差異が見られ,翼枚数が少ない方が高い出力を発揮することができる.最大出力に 大きな差はないものの,σが同じならば同じ出力が得られる,とは言えない.風レンズを適 用した場合も同様の傾向であり,風レンズの適用による最大出力の増加は,2.0~2.1倍であ った.

本章の実験では,風車単体の形状を様々に変化させて出力変化をみたが,以上の結果か ら高い出力を出す風車単体を選ぶとそれに応じて風レンズ風車も高い出力を出すことが分 かった.

4.45 ソリディティが同じで翼枚数が異なる場合の出力の違い (風レンズ: L = 1.14D m, h = 0.5D m, φ = 15°)

69 4.3.4 出力性能のレイノルズ数依存性

出力性能実験において実験風速を変化させ,レイノルズ数が変化した場合の出力変化に ついて調べた.実験はU0=6,8,10m/sで行い,翼コード長c=0.15mを代表長さとすると,

レイノルズ数はそれぞれRe≒6.0×104,8.0×104,10.0×104である.また,実験には対称翼で

あるNACA0018の他に,NACA0018の翼中央線に曲率R(=Dwt/2)をもたせた円弧翼も用い

た.風レンズは曲面型タイプを用いた.

図 4.46 にそれぞれの翼型に対する出力曲線を示す.風車単体の最大出力については,対 称翼の方が高い出力が得られた.円弧翼については,最大出力は対称翼に及ばないが,広 い周速比領域にわたって出力を維持する特性があることが分かった.出力性能のレイノル ズ依存性も,翼型により差異がみられる.円弧翼の場合,レイノルズ数が大きくなるにつ れて出力は高くなるが,対称翼の場合は,Re≒8.0×104 以上で出力増加は頭打ちとなった.

これは,レイノルズ数の増加に対応する出力増加には閾値があることを示唆する.

風レンズを適用した場合も,翼型の違いによる出力特性の差が風車単体と同様に現れた.

このとき,最大出力は風車単体の 2.1~2.2 倍に増加した.この出力増加効果により,風車 単体でみられたレイノルズ数依存性は,風レンズの適用による出力増加に応じて拡大した.

すなわち,風レンズ適用風車の出力は,風車単体よりもレイノルズ数に大きく依存するた め,出力が高く,かつレイノルズ数依存性の低い風車を選定することが安定して高い出力 を得るためには重要である,と言える.

(a) (b)

4.46 レイノルズ数を変化させた場合の出力変化 (風レンズ: 曲面型ディフューザ). (a) NACA0018対称翼; (b) NACA0018円弧翼

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