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非線形変数変換勾配系モデル

第 3 章 多様体上に束縛された非線形力学系による制約条件付最適化 34

3.2 単位シンプレックス上の制約条件付最適化

3.2.2 非線形変数変換勾配系モデル

となる.また,

dxi(t) dt =−c

Xn j=1

" m X

k=1

µ∂φi(y(t))

∂yk

∂φj(y(t))

∂yk

¶#∂E(x(t))

∂xj

=−c







µ∂φi(y(t))

∂yi

2

+ Xn

k=1k6=i

µ∂φi(y(t))

∂yk

2





∂E(x(t))

∂xi

+ Xn

j=1 j6=i

½µ∂φi(y(t))

∂yi

∂φj(y(t))

∂yi

¶ +

µ∂φi(y(t))

∂yj

∂φj(y(t))

∂yj

+ Xn kk=16=i,j

µ∂φi(y(t))

∂yk

∂φj(y(t))

∂yk

¶





∂E(x(t))

∂xj



=−c

xi(t)2



(1−xi(t))2 + Xn

k=1k6=i

xk(t)2





∂E(x(t))

∂xi

+ Xn

j=1 j6=i

xi(t)xj(t)



−xi(t)(1−xi(t))−xj(t)(1−xj(t)) + Xn

k=1 k6=i,j

xk(t)2





∂E(x(t))

∂xj



=−cxi(t)

"

xi(t) (

12xi(t) + Xn

k=1

xk(t)2

)∂E(x(t))

∂xi

Xn

j=1 j6=i

xj(t) (

xi(t) +xj(t) Xn k=1

xk(t)2

) ∂E(x(t))

∂xj



=−cxi(t)

"

xi(t)∂E(x(t))

∂xi Xn

j=1

xj(t) (

xi(t) +xj(t) Xn k=1

xk(t)2

) ∂E(x(t))

∂xj

#

(3.32) ともあらわすことができる.これより,

gij(x) =











x2i

Ã

12xi+ Xn

k=1

x2k

!

, j =i

−xixj (

xi+xj Xn k=1

x2k )

, j 6=i

(3.33)

i= 1,· · · , n, j = 1,· · ·, n

とおくことにより,(2.6)式の構造とみなせる.2章において定理2.1を介して示したよう に,(3.33)式のgijを用いた(2.5)式の関数行列Gは半正定であるから,(3.32)式のモデル,

および(3.29) 式と(3.30)式を組み合わせた非線形変数変換モデルは降下法モデルである.

ところで,

µi(x)≡xi

(∂E(x)

∂xi Xn k=1

xk∂E(x)

∂xk )

(3.34) と定義すると,(3.31)式は

dxi(t)

dt =−cxi(t) (

µi(x(t)) Xn

j=1

xjµj(x(t)) )

, i= 1,· · · , n (3.35)

と書くことができるので,その右辺を0とおくことにより,

条件3.3 力学モデル(3.35)の平衡点では,以下の(i),(ii)のいずれかの条件を満たす.

(i) xi = 0, i= 1,· · · , n,

(ii) Ã

µi(x) Xn

j=1

xjµj(x)

!

= 0, i= 1,· · · , n.

を得る.したがって,3.2.1項と同様の議論により,決定変数xが平衡状態にあるときの 無制約化変数yの挙動を調べることができる.

(a) xbdXのとき

xの少なくとも1つの成分が条件3.3の(i)を満足する場合である.このとき,(3.29)式 によって変換された無制約化変数yの対応する成分が負に発散する.

(b) xint Xのとき

条件3.3において全成分について(ii)が成立する場合であり,条件式から µi(x) =

Xn j=1

xjµj(x) = const. i= 1,· · · , n (3.36) が成り立つ.ここで,(3.36)式のiによらない定数をµとおくと,(3.34)式より,

xi

(∂E(x)

∂xi Xn k=1

xk

∂E(x)

∂xk )

=µ, i= 1,· · · , n (3.37)

である.(3.37)式でiについて和をとると,

Xn i=1

xi∂E(x)

∂xi Xn

i=1

xi à n

X

k=1

xk∂E(x)

∂xk

!

= Xn

i=1

µ=n·µ (3.38) となる.等式条件Pn

i=1xi = 1により左辺は0となり,右辺からµ= 0となる.すなわち,

条件3.3(ii)は,

µi(x) = 0, i= 1,· · · , n (3.39) と等価である.なお,(3.39)式は,xintXで3.2.1項の条件3.1(ii)が全成分について成 り立つことと同値である.

一方,(3.35)式と等価なyに関するモデル(3.30)は,(3.34)式を用いて dyi(t)

dt =−cµi(x(t)), i= 1,· · · , n (3.40) と表現することができる.したがって,(3.39)式が成り立つ決定変数空間の平衡点は,対 応する無制約化変数がdy/dt = 0となって,その空間の平衡点になる.ここで注意を要 するのは,(3.39)式が成立するために,勾配が0であるか否かは一切関係しないことで ある.したがって,3.2.1項で非線形作用素勾配系の内部状態表現に関して議論したとき,

xint Xでさらに勾配を考えて(b)と(c)に場合分けして考える必要があったが,(3.30) 式の非線形変数変換勾配系モデルではこの場合分けは不要であり,いずれの場合も無制約 化変数は有限の平衡点をもつ.

その他,(3.29)式の非単射性は変わらないので,x 空間の1点と,y空間の[1,· · · ,1]T 方向の1直線が1対1に対応することは変わらない.2次元の例として,(2.23)式のφ

(3.29)式を用いた力学系で,決定変数が上記(a),(b)における平衡点へ収束するときの,

対応する無制約化変数yの軌道の挙動を示したものが図3.4である.決定変数が制約領域 内部の平衡点に収束するならば,無制約化変数は必ずある有限値に収束する.

なお,(3.23)式の複製方程式を変形した(3.24)式に対して,単位シンプレックス上の非 線形変数変換勾配系モデル(3.35)式でc= 1とした力学系を比較すると,

si(x) = −xi

(∂E(x)

∂xi Xn

k=1

xk

∂E(x)

∂xk )

, i= 1,· · · , n (3.41) とおいたものに等しい.したがって,単位シンプレックス上の非線形変数変換勾配系モデ ルもまたレプリケータモデルと等価構造をもつことは興味深い.

(a) xが制約領域の境界bd X上の点に収束する場合

(b) xが制約領域の内部int Xに存在する点へ収束する場合 図 3.4: 変換変数yの軌道

最後に,(3.1)式で与えられる単位シンプレックス上領域に対応して,

X = (

x

¯¯

¯¯

¯ Xn j=1

xj 1, xi 0, i= 1,· · · , n )

(3.42) で与えられる単位シンプレックス内領域を制約領域とする制約条件付最適化問題を考え る.この問題は,スラック変数

xn+1 = 1 Xn

i=1

xi (3.43)

を導入し,決定変数をX = [x1,· · ·, xn+1]T にとり直せば,次元が1だけ増加した単位シ ンプレックス上領域

X = (

X

¯¯

¯¯

¯ Xn+1

j=1

xj = 1, xi 0, i= 1,· · · , n+ 1 )

(3.44) での制約条件付最適化問題に変換される.したがって,新たな決定変数Xに関する勾配 を,もとの決定変数xに関する勾配

∂E(X)

∂xi = ∂E(x)

∂xi , i= 1,· · · , n (3.45a)

∂E(X)

∂xn+1 = 0 (3.45b)

によって与えれば,3.2.1項で与えた非線形作用素勾配系,もしくは本項で与えた非線形 変数変換勾配系によって解くことができる.この考え方を用いた具体的な勾配系モデル は,文献[56]において示されている.