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電炉業界の構造

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4. 分析と考察

4.1 国内電炉業界の動向に関する調査

4.1.4 電炉業界の構造

4.1.4-1

に我が国の普通鋼電炉メーカーの一覧を示す。現在、日本国内には約

40

社の

電炉メーカーがある。 「鉄スクラップのリサイクル産業」という業態 であり、日本では、特 に地域色の強い産業として発展してきた経緯があるため 、比較的中小規模の企業が多く、

全国に点在している。売上高

1,000

億以上の普通鋼電炉メーカーは、現在、東京製鐵、ヤ マトスチール、トピー工業、共英製鋼、合同製鐵、

JFE

条鋼、大阪製鐵の

7

社のみである。

また、上場企業は、中山製鋼所、ヤマトスチール(大和工業グループ)、共英製鋼、東京製 鐵、合同製鐵、大阪製鐵、東京鐵鋼、朝日工業、中部鋼鈑、北越メタル、東京鋼鐵、豊平 製鋼の

12

社のみである。

普通鋼電炉メーカーの多くは、生産設備の減価償却が相当進んでおり、電気代、原料で ある鉄スクラップの購入費がコストの大半を占めている。このため、電気代や鉄スクラッ プ市況の変化が経営に直接的に影響を与えるコスト構造にある。

また電炉メーカーでは、主に鉄筋棒鋼を生産しているが、メーカーによって生産してい

る製品は若干異なっており、市場において寡占的な製品を生産しているメーカーでは、価

格支配力を有することができるため、高い利益率を維持している場合もある。

4.1.4-1 日本の主な普通鋼電炉メーカー一覧

順位 企業 地域 高炉系 独立系 その他 系列 売上(億円) 利益(億円)

1 東京製鐵 東京都 ○ 2784 323

2 中山製鋼所 大阪府 ○ 新日鉄 2598 23

3 ヤマトスチール 兵庫県 ○ 2080 361

4 トピー工業 東京都 ○ 新日鉄 1959 10

5 共英製鋼 大阪府 ○ 住友金属 1943 140

6 合同製鐵 大阪府 ○ 新日鉄 1926 54

7 JFE条鋼 東京都 ○ JFE 1823 38

8 大阪製鐵 大阪府 ○ 新日鉄 1266 120

9 中部鋼鈑 愛知県 ○ 新日鉄 774 85

10 東京鐵鋼 東京都 ○ 702 34

11 ダイワスチール 岡山県 ○ JFE 652 30

12 朝日工業 東京都 ○ みずほコーポレート銀行 626 35

13 伊藤製鐵所 東京都 ○ 421 18

14 王子製鉄 東京都 ○ 新日鉄 358 27

15 住金スチール 和歌山県 ○ 住友金属 342 28

16 岸和田製鋼 大阪府 ○ 340 14

17 大谷製鉄 富山県 ○ 324 9

18 三星金属工業 新潟県 ○ 合同製鉄(新日鉄) 305 14

19 中山鋼業 大阪府 ○ 共英(住友金属)、合同(新日鉄) 297 6

20 宇部スチール 山口県 ○ 宇部興産 291 12

21 北越メタル 新潟県 ○ トピーー工業(新日鉄) 289 8

22 新関西製鐵 大阪府 ○ メタルワン 272 22

23 城南製鋼所 埼玉県 ○ 271 22

24 トーカイ 福岡県 ○ メタルワン 246 -

25 三興製鋼 神奈川県 ○ 242 15

26 関東スチール 茨城県 ○ 共英製鋼(住友金属) 234 17

27 向山工場 埼玉県 ○ 230 11

28 東北スチール 宮城県 ○ JFE 227 9

29 清水製鐵 千葉県 ○ 219 1

30 山口鋼業 岐阜県 ○ 195 16

31 拓南製鐵 沖縄県 ○ 193 2

32 東京鋼鐵 東京都 ○ 三井物産 188 18

33 千代田鋼鉄工業 東京都 ○ 三井物産 183 10

34 豊平製鋼 北海道 ○ JFE 177 12

35 九州製鋼 福岡県 ○ メタルワン 135 6

36 大三製鋼 東京都 ○ 122 0.3

37 新北海鋼業 北海道 ○ 大阪製鐵 100

-38 中央圧延 埼玉県 ○ 67 3

出典:週刊ダイヤモンド(2010/02/13)よ りMRI作成(売上は 093月期。大 谷製鉄、大三製鋼は 0812月期、山口鋼業 は095月期、新関西製鐵、千 代田鋼鉄工業は099月 期)

2)業界構造の変遷

電炉メーカーの多くは、その前身が伸鉄業

6

・単圧業

7

であるところが多いが、現在では 伸鉄・単圧は行っていない。我が国では、太平洋戦争直後、国内に鉄スクラップがなかっ たため、鉄スクラップを米国から買い付けることで、高炉製鉄業が始まった。電炉メーカ ーは 、こ の高 炉製 鉄業 によ る自 家発 生ス クラ ップ をベ ース とす るこ とで 始ま った 。

1960

年頃(昭和

30

年代)になると、鉄スクラップが国内でも流通するようになってきたため、

数多くの電炉メーカーが誕生した。

1973

年秋の石油危機とそれに引き続く景気後退によって建設需要も大きく落ち込み、電 炉メーカーの主力製品であった小形棒鋼の需要は大幅に減少した。一方、電炉業界 では石

油危機の勃発当時の物不足の経験から、将来の大幅な需要増を予測し、

1974

年から

1976

年にかけて新たに

23

基の電炉を設置した。その後、新たに設置した設備の稼働に伴い需 給ギャップは拡大し、製品価格が大幅に低下した。以後、約

2

年間、販売価格がコストを 著しく下回る状況が続き、電炉メーカーの財務内容は極度に悪化した。この事態を打開す るため、生産調整や設備処理等の構造改善に関する諸施策が実施された。

電炉メーカーでは、小形棒鋼の生産数量制限に関する不況カルテルが

1975

年に許可さ れ、以後、1977 年までに不況カルテルが合計

8

回にわたって行われた。また、同年には、

全国小形棒鋼工業組合が設立され、独占禁止法適用除外カルテル結成が許可された。

1979

年の第二次石油危機を受けて、小形棒鋼は景気の後退と供給過剰による反動から在 庫が増加し、市況も下落した。市況の回復を図るため、大幅な自主減産も実施された。全 国小形棒鋼工業組合では、各電炉メーカーの減産資金を調達するため、同組合を窓口とし て融資を受け、更には大手商社の協力を得て、小棒の買い上げ凍結と買い戻し販売を実施 した。

二度の石油危機を契機に、我が国では、高付加価値型への産業構造の転換を迫られ、素 材型から加工組立型へと次第にシフトしていった。このような状況下、

1983

年には素材産 業を対象とする「特定産業構造改善臨時措置法」が施行され、電炉メーカーは引き続き特 定業種としての指定を受けた。

その後、政府の低金利政策や、公共事業の繰り上げ執行など の内需拡大策等により建設 需要をはじめとした内需が回復したため、電炉メーカーの過剰生産は一気に解消した。こ の時、電炉メーカーでは、戦後最大の好況を迎え、この間、設備の改善や増強が進み、市 場が拡大した。

この市場拡大とともに、高炉メーカーが高付加価値製品へと生産をシフトしたこともあ って、鉄鋼業界における高炉メーカーと電炉メーカーとの棲み分けが進展し、建設用鋼材 の多くを電炉メーカーが生産することとなった。

業界再編を巡る動向としては、高炉系列の共英製鋼や合同製鐵、JFE 条鋼、大阪製鐵な

どでは、設立当時に複数企業の合併を経ているものの、バブル崩壊などの経済危機に陥っ

た時期でも、大規模な業界再編は起こっていない。また、全体として、独立系メーカーが

高炉系メーカーの資本参加を受けていく傾向にある。近年では、

2009

年に高炉系列である

共英製鋼と東京鉄鋼が経営統合を発表したことが、両者の統合によって特定製品について

市場シェアが高まり、同製品に対してユーザーが価格交渉力を失う可能性がある ことを公

正取引委員会が指摘し、審査が長期化した。この結果、両社では経営統合を中止している。

4.1.4-2 国内の主な普通鋼電炉メーカーの変遷

企業 企業

2010年 2005 2000 1995 1990 1985 1980 1975 1975年

東京製鐵 東京製鐵

ヤマトスチール 大和工業

トピー工業 トピー工業

共英製鋼 山口共英製鋼 第一製鋼

設立:和歌山 共英製鋼 ('89)

和歌山共英

大阪製鋼 大谷重工業 日本砂鉄 江東製鋼 船橋製鋼 東伸製鋼 吾嬬製鋼所 大鉄工業 大和製鋼 日鉄鋼機 西日本製鋼

中部鋼鈑 中部鋼鉄

東京鐵鋼 東京鐵鋼

大和電気製鋼 東部スチール

朝日工業 社名変更:朝

日工業('85) 西部化学工業

伊藤製鐵所 伊藤製鐵所

王子製鉄 王子製鉄

住金スチール 設立:キョウ

エイ製鉄('91)

岸和田製鋼 岸和田製鋼

大谷製鉄 大谷製鉄

三星金属工業 三星金属工業

中山鋼業 中山鋼業

宇部スチール 設立:宇部ス

チール('89) 宇部鋳鍛工

北越メタル 北越メタル

関西製鋼 臨港製鉄

城南製鋼所 城南製鋼所

トーカイ 設立;トーカ

イ('00) 東海鋼業

三興製鋼 平塚製鋼

関東スチール 設立:関東ス

チール('94) 相場製鋼

向山工場 向山工場

東北スチール 社名変更:東

北スチール ('85)

藤沢製鋼 清水鋼鉄 清水製鋼

山口鋼業 山口鋼業

拓南製鐵 拓南製鐵

東京鋼鐵 東京鋼鐵

千代田鋼鉄工業 千代田鋼鉄工業

豊平製鋼 豊平製鋼

大安製鋼(圧延) 岸本製鋼(製鋼)

大三製鋼 大三製鋼

社名変更:新

合併:合同製 鉄設立('77) 合併:日本砂 鉄、江東製 鋼('78)

合併:大阪製 鉄設立('78) 合併:日鉄鋼

機('80)

合併:平塚製 鋼('81)

合併;清水製 鋼('83) 合併:トーア・

スチール設

合併:九州製 鋼設立('87) 合併:山口共

英、第一製 鋼、和歌山 共英('90) 分離独立:

キョウエイ製 鉄(和歌山共 英)('91) 設立:関東ス チール('94)

合併:船橋製

社名変更:ダ イワスチール ('92) 合併:東部ス チール('93) 社名変更:

NKK条鋼 合併:西日本 製鋼('95)

合併:新関西 製鉄設立 社名変更:

JFE条鋼('05)

国内電炉メーカーの変遷

九州製鋼 ダイワスチール

新関西製鐵

三興製鋼

清水製鐵 共英製鋼

合同製鐵

JFE条鋼

大阪製鐵

3)電炉業界による環境リサイクル事業への展開状況

電炉業界による環境リサイクル事業への展開事例を下表に示す。共英製鋼やヤマトスチ ール(大和工業グループ)が、医療廃棄物等の中間処理・最終処分事業等の環境リサイク ル事業を展開している。これは、これまで培ってきた製鋼技術を新たな事業分野である環 境リサイクル事業に応用展開するものと考えられる。一方、中部鋼鈑のようにグループ内 で行っていた医療廃棄物の処理事業から撤退するメーカーも見られる。

4.1.4-3 電炉業界による環境リサイクル事業への展開事例

電炉メーカー名 事業概要

共英製鋼 株式会社

環境リサイクル事 業として、医療 廃棄 物、産 業廃 棄 物の中間及び最 終処 理等を実施。具体的には、以下の事業を行っている。

①医療廃棄物の中間及び最終処理事業

山 口事 業 所 、連 結子 会 社である株 式 会社 共 英 メソナで医療 廃 棄 物の中 間及び最終処理事業を行っている。契約医療機関に専用容器を設置し、回 収後、電気炉で無害化溶融処理を行う「メスキュードシステム」を確立 した。メ スキュードは製 鋼 工 場における先 進 技術 を駆 使した日 本発の処 理 システム であり、2,000℃の高温により、瞬間的に完全溶融処理が可能である。

②産業廃棄物の中間及び最終処理事業

山 口 事 業 所 、連 結 子 会 社 である株 式 会 社 共 英 メソナ、共 英 リサイクル株 式会社及び共英産業株式会社で産業廃棄物の中間及び最終処理事業を 行っている。共英リサイクル株式会社では、ガス化溶融炉を用いて産業廃棄 物の中間処理を行うとともに、燃料ガスを製造し、山口事業所の圧延工程で 利用している。

ヤマトスチール

(大和工業 グループ)

関係会社である大和商事株式会社が医療廃棄物処理事業を実施してい る。具 体 的 には、医 療 廃 棄 物 を高 温 の電 気 炉 で溶 解 する処 理 を行 ってい る。

中部鋼鈑 株式会社

グループとして医療廃棄物の処理事業を行ってきたが、2010 年 3 月 31 日 をもって同事業から撤退。

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