• 検索結果がありません。

米国の電炉業界

ドキュメント内 目次 (ページ 50-59)

4. 分析と考察

4.2 海外電炉業界の実態に関する調査

4.2.1 米国の電炉業界

4.2 海外電炉業界の実態に関する調査

4.2.1-2 高炉・電炉による生産量

高炉 電炉 合計

生産量 百万トン

割合

生産量 百万トン

割合

生産量 百万トン

2000 54.1 53.0 47.9 47.0 102.0

2001 47.4 52.6 42.7 47.4 90.1

2002 45.4 49.6 46.2 50.4 91.6

2003 45.9 49.0 47.8 51.0 93.7

2004 47.7 47.8 52.0 52.2 99.7

2005 42.0 44.3 52.9 55.7 94.9

2006 42.1 42.9 56.1 57.1 98.2

2007 41.0 41.8 57.1 58.2 98.1

2008 39.1 42.6 52.8 57.4 91.9

2009(推計値) 20.2 36.0 35.8 64.0 56.0

出典:U.S. Geological Survey- Iron & Steel Statistics and Information web page, 2000-2010

電気炉粗鋼生産割合

0 10 20 30 40 50 60 70

1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 (%)

アメリカ 世界合計

出典:World Steel, “Statistical Yearbook”, 2009より作成

2)米国の電炉業の発展におけるニューコア社

前述の通り、米国では、全般的に電炉業が発展してきているが、その中でも、最も急成 長を遂げた電炉メーカーはニューコア社である。以下に、ニューコア社の成長経緯及び組 織の特徴を整理した。

(1)

ニューコア社の成長経緯

4.2.1-3

1965

年から

2009

年までのニューコア社の成長の推移を示す。販売額の推

移を見ると、70 年代には

10

倍、80 年代には

3

倍、90 年代には

3

倍、2000 年代には

2.5

倍の成長を記録している。1965 年に販売額

2,200

万ドルであった企業が

2008

年には販売 額訳

237

億ドル(2009 年は金融危機の影響から約

112

億ドルに落ち込んでいる)、全米鉄 鋼業界における上位企業にまで成長した。

4.2.1-3 ニューコア社の成長の推移

年次 粗鋼生産能力 万トン

粗鋼生産量 万トン

従業員数 人

販売額 百万ドル

収益額 百万ドル

1965 0 0 n.a. 22.3 -2.2

1970 12 6 n.a. 50.8 1.1

1975 60 35 2,300 121.5 7.6

1980 125 104 3,300 482.4 45.1

1985 210 169 3,900 758.5 58.5

1990 370 345 5,500 1,481.6 75.1

1995 1,000 787 6,200 3,462.0 274.5

2000 1,300 1,127 7,900 4,586.1 310.9

2005 2,500 2,033 11,300 12,700.9 1,317.2

2008 2,621 2,045 21,700 23,663.3 1,831.0

2009 2,621 1,400 20,400 11,190.2 -293.6

出典:Nucor Corp. Annual Report

4.2.1-4

2000

年までのニューコア社の設備投資の状況を示す。同社が設立以来、積

極的な設備投資を行ってきていることが分かる。

4.2.1-4 ニューコア社の設備投資の状況

年次 設備投資内容

1955

1962

1967

1969

1972

1972

1973

1975

1981

1982

1988

1989

1992

1994

2000

ニュークリア社設立

ニュークリア社、ブルクラフト社を買収

M&S

スチール社買収、3 番目のスチール・ジョイスト工場、ブルクラフト・ア

ラバマになる

4

番目のスチール・ジョイスト工場、クレープランドで操業開始 第1ミニミルをダーリントンで操業開始

社名をニューコアに変更

5

番目のスチール・ジョイスト工場、セント・ジョーで操業開始

2

番目のミニミルをノーフォークで操業開始

3

番目のミニミルをジュエットで操業開始

4

番目のミニミルをプリマスで操業開始 粗鋼生産で全国

10

位に入る

ニューコア・ヤマト、プライスビルで操業開始(1993 年大形形鋼設備追加)

薄板工場、クロフォードビルで操業開始(1994 年第

2

熱延操業)

2

番目の薄板工場、ヒックマンで操業開始(1994 年第

2

熱延操業、1999 年冷延 設備追加)

トリニダードでアイロン・カーバイド工場操業開始(1999 年

1

月廃止)

3

番目の薄板工場、バークリーで操業開始(1997 年冷延設備操業、1998 年第

2

熱延建設、2000 年第

2

冷延建設)

ハートフォードで厚板工場操業開始

ニューコア社の歴史は、

1955

年から

1968

年までの放射線メーカーから鉄骨加工業に転 換した「第

1

期」、1969 年から

1981

年までのミニミルとして急速に成長を遂げた「第

2

期」、その後、鋼板市場に参入し、新技術のパイオニアとして現在に至るまでの「第

3

期」

3

つに区分できる。以下、それぞれについて整理した。

<第

1

期(1955 年~1968 年)>

ニューコア社は、1972 年に名称を変更するまでは、ニュークリア社と称し ていた。ニュ ークリア社は、1955 年に放射線、電子部門を中心にミニ・コングロマリッドとして 設立さ れた。その後、1965 年の経営破綻を契機とした経営再編時に、1962 年に買収したブルク ラフト社を基盤に、鉄骨加工メーカーとして再編され、鉄鋼専業メーカーとしてのニュー クリア社が形成された。

<第

2

期(1969 年~1981 年)>

1960

年代後半には、既存のフローレンス工場、ノーフォーク工場に加えて、

M&S

社の

買収(ブルクラフト・アラバマに編成)、クレープランド工場建設を行い、合計

4

つのス

チール・ジョイスト工場を保有することになり、鉄骨梁市場の

20%を占めるナンバーワン

ウス・カロライナ州ダーリントンにおいて年産

6

万トンの小規模な電炉工場を建設し、粗 鋼生産を開始したことであった。そして

1970

年代前半には年間

20

万トンのネブラスカ州 ノーフォーク工場と年産

20

万トンのテキサス州ジュエット工場を建設し、さらに

1970

年 末から

1980

年代始めにかけて既存工場の拡張と年産

40

万トンのユタ州プリマス工場建設 によって電炉工場の全国的配置を完成した。

こうしてニューコア社は棒鋼、小形形鋼を中心に粗鋼生産を

1972

年から

1981

年にかけ て

13.8

万トンから

132

万トンまで拡張し、1980 年代はじめにはノース・スター社、フロ リダ・スチール社とともに、工場を複数有し、生産能力

100

万トンを超す大型ミニミルと して成長した。

<第

3

期(1982 年~2000 年代)>

ニ ュー コア 社の 成長 を一 層加 速さ せ、 世界 的に 注目 を浴 びる こと とな った のは 、

1980

年代末のミニミルとして最初の薄板市場への参入である。

1980

年代前半には、ミニミルに よる鋼板生産は極めて困難と考えられていたが、薄スラブ連続鋳 造機の世界最初の実用化 に成功し、1989 年

8

月にはインディアナ州クロフォードビルで年産

80

万トンの鋼板工場 の操業を開始した。そして、1992 年に年産

100

万トンの第

2

鋼板工場をアーカンソー州 ヒックマンに、さらに

1996

年には第

3

鋼板工場をサウス・カロライナ州バークリーに立 ち上げ、鋼板生産を加速化した。また、日本の大和工業との合弁による大形形鋼企業、ニ ューコア・ヤマト社の設立によって大形形鋼市場に参入し、さらに、2000 年にはハートフ ォードでの厚板工場建設によって従来の高炉メーカー市場に積極的に進出している。

こうして、同社の粗鋼生産量は

99

年に

1,000

万トンを超過し、全米第

3

位まで成長し、

更に

2001

年から

2002

年にかけてのオバーン・スチール、バーミンガム・スチールの買収 によって

2001

年には

US

スチールを抜き全米第

1

位の生産量となった。

(2)

ニューコア社の構造的特徴

4.2.1-5

にニューコア社の製品出荷量を、図

4.2.1-2

2009

年現在のニューコア社の

電炉工場の配置を示す。

2009

年の粗鋼生産は

1,400

万トンであり、鋼材出荷量のうち外部

販売は

1,208

万トンである。その製品別内訳は、鋼板

521

万トン(43%)、棒鋼

363

万ト

ン(30%)、形鋼

162

万トン(13%)、厚板

161

万トン(13%)であり、鋼板生産の割合

が高い。その他の加工製品出荷量は、鉄鋼梁

26

万トン、デッキ

331

万トン、みがき棒鋼

33

万トン、鉄筋製造

95

万トン、その他

364

万トンという構成である。これらの鋼材は農

機具、自動車部品、ビル建設資材、産業用機械などのメーカーとサービス・センターに出

荷されている。市場としては依然として建設関連が多く、また鋼板製品に関しても高炉製

品よりも価格競争力を有するが、それらは一部の自動車用部品向けに出荷されており、高

品質の自動車用部品を生産するまでにはいたっていない。

4.2.1-5 ニューコア社の製品出荷量(万トン)

年次

粗鋼 生産

鋼材外販量

鉄鋼梁 デッキ みがき 棒鋼

鉄筋 製造

その 他 鋼板 棒鋼 形鋼 厚板 合計

1985 0 n.a. n.a. 115 47 17 9 2

1990 345 42 138 100 198 44 13 46 10

1995 787 299 180 195 675 55 23 23 18

2000 1,127 446 221 309 2 978 61 35 25 19

2005 2,033 802 598 287 215 1,902 55 38 34 17

2008 2,045 751 527 293 248 1,819 49 50 49 96 458

2009 1,400 521 363 162 161 1,208 26 331 33 95 364

出典:Morgan Stanley Dean Witter,op.cit.;Nucore,Annual Report,2001.

4.2.1-2 ニューコア社のミニミル工場配置(2009

年現在)

●棒鋼 ■鋼板( ストリップキャスティング) ◆ビーム ▲厚板 ★コーポレート

出典:Nucor Corp. Annual Report 2009

ニューコア社の企業組織は高炉企業とは大きく異なっている。高炉企業は、企業内調整

を管理する階層管理組織のもとに原料部門、銑鋼一貫工業、販売チャネル、さらには研究

開発部門を垂直的に統合している。一方、ニューコア社 では、小中規模の製鋼・圧延のみ

の電炉工場や単純な加工工場からなり、それぞれが技術的にも操業的にも独立性の高い製

品専門工場となっている。また、それらの工場が、東部、中西部、南部、西部と地域別に

分散配置され、全国市場をカバーしている構造となっている。また、機能では、製造部門

においてミドル・マネジメントは存在せず、小さな本社=管理組織となっている。このよ うに最高経営責任者のすぐ下に各工場が単純にくる直轄型組織となっているのが特徴であ る。

しかし、ニューコア社の特徴である小中規模の地域分散的な専門工場からなる組織は、

その主要製品が条鋼製品であった時代には大きな問題はなかった。それは、生産量自体が 大きくなく、製品の多くが標準製品であり、原料購買、 販売も市場に依存することで十分 であったためである。しかし

1980

年代末以降の鋼板市場への参入とその急激な拡張はこ れまでとは異なる原料調達、販売組織を必要とし、また製品の多様化は新技術の開発・実 用化を不可欠とした。このためニューコア社ではこれらの課題を資本・技術提携から長期 購入協約など、多くのネットワークを通じて実現した。表

4.2.1-6

に高炉メーカーとニュ ーコア社の組織の比較を示す。

4.2.1-6 高炉メーカーとニューコア社の組織比較

高炉メーカー ニューコア社

組織 階層型 直轄型

製品ライン フルライン ニッチ

原料調達 内部化 市場

ネットワーク 工場 銑鋼一貫工場 専門工場 販売 自社営業所

代理店

市場

ネットワーク 研究開発 自社研究所 ネットワーク

以上より、ニューコア社の特徴は以下のとおり整理することができる。

・ 小中規模、地域分散、専門工場からなる組織構造

・ 原料調達、販売、研究開発のネットワーク化

3)米国における電炉製鋼に関する技術

米国では、電炉による主要な製品は建設業向けのロング製品であったが、近年、技術開 発により、電炉により鋼板が製造されるようになってきた。製造された鋼板は、自動車業 界等に出荷されるようになってきている。

米国鉄鋼協会へのインタビュー調査によると、同協会では、鉄スクラップを利用した電

炉による製鋼は、高炉による製鋼に比べて、CO2 排出量も低いと評価している。電炉産業

が発展してきた米国では、この

25

年間で鉄鋼業におけるエネルギー消費が

60%落ちたと

ドキュメント内 目次 (ページ 50-59)

関連したドキュメント